個人事業主として活動していると、事業で使っていたパソコンやオフィス家具、その他の備品が古くなったり、不要になったりすることがありますよね。
「この古いパソコン、どうやって処分すればいいんだろう…。」
「売却できたけど、このお金って会計上どう処理するの?」
そんな時、頭を悩ませるのが「仕訳」と「確定申告での処理」です。
特に、10万円以上で購入したものは「固定資産」として扱われるため、単に捨てたり売ったりするだけでなく、会計帳簿上で適切な処理(固定資産の除却や売却)を行う必要があります。
この処理を怠ると、正確な経営状況が把握できなくなるだけでなく、税務調査で指摘される可能性も。
でも、ご安心ください。
この記事では、2026年2月時点の情報に基づき、パソコンや備品などの固定資産を廃棄・売却した際の基本的な仕訳方法から、人気の会計ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」を使った具体的な処理手順まで、分かりやすくステップバイステップで解説します。
この記事を最後まで読めば、面倒に感じがちな固定資産の処分に関する会計処理が、驚くほどシンプルに理解できるはずです。
そもそも固定資産とは?減価償却の基本をおさらい
廃棄や売却の処理を理解する前に、まずは「固定資産」と「減価償却」という2つの重要なキーワードについて基本を押さえておきましょう。すでに理解している方は、次の章へ進んでいただいて構いません。
固定資産の定義
会計の世界で「固定資産」とは、1年以上事業のために使用する予定の、取得価額が10万円以上の資産を指します。具体的には、以下のようなものが該当します。
- 有形固定資産: パソコン、デスク、椅子、カメラ、自動車、建物など
- 無形固定資産: ソフトウェア、特許権など
ポイントは「取得価額が10万円以上」という点です。例えば、9万円のモニターを購入した場合、それは固定資産ではなく「消耗品費」として購入時に一括で経費計上できます。しかし、12万円のノートパソコンを購入した場合は「工具器具備品」などの固定資産として資産計上し、後述する減価償却を行う必要があります。
減価償却とは?
「減価償却(げんかしょうきゃく)」とは、固定資産の取得にかかった費用を、その資産を使用できる期間(法定耐用年数)にわたって分割して経費計上していく会計処理のことです。
例えば、20万円のパソコンを購入した年に、その20万円全額を経費にしてしまうと、その年だけ利益が大幅に減ってしまいます。しかし、そのパソコンは翌年以降も事業に貢献してくれるはずです。そこで、時の経過とともに価値が減少していくという考え方に基づき、数年にわたって費用を分割計上するのが減価償却です。
パソコンの法定耐用年数は4年なので、簡単に言えば、20万円を4年間に分けて経費にしていくイメージです。この毎年計上する経費を「減価償却費」と呼びます。
この減価償却を通じて、帳簿上の資産価値は年々減少していきます。この「取得価額から、これまでの減価償却費の合計額を差し引いた金額」を「帳簿価額(ちょうぼかがく)」または「未償却残高」と呼びます。この帳簿価額が、資産を廃棄・売却する際の計算の基礎となる非常に重要な金額です。
【ケース別】パソコン・備品を処分した時の仕訳方法
それでは、いよいよ本題です。実際に固定資産を処分する際の具体的な仕訳方法を「廃棄した場合」と「売却した場合」の2つのケースに分けて見ていきましょう。ここでは、例として以下のパソコンを処分するケースを考えます。
- 取得価額: 240,000円
- 減価償却費の累計額: 180,000円
- 現在の帳簿価額(未償却残高): 60,000円 (240,000円 – 180,000円)
ケース1:廃棄した場合(固定資産の除却)
パソコンが故障してしまい、修理不能で廃棄処分にするケースです。このように、固定資産を使用中止して帳簿から除くことを「固定資産の除却(じょきゃく)」と言います。
この場合、まだ価値が残っている帳簿価額の60,000円分が、処分によって失われたと考えます。この損失を「固定資産除却損」という勘定科目(費用)で処理します。
仕訳は以下のようになります。
(借方) 固定資産除却損 60,000円 / (貸方) 工具器具備品 240,000円
(借方) 減価償却累計額 180,000円 /この仕訳により、資産(工具器具備品)が240,000円減少し、それに対応する減価償却累計額180,000円も消滅します。そして、差額の帳簿価額60,000円が費用として計上され、帳簿上からこのパソコンが綺麗になくなります。
ケース2:売却した場合(固定資産の売却)
次に、このパソコンを中古業者に買い取ってもらったケースを考えます。売却の場合は、売れた金額と帳簿価額を比較して、利益が出たか損失が出たかを計算する必要があります。
売却して損失が出た場合(譲渡損失)
例えば、このパソコンが40,000円で売れたとします。帳簿上の価値は60,000円だったので、20,000円の損失が出たことになります。この損失は「固定資産売却損」または「事業主損失」として処理します。
仕訳は以下のようになります。
(借方) 現金預金 40,000円 / (貸方) 工具器具備品 240,000円
(借方) 減価償却累計額 180,000円 /
(借方) 固定資産売却損 20,000円 /この「固定資産売却損」は、事業所得の計算上、経費(損金)として扱われます。
売却して利益が出た場合(譲渡所得)
では、もしこのパソコンが性能が良く、80,000円で売れた場合はどうでしょう。帳簿上の価値60,000円より20,000円高く売れたので、20,000円の利益が出たことになります。この利益は「固定資産売却益」として処理します。
仕訳は以下のようになります。
(借方) 現金預金 80,000円 / (貸方) 工具器具備品 240,000円
(借方) 減価償却累計額 180,000円 / (貸方) 固定資産売却益 20,000円この「固定資産売却益」は、事業所得の一部として課税対象になります。個人事業主の場合、事業用の資産の売却による所得は、原則として「譲渡所得」ではなく「事業所得」に分類される点に注意が必要です。
実践!マネーフォワード クラウド確定申告での固定資産除却・売却の入力手順
ここまで仕訳の基本を解説してきましたが、「この複雑な仕訳を手で入力するのは大変…」と感じた方も多いのではないでしょうか。ご安心ください。「マネーフォワード クラウド確定申告」のような会計ソフトを使えば、これらの処理を簡単な入力で自動化できます。
ここでは、マネーフォワード クラウド確定申告で固定資産を処分する際の具体的な手順を解説します。
ステップ1:固定資産台帳を開く
まずは、左側のメニューから「決算・申告」>「固定資産台帳」をクリックします。
ここには、あなたがこれまでに登録した固定資産の一覧が表示されています。減価償却の計算もここで自動的に行われています。
ステップ2:対象の資産を選択し、除却または売却の処理を行う
一覧の中から、今回処分する資産(例のパソコン)を探し、右側にある「︙」メニューから「売却・除却」を選択します。
すると、「固定資産の売却・除却」という画面が表示されます。ここで必要な情報を入力していきます。
廃棄した場合の入力
- 区分: 「除却」を選択します。
- 仕訳の出力: 「出力する」を選択します。
- 売却・除却日: 資産を廃棄した日付を入力します。
- 除却時の仕訳: 「期中に除却」を選択します。
これらを入力して「登録」ボタンを押すだけで、先ほど解説した複雑な除却の仕訳が自動で作成されます。とても簡単ですね。
売却した場合の入力
- 区分: 「売却」を選択します。
- 仕訳の出力: 「出力する」を選択します。
- 売却・除却日: 資産を売却した日付を入力します。
- 売却価額: 売却して得られた金額を入力します。(例:40,000円または80,000円)
- 売却時の仕訳: 「期中に売却」を選択します。
売却価額を入力することで、マネーフォワードが自動で帳簿価額と比較し、「固定資産売却損」または「固定資産売却益」を算出して仕訳を作成してくれます。自分で損益計算をする必要もありません。
このように、会計ソフトを利用することで、仕訳の知識に自信がなくても、画面の指示に従って入力するだけでミスなく正確な会計処理が完了します。
固定資産の廃棄・売却で注意すべきポイントと節税のヒント
最後に、固定資産の処分に関連して、知っておくと役立つ注意点や節税につながるヒントをいくつかご紹介します。これらは私の経験からも重要だと感じている点です。
1. 廃棄の証明書類は必ず保管する
パソコンを廃棄した場合、「本当に廃棄した」という客観的な証拠を残しておくことが非常に重要です。なぜなら、税務調査の際に「実態のない資産を除却して不正に損失を計上したのではないか」と疑われる可能性があるからです。
家電リサイクル法に基づいてパソコンを処分した際の「家電リサイクル券の控え」や、業者に廃棄を依頼した際の「廃棄証明書」などは、確定申告の他の書類と一緒に7年間は必ず保管しておきましょう。もし証明書がない場合は、廃棄する資産の写真を撮影しておくなどの対策も有効です。
2. 10万円未満〜30万円未満の資産は特例を活用する
そもそも固定資産として計上せず、購入時に一括で経費にできれば、減価償却や除却・売却といった面倒な処理は発生しません。
- 10万円未満の資産: 問答無用で「消耗品費」として一括経費計上が可能です。
- 10万円以上20万円未満の資産: 「一括償却資産」として、3年間で均等に償却する方法を選べます。個別の減価償却管理が不要になるメリットがあります。
- 10万円以上30万円未満の資産(青色申告者限定): 「少額減価償却資産の特例」を使えば、年間合計300万円までという上限はありますが、取得価額の全額を購入した年の経費として一括計上できます。
特に「少額減価償却資産の特例」は節税効果が非常に高いため、青色申告をしている方は積極的に活用を検討しましょう。例えば28万円の高性能パソコンを購入した場合、この特例を使えばその28万円を丸々その年の経費にできるのです。
3. 売却のタイミングを戦略的に考える
これは少し応用的な視点ですが、固定資産を売却するタイミングは、その年の利益を調整する手段にもなり得ます。
例えば、「今年は予想以上に利益が出てしまった」という年に、含み損のある(帳簿価額より安くしか売れない)古い機材を売却すれば、「固定資産売却損」を計上して利益を圧縮できます。逆に、「今年は赤字になりそうだ」という年に、含み益のある資産を売却すれば、利益を上乗せして赤字幅を減らすことも可能です。
もちろん、事業上の必要性が最優先ですが、資産の入れ替えを計画する際には、こうした税務的な視点も持っておくと、より賢い経営判断につながります。
まとめ:面倒な固定資産処理は会計ソフトで賢く効率化しよう
今回は、パソコンや備品などの固定資産を廃棄・売却した際の仕訳と、マネーフォワード クラウド確定申告での処理方法について詳しく解説しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- 10万円以上の資産は「固定資産」となり、廃棄・売却時には会計処理が必要。
- 廃棄時は、帳簿価額を「固定資産除却損」として費用計上する。
- 売却時は、売却額と帳簿価額を比較し、「固定資産売却損」または「固定資産売却益」を計上する。
- マネーフォワード クラウド確定申告を使えば、画面の指示に従うだけでこれらの複雑な仕訳が自動で作成され、非常に効率的。
固定資産の処分は、慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、一度手順を理解してしまえば、決して怖いものではありません。特に会計ソフトを導入すれば、その手間は大幅に削減されます。
もしあなたが日々の記帳や確定申告の作業に少しでも負担を感じているなら、会計ソフトの導入は最も効果的な投資の一つです。固定資産の管理だけでなく、日々の売上や経費の入力、そして最終的な確定申告書の作成まで、あらゆる業務を自動化・効率化してくれます。
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