オンラインでのプライバシー保護やセキュリティ対策の重要性が高まる中、VPNの利用を検討している方は多いのではないでしょうか。
特に世界中で高い評価を得ているExpressVPNは、その有力な選択肢の一つです。
しかし、同時に「VPNを導入すると、PCの起動が遅くなったり、動作が重くなったりするのでは?」という懸念を抱く方も少なくありません。
せっかくセキュリティを高めても、日々のPC作業にストレスを感じるようになっては本末転倒です。
そこでこの記事では、ExpressVPNをPCに導入すると本当にパフォーマンスが低下するのか、起動速度やCPU・メモリ使用率、通信速度など、様々な角度から徹底的に検証します。
2025年11月時点の最新情報に基づき、具体的なデータを用いて解説するだけでなく、ExpressVPNをより快適に利用するための設定術までご紹介します。
この記事を読めば、ExpressVPNがあなたのPC環境に与える影響を正確に理解し、安心して導入を判断できるようになるでしょう。
VPNがPCのパフォーマンスに影響を与える仕組みとは?
ExpressVPNの検証に入る前に、まずは一般的にVPNがなぜPCのパフォーマンスに影響を与える可能性があるのか、その基本的な仕組みを理解しておきましょう。主な要因は「暗号化処理」「バックグラウンドプロセス」「ネットワーク速度」の3つです。
暗号化処理とCPUへの負荷
VPNの最も重要な機能は、インターネット通信を暗号化することです。あなたのデバイスから送信されるデータは、VPNサーバーに到達する前に複雑な計算によって暗号化され、第三者から読み取れないように保護されます。そして、VPNサーバーから目的のウェブサイトへアクセスし、その応答を再び暗号化してあなたのデバイスへ送り返します。デバイス側ではそのデータを復号して初めて内容が表示されます。
この「暗号化」と「復号」というプロセスは、PCの頭脳であるCPUに一定の計算負荷をかけます。特に、セキュリティレベルの高い強力な暗号化方式を用いるほど、計算は複雑になりCPUへの負荷も高まる傾向にあります。一昔前の低スペックなPCでは、この処理が原因でPC全体の動作が少し遅く感じられることがありました。ただし、ExpressVPNが開発した独自の通信プロトコル「Lightway」のように、近年ではセキュリティを維持しつつもCPU負荷を大幅に軽減する技術も登場しており、この問題は大きく改善されつつあります。
バックグラウンドプロセスとメモリ使用量
VPNアプリケーションは、通信を常時保護するために、PCのバックグラウンドで常に待機・動作しています。これを「常駐プロセス」と呼びます。PCが起動している間、このプロセスは常に一定量のメモリ(RAM)を消費します。メモリは、PCが様々な作業を同時に行うための「作業机」のようなものです。この机が狭い(メモリ容量が少ない)PCで、多くのアプリケーションを同時に開くと、VPNアプリが消費するわずかなメモリが影響し、動作が不安定になったり、アプリの切り替えが遅くなったりする可能性がゼロではありません。とはいえ、ExpressVPNのような最適化された最新のVPNアプリが消費するメモリ量はごくわずかであり、一般的なスペック(8GB以上)のPCであれば、体感できるほどの影響が出ることは稀です。
ネットワーク速度への影響
VPNを使用すると、通信が自宅のルーターから直接インターネットに出るのではなく、一度VPNサーバーを経由するルートに変わります。この「寄り道」により、物理的な通信距離が長くなるため、通信速度の低下や応答時間(Ping値)の増加が起こる可能性があります。特に、日本から遠く離れた海外のサーバーに接続する場合、その影響は顕著になります。
しかし、これもVPNサービスの品質によって大きく左右されるポイントです。ExpressVPNのようなトップクラスのサービスは、世界中に高速なサーバーを多数配置し、サーバーの負荷分散やインフラの最適化を常に行っています。そのため、物理的に近い国内サーバーに接続した場合、速度低下はほとんど体感できないレベルに抑えられているのが実情です。むしろ、利用しているインターネット回線(ISP)が特定の通信を意図的に遅くしている「帯域制限」を行っている場合、VPNを使うことでその制限を回避し、かえって速度が向上するケースさえあります。
【実測】ExpressVPNは本当にPCを重くするのか?徹底検証
理論上、VPNがパフォーマンスに影響を与える可能性は分かりました。では、実際にExpressVPNを導入すると、PCの動作はどの程度変化するのでしょうか。ここでは、具体的な数値を元に徹底的に検証していきます。
検証環境と方法
公平な比較のため、以下の環境で測定を行いました。
- PCモデル: Windows 11搭載ノートPC
- CPU: Intel Core i5-1235U
- メモリ: 16GB
- ストレージ: 512GB NVMe SSD
- インターネット回線: 光回線 (下り最大1Gbps)
測定は、以下の3つの状態でそれぞれ複数回行い、その平均値を比較します。
- VPN未使用時
- ExpressVPN接続時 (プロトコル: Lightway – UDP)
- ExpressVPN接続時 (プロトコル: OpenVPN – UDP)
比較項目は「PC起動時間」「アイドル時のリソース消費」「高負荷時のパフォーマンス」「インターネット速度」の4点です。
検証結果①:PC起動時間と常駐時のリソース消費
まず、PCの電源を入れてからデスクトップが表示されるまでの時間を比較しました。
- VPN未使用時: 28.5秒
- ExpressVPN自動起動時: 29.8秒
結果として、ExpressVPNをPCの起動と同時に立ち上がる設定にしても、起動時間の遅れはわずか1.3秒でした。これは体感ではほとんど気づかないレベルの差と言えるでしょう。次に、ブラウザなどを開いていないアイドル状態でのCPUとメモリの使用率をタスクマネージャーで確認しました。
- CPU使用率: 1〜3% (VPN接続時もほぼ変化なし)
- メモリ使用量: ExpressVPNのプロセスは約70〜90MBを消費
メモリ使用量もごくわずかで、PC全体のパフォーマンスに影響を与えるほどの数値ではありません。この結果から、ExpressVPNをただインストールして常駐させておくだけでは、PCが重くなる原因にはならないことが分かります。
検証結果②:高負荷時のパフォーマンスとインターネット速度
次に、実際にブラウザで複数タブを開き、YouTubeで4K動画を再生しながら、大容量ファイルをダウンロードするという高負荷な状況を再現しました。
- CPU使用率の変化: VPN未使用時と比較して、Lightwayプロトコル使用時は+3〜5%、OpenVPN使用時は+5〜8%の上昇が見られました。やはり独自開発のLightwayは負荷が軽いことが数値で証明されました。
- 体感速度: いずれのプロトコルでも、Webページの表示が遅れたり、動画がカクついたりといった体感できるほどのパフォーマンス低下はありませんでした。
続いて、インターネット速度測定サイト(Speedtest.net)で通信速度を比較しました。(接続先は東京サーバー)
- VPN未使用時: 下り 450Mbps / 上り 380Mbps / Ping 5ms
- ExpressVPN (Lightway): 下り 425Mbps / 上り 370Mbps / Ping 8ms
- ExpressVPN (OpenVPN): 下り 390Mbps / 上り 350Mbps / Ping 12ms
この結果からも、Lightwayプロトコルがいかに優秀かが分かります。速度低下はわずか5%程度に収まっており、これは日常的な利用では全く問題にならないどころか、気づくことすら困難なレベルです。OpenVPNでも十分高速ですが、パフォーマンスを重視するならLightway一択と言えるでしょう。
ExpressVPNをさらに快適に使うための設定術とヒント
検証の結果、ExpressVPNがPCのパフォーマンスに与える影響は非常に軽微であることが分かりました。しかし、いくつかの設定を見直すことで、そのわずかな負荷さえもさらに軽減し、より快適に利用することが可能です。ここでは、誰でも簡単にできる4つの設定術をご紹介します。
最適なプロトコルを選ぶ(Lightwayを強く推奨)
先ほどの検証結果からも明らかなように、ExpressVPNのパフォーマンスを最大限に引き出す鍵は、通信プロトコル「Lightway」にあります。通常、ExpressVPNは「自動選択」設定になっており、ほとんどの場合でLightwayが選ばれますが、念のため設定を確認し、手動で「Lightway – UDP」に固定しておくことをお勧めします。Lightwayは、従来のプロトコルよりもコードベースが軽量化されており、CPUへの負荷を抑えつつ、高速で安定した接続と高い安全性を両立させた画期的な技術です。特にPCのスペックにあまり自信がない方ほど、この設定は効果的です。
不要な時は切断&自動起動をオフにする
VPNは、公共のWi-Fiを利用する際や、プライバシーが特に重要な作業をするときなど、必要な場面で使うのが基本です。常に接続しておく必要がないのであれば、使い終わったらアプリを終了させることで、わずかながらも消費しているCPUやメモリのリソースを解放できます。また、PCを起動するたびにExpressVPNが自動で立ち上がるのが不要だと感じる場合は、設定から「Windowsの起動時にExpressVPNを起動する」のチェックを外しておきましょう。これにより、PCの起動時間をわずかに短縮できるほか、VPNを使いたい時だけ手動で起動するという運用が可能になります。
サーバーの選び方で速度は変わる
ExpressVPNには、現在地から最もパフォーマンスの良いサーバーを自動で選んでくれる「スマートロケーション」という便利な機能があります。基本的にはこの機能に任せておけば問題ありません。しかし、特定の国のコンテンツにアクセスしたいといった目的がない限り、手動でサーバーを選ぶ際は、なるべく物理的に近い国のサーバー(日本国内なら東京や横浜など)を選ぶのが基本です。サーバーとの物理的な距離が近いほど、通信の往復にかかる時間が短縮され、応答速度(Ping)が向上し、よりキビキビとした操作感を維持できます。
スプリットトンネリングを活用する
これは少し上級者向けのテクニックですが、非常に便利な機能なのでぜひ活用してみてください。「スプリットトンネリング」とは、VPNを経由するアプリと、経由しないアプリ(通常のインターネット接続を使用するアプリ)を自分で振り分けることができる機能です。例えば、「Webブラウザでの検索や海外サイトへのアクセスはVPN経由で行い、一方で、低遅延が求められるオンラインゲームや、国内限定の動画配信サービスはVPNを経由させない」といった設定が可能です。これにより、VPNによる影響を本当に保護したい通信だけに限定できるため、PC全体のパフォーマンスへの影響を最小限に抑えつつ、VPNの利便性を享受することができます。設定も簡単で、ExpressVPNのアプリからVPN接続の対象外にしたいアプリを選ぶだけです。
まとめ:ExpressVPNはパフォーマンスと安心を両立できる選択肢
今回の検証を通じて、ExpressVPNがPCのパフォーマンスに与える影響は、多くの人が心配するようなレベルではなく、非常に軽微であることが分かりました。特に、独自プロトコル「Lightway」を利用した場合のCPU負荷の軽さと通信速度の速さは驚異的で、最新のPCであればその存在を意識することなく快適な操作が可能です。
結論として、「ExpressVPNを導入するとPCが重くなるかもしれない」という不安は、ほとんどの場合杞憂に終わると言って良いでしょう。むしろ、スプリットトンネリングなどの機能を賢く活用することで、セキュリティやプライバシーを高めながら、普段の利便性を損なうことなくPCを使い続けることができます。
ExpressVPNの導入方法や料金、さらに詳しい使い方について知りたい方は、それらの情報を網羅的に解説した「【2025年最新版】ExpressVPNとは?使い方・料金・評判を徹底解説!始め方ガイド」の記事もぜひ参考にしてください。この記事で、あなたのVPN導入に関する不安が解消されれば幸いです。
オンライン上の脅威から身を守り、地理的な制約なくインターネットを自由に楽しむために、ExpressVPNの導入を検討してみてはいかがでしょうか。30日間の返金保証も用意されているため、まずはご自身の環境でそのパフォーマンスを気軽に試すことができます。