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給与計算から年末調整まで、初めて人を雇う社長がやるべきことリスト

「ついに一人目の従業員を雇うことになった。」
そう決意したものの、何から手をつければいいのか分からない。
給与計算、社会保険、雇用保険、年末調整…聞いたことはあるけれど、具体的に何をすればいいのか。
そんな不安を抱えている社長さんは、実はとても多いのです。

私自身も最初の従業員を雇ったとき、手続きの多さに圧倒されました。
役所への届出、給与計算ソフトの選定、保険料の計算方法など、調べることが山積みで、本業に集中できない日々が続きました。

この記事では、初めて人を雇う社長が知っておくべき全ての手続きを、実際の流れに沿って解説します。
必要な書類、提出期限、計算方法まで、具体的にお伝えしますので、この記事を読み終わる頃には、従業員雇用の全体像が明確になっているはずです。

なぜ従業員雇用の手続きは複雑なのか

日本の労働法制は、従業員を守るために細かな規定が設けられています。
給与からは所得税や住民税を源泉徴収し、社会保険料を計算して納付する必要があります。
これらの手続きを怠ると、後から追徴課税や延滞金が発生するリスクがあります。

実際、私の知人の経営者は、雇用保険の加入手続きを忘れていたために、2年分の保険料をまとめて支払うことになりました。
金額は約30万円。さらに延滞金も加算され、予期せぬ出費に頭を抱えていました。

また、給与計算を間違えると、従業員との信頼関係にも影響します。
「先月の残業代が少ない気がする」「社会保険料の計算が合っているか不安」といった従業員からの問い合わせに、正確に答えられないと、会社への不信感につながりかねません。

さらに、年末調整の時期になると、扶養控除申告書や保険料控除申告書など、従業員から提出される書類の処理に追われます。
締切に間に合わせるためには、11月頃から準備を始める必要がありますが、初めての年末調整では何をいつまでに準備すればいいのか分からず、混乱する社長が多いのです。

従業員雇用の手続きを完璧にこなす7つのステップ

ステップ1:労働条件通知書の作成と交付

従業員を雇う際、最初に行うべきことは労働条件通知書の作成です。
これは法律で義務付けられており、以下の項目を必ず記載する必要があります。

  • 労働契約の期間
  • 就業場所と従事する業務内容
  • 始業・終業時刻、休憩時間、休日
  • 賃金の決定方法、計算方法、支払方法
  • 退職に関する事項

労働条件通知書は、雇用開始前に必ず本人に交付し、双方で内容を確認することが重要です。
後々のトラブルを避けるためにも、口約束ではなく書面で残しておきましょう。

ステップ2:社会保険・雇用保険の加入手続き

正社員を雇う場合、社会保険(健康保険・厚生年金)と雇用保険への加入が必要です。
パートタイマーでも、週20時間以上勤務する場合は雇用保険の加入対象となります。

社会保険の手続きは、雇用開始から5日以内に年金事務所へ届出を行います。
必要書類は以下の通りです。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届(扶養家族がいる場合)

雇用保険の手続きは、雇用開始の翌月10日までにハローワークへ届出を行います。
雇用保険被保険者資格取得届を提出し、雇用保険被保険者証を受け取ります。

ステップ3:給与計算の仕組みを理解する

給与計算は、総支給額から各種控除を差し引いて手取り額を算出します。
主な控除項目は以下の通りです。

  • 健康保険料(標準報酬月額の約5%)
  • 厚生年金保険料(標準報酬月額の約9.15%)
  • 雇用保険料(賃金総額の0.6%)
  • 所得税(給与所得の源泉徴収税額表により計算)
  • 住民税(前年の所得により決定、特別徴収の場合)

例えば、月給30万円の従業員の場合、社会保険料と雇用保険料で約4万5千円、所得税で約6千円が控除され、手取りは約24万9千円となります。

この計算を毎月正確に行い、給与明細を作成する必要があります。
手計算では間違いが起きやすいため、多くの企業では給与計算ソフトを導入しています。

ステップ4:源泉所得税の納付

給与から天引きした源泉所得税は、原則として翌月10日までに税務署へ納付します。
ただし、従業員が常時10人未満の事業所は、「源泉所得税の納期の特例」を申請することで、年2回(7月10日と1月20日)の納付にすることができます。

納付書の記入方法や計算を間違えると、後から修正申告が必要になるため、慎重に処理する必要があります。

ステップ5:社会保険料の納付

社会保険料は、当月分を翌月末日までに納付します。
保険料は会社と従業員が折半で負担するため、従業員負担分と会社負担分を合わせて納付します。

納付が遅れると延滞金が発生するため、口座振替の手続きをしておくことをおすすめします。

ステップ6:年末調整の準備と実施

年末調整は、1年間の給与に対する所得税を正確に計算し、過不足を精算する手続きです。
11月頃から準備を始め、以下の書類を従業員から回収します。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 保険料控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ)

これらの書類をもとに年税額を計算し、毎月の源泉徴収額との差額を12月または1月の給与で精算します。
その後、源泉徴収票を作成して従業員に交付し、法定調書を税務署に提出します。

ステップ7:労働保険の年度更新

労働保険(労災保険・雇用保険)は、毎年6月1日から7月10日までの間に年度更新の手続きを行います。
前年度の賃金総額を確定させ、保険料を精算するとともに、新年度の概算保険料を申告・納付します。

この手続きを忘れると、認定決定により保険料が決定され、追徴金が発生する可能性があります。

手作業での管理とクラウドサービスの比較

これらの手続きを手作業で管理する場合、以下のような課題があります。

  • 計算ミスのリスクが高い
  • 法改正への対応が遅れがち
  • 書類の保管場所に困る
  • 締切管理が煩雑

一方、クラウド型の給与計算・会計ソフトを使用すると、これらの課題の多くが解決されます。
特に、給与計算から年末調整、社会保険手続きまでを一元管理できるサービスは、初めて従業員を雇う社長にとって心強い味方となります。

実際に私も、最初は表計算ソフトで給与計算をしていましたが、法改正のたびに計算式を修正する手間や、年末調整の複雑な計算に苦労しました。
クラウドサービスに切り替えてからは、これらの作業時間が大幅に削減され、本業に集中できるようになりました。

給与計算と会計処理を連携させることで、人件費の仕訳も自動化でき、経理業務全体の効率化にもつながります。
初期費用を抑えながら始められるクラウド会計サービスの導入を検討することで、従業員雇用に伴う事務負担を大幅に軽減できるでしょう。

まとめ:計画的な準備で安心の雇用環境を

初めて従業員を雇う際は、労働条件通知書の作成から始まり、各種保険の加入手続き、毎月の給与計算、年末調整まで、多くの手続きが必要です。
これらを漏れなく、正確に行うことが、従業員との信頼関係構築と、法令遵守の両立につながります。

まずは、雇用開始前に必要な手続きをリスト化し、締切日をカレンダーに記入することから始めましょう。
そして、給与計算や年末調整などの定期的な業務については、効率化のためのツール導入を検討することをおすすめします。

従業員を雇うということは、その人の生活を支える責任を負うということです。
適切な労務管理体制を整えることで、従業員が安心して働ける環境を作り、会社の成長につなげていきましょう。

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