「あっ。」
その一言と共に、血の気が引く感覚を味わった経験はありませんか。
宛先を間違えて見積書を送ってしまった。
個人情報を含むリストを、関係ないメンバーを含むグループに共有してしまった。
ビジネスシーンにおいて、メールの誤送信は時として重大な情報漏洩インシデントに繋がりかねません。
そんなヒューマンエラーによる情報漏洩リスクを、劇的に軽減できる機能が普段お使いのGmailに標準搭載されていることをご存知でしょうか。
それが、Gmailの「情報保護モード」です。
この記事では、2025年12月時点の情報に基づき、Gmailの情報保護モードが持つ強力な機能と、ビジネスで明日から使える具体的な活用法を、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
Gmail「情報保護モード」とは?セキュリティを強化する5つの核心機能
Gmailの情報保護モードとは、一言で言えば「メールそのものに有効期限や閲覧制限をかける機能」です。このモードで送信されたメールは、受信者側で転送、コピー、印刷、ダウンロードといった操作が一切できなくなります。まるで、重要書類を入れた封筒に鍵をかけ、指定した相手だけが、指定した期間だけ中身を見られるようにするイメージです。この強力な制御は、以下の5つの核心的な機能によって実現されています。
機能1: 転送・コピー・印刷・ダウンロードの無効化
情報保護モードの最も基本的な機能です。受信者はメール本文を読んだり、添付ファイルを開いたりすることはできますが、その内容を外部に持ち出すための主要な手段がすべてブロックされます。例えば、受信トレイに表示されるメールから「転送」ボタンが消え、本文を右クリックしても「コピー」の選択肢はグレーアウトします。これにより、「うっかりミス」による情報の二次拡散を技術的に防ぐことが可能になります。
機能2: 有効期限の設定
送信するメールに閲覧可能な有効期限を設定できます。期限は「1日で期限切れ」「1週間で期限切れ」「1か月で期限切れ」など、プルダウンから選択可能です。設定した期限を過ぎると、受信者はメールを開こうとしても「このメールは有効期限が切れています」と表示され、内容を一切閲覧できなくなります。プロジェクト期間中だけ共有したい資料や、期間限定のキャンペーン情報など、情報の鮮度が重要な場合に極めて有効な機能です。
機能3: SMSパスコードによる二重認証
より高いセキュリティを求めるなら、SMSパスコードの追加設定が推奨されます。このオプションを有効にすると、受信者がメールを開く際に、事前に指定した受信者の携帯電話番号宛てにGoogleから確認コード(パスコード)が記載されたSMSが自動送信されます。受信者は、そのパスコードを正しく入力しない限り、メールを閲覧することができません。この機能の優れた点は、受信者がGmail(Googleアカウント)ユーザーでなくても利用できることです。これにより、送信相手のメール環境を問わず、特定の個人にのみ情報を届けたいというニーズに応えることができます。
機能4: 送信済みメールへのアクセス権をいつでも取り消し
情報保護モードのもう一つの画期的な機能が、メール送信後でも受信者のアクセス権を剥奪できる点です。通常のメールであれば一度送信ボタンを押してしまえば取り消すことは困難ですが、情報保護モードを使えば、送信済みトレイから該当のメールを選択し、「アクセス権を取り消す」ボタンをクリックするだけで、即座に相手がメールを閲覧できないようにできます。「やはりこの情報を送るべきではなかった」と後から判断した場合でも、被害を未然に防ぐことが可能です。
機能5: クラウド上でコンテンツを管理する仕組み
なぜこのような強力な制御が可能なのでしょうか。その秘密は、メールの配信方法にあります。情報保護モードで送信されたメールは、本文や添付ファイルが受信者のメールサーバーに直接保存されるわけではありません。実際には、コンテンツはGoogleの安全なサーバー上に保持され、受信者にはそのコンテンツへの「閲覧用リンク」が送られているのです。受信者はそのリンクを通じてコンテンツを閲覧するため、送信者はGoogleのサーバー側でアクセス権限(有効期限、パスコード、アクセス権の有無など)を一元管理・制御できる、という仕組みになっています。
【図解】初心者でも簡単!Gmail情報保護モードの基本的な使い方
情報保護モードの使い方は非常に直感的で、数クリックで設定が完了します。ここでは、パソコンのブラウザ版Gmailと、スマートフォンのGmailアプリ、それぞれの設定方法をステップ・バイ・ステップで解説します。
パソコン(Web版Gmail)での設定方法
普段お使いのパソコンから情報保護モードでメールを送る手順は以下の通りです。
- Gmailを開き、左上の「作成」ボタンから新規メール作成画面を立ち上げます。
- 宛先、件名、本文を通常通り入力します。
- 作成画面の下部にあるツールバーから、鍵と時計が描かれたアイコン(情報保護モードを切り替える)をクリックします。

- ポップアップウィンドウが表示されたら、「有効期限を設定」のプルダウンから「1日で期限切れ」「1週間で期限切れ」などを選択します。
- セキュリティをさらに高めたい場合は、「パスコードを要求」の項目で「SMSパスコード」にチェックを入れます。
- 「保存」ボタンをクリックすると設定完了です。メール作成画面に戻り、送信ボタンを押します。
※「SMSパスコード」を選択した場合、送信ボタンを押した後に受信者の電話番号を入力する画面が表示されますので、国番号から正しく入力してください。
スマートフォン(Gmailアプリ)での設定方法
外出先などからスマートフォンで安全にメールを送りたい場合も、簡単な操作で設定できます。
- Gmailアプリを開き、右下の「作成」ボタンをタップします。
- 宛先、件名、本文を入力します。
- 画面右上のメニューアイコン(︙)をタップします。
- 表示されたメニューから「情報保護モード」を選択します。
- 「有効期限を設定」と「パスコードを要求」の項目を、パソコン版と同様に設定します。
- 右上の「✔」(または「保存」)をタップして設定を完了し、送信アイコンをタップします。
受信者側の見え方と注意点
情報保護モードで送られたメールは、受信者側では以下のように表示されます。
- メールを開くと、上部に「このメールは情報保護モードで送信されました。」という通知と、設定された有効期限が表示されます。
- メール本文や添付ファイルは閲覧できますが、転送やコピー&ペースト、印刷、ダウンロードの操作はできません(メニューがグレーアウトします)。
- SMSパスコードが設定されている場合、「パスコードを送信」ボタンが表示されます。これをクリックすると携帯電話に届くコードを入力する画面に遷移します。
- 有効期限が過ぎたメールは、「このメールは有効期限が切れています。」というメッセージに変わり、一切の内容が確認できなくなります。
ビジネスを変える!情報保護モードの効果的な活用シーン5選
情報保護モードは、単なるセキュリティ機能に留まりません。日々の業務に組み込むことで、情報管理の質を向上させ、ビジネスをより安全かつ円滑に進めるための強力なツールとなります。ここでは、具体的な5つの活用シーンをご紹介します。
活用シーン1: 見積書・請求書・契約書案の送付
金額や取引条件、契約内容といった機密情報は、ビジネスメールで最も頻繁にやり取りされる情報の一つです。これらの書類を情報保護モードで送付することで、万が一宛先を間違えた場合でも、第三者によるダウンロードや印刷、意図しない相手への転送を防ぐことができます。特に重要な契約の場合、SMSパスコードを設定して担当者本人しか開封できないようにすれば、より確実に情報を届けることが可能です。
活用シーン2: 人事情報・採用候補者の履歴書共有
従業員の個人情報や、採用候補者から受け取った履歴書・職務経歴書は、個人情報保護の観点から最も厳密な管理が求められます。これらの情報を社内の面接官や関係部署で共有する際に情報保護モードは絶大な効果を発揮します。「1週間で期限切れ」のように有効期限を設定しておくことで、採用選考が終了した後には関係者が情報にアクセスできなくなり、個人情報が不要にサーバーや個人のPCに残り続けるリスクを低減できます。
活用シーン3: 新製品情報やM&Aなど、未公開情報の共有
広報部門が扱うプレスリリース前の新製品情報、経営企画部門が関わるM&Aや業務提携に関する情報など、外部に漏洩すれば企業の経営戦略に大きな影響を与えかねない情報は数多く存在します。このような極めてセンシティブな情報を、社内外の関係者と限定的に共有する際に、情報保護モードは最適です。万が一、送信後に状況が変化した場合でも、「アクセス権の取り消し」機能を使えば、情報が拡散する前に対応できるという安心感は、ビジネスの意思決定を迅速化させる上でも大きなメリットとなります。
活用シーン4: 期間限定のキャンペーンコードや割引クーポンの送付
マーケティング活動においても、情報保護モードは活用できます。例えば、特定の優良顧客だけに限定のキャンペーンコードや割引クーポンを送付する際、有効期限を設定して送信します。これにより、キャンペーン期間が終了すればクーポン情報も自動的に閲覧不可になるため、期限切れのコードを使おうとする顧客からの問い合わせを減らし、管理コストの削減に繋がります。
活用シーン5: 弁護士や会計士など、士業との専門的なやり取り
法務相談に関する資料や、監査に必要な財務データなど、企業の根幹に関わる情報を弁護士や会計士といった外部の専門家とやり取りするケースは少なくありません。このような秘匿性の高いコミュニケーションにおいて、情報保護モードを利用することで、第三者への開示を厳格に制限し、セキュアな情報交換を実現します。専門家との信頼関係を維持する上でも、こうしたセキュリティへの配慮は重要です。
万能ではない?情報保護モードの限界とGoogle Workspaceで実現する更なるセキュリティ
ここまでご紹介してきたように、Gmailの情報保護モードは非常に強力な機能ですが、決して万能ではありません。その限界を正しく理解し、必要に応じてより高度なセキュリティ対策を講じることが、組織の情報資産を守る上で不可欠です。
情報保護モードの注意点と限界
情報保護モードは、あくまで「善意の受信者がうっかり情報を漏らしてしまう」ことを防ぐための機能です。悪意を持った受信者による情報漏洩を100%防ぐことはできません。具体的には、以下のような限界があります。
- スクリーンショットや画面撮影: パソコンのスクリーンショット機能や、スマートフォンで画面を直接撮影されてしまえば、メールの内容は画像として保存されてしまいます。
- 内容の書き写し: 悪意のある受信者が、表示されている内容を手で書き写したり、別のドキュメントに手入力したりすることを防ぐことはできません。
- マルウェア対策ではない: 受信者のデバイスがマルウェアに感染していた場合、情報保護モードも無力化される可能性があります。
これらの限界からわかるように、情報保護モードはヒューマンエラーによる偶発的な情報漏洩には非常に有効ですが、より組織的で高度なセキュリティガバナンスを構築するには、さらなる対策が求められます。
Google Workspaceでセキュリティをさらに強化する
個人のGmailでも利用できる情報保護モードに対し、法人向けのGoogle Workspaceでは、組織全体のセキュリティレベルを飛躍的に向上させるための機能が提供されています。
- データ損失防止(DLP): Google WorkspaceのBusiness Standard以上のプランで利用可能です。管理者が事前に設定したルール(例:「マイナンバー」「クレジットカード番号」といった特定の文字列や正規表現)に合致する情報がメールやGoogleドライブで組織外に共有されようとした際に、自動的に警告を発したり、共有をブロックしたりする機能です。これにより、個人レベルの注意喚起に頼らず、システムとして機密情報の漏洩を防止できます。
- Google Vault: Business Plus以上のプランで提供される、企業のコンプライアンスや電子情報開示(eDiscovery)のための強力なツールです。組織内のGmailやGoogleドライブのデータをすべてアーカイブし、保持期間の設定、特定のキーワードでの検索、訴訟などに備えたデータの書き出しが可能です。
- S/MIME 暗号化: Enterpriseプランで利用できる、より高度なメール暗号化方式です。メールが送信されてから受信されるまでの経路だけでなく、メール自体を電子署名付きで暗号化するため、なりすましや改ざんのリスクを大幅に低減します。
情報保護モードは個人でできる強力な対策ですが、会社全体として情報セキュリティ体制を盤石なものにするには、こうしたGoogle Workspaceのビジネス向けプランの導入が不可欠と言えるでしょう。
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まとめ:Gmail情報保護モードで、情報漏洩リスクを自らコントロールしよう
本記事では、Gmailの情報保護モードが持つ強力な機能と、ビジネスシーンでの具体的な活用法について詳しく解説しました。
転送・印刷などの禁止、有効期限の設定、SMSパスコードによる本人認証、そして送信後のアクセス権取り消し。これらの機能を使いこなすことで、私たちはメールという日常的なコミュニケーションに潜む情報漏洩リスクを、自らの手で大きくコントロールすることができます。
見積書、人事情報、未公開プロジェクトの情報など、ビジネスの現場では日々、慎重な取り扱いが求められる情報が行き交います。たった一通のメールの誤送信が、企業の信頼を大きく損なうことにもなりかねない時代です。まずはこの記事を参考に、今日のメール送信からGmailの情報保護モードを積極的に活用し、ヒューマンエラーによるリスクを未然に防ぐ習慣を身につけてみてはいかがでしょうか。
そして、個人の対策から一歩進んで、組織全体の情報管理体制を強化したいとお考えであれば、Google Workspaceの導入が最善の選択肢となります。より高度なセキュリティ機能と管理ツールを手に入れることで、企業は安心してビジネスの成長に集中することができるはずです。導入を本格的に検討される際は、当サイトで配布しているプロモーションコードをご活用いただくことで、コストを抑えながらスムーズな移行が可能です。
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