そのライセンス、無駄かも？Google Workspaceライセンスの棚卸しと最適化でコストを削る方法

Google Workspaceの請求書を見て、「あれ、思ったより高いな…」と感じたことはありませんか。

従業員の増減や組織変更がある中で、ライセンス管理が追いつかず、実は使われていないアカウントに費用を払い続けているケースは少なくありません。

これは、特にIT専任者がいない中小企業でよく見られる「隠れたコスト」の一つです。

私もお客様の管理コンソールを拝見し、簡単な棚卸しをするだけで、年間数万円から、時には数十万円ものコスト削減に繋がった事例を何度も見てきました。

この記事では、あなたの会社のGoogle Workspaceライセンスに潜む無駄をなくし、コストを最適化するための具体的な「棚卸し」の方法と、その後のアクションについて解説します。

【ご注意】この記事の情報は2025年7月時点のものです。Google Workspaceの機能、料金プラン、ライセンス体系は変更される可能性があります。最新情報はGoogle Workspace公式サイト等でご確認ください。

なぜライセンスの「棚卸し」が必要なのか？よくある無駄の原因

Google Workspaceはユーザー数に応じた課金体系です。そのため、利用実態のないアカウントが存在すると、そのまま無駄なコストになります。棚卸しが必要になる主な原因は以下の通りです。

退職者アカウントの放置: 退職した従業員のアカウントを削除・停止し忘れている。
休職者・長期休暇者のアカウント: 長期的に利用しないことが分かっているアカウントをそのままにしている。
外部協力者用の一時的なアカウント: プロジェクト終了後も、外部パートナー用に作成したアカウントが残っている。
用途が終了した共有アカウント: 特定の目的（例: イベント用）で作成したユーザーアカウントが、役目を終えた後も放置されている。
プランのミスマッチ: 上位プランの機能をほとんど使っていないユーザーに、高価なライセンスが割り当てられている。

定期的な「棚卸し」は、こうした無駄を発見し、ITコストを健全化するための重要な業務です。

【実践】ライセンス棚卸しの3ステップ

難しく考える必要はありません。以下の3つのステップで、誰でも簡単に棚卸しを始められます。

ステップ1：現状把握 – 全ユーザーの利用状況をリスト化する

まずは、組織内の全アカウントの利用状況を客観的なデータで把握します。Google Workspaceの管理コンソールが役立ちます。

管理コンソール（admin.google.com）にログインします。
[レポート] > [ユーザーレポート] > [アカウント] を開きます。
ここで、各ユーザーの「最終ログイン日時」や「ストレージ使用量」などを確認できます。
[ユーザー] リストをGoogleスプレッドシートやCSV形式でエクスポートすると、さらに管理しやすくなります。

このリストを基に、人事情報などと照らし合わせ、「本当にこのアカウントは現在使われているのか？」を確認します。

ステップ2：不要なアカウントの特定と処理方針の決定

ステップ1で作成したリストから、不要と思われるアカウントを特定します。

特定するアカウントの例:
- すでに退職した従業員のアカウント。
- 長期間（例: 90日以上）ログインのないアカウント。
- 役割を終えた一時的なアカウント。

特定したアカウントは、すぐに削除するのではなく、データの保全も考慮して処理方針を決めます。

データを保全する必要がある場合: アカウントを「停止」し、メールやドライブのデータを他のユーザーに移行します。その後、アカウントを削除するか、後述する「アーカイブユーザー」ライセンスへの切り替えを検討します。
データを保全する必要がない場合: アカウントを削除します。（削除後、一定期間は復元可能ですが、基本的には完全削除と考えてください）

ステップ3：プランのミスマッチを洗い出す

次に、ライセンスが過剰に割り当てられていないかを確認します。

管理コンソールのレポート機能で、アプリの利用状況（例: Meetの録画機能の利用頻度）や、ストレージの使用量を確認します。
Business PlusやStandardのライセンスが割り当てられているユーザーが、そのプラン特有の機能（例: Vault、共有ドライブ、大容量ストレージ、Meet録画など）を実際に利用しているか確認します。
もし、上位プランの機能を全く利用していないユーザーがいれば、Business Starterなどの下位プランへのダウングレード候補となります。

コストを削る！ライセンス最適化の具体的な方法

棚卸しで課題が見つかったら、具体的な最適化アクションに移ります。

不要アカウントの速やかな削除・停止: これが最も直接的で効果的なコスト削減策です。退職者処理の業務フローに組み込みましょう。
アーカイブユーザー(AU)ライセンスへの切り替え (※Enterpriseプラン等、対応プランの場合): アクティブなライセンスは不要だが、退職者のメールやファイルをコンプライアンス等の理由で保持し続ける必要がある場合に有効です。通常のライセンスより安価なコストでデータを保持できます。
適切なプランへのダウングレード: 前述の通り、オーバースペックなライセンスが割り当てられているユーザーを、より安価なプランに変更します。（注意：年間契約の場合、契約期間中のプラン変更には制限がある場合があります。契約内容を確認してください。）
年間契約への切り替え: ユーザー数が安定している場合、月単位契約から年単位契約に切り替えるだけで、月額料金が約20%程度安くなります。
共有メールボックスとしての「Googleグループ」活用: info@ や support@ といった代表アドレスで、メール受信と複数人での対応ができれば良い場合、有料のユーザーライセンスを割り当てるのではなく、「共同トレイ」機能を持つGoogleグループを作成することで、ライセンス費用を節約できます。

【私の視点】ライセンス棚卸しを「文化」にするためのヒント

一度だけの棚卸しでは、またすぐに無駄なコストが発生してしまいます。コスト意識を組織に根付かせ、棚卸しを習慣化するための、私なりのヒントです。

「四半期に一度」など、定期的なタスクとしてカレンダーに登録する: 「いつかやろう」は、いつまでもやりません。経理の締め作業のように、定期的な経営管理タスクとしてスケジュールに組み込んでしまいましょう。私も、お客様には「年に2回でも良いので、必ず実施してください」とお伝えしています。
退職者処理のチェックリストに「ライセンス確認」を必須項目として加える: 従業員の退職手続きのチェックリストに、「Google Workspaceアカウント停止」「データ移行」「ライセンス削除/アーカイブ化」といった項目を必ず含め、人事・総務担当者とIT管理者が連携して処理するフローを確立します。
「コスト削減」だけでなく「活用促進」の機会と捉える: 棚卸しは、単なるコストカット活動ではありません。例えば、「Standardプランなのに共有ドライブが使われていない」ことが分かったら、それは「なぜ使われていないのか？」を考えるきっかけになります。使い方が分からないのであれば、簡単な説明会を開くことで、ツールの価値を高め、生産性向上に繋がるかもしれません。
毎月の請求書の内訳（特にユーザー数）をチェックする癖をつける: 経理担当者や経営者は、毎月届く請求書を見て、契約ユーザー数と実際の従業員数に大きな乖離がないか、ざっと確認するだけでも、異常に早く気づくことができます。

まとめ：定期的なライセンス棚卸しで、賢くコストを最適化しよう

Google Workspaceは非常に費用対効果の高いツールですが、その価値を最大限に引き出すには、自社の利用状況に合わせた適切なライセンス管理が不可欠です。

定期的な「棚卸し」という簡単な習慣を取り入れるだけで、見過ごされがちな無駄なコストを削減し、IT投資を常に最適化することができます。

まずは、管理コンソールにログインし、ユーザーリストを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。そこには、あなたの会社が削減できるはずの、思わぬコストが眠っているかもしれません。

ライセンスを最適化し、無駄なコストを削減すれば、Google Workspaceはさらに費用対効果の高いツールになります。これから新たにライセンスを追加する、あるいは新規で導入を検討される場合には、最初のコストを抑える方法があります。

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この記事が、あなたの会社のGoogle Workspace運用におけるコスト管理と、さらなる価値向上の一助となれば幸いです。