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【管理者必見】Google DriveのAI自動分類が超進化!複数モデル対応とオンデマンド学習で、データガバナンスを次のレベルへ

本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の情報を基に、2025年7月30日に作成されました。

Google Workspaceを管理されている皆様、日々の業務お疲れ様です。

組織のデジタル化が進むにつれて、Google Driveに保存されるファイルは爆発的に増加していますね。

その中には、経営戦略に関わる機密情報、お客様の個人情報、知的財産である研究開発データなど、組織の生命線とも言える重要なファイルが数多く含まれています。

「これらの重要ファイルを、誰が、どのように分類し、情報漏洩のリスクから守るのか」という課題は、多くの情報システム管理者にとって、頭の痛い問題ではないでしょうか。

手動でのラベル付けには限界があり、人的ミスも避けられません。

そんな中、GoogleはAIを活用してこの課題を解決する「AI分類機能」を提供していますが、この度、その機能がさらに賢く、柔軟に、そして使いやすくなる、画期的なアップデートを発表しました。

今回は、Google Driveのデータ管理とセキュリティを新たな次元へと引き上げる、このAI分類機能の進化について、その詳細と活用方法を詳しく解説していきます。

そもそも「DriveのAI分類機能」とは?

本題に入る前に、この機能の基本を簡単におさらいしましょう。

Google Driveの「AI分類機能」とは、管理者が事前に定義した「ラベル」(例:「機密」「社外秘」「公開」など)に基づき、AIがDrive内にあるファイルの「中身」をスキャンして内容を理解し、適切なラベルを自動的に付与してくれる機能です。

この機能の真価は、ラベルを付けた後の連携にあります。付与されたラベルをトリガーとして、

  • データ損失防止(DLP): 「機密」ラベルが付いたファイルは、社外への共有を自動的にブロックする。

  • ライフサイクル管理: 「7年保管」ラベルが付いたファイルは、7年後に自動でアーカイブまたは削除する。

  • 監査とレポート: 特定のラベルが付いたファイルへのアクセス履歴を重点的に監視する。

といった、高度なデータガバナンスポリシーを自動で実行できます。これにより、手作業では不可能だった、大規模かつ一貫性のあるデータ保護体制を構築できるのです。

3つの大きな進化点:AIがもっと賢く、使いやすくなった!

今回のアップデートでは、このAI分類機能が3つの点で大きく進化しました。一つずつ見ていきましょう。

進化ポイント1:複数モデルのトレーニングに対応(最大5つ)
これまでのAI分類機能では、1種類のラベル(またはその中の1フィールド)に対して、1つのAIモデルしかトレーニングできませんでした。これは、組織全体のシンプルなルールには対応できても、部門ごとやプロジェクトごとに異なる複雑な分類基準には対応しにくい、という制約がありました。

今回のアップデートで、この制約が撤廃され、最大で5つのユニークなAIモデルを同時にトレーニング・運用できるようになりました。

これにより、以下のような、きめ細かなデータ分類が可能になります。

  • ユースケースA:部門ごとに最適化されたモデル
    「法務部が扱う契約書」を認識するモデルと、「経理部が扱う財務諸表」を認識するモデルを、それぞれ別のAIとして個別にトレーニング。各部門の専門的な文書を、より高い精度で自動分類できます。

  • ユースケースB:ラベルごとに異なるモデル
    「プロジェクトA関連文書」用の分類モデルと、「プロジェクトB関連文書」用の分類モデルを並行して運用。複数の重要プロジェクトの情報を、混同することなく正確に管理できます。

  • ユースケースC:同じラベルでも対象者を変えたモデル
    同じ「機密」ラベルでも、「経営層向けの非常にセンシティブな情報」を判定するモデルと、「一般社員向けの社内秘情報」を判定するモデルを、異なるデータセットで学習させる。これにより、機密性のレベルに応じた、より精緻な分類が実現します。

この「マルチモデル対応」により、組織の複雑な実態に合わせた、柔軟で高精度な自動分類体制を構築できるようになります。

進化ポイント2:好きな時に学習させられる「オンデマンドトレーニング」
AIモデルの精度を高めるには、試行錯誤を繰り返しながら学習(トレーニング)させることが不可欠です。しかし、従来はAIモデルのトレーニングが事前に決められたスケジュールでしか実行できず、管理者が「新しい分類ルールを試したい」と思っても、すぐには反映できませんでした。

今回のアップデートで「オンデマンドトレーニング」機能が導入され、管理者は自分たちの好きなタイミングで、ボタン一つでAIモデルのトレーニングを開始できるようになりました。

これにより、

  • 新しい種類の機密文書が出てきたら、すぐに関連ファイルを学習データに追加してモデルを再トレーニング。

  • 分類精度が低いと感じたら、学習データを見直して、即座に改善を試みる。

といった、アジャイルな改善サイクルを回すことが可能になります。組織の変化のスピードに合わせてAIを成長させることができる、非常に強力な機能です。

進化ポイント3:直感的で分かりやすい新UI(ユーザーインターフェース)
AIの運用において、「今、AIが何をしていて、どのくらいの賢さなのか」が分からない「ブラックボックス状態」は、管理者にとって大きな不安要素です。

今回のアップデートでは、AI分類機能の管理画面がゼロから再設計され、管理者がAIモデルの状態を直感的に把握できる、リッチな情報が提供されるようになりました。

  • モデルトレーニングのステータス: AIの学習が今どの段階にあるのか、進捗状況がリアルタイムで分かります。

  • トレーニングデータのメトリクス: どのようなファイルを、どれくらいの量、AIの学習に使ったのか、統計情報で確認できます。

  • モデルの再現率スコア: AIがどれだけ正確にファイルを分類できているかを示す「精度スコア」が数値で表示されます。これにより、モデルの性能を客観的に評価し、改善の目標を設定できます。

  • モデルのバージョン履歴: 「いつ」「誰が」「どのようなデータで」モデルを更新したかの履歴がすべて記録されます。これにより、変更管理が容易になり、万が一のトラブル時にも原因を遡って調査できます。

この新しいUIにより、管理者は自信を持ってAIモデルを運用・管理できるようになります。

利用開始にあたっての補足情報

最後に、この新機能の利用に関する詳細情報です。

  • 対象ユーザー:
    この機能は、Google Workspaceの管理者が利用するものです。エンドユーザー(一般社員)が直接設定する項目はありません。

  • アクセス方法:
    管理者は、Google管理コンソールにログインし、[セキュリティ] > [アクセスとデータの管理] > [データ分類] と進むことで、新しいAI分類機能にアクセスできます。(または、直接 https://admin.google.com/ac/dc/ にアクセス)

  • 展開ペース:
    この機能は、2025年7月30日から、すべての対象ドメインに対して段階的に展開されます(機能が表示されるまでに最大15日かかる場合があります)。

  • 利用可能なエディション:
    この高度なAI分類機能は、以下のGoogle Workspaceエディションおよびアドオンで利用可能です。

    • Google Workspace Enterprise Plus

    • Google Workspace Frontline Plus

    • Gemini Education Premium アドオン

    • 過去に「Gemini Enterprise」または「AI Security」アドオンを購入したお客様も対象となります。

まとめ

今回のGoogle DriveのAI分類機能のアップデートは、単なる機能改善にとどまりません。それは、組織のデータガバナンスを、静的なルールベースのものから、組織の文脈を学習し成長する、動的なインテリジェンスベースのものへと変革させる、大きな一歩です。

複数のAIモデルを並行稼働させ、組織の複雑なニーズにきめ細かく対応し、オンデマンドトレーニングによって変化に迅速に対応する。そして、そのすべてを透明性の高いUIで管理できる。

これにより、管理者は増え続けるデジタル資産を効果的に保護し、セキュリティとコンプライアンスをかつてないレベルで強化することが可能になります。

対象となるエディションをご利用の管理者の皆様は、ぜひこの進化したAIの力を活用して、組織のデータ管理体制をより強固なものにしてください。