事業の助けとなる、持続化補助金や各種助成金。
無事に採択され、指定の口座に入金されたのを確認した時の安堵感は大きいですよね。
しかし、喜びも束の間、「この入金、どうやって会計処理すればいいんだろう?」という新たな疑問に直面する個人事業主の方は少なくありません。
特に、マネーフォワード クラウド確定申告を使い始めたばかりだと、どの勘定科目を選び、どのように仕訳入力すれば良いのか迷ってしまいますよね。
この記事では、そんなあなたのために、持続化補助金や助成金が入金された際のマネーフォワード クラウド確定申告を使った正しい勘定科目と仕訳方法を、初心者にも分かりやすく徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、補助金の会計処理に関する不安が解消され、自信を持って確定申告の準備を進められるようになっているはずです。
補助金・助成金の会計処理における基本の「き」
マネーフォワード クラウド確定申告での具体的な入力方法を見る前に、まずは補助金や助成金の会計処理における基本的な考え方を整理しておきましょう。ここを理解しておくだけで、仕訳作業がぐっとスムーズになります。
勘定科目は「雑収入」が原則
国や地方公共団体から受け取る持続化補助金やIT導入補助金、小規模事業者持続化補助金などの補助金・助成金は、事業を運営していく上で得た収入の一部と見なされます。これらは本業の売上(売上高)とは性質が異なるため、勘定科目は「雑収入(ざつしゅうにゅう)」として処理するのが一般的です。
個人事業主の中には「事業主借」で処理できないかと考える方もいるかもしれませんが、補助金は事業に関連して受け取るお金のため、事業の収入として計上する必要があります。「事業主借」は、事業主個人の資金を事業用の口座に入れた場合などに使う勘定科目ですので、混同しないように注意しましょう。
マネーフォワード クラウド確定申告で仕訳を行う際も、この「雑収入」を選択すればまず間違いありません。
知っておきたい税金の扱い:所得税と消費税の違い
補助金・助成金の会計処理で最も重要なポイントの一つが、所得税と消費税の扱いの違いです。これを間違えると、納税額に影響が出てしまう可能性もあります。
- 所得税:課税対象となる
補助金・助成金は、事業所得の一部として扱われるため、所得税の課税対象となります。「雑収入」として計上された金額は、最終的に他の所得と合算され、所得税が計算されます。つまり、「もらったお金がそのまま手元に残るわけではない」ということを覚えておきましょう。
- 所得税:課税対象となる
- 消費税:課税対象外(不課税)となる
一方で、消費税の扱いは異なります。消費税は、商品やサービスの提供といった「対価を得て行う取引」に対して課税されます。補助金や助成金は、国や自治体からの支援金であり、何かを提供した対価として受け取るものではありません。そのため、原則として消費税の課税対象外(不課税取引)となります。
マネーフォワード クラウド確定申告で入力する際には、この「不課税」という税区分を正しく設定することが非常に重要です。この点を押さえておけば、次のステップである具体的な入力作業は決して難しくありません。
【実践】マネーフォワード クラウド確定申告での仕訳入力手順
それでは、実際にマネーフォワード クラウド確定申告を使って、補助金が入金された際の仕訳を入力する手順を具体的に見ていきましょう。ここでは、PCのブラウザ版を例に解説しますが、基本的な流れはスマホアプリでも同様です。
ステップ1:補助金が入金された時の仕訳
最も基本的な、補助金が事業用口座に入金された時点での仕訳です。ここでは例として、小規模事業者持続化補助金30万円が普通預金に入金されたケースを想定します。
- マネーフォワード クラウド確定申告にログインし、左メニューから「手動で仕訳」>「振替伝票入力」を選択します。
- 入力画面で、以下のように入力します。
- (借方)勘定科目:普通預金
- (借方)金額:300,000
- (貸方)勘定科目:雑収入
- (貸方)金額:300,000
- 【重要】貸方の「雑収入」の行にある「税区分」を「対象外」または「不課税売上」に変更します。デフォルトでは「課税売上」になっていることが多いので、必ず確認・変更してください。(※2025年12月時点の情報です。ご自身の環境で表示される選択肢を確認してください。)
- 「摘要」の欄には、後から見返したときに分かりやすいよう「小規模事業者持続化補助金」など、具体的な補助金の名称を記載しておきましょう。
- 入力が完了したら、「登録」ボタンをクリックします。
これで入金時の仕訳は完了です。とてもシンプルですよね。
もし、マネーフォワード クラウド確定申告の基本的な操作にまだ慣れていないという方は、先に「【完全ガイド】マネーフォワード クラウド確定申告とは?使い方・評判・料金まで個人事業主向けに徹底解説」の記事で全体の流れを掴んでおくと、よりスムーズに作業を進められますよ。
ステップ2:補助金を使って経費を支払った時の仕訳
「補助金で支払った経費は、何か特別な仕訳が必要なの?」と疑問に思うかもしれませんが、答えは「No」です。補助金の対象となった経費(例えば、広告宣伝費や機材購入費など)を支払った際は、通常通りの経費精算の仕訳を行えば問題ありません。
例えば、補助金の一部を使って10万円の広告を掲載した場合の仕訳は以下のようになります。
- (借方)勘定科目:広告宣伝費
- (借方)金額:100,000
- (貸方)勘定科目:普通預金
- (貸方)金額:100,000
このように、補助金を受け取った仕訳(雑収入の計上)と、その補助金を使って経費を支払った仕訳は、それぞれ独立して考えます。「補助金で払ったから」といって、経費の仕訳方法が変わるわけではない、と覚えておきましょう。
プロが教える!補助金仕訳の注意点と応用テクニック
基本的な仕訳方法はマスターできましたね。ここでは、さらに一歩進んで、補助金の会計処理で間違いやすいポイントや、知っておくと得する応用的な知識について解説します。
注意点1:収入を計上するタイミングは「入金日」ではない?
多くの人が間違いやすいのが、収入を計上するタイミングです。会計の原則では、収入は「その収入を得ることが確定した日」に計上します。
補助金の場合、これは「交付決定通知書が届いた日(に記載されている日付)」と考えるのが一般的です。つまり、実際にお金が口座に振り込まれた日(入金日)ではありません。
例えば、2025年12月20日に交付決定通知書が届き、実際の入金が2026年1月15日だった場合、この補助金は2025年分の収入として計上する必要があります。もし入金ベースで翌年の収入としてしまうと、税務調査などで指摘される可能性があるので注意が必要です。
マネーフォワード クラウド確定申告で仕訳を入力する際も、この交付決定日に基づいて日付を設定するようにしましょう。
注意点2:返還義務がある補助金・助成金の扱い
数は少ないですが、補助金の中には特定の条件を満たせなかった場合に返還義務が生じるものもあります。このような補助金を受け取った場合、一旦「預り金」などの負債勘定で処理し、返還義務がなくなった時点で「雑収入」に振り替える、という少し複雑な処理が必要になることもあります。ただし、これはレアケースなので、ほとんどの持続化補助金などでは「雑収入」で処理して問題ありません。
応用編:高額な資産購入時の「圧縮記帳」とは?
もし補助金を使って、機械や車両、ソフトウェアといった高額な固定資産(一般的に10万円以上)を購入した場合、「圧縮記帳(あっしゅくきちょう)」という特例制度を使える可能性があります。
簡単に言うと、圧縮記帳とは、補助金を使って得た固定資産の取得価額を減額することで、その年度の利益を圧縮し、結果的に所得税の支払いを将来に繰り延べることができる制度です。
例えば、100万円の機械を全額補助金で購入したとします。通常なら、100万円の「雑収入」が計上され、その年の利益が大きく膨らんでしまいます。しかし、圧縮記帳を適用すると、「固定資産圧縮損」という特別な損失を計上することで「雑収入」と相殺し、その年の利益を増やさないように調整できるのです。
ただし、その分、固定資産の取得価額が低くなるため、将来の減価償却費が減り、将来の利益が増えることになります。あくまで「課税の繰り延べ」であり、トータルの納税額が減るわけではない点に注意が必要です。
圧縮記帳の適用には細かい要件があり、確定申告書に明細を添付する必要があるなど、手続きも複雑です。マネーフォワード クラウド確定申告の固定資産台帳機能を使えば対応可能ですが、自信がない場合は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ:補助金の仕訳をマスターして、確定申告を乗り切ろう!
今回は、持続化補助金や助成金が入金された際の、マネーフォワード クラウド確定申告を使った会計処理方法について詳しく解説しました。
最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 補助金・助成金の勘定科目は「雑収入」で処理する。
- 所得税の対象にはなるが、消費税は「不課税」扱い。仕訳入力時の税区分設定を忘れずに。
- 収入の計上タイミングは、原則として「交付決定日」。
- 補助金で購入した経費の支払いは、通常通りの仕訳でOK。
- 高額な固定資産の購入には「圧縮記帳」という節税(課税繰延)テクニックもある。
補助金の会計処理は一見難しそうに感じますが、これらのポイントさえ押さえれば、決して複雑ではありません。特に、マネーフォワード クラウド確定申告のような便利な会計ソフトを使えば、入力作業の負担を大幅に軽減できます。
日々の記帳から確定申告書の作成まで、個人事業主の会計業務を強力にサポートしてくれるツールです。まだ導入されていない方は、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。面倒な経理作業から解放され、本来の事業にもっと集中できるようになりますよ。
>>マネーフォワード クラウド確定申告で会計処理を効率化する
この記事が、あなたの確定申告の助けとなれば幸いです。
