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マネーフォワード確定申告のタグ機能と部門機能の違いと、プロジェクトごとの利益を可視化する使い分け方

「このプロジェクト、結局いくら利益が出たんだろう?」

複数の案件を同時に抱える個人事業主やフリーランスなら、一度はこう感じたことがあるのではないでしょうか。

確定申告の帳簿はつけているけれど、全体の損益しか分からず、案件ごとの採算が見えない。

赤字のプロジェクトに気づかないまま受注を続けてしまい、年末に「思ったより手元にお金が残っていない」と焦る。

こうした悩みを解決してくれるのが、マネーフォワード クラウド確定申告に搭載されている「タグ機能」と「部門機能」です。

ただし、この2つの機能は名前も似ていて、どちらをどう使えば良いのか迷う方が非常に多いのが実情です。

なぜプロジェクト別の損益管理が個人事業主に必要なのか

全体の損益だけでは見えない「隠れた赤字案件」

個人事業主の確定申告では、事業全体の収入と経費を集計して所得を計算します。青色申告決算書も事業全体で1枚作成するため、案件やプロジェクトごとの内訳は申告書類上には現れません。

たとえば、年間売上が800万円で経費が500万円なら、所得は300万円。数字だけ見れば黒字です。しかし内訳を見ると、メインのWeb制作案件が450万円の利益を生んでいる一方、単価の安いライティング案件は外注費や資料購入費がかさんで150万円の赤字だった、というケースは珍しくありません。

こうした「隠れた赤字案件」に気づかないまま同じ条件で受注を続ければ、忙しいのに利益が伸びないという状態に陥ります。

判断の遅れが機会損失につながる

プロジェクト別の数字が見えていれば、「この案件は単価を上げる交渉をしよう」「この業務は外注せず自分でやった方が利益率が高い」といった経営判断を早い段階で下せます。逆に、年に一度の確定申告のタイミングまで数字を把握しないままだと、判断が1年遅れることになります。

フリーランスのような小規模事業こそ、月単位・四半期単位でプロジェクトの採算をチェックする仕組みが必要です。そして、その仕組みを日々の記帳の中で自然に作れるのが、マネーフォワード クラウド確定申告のタグ機能と部門機能です。

「Excelで管理すればいい」の限界

プロジェクト別の管理をExcelやスプレッドシートで行っている方もいるかもしれません。しかし、会計ソフトの仕訳データとは別にExcelで集計すると、二重入力の手間が発生し、転記ミスのリスクも高まります。仕訳を入力する段階でプロジェクト情報を付与しておけば、集計は自動で完了します。記帳と管理会計を一体化できる点が、会計ソフト内の機能を使う最大のメリットです。

タグ機能と部門機能の違いを正しく理解する

タグ機能とは何か

タグ機能は、仕訳(取引)に自由なラベルを付けられる機能です。マネーフォワード クラウド確定申告では、1つの仕訳に対して複数のタグを付与できます。

たとえば「プロジェクトA」「2026年上期」「クライアントX社」のように、複数の切り口で同じ取引を分類できるのがタグの強みです。タグはあくまで仕訳に付ける「ふせん」のようなもので、決算書や申告書類に直接影響することはありません。

タグで絞り込んだ仕訳一覧を確認することで、特定のプロジェクトに関連する取引だけを抽出できます。収入と経費をそれぞれ合計すれば、そのプロジェクトの概算損益を把握することが可能です。

部門機能とは何か

部門機能は、事業を組織的な区分で分けるための機能です。法人向けの会計ソフトでは一般的な機能ですが、マネーフォワード クラウド確定申告(個人事業主向け)でも利用できます。

部門は階層構造を持つことができ、「大部門:Web事業」の下に「小部門:制作」「小部門:コンサル」といった親子関係を設定できます。仕訳に部門を設定すると、部門別の損益レポートを自動生成できる点がタグとの大きな違いです。

ただし、1つの仕訳に設定できる部門は原則として1つです。複数の部門にまたがる経費(事務所の家賃など)は、按分して複数行の仕訳に分ける必要があります。

タグと部門の違いを一覧で比較

両者の違いを整理すると、以下のようになります。

比較項目タグ機能部門機能
付与数1仕訳に複数可1仕訳に原則1つ
階層構造なし(フラット)あり(親子関係)
損益レポート自動生成なし部門別レポートを自動生成可
設定の柔軟性高い(自由に追加・削除)中程度(構造設計が必要)
主な用途横断的な分類・メモ事業区分ごとの損益管理
決算書への影響なしなし(法人の場合は部門別PL作成可)

プロジェクトごとの利益を可視化する具体的な設定手順

ステップ1:管理したい単位を決める

最初にやるべきことは、「何を単位として損益を見たいか」を決めることです。よくあるパターンを3つ挙げます。

  • 案件単位:クライアントごと、またはプロジェクトごとに損益を見たい場合
  • 事業単位:Web制作・コンサル・物販など、事業の柱ごとに損益を見たい場合
  • 期間単位:四半期ごと、あるいは繁忙期と閑散期で比較したい場合

ここで重要なのは、「部門」と「タグ」を併用する考え方です。事業の大きな柱は「部門」で管理し、個別の案件やクライアントは「タグ」で管理する。この使い分けが、実務上もっとも効率的です。

ステップ2:部門を設定する

マネーフォワード クラウド確定申告の管理画面で「各種設定」から「部門」を開き、事業の柱となる区分を登録します。

たとえばフリーランスのWebデザイナーが副業でオンライン講座も運営している場合、次のような部門構成が考えられます。

  • 部門1:Web制作事業
  • 部門2:オンライン講座事業
  • 部門3:共通(どちらにも属さない経費用)

「共通」部門を作っておくことがポイントです。通信費や事務用品費など、複数の事業にまたがる経費を一旦「共通」に計上しておけば、後から按分比率を決めて配賦する運用ができます。最初から無理に按分しようとすると、仕訳のたびに計算が必要になり、記帳が滞る原因になります。

ステップ3:タグを設定する

次に、個別のプロジェクトやクライアントをタグとして登録します。タグ名は後から検索しやすいように、命名規則を統一しておくのがおすすめです。

実務で使いやすい命名パターンの例を紹介します。

  • 「クライアント名_案件名」形式:例)ABC商事_LP制作、DEF工業_サイトリニューアル
  • 「年月_案件名」形式:例)2026-04_コーポレートサイト制作

タグ名にクライアント名や時期を含めておくと、後から仕訳を絞り込む際に格段に探しやすくなります。

ステップ4:日々の記帳で部門とタグを付与する

仕訳を入力する際、「部門」と「タグ」の両方を設定します。たとえば、Web制作事業でABC商事のLP制作案件の外注費を支払った場合、次のように記帳します。

  • 勘定科目:外注費
  • 金額:150,000円
  • 部門:Web制作事業
  • タグ:ABC商事_LP制作

この記帳を習慣化するだけで、「事業別の損益」と「案件別の損益」の両方を後から確認できる状態が自然にできあがります。銀行口座やクレジットカードの自動連携で取り込まれた仕訳にも、忘れずに部門とタグを追加してください。自動連携の仕訳は勘定科目の推測まではしてくれますが、部門やタグは手動で設定する必要があります。

ステップ5:レポートで損益を確認する

部門を設定した仕訳は、マネーフォワード クラウド確定申告のレポート機能で部門別の推移を確認できます。「レポート」メニューから収支の推移や科目ごとの内訳を部門別に表示すれば、事業の柱ごとの損益がグラフや表で可視化されます。

タグについては、仕訳帳の検索機能でタグを指定して絞り込み、該当する収入と経費の合計を確認するという使い方になります。部門のように自動でレポートが生成されるわけではありませんが、案件が完了したタイミングでタグ検索をかけ、収支をチェックする運用で十分に実用的です。

よくある失敗と回避方法

実際に運用してみると、いくつかのつまずきポイントがあります。筆者自身の経験も踏まえて、代表的な失敗とその対策を紹介します。

1つ目は、タグの粒度が細かすぎる失敗です。小さな経費まですべて案件タグを付けようとすると、「この文房具はどの案件だろう」と毎回悩んで記帳が止まります。少額で特定案件に紐づかない経費は、タグなしで記帳するルールにしておきましょう。完璧を目指すより、継続できる運用を優先すべきです。

2つ目は、部門の構成を頻繁に変更してしまう失敗です。年度の途中で部門構成を変えると、変更前後でレポートの整合性が取れなくなります。部門構成は年度の初めに決め、原則として年度中は変更しないのが望ましいです。新しい事業を始めた場合は、年度末まではタグで管理し、翌年度から部門に昇格させるという段階的な運用がうまくいきます。

3つ目は、部門とタグの役割が曖昧になる失敗です。「Web制作」を部門にもタグにも登録してしまい、どちらで管理しているのか分からなくなるケースがあります。部門は事業の柱(変わりにくいもの)、タグは個別案件(流動的なもの)と明確に役割を分けてください。

タグだけ・部門だけの運用と比較してみる

タグだけで運用する場合

「部門は使わず、タグだけでプロジェクト管理したい」という方もいるでしょう。タグだけの運用は、設定の手軽さが魅力です。事業の柱が1つしかないフリーランスで、クライアント別の採算だけ見たいという場合には、タグだけでも十分に機能します。

ただし、タグには自動レポート生成がないため、集計は手動になります。案件数が増えてくると、Excelに数字を転記して集計する手間が発生し、前述した「Excel管理の限界」と同じ問題に陥るリスクがあります。

部門だけで運用する場合

一方、部門だけで管理する場合は、自動レポートの恩恵を受けられます。しかし、部門は1仕訳に1つしか設定できないため、「クライアント別」「サービス別」のように複数の切り口で分析したい場合には対応できません。また、短期プロジェクトのたびに部門を追加・削除すると、構造が煩雑になります。

併用がベストな理由

部門とタグの併用は、それぞれの弱点を補い合う形になります。部門で事業全体の構造を安定的に管理しつつ、タグで個別案件の柔軟なトラッキングを行う。レポートの自動生成という部門のメリットと、複数付与・自由設定というタグのメリットを同時に活かせるのが併用の強みです。

特に、複数の事業領域を持つ個人事業主や、月に3件以上の案件を並行して進めるフリーランスには、併用を強くおすすめします。逆に、事業が1種類で案件数も少ない場合は、タグだけの運用から始めて、事業が成長したら部門を追加するステップアップ方式でも問題ありません。

マネーフォワード クラウド確定申告を活用した管理会計のすすめ

確定申告の「ついで」にできる経営分析

ここまで読んで、「管理会計なんて法人がやるものでは」と感じた方もいるかもしれません。しかし、部門とタグを設定して記帳するだけなら、追加の手間はほんのわずかです。仕訳入力時にプルダウンから選択するだけの作業で、確定申告に必要な帳簿づけの延長線上で経営判断に使えるデータが蓄積されていきます。

マネーフォワード クラウド確定申告は、銀行口座やクレジットカードとの自動連携、勘定科目の自動推測など、記帳の効率化機能が充実しています。これらの基本機能についてはマネーフォワード クラウド確定申告の完全ガイドで詳しく解説していますので、まだ導入前の方はそちらもあわせてご覧ください。

筆者自身、タグと部門の併用を始めてから、四半期ごとに案件の採算をチェックする習慣がつきました。その結果、利益率の低い案件の条件を見直したり、利益率の高い事業領域にリソースを集中させたりといった判断を、感覚ではなく数字に基づいて行えるようになっています。

次に取るべき具体的なアクション

この記事の内容を実践するために、まずは以下の3つから始めてみてください。

  • 現在の事業を2〜3個の「部門」に分類し、マネーフォワード クラウド確定申告の設定画面で登録する
  • 進行中の案件をリストアップし、命名規則を決めてタグとして登録する
  • 今月の仕訳から、部門とタグの付与を始める(過去の仕訳への遡及適用は余裕があるときでOK)

まだマネーフォワード クラウド確定申告を使っていない方は、無料で会員登録して、まずはタグ機能から試してみることをおすすめします。フリープランでも基本的な機能は利用できるため、自分の事業に合うかどうかをリスクなく確認できます。

数字に基づいた経営判断ができるようになると、同じ労働時間でもより高い利益を生み出す働き方に自然とシフトしていきます。確定申告のための記帳を、事業成長のためのデータ蓄積に変える。タグと部門の使い分けは、その第一歩です。