「プレスリリースの配信リスト、Excelで管理しているけど属人化していて更新が大変…」。
「一斉配信ツールは便利そうだけど、コストが見合わない」。
広報・PR担当者なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
実は、その悩み、高価な専用ツールを導入しなくても、多くの企業がすでに利用しているGoogle Workspace(GmailとGoogleスプレッドシート)だけで解決できるかもしれません。
この記事では、2025年10月時点の最新情報を基に、Gmailとスプレッドシートを活用して、プレスリリースの配信リスト管理からパーソナライズされた一斉送信までを、低コストかつ効率的に行う具体的な方法をステップ・バイ・ステップで解説します。
この記事を読めば、PR業務のコスト削減と効率化、そして属人化からの脱却を実現する第一歩を踏み出せるはずです。
なぜGmailとスプレッドシートが最強なのか?ツール導入前に考えるべきコストと運用の現実
プレスリリース配信といえば、専門の配信サービスやMA(マーケティングオートメーション)ツールを思い浮かべるかもしれません。もちろん、それらのツールには豊富な機能や詳細な効果測定といったメリットがあります。しかし、全ての企業にとってそれが最適解とは限りません。特に、スタートアップや中小企業、限られた予算で活動する広報部門にとっては、月額数万円からのコストは大きな負担です。また、多機能であるがゆえに設定が複雑で、結局一部の機能しか使いこなせないというケースも少なくありません。
Gmailとスプレッドシートの圧倒的コストパフォーマンス
ここで注目したいのが、Google Workspaceです。多くの企業で既に導入されているGmailとGoogleスプレッドシートを使えば、追加費用なしでプレスリリース配信の仕組みを構築できます。Google WorkspaceのBusiness Starterプランであれば、月額わずか800円(年間契約時)から利用でき、カスタムドメインのGmail、30GBのストレージ、ビデオ会議など、広報業務に必要な基本機能が揃っています。これは、専用ツールと比較すると圧倒的なコストパフォーマンスと言えるでしょう。まずは既存のツールで何ができるかを最大限に探求することは、賢い広報戦略の第一歩です。
属人化を防ぎ、チームで共有できる「生きたリスト」へ
担当者のPCに保存されたExcelのリストは、その担当者が不在の時や退職してしまった際に、誰も触れない「ブラックボックス」になりがちです。一方、Googleスプレッドシートはクラウドベースのため、チームの誰もがリアルタイムで最新情報にアクセスし、共同編集できます。「〇〇社の△△さんが異動になった」「新しいメディアの担当者情報を追加した」といった更新が即座に全員に共有されるため、メディアリストは常に「生きた」状態に保たれます。これにより、担当者変更の際の引き継ぎもスムーズになり、PR活動の継続性が担保されるのです。これは、単なるコスト削減以上に、組織としてのPR資産を築く上で非常に重要なポイントです。
【準備編】Googleスプレッドシートで最強のメディアリストを作成する
効果的なプレスリリース配信の心臓部となるのが、質の高いメディアリストです。ここでは、ただ情報を並べるだけでなく、戦略的なPR活動に繋がる「データベース」としてのリスト作成方法を解説します。
管理すべき項目を徹底解説
最低限必要なのは「媒体名」「担当者名」「メールアドレス」ですが、より効果的なリストにするためには、以下の項目を追加することをおすすめします。
- 会社名: 運営会社を把握します。
- 媒体名: Webメディア名、雑誌名など。
- 部署名・役職: 編集部、〇〇担当デスクなど。
- 担当者名: フルネームで記載します。
- メールアドレス: 最も重要な情報です。
- 電話番号: 緊急の連絡やリレーション構築に使います。
- 媒体カテゴリ: (例: IT系、ライフスタイル、ビジネス) 配信内容に応じて絞り込む際に役立ちます。
- 関係性ランク: (例: A=親密, B=面識あり, C=リストのみ) アプローチ方法を変えるための指標です。
- 最終接触日: 最後に連絡を取った日付。定期的なフォローの目安になります。
- 備考: 担当者の興味関心、過去の掲載実績、コミュニケーションの履歴など、パーソナライズに繋がる情報を記録します。
これらの項目を設けることで、単なる配信先リストではなく、メディアとの関係性を管理・深化させるための強力なCRM(顧客関係管理)ツールとして機能します。
フィルタと並べ替えで作業効率を最大化
リストが完成したら、スプレッドシートの「フィルタ」機能を活用しましょう。例えば、「媒体カテゴリがIT系で、関係性ランクがAまたはBの担当者」といった条件で瞬時にリストを絞り込めます。これにより、「今回のリリースはこの層にだけ送りたい」といった戦略的な配信が、クリック一つで可能になります。また、「最終接触日」で並べ替えを行えば、長期間コミュニケーションが取れていないメディアを可視化し、関係再構築のアクションに繋げることもできます。
【独自の視点】「関係性」と「最終接触日」がPRの成否を分ける
多くのリスト管理で見落とされがちなのが、「関係性ランク」と「最終接触日」の更新です。リストは一度作って終わりではありません。日々のコミュニケーションを通じて得た情報をこまめに反映させ、鮮度を保つことが何よりも重要です。例えば、半年に一度「最終接触日」が古い順にリストを見直し、情報交換や挨拶の連絡を入れるだけでも、いざという時の反応は大きく変わります。スプレッドシートを単なる「データ置き場」ではなく、「関係構築のログ」として活用する意識を持つことが、PR活動を成功に導く鍵となるのです。
【実践編】Gmailの「メールマージ機能」でパーソナライズ一斉送信を実現
リストが準備できたら、いよいよ配信です。BCCでの一斉送信は、スパムと誤認されるリスクや、何より「その他大勢」として扱われている印象を与えてしまいます。ここでは、相手一人ひとりに個別送信したかのように見せるGmailの「メールマージ機能」を使った方法を解説します。
Google Workspaceの標準機能「メールマージ」とは?
2025年10月現在、Google Workspaceの一部のプラン(Business Standard以上など)では、特別なアドオン(拡張機能)なしで、Gmailに「メールマージ」という機能が標準搭載されています。これは、Googleスプレッドシートのリストを読み込み、各行の受信者に対して「〇〇様」のように個別の情報を差し込んだメールを、一通ずつ送信してくれる非常に強力な機能です。これにより、受信者は自分だけに送られた丁寧なメールだと感じ、開封率や反応率の向上が期待できます。
具体的な設定手順をステップ・バイ・ステップで解説
設定は驚くほど簡単です。
- Gmailで下書きを作成: まずは通常通り、Gmailでプレスリリースのメールを作成します。件名や本文に、スプレッドシートから引用したい情報を「@」を使って記述します。例えば、担当者名を差し込みたい場合は「@担当者名 様」のように入力します。
- メールマージを有効化: メール作成画面の上部にあるアイコン(人型のアイコンなど)をクリックし、「メールマージを使用」をオンにします。
- スプレッドシートを連携: 「スプレッドシートから追加」を選択し、先ほど作成したメディアリストのファイルを選びます。
- 差し込みタグをマッピング: メール本文で「@担当者名」と入力した部分に、スプレッドシートのどの列(例: 「担当者名」列)のデータを割り当てるかを指定します。
- プレビューと送信: 全ての受信者に対して、どのようにメールが表示されるかをプレビューで確認できます。問題がなければ「すべて送信」をクリックするだけで、あとはGmailが自動で一通ずつ送信処理を行ってくれます。
誤送信を防ぐためのチェックリスト
便利な機能だからこそ、誤送信は絶対に避けたいものです。送信前には必ず以下の点を確認しましょう。
- プレビュー確認: 全ての受信者に対して、敬称や会社名が正しく差し込まれているか、最低でも5件ほどはプレビューで確認しましょう。
– テスト送信: 自分自身やチームメンバーをリストの先頭に追加し、実際にどのように受信されるかテスト送信を行うのが最も確実です。
- 除外設定の確認: メールマージ機能には、特定の受信者を除外する機能もあります。配信不要な連絡先が含まれていないか最終確認しましょう。
【応用編】一歩進んだ活用術でPR活動を次のレベルへ
基本の配信ができるようになったら、さらに効率と効果を高めるための応用テクニックにも挑戦してみましょう。
Google Apps Script (GAS) で配信作業を自動化する
少し専門的になりますが、Google Workspaceの各サービスを連携・自動化できるプログラミング言語「Google Apps Script (GAS)」を使えば、さらに高度な運用が可能です。例えば、「スプレッドシートの特定のセルに『配信実行』と入力したら、自動でメールマージが実行される」「毎週月曜日の朝9時に、未接触期間が長いメディアのリストを自動で抽出してChatに通知する」といった仕組みを構築できます。プログラミングの知識が少し必要になりますが、一度設定してしまえば、手作業を大幅に削減できるため、挑戦してみる価値は十分にあります。
Googleフォームと連携して反響を管理する
プレスリリースを配信して終わり、ではもったいないです。リリース内に「取材・お問い合わせはこちら」といった文言と共に、Googleフォームへのリンクを設置しましょう。フォームの回答は、自動的にGoogleスプレッドシートに集約されるように設定できます。これにより、どのメディアが、いつ、どんな内容に興味を持ってくれたのかが一元管理でき、その後のフォローアップが非常にスムーズになります。電話やメールでのバラバラな問い合わせ対応から解放され、反響をデータとして蓄積・分析できるようになります。
開封率を簡易的にトラッキングする
Gmailのメールマージ機能自体には、2025年10月時点で詳細な開封率トラッキング機能は限定的ですが、簡易的な方法で把握することは可能です。例えば、メール本文に1ピクセル四方の透明な画像を埋め込み、その画像が読み込まれた回数をサーバー側で計測する方法があります(専門的な知識が必要)。より手軽な方法としては、Google Analyticsと連携できるサードパーティ製のGmail拡張機能を利用することで、誰がいつメールを開封したか、リンクをクリックしたかを追跡できるようになります。これらのデータを分析し、件名や配信時間を改善していくことで、PR活動のPDCAサイクルを回すことができます。
まとめ:今日から始める、賢いプレスリリース配信
高価な専用ツールを使わなくても、普段の業務で使っているGmailとGoogleスプレッドシートを最大限に活用することで、プレスリリースの配信リスト管理と一斉送信は劇的に効率化できます。重要なのは、ただのツールとして使うのではなく、メディアとの関係性を育むためのデータベースとしてリストを育て、パーソナライズされたコミュニケーションを心がけることです。
今回ご紹介した方法は、Google Workspaceが持つ機能のほんの一部にすぎません。例えば、Business Standardプラン以上で利用できるAIアシスタント「Gemini」を使えば、プレスリリースのドラフト作成や、様々なパターンの件名提案を依頼することも可能です。広報担当者の創造性を最大限に引き出し、より戦略的な業務に集中する時間を与えてくれるでしょう。
もし、まだGoogle Workspaceを導入されていない、あるいは基本プランのみを利用している場合は、この機会にアップグレードを検討してみてはいかがでしょうか。当サイトでは、Google Workspaceをお得に始められるプロモーションコードを配布しています。最新の機能や料金プラン、割引価格での導入方法について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
→ Google Workspace プロモーションコード【最新2025年版】15%割引クーポン無料配布中
まずは、本記事を参考にGoogleスプレッドシートであなたの「最強のメディアリスト」を作成することから始めてみましょう。その一歩が、未来のPR活動を大きく変えるはずです。