同じ「書く仕事」なのに、「ライター」と「文筆業」で納める税金が変わる可能性があることをご存知ですか。
特に、個人事業主が納める税金の一つである「個人事業税」は、開業届に記載する職業名によって課税対象かどうかが変わることがあります。
もしあなたが「ライター」として活動しているなら、この記事を読むことで、合法的に税金の負担を軽くできるかもしれません。
この記事では、個人事業税の仕組みから、節税に繋がる開業届の職業欄の書き方、そしてすでに行動してしまった場合の対策まで、具体的なテクニックを分かりやすく解説します。
(この記事は2026年2月時点の情報に基づいています。)
個人事業税とは?すべての個人事業主が払うわけではない意外な事実
まず、今回のテーマの核となる「個人事業税」について理解を深めましょう。個人事業税とは、地方税の一種で、特定の事業を行っている個人事業主に対して課される税金です。所得税や住民税とは別に、事業所の所在する都道府県に納めます。
ここで重要なポイントは、すべての個人事業主が課税対象となるわけではないということです。地方税法で定められた「法定業種」70種に該当する場合にのみ、課税されます。
法定業種と税率
法定業種には、物品販売業、製造業、コンサルタント業、デザイン業など、様々な事業が含まれます。税率は事業内容によって異なり、多くは5%ですが、一部の事業では3%や4%が適用されます。
そして、私たちの「書く仕事」に大きく関わってくるのが、以下の点です。
- ライター業: 一般的に「請負業」と見なされ、法定業種に含まれるため課税対象(税率5%)となる可能性が高い。
- 文筆業(作家、著述家など): 法定業種に含まれていないため、原則として非課税。
つまり、仕事の実態が似ていても、開業届に「ライター業」と書くか「文筆業」と書くかで、個人事業税の納税義務が変わってくるのです。
事業主控除という嬉しい制度
もう一つ、個人事業税には年間290万円の「事業主控除」という制度があります。これは、課税対象となる所得(売上から経費を引いたもの)から、一律で290万円を差し引けるというものです。
したがって、年間の所得が290万円以下であれば、たとえ法定業種であっても個人事業税は課税されません。しかし、事業が軌道に乗り、所得が290万円を超えてくると、この職業名の違いが納税額に大きく影響してくることになります。
例えば、所得が400万円の場合、「ライター」だと(400万円 – 290万円)× 5% = 5.5万円の個人事業税がかかりますが、「文筆業」であれば0円です。この差は決して小さくありません。
開業届の「職業」欄が運命の分かれ道!「ライター」と「文筆業」の賢い選び方
個人事業税の課税を分ける重要なポイントが、個人事業主になるときに税務署へ提出する「開業届」の「職業」欄の記載です。ここで何を選ぶかが、将来の納税額に直接影響を与える可能性があります。
「文筆業」と書くことのメリットと注意点
前述の通り、節税という観点から見れば、職業欄には「文筆業」と記載するのが最も有利な選択肢と言えます。これにより、個人事業税の課税対象から外れる可能性が非常に高くなります。
ただし、ここで注意が必要です。事業の実態と著しく異なる職業名を記載することは避けるべきです。例えば、クライアントからの具体的な指示に基づき、SEO記事や広告コピーなどを制作する業務が100%で、創作活動の要素が全くない場合、「文筆業」と主張するのは難しいかもしれません。
都道府県の税事務所から事業内容について問い合わせがあった際に、自分の仕事が「文筆業」であることを説明できる必要があります。
「ライター」と「文筆業」の判断基準は?
では、どのように判断すれば良いのでしょうか。明確な法律上の定義はありませんが、一般的に以下のように考えられています。
- 文筆業に近いケース:
- 書籍や電子書籍の執筆
- 雑誌やWebメディアでのコラム、エッセイの連載
- 自身のブログやnoteなどでの創作活動、情報発信が収益の柱
- 脚本やシナリオの制作
- ライター(請負業)に近いケース:
- クライアントの指示書や構成案に沿ったWeb記事の作成
- 商品のセールスコピーや広告文の作成
- マニュアルや取扱説明書の作成
- インタビューや取材記事の作成
ご自身の仕事内容が、単なる作業の請負だけでなく、独自の知見や創造性、表現力が求められる側面が強いのであれば、「文筆業」と記載することを検討する価値は十分にあります。「Webライター兼ブロガー」のように、複数の側面がある場合は、より創作活動に近い「文筆業」や「著述業」といった表現を選ぶのが賢明でしょう。
開業届の作成に迷ったら
「そもそも開業届の書き方がよく分からない…」「どの項目に何を書けばいいか不安…」と感じる方も多いでしょう。特に、今回のような職業欄の選択は、後々の税金に関わるため慎重になりたいところです。
そんな方には、質問に答えていくだけで、必要な書類が自動で作成できる無料ツールの活用がおすすめです。例えば、「マネーフォワード クラウド開業届」は、専門知識がなくても、画面の案内に従って入力するだけで、開業届をかんたんに作成できます。
これから開業を考えている方や、手続きに不安がある方は、まずはこういったサービスを使って、どのような書類が必要なのかを把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
より詳しい開業手続きの流れについては、こちらのガイド記事「【開業準備ガイド】個人事業主になるには?無料の「マネーフォワード クラウド開業届」で書類作成から提出まで完全サポート!」で網羅的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
もし「ライター」で登録してしまったら?変更手続きと注意点
「もう『ライター』として開業届を提出してしまった…」「個人事業税の納税通知書が届いてしまった…」という方も、まだ諦める必要はありません。対処法はあります。
1. 事業内容の実態を見直す
まずは、現在のあなたの仕事が本当に「請負業」としてのライター業に限定されるか、改めて見直してみましょう。ブログ運営や電子書籍の出版など、少しでも「文筆業」に該当する活動を行っていませんか?もし行っているのであれば、それが事業内容の変更を主張する根拠になります。
2. 税務署・都道府県税事務所に相談する
次に、管轄の都道府県税事務所に連絡を取り、事業内容の実態について説明します。「開業当初はライター業として届け出たが、現状は創作活動が中心の文筆業に近い」といった形で、丁寧に説明することが重要です。この相談によって、担当者の判断で課税が見直されるケースもあります。
3. 「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出する
より正式な手続きとして、税務署に「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出する方法があります。この書類は、納税地の変更だけでなく、氏名や屋号、そして事業内容の変更を届け出るためにも使用できます。
この書類の「変更後」の職業欄に「文筆業」や「著述業」と記載して提出することで、税務署に事業内容の変更を正式に通知したという記録が残ります。この記録は、後々、都道府県税事務所と協議する際の有力な材料となり得ます。
手続き自体はそれほど難しくありませんが、どのタイミングで、どのように進めるべきか不安な場合は、税理士などの専門家に一度相談してみるのも良いでしょう。
まとめ:正しい知識で賢く節税し、創作活動に集中しよう
今回は、開業届の職業欄の記載一つで「個人事業税」の負担が変わる可能性がある、という少し専門的ながらも重要なテーマについて解説しました。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 個人事業税は法定70業種にのみ課税され、「文筆業」は非課税、「ライター(請負業)」は課税対象となる。
- 年間の所得が290万円を超えると、個人事業税の負担が発生する可能性がある。
- 開業届の職業欄には、事業の実態に合わせて、可能な限り節税に繋がる「文筆業」や「著述業」といった記載を検討する価値がある。
- すでに「ライター」で登録してしまった場合でも、事業内容の見直しや届出の変更によって、課税対象から外れる可能性がある。
税金の知識は、フリーランスや個人事業主が自身の事業と生活を守るための強力な武器となります。特に、これから事業を始めようという方にとって、開業手続きは未来への第一歩です。手続きの漏れやミスを防ぎ、スムーズなスタートを切るためにも、便利なツールを賢く活用しましょう。
「マネーフォワード クラウド開業届」は、無料で利用でき、開業に関する不安を解消してくれる心強い味方です。簡単な入力だけで必要な書類一式が揃うため、あなたは本来の創作活動や事業の準備に集中することができます。ぜひこの機会に、便利なサービスを試してみてはいかがでしょうか。
