ウェビナー運営の課題をMakeで解決する
ウェビナーを定期的に開催していると、運営業務の多さに悩まされることはありませんか?
申込者への受付メール送信、参加URLの案内、開催前のリマインドメール、そして終了後のフォローアップ。
これらの作業を手動で行っていると、参加者が増えるほど業務負担が重くなり、本来注力すべきコンテンツ作成やプレゼンテーションの準備に時間を割けなくなってしまいます。
本記事では、ノーコード自動化ツール「Make」を活用して、ウェビナー運営業務を大幅に効率化する方法を詳しく解説します。
実際に私自身が月2回のウェビナーで使用している自動化シナリオを例に、具体的な設定方法と運用のコツをお伝えします。
ウェビナー運営で発生する7つの非効率な作業
まず、ウェビナー運営で発生する典型的な業務を整理してみましょう。私がMakeで自動化する前は、以下のような作業に毎回3〜4時間を費やしていました。
1. 申込受付と管理
申込フォームから届いた情報を手動でスプレッドシートに転記し、受付番号を発行。参加者リストを作成する作業は、参加者が50名を超えると相当な時間がかかります。
2. 受付確認メールの送信
申込者一人ひとりに受付確認メールを送信。テンプレートを使っても、宛名や申込内容の差し込み、送信ミスのチェックなど、神経を使う作業です。
3. 参加URLの案内
ZoomやTeamsなどのウェビナーツールで発行された参加URLを、開催3日前と前日に案内。タイミングを忘れないよう、カレンダーにリマインダーを設定する必要があります。
4. リマインドメールの送信
開催当日の朝にも最終リマインドを送信。朝の忙しい時間帯に、この作業を忘れずに行うのは意外と大変です。
5. 欠席者への対応
当日参加できなかった方への録画URLの送信や、次回開催の案内など、個別対応が必要になることも。
6. アンケートの送信と集計
終了後のアンケート送信と、回答の集計作業。改善点を把握するために重要ですが、手作業では時間がかかります。
7. フォローアップメールの送信
参加者への御礼メールや、関連資料の送付、次回イベントの案内など。タイミングを逃すと効果が薄れるため、迅速な対応が求められます。
これらの作業を毎回手動で行うことで、以下のような問題が発生していました:
- メール送信漏れによる参加率の低下(平均15%の欠席率)
- 作業ミスによるクレームの発生(月1〜2件)
- 運営スタッフの残業時間増加(月平均20時間)
- コンテンツ改善に充てる時間の不足
Makeで構築するウェビナー自動化システムの全容
では、これらの課題をMakeでどのように解決できるのか、実際のシナリオ構築方法を見ていきましょう。Makeの基本的な使い方については、Make完全ガイド記事で詳しく解説していますので、初めての方はまずそちらをご覧ください。
全体の自動化フロー
私が実際に運用している自動化システムは、以下の5つのシナリオで構成されています:
- 申込受付シナリオ:Googleフォームからの申込を自動処理
- リマインドシナリオ:開催3日前、前日、当日に自動送信
- 参加確認シナリオ:Zoom参加者リストと申込者リストを照合
- フォローアップシナリオ:参加者・欠席者別に最適なメールを送信
- 分析レポートシナリオ:参加率や満足度を自動集計
シナリオ1:申込受付の自動化
最初に構築するのは、申込受付の自動化シナリオです。このシナリオでは以下の処理を自動化します:
使用するモジュール:
- Google Forms(トリガー)
- Google Sheets(データ保存)
- Gmail(メール送信)
- Slack(通知)※オプション
具体的な設定手順:
1. Google Formsモジュールを配置し、「Watch Responses」を選択
2. 対象のフォームを選択し、Webhookを設定
3. Google Sheetsモジュールで申込者情報を記録
4. Gmailモジュールで受付確認メールを自動送信
メールテンプレートの例:
件名:【受付完了】○月○日開催ウェビナーのお申込みありがとうございます {{申込者名}}様 この度は弊社ウェビナーにお申込みいただき、誠にありがとうございます。 以下の内容で受付が完了いたしました。 【開催概要】 日時:{{開催日時}} テーマ:{{ウェビナータイトル}} 参加方法:Zoomウェビナー 参加URLは開催3日前にメールでお送りいたします。
このシナリオを実装することで、申込から5分以内に自動で受付確認メールが送信されるようになり、申込者の満足度が大幅に向上しました。
シナリオ2:リマインドメールの自動送信
次に重要なのが、リマインドメールの自動化です。参加率を高めるために、適切なタイミングでのリマインドは欠かせません。
使用するモジュール:
- Schedule(トリガー)
- Google Sheets(参加者リスト取得)
- Date & Time(日付計算)
- Gmail(メール送信)
リマインドのタイミング設定:
- 3日前:参加URL と事前準備のご案内
- 前日:最終確認と当日の流れ
- 当日朝:開始時刻のリマインド
Scheduleモジュールで毎日朝9時に実行するよう設定し、Date & Timeモジュールで開催日との差分を計算。条件に合致する参加者にのみメールを送信します。
シナリオ3:参加確認と欠席者の自動検出
ウェビナー終了後、実際の参加者と申込者リストを照合し、欠席者を自動で検出するシナリオです。
使用するモジュール:
- Zoom(参加者レポート取得)
- Google Sheets(申込者リスト)
- Array Aggregator(データ照合)
- Router(参加/欠席で分岐)
Zoomの参加者レポートAPIを使用して、実際の参加者データを取得。申込者リストと照合することで、参加率の計算や欠席者の特定が自動化できます。
シナリオ4:フォローアップの最適化
参加者と欠席者で異なるフォローアップメールを送信する、最も効果的なシナリオです。
参加者向けフォローアップ:
- 御礼メッセージ
- 録画URLの案内(24時間以内)
- プレゼン資料のダウンロードリンク
- アンケートフォームのURL
- 次回開催の優先案内
欠席者向けフォローアップ:
- 欠席のご連絡への返信
- 録画視聴の特別案内
- 個別相談会の提案
- 次回開催日程の確認
シナリオ5:効果測定とレポート作成
最後に、ウェビナーの効果を可視化する自動レポート作成シナリオを構築します。
自動集計する指標:
- 申込者数と参加率
- 平均視聴時間
- アンケート回答率と満足度
- フォローアップメールの開封率
これらのデータをGoogle Sheetsに自動集計し、Google Slidesでビジュアルレポートを作成。経営陣への報告も自動化できます。
他の自動化ツールとの比較
ウェビナー運営の自動化には、Make以外にもいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
Zapierとの比較
Zapierの利点:
- UIがシンプルで初心者向け
- 対応アプリ数が若干多い(5,000以上)
Makeの利点:
- 複雑な条件分岐やループ処理が可能
- 料金が圧倒的に安い(同じ処理量で約1/3)
- ビジュアルエディタが直感的
- エラーハンドリングが充実
専用ウェビナーツールとの比較
WebinarJamやDemioなどの専用ツールは、ウェビナー機能は充実していますが、他の業務システムとの連携に制限があります。Makeなら、既存のツールを活かしながら自動化を実現できます。
導入コストと効果
私の場合、Makeの月額費用は約2,000円(Proプラン)ですが、自動化により削減できた作業時間は月40時間以上。時給換算すると、投資対効果は明らかです。
まとめ:今すぐ始められるウェビナー自動化
Makeを使ったウェビナー運営の自動化は、技術的な知識がなくても実現可能です。まずは申込受付の自動化から始めて、徐々にシナリオを追加していくことをおすすめします。
本記事で紹介した5つのシナリオを実装することで、以下の成果が期待できます:
- 運営作業時間を80%削減(月40時間→8時間)
- 参加率を平均20%向上
- 運営ミスによるクレームをゼロに
- コンテンツ改善に注力できる時間の確保
Makeの詳しい使い方や初期設定については、Make完全ガイド記事をご参照ください。また、実際に自動化を始めるには、Makeの無料アカウントから試してみることをおすすめします。無料プランでも月1,000回の実行が可能なので、小規模なウェビナーなら十分に運用できます。
ウェビナー運営の自動化は、単なる効率化以上の価値をもたらします。手作業から解放されることで、本来注力すべきコンテンツの質向上や参加者体験の改善に時間を使えるようになります。ぜひ、この機会にMakeでの自動化にチャレンジしてみてください。