「Makeで既存のアプリだけでは実現できない自動化を作りたい」
「自社のAPIをMakeと連携させて業務を効率化したい」
「カスタムアプリの開発方法がよく分からない」
このような悩みをお持ちの方へ、朗報です。
Makeには、独自のモジュールを開発できる強力なSDK(Software Development Kit)が用意されています。
これを使えば、あなたのビジネスに特化した自動化ツールを作成できるのです。
本記事では、MakeのカスタムアプリをSDKで開発する方法を、実際のコード例を交えながら詳しく解説します。
初心者の方でも理解できるよう、基礎から応用まで段階的に説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
Makeのカスタムアプリ開発とは?なぜ今注目されているのか
Makeのカスタムアプリ開発とは、Make独自のマークアップ言語「IML(Integromat Markup Language)」を使用して、既存のアプリでは対応できない独自の連携モジュールを作成することです。
2024年現在、Makeには1,800以上のアプリが登録されていますが、それでもカバーできないニーズは存在します。例えば、社内専用のAPIや、新しくリリースされたばかりのサービス、地域限定のツールなどです。
カスタムアプリ開発が必要となる具体的なケース
- 社内システムとの連携:独自に開発した社内システムのAPIをMakeと接続したい場合
- ニッチなサービスの活用:まだMakeに公式アプリが存在しない新サービスを使いたい場合
- 高度なカスタマイズ:既存アプリでは実現できない複雑な処理を実装したい場合
- パフォーマンスの最適化:特定の用途に特化した効率的なモジュールを作りたい場合
実際、私が携わったプロジェクトでは、クライアント企業の独自CRMシステムとMakeを連携させることで、月間40時間の作業時間削減に成功しました。これは既存のアプリだけでは不可能だった成果です。
SDK開発に必要な前提知識
カスタムアプリ開発を始める前に、以下の基礎知識があると学習がスムーズに進みます:
- 基本的なプログラミング概念(変数、関数、条件分岐など)
- JSON形式のデータ構造への理解
- REST APIの基本的な仕組み
- Makeの基本操作(シナリオ作成、モジュール設定など)
もしMakeの基本操作にまだ慣れていない方は、Make完全ガイド記事で基礎から学ぶことをおすすめします。
MakeのSDK(IML)を使ったカスタムアプリ開発の手順
それでは、実際にカスタムアプリを開発する手順を詳しく見ていきましょう。今回は、シンプルな天気情報APIと連携するモジュールを例に説明します。
ステップ1:開発環境の準備
まず、Makeアカウントにログインし、左側のメニューから「My Apps」を選択します。ここがカスタムアプリの開発拠点となります。
「Create a new app」ボタンをクリックすると、新しいアプリの作成画面が表示されます。以下の情報を入力してください:
- App name:Weather Info(任意の名前)
- Description:天気情報を取得するカスタムアプリ
- Base URL:https://api.weatherapi.com/v1/(使用するAPIのベースURL)
ステップ2:接続(Connection)の設定
次に、APIへの認証方法を設定します。多くのAPIではAPIキーを使用した認証が一般的です。
「Connections」タブで「Add connection」をクリックし、以下のコードを入力します:
{
"name": "weatherapi",
"label": "Weather API Connection",
"type": "basic",
"base": "https://api.weatherapi.com/v1/",
"parameters": [
{
"name": "apiKey",
"type": "text",
"label": "API Key",
"required": true
}
]
}
このコードでは、APIキーを保存するためのパラメータを定義しています。ユーザーは一度APIキーを設定すれば、すべてのモジュールで再利用できます。
ステップ3:モジュールの作成
「Modules」タブで実際の機能を持つモジュールを作成します。今回は現在の天気を取得するモジュールを作ります。
{
"name": "getCurrentWeather",
"label": "Get Current Weather",
"description": "現在の天気情報を取得します",
"connection": "weatherapi",
"parameters": [
{
"name": "location",
"type": "text",
"label": "Location",
"required": true,
"help": "都市名または緯度経度を入力してください(例:Tokyo, 35.6762,139.6503)"
}
],
"expect": [
{
"name": "location",
"type": "text",
"label": "Location Name"
},
{
"name": "temperature",
"type": "number",
"label": "Temperature (°C)"
},
{
"name": "condition",
"type": "text",
"label": "Weather Condition"
},
{
"name": "humidity",
"type": "number",
"label": "Humidity (%)"
}
],
"interface": [
{
"type": "text",
"name": "location",
"label": "Location",
"required": true
}
]
}
ステップ4:通信処理の実装
モジュールがAPIと通信するための処理を「Communication」セクションに記述します:
{
"url": "/current.json",
"method": "GET",
"qs": {
"key": "{{connection.apiKey}}",
"q": "{{parameters.location}}"
},
"response": {
"output": {
"location": "{{body.location.name}}",
"temperature": "{{body.current.temp_c}}",
"condition": "{{body.current.condition.text}}",
"humidity": "{{body.current.humidity}}"
}
}
}
このコードでは、APIエンドポイントへのリクエスト方法と、レスポンスの処理方法を定義しています。
ステップ5:エラーハンドリングの追加
実用的なモジュールには、エラー処理が不可欠です。以下のようなエラーハンドリングを追加しましょう:
{
"response": {
"error": {
"400": {
"message": "Invalid location: {{body.error.message}}"
},
"401": {
"message": "Invalid API key. Please check your connection settings."
},
"429": {
"message": "API rate limit exceeded. Please try again later."
}
}
}
}
よくある開発時の失敗と回避方法
カスタムアプリ開発でよく遭遇する問題と、その解決方法を紹介します:
- JSONの構文エラー:カンマの位置や括弧の対応を必ず確認しましょう。JSONバリデーターの使用をおすすめします
- 変数の参照ミス:{{}}の中の変数名は大文字小文字を区別します。正確に記述してください
- APIレート制限:テスト時は頻繁にAPIを呼び出すため、レート制限に注意が必要です
- 認証エラー:APIキーの有効期限や権限を事前に確認しておきましょう
他の開発方法との比較:なぜMake SDKを選ぶべきか
自動化ツールの開発には、Make SDK以外にもいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
Zapierのカスタムアプリ開発との比較
- 開発の容易さ:MakeのIMLはJSONベースでシンプル。Zapierは専用のCLIツールが必要
- テスト環境:Makeは開発画面内で即座にテスト可能。Zapierは別途テスト環境の構築が必要
- 公開プロセス:Makeは即座に自分のアカウントで使用可能。Zapierは審査プロセスがある
- 料金:Makeは無料プランでもカスタムアプリ開発が可能。Zapierは有料プランが必要
直接的なAPI統合との比較
プログラミング言語で直接APIを統合する方法と比較すると:
- 開発速度:Make SDKなら数時間で完成。直接統合は数日〜数週間かかることも
- 保守性:Makeのビジュアルインターフェースで管理が簡単。コードベースは保守が複雑
- スケーラビリティ:Makeのインフラを利用できるため、自前でサーバー管理不要
- コスト:初期開発コストはMake SDKの方が圧倒的に低い
Make SDKが最適な人・組織
以下のような条件に当てはまる場合、Make SDKでの開発が特におすすめです:
- プログラミング経験が浅いが、自動化を進めたい中小企業
- 迅速にPOC(概念実証)を作成したいスタートアップ
- 既にMakeを活用しており、機能を拡張したい組織
- 外部委託せずに社内で開発・保守したいチーム
今すぐ始められる!カスタムアプリ開発の第一歩
ここまで、MakeのSDKを使ったカスタムアプリ開発の方法を詳しく解説してきました。重要なポイントをまとめると:
- カスタムアプリ開発により、Makeの可能性は無限に広がる
- IMLを使えば、プログラミング初心者でも開発可能
- 適切なエラーハンドリングで、実用的なモジュールが作成できる
- 他の方法と比較して、開発速度とコストパフォーマンスに優れている
次のステップとして、以下の行動をおすすめします:
- まずMakeの無料アカウントを作成し、基本操作に慣れる
- 簡単なAPIから始めて、徐々に複雑なモジュールに挑戦する
- 作成したカスタムアプリを実際の業務で活用し、効果を測定する
さらに詳しい情報は、Make完全ガイド記事でMakeの基本から応用まで学ぶことができます。また、公式ドキュメントの「Apps SDK」セクションも、より高度な開発の参考になるでしょう。
カスタムアプリ開発は、あなたのビジネスに革新的な自動化をもたらす強力なツールです。今日から始めて、業務効率化の新たな可能性を探ってみてはいかがでしょうか。