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特権IDの使い回しは危険!Google Workspace管理者権限を「役割」ごとに細分化して委任する設定

「とりあえず全員が特権管理者」

あなたの組織では、Google Workspaceの管理者アカウントをこのように運用していませんか。

便利な反面、その運用には深刻なセキュリティリスクが潜んでいます。

一人のアカウントが侵害されただけで、組織全体のデータが危険に晒される可能性があるのです。

しかし、ご安心ください。

Google Workspaceには、こうしたリスクを回避し、安全に運用するための優れた機能が備わっています。

それが「管理者ロール」による権限の委任です。

本記事では、特権IDを使い回すことの危険性を具体的に解説し、Google Workspaceの管理者権限を「役割」ごとに細分化して安全に委任するための設定方法を、初心者にも分かりやすくステップバイステップでご紹介します。

この記事を読めば、セキュリティを大幅に向上させ、かつ効率的な管理体制を構築する方法がわかります。

なぜ特権IDの使い回しは危険なのか?ゼロトラスト時代の必須知識

Google Workspaceを導入した際に作成される「特権管理者」。

これは、すべての設定を変更できる最強の権限を持つアカウントです。

利便性の高さから、情報システム部門の担当者複数名でこのアカウントを共有したり、あるいは部署のリーダーに同じ権限を付与してしまったりするケースが少なくありません。

しかし、このような特権IDの使い回しは、現代のセキュリティの考え方である「ゼロトラスト(何も信頼しない)」の原則に反する、非常に危険な行為です。

具体的にどのようなリスクがあるのか、3つの側面から見ていきましょう。

1. 外部からの攻撃と内部不正のリスク増大

特権管理者アカウントは、サイバー攻撃者にとって最も価値のある標的です。

もしフィッシング詐欺やマルウェアによって、一人の管理者のIDとパスワードが漏洩してしまったらどうなるでしょうか。

攻撃者は即座に組織の最高権限を手に入れ、全従業員のメールの閲覧、機密ファイルのダウンロード、アカウントの大量削除など、考えうる最悪の事態を引き起こすことが可能になります。

また、リスクは外部からだけではありません。悪意を持った内部の人間が特権IDを不正に利用すれば、外部からの攻撃と同様、あるいはそれ以上に深刻な情報漏洩やデータ改ざんにつながる可能性があります。権限が一人に集中している状態は、内部不正の温床にもなり得るのです。

2. 操作ミスが全社的なシステム障害に直結

「良かれと思って設定を変更したら、全社のメールが止まってしまった」

これは決して大げさな話ではありません。

特権管理者は、ドメイン設定やセキュリティポリシーなど、組織全体の動作に影響を与える重要な設定を変更できます。

もし、権限は持っていても専門知識が不十分な担当者が誤った操作をしてしまうと、意図せず大規模なシステム障害を引き起こす可能性があります。

権限を必要最小限に絞っていれば、たとえミスをしても影響範囲を限定できますが、特権を乱用できる状態では、一つのミスがビジネス全体を停止させるリスクと常に隣り合わせになります。

3. 誰が何をしたか追跡できない「監査のブラックボックス化」

複数の担当者で一つの特権IDを共有している場合、最大の問題点は「誰が、いつ、何の設定変更を行ったのか」を正確に追跡できなくなることです。

Google Workspaceには詳細な監査ログ機能がありますが、共有アカウントでは、ログに残るのはその共有アカウント名だけです。

万が一、セキュリティインシデントやシステム障害が発生した際に、原因究明を行おうとしても、誰が操作したのか特定できず、迅速な対応が困難になります。

これはコンプライアンスやガバナンスの観点からも極めて問題であり、責任の所在が曖昧になることで、組織としての信頼性をも損ないかねません。

これらのリスクを回避するためには、各担当者に個別の管理者アカウントを割り当て、その役割に必要な権限のみを付与する「権限委任」が不可欠なのです。

Google Workspaceの「管理者ロール」とは?基本を理解しよう

特権IDの使い回しの危険性をご理解いただけたところで、その解決策となるGoogle Workspaceの「管理者ロール」について詳しく見ていきましょう。

管理者ロールとは、特定の管理タスクを実行するために必要な権限をまとめたものです。これをユーザーに割り当てることで、「誰に、どこまでの操作を許可するか」を柔軟にコントロールできます。

Google Workspaceには、一般的な管理業務に対応できるよう、あらかじめいくつかの「デフォルトの管理者ロール」が用意されています。

代表的なデフォルトの管理者ロール

まずは、どのようなロールが用意されているのか、特に利用頻度の高いものをいくつかご紹介します。(2025年12月時点の情報です)

  • 特権管理者: 全ての管理者権限を持ちます。組織の根幹に関わる設定(ドメインの管理、他の管理者の割り当てなど)を行えます。この権限は、信頼できるごく少数の担当者(2〜3名推奨)に限定して割り当てるべきです。
  • グループ管理者: Googleグループの作成、メンバー管理、設定変更などを行えます。ユーザー管理者に全てのユーザー情報を開示することなく、特定の部署やプロジェクトのグループ管理を委任したい場合に便利です。
  • ユーザー管理者: 特権管理者以外のユーザーの作成、編集、削除や、パスワードのリセットなどを行えます。人事部門やヘルプデスク担当者など、従業員の入退社管理を行う役割に適しています。セキュリティ設定など、高度な管理は行えません。
  • ヘルプデスク管理者: ユーザー管理者よりもさらに権限が限定されており、主にユーザーのパスワード再設定や基本的なトラブルシューティングを行えます。ITサポートの一次対応担当者などに最適です。
  • サービス管理者: 特定のGoogle Workspaceサービス(Gmail、カレンダーなど)に関する設定を管理できます。例えば、Gmailのルーティング設定やカレンダーの共有設定など、サービスごとの専門的な管理を任せたい場合に有効です。
  • 請求管理者: 組織の請求情報の表示、支払い方法の管理、ライセンスの割り当てなど、支払い関連のタスクのみを行えます。経理担当者に割り当てることで、ユーザーデータにアクセスさせることなく請求業務を委任できます。

自社に合ったロールの選び方

これらのデフォルトロールを適切に組み合わせるだけでも、多くの組織でセキュリティと管理効率を大幅に向上させることができます。

まずは、自社の管理業務を洗い出し、それぞれの業務に「誰が」「どの情報にアクセスし」「どんな操作をする必要があるか」を整理してみましょう。

  • 人事担当者 → ユーザー管理者
  • 経理担当者 → 請求管理者
  • 各部署のITリーダー → グループ管理者
  • 新人のITサポート → ヘルプデスク管理者

このように割り当てることで、各担当者は自分の業務に必要な権限しか持たなくなり、操作ミスや不正のリスクを最小限に抑えられます。

もし、デフォルトのロールでは権限が多すぎたり、逆に足りなかったりする場合は、次に紹介する「カスタムロール」の作成が非常に有効な手段となります。

【実践編】カスタムロールを作成して権限を最適化する方法

デフォルトの管理者ロールは非常に便利ですが、「帯に短し襷に長し」で、自社の特定の運用に完璧にフィットしないこともあります。

例えば、「ユーザーのパスワードリセットだけはさせたいが、アカウントの削除権限は与えたくない」といった細かいニーズです。

このような場合に絶大な効果を発揮するのが「カスタムロール」の作成機能です。カスタムロールを使えば、数百種類以上ある権限の中から必要なものだけをピックアップし、自社独自の管理者ロールを自由に設計できます。

ここでは、具体的なカスタムロールの作成手順と、便利な活用例を見ていきましょう。

注意: カスタムロールの作成・割り当ては特権管理者のみが行えます。

カスタムロール作成のステップバイステップ

  1. 管理コンソールにログイン: まずは特権管理者アカウントでGoogle Workspaceの管理コンソールにログインします。
  2. 管理者ロールへ移動: メニューから [アカウント] > [管理者ロール] をクリックします。
  3. 新しいロールを作成: 画面上部にある [新しいロールを作成] をクリックします。
  4. 名前と説明を入力: 作成するロールの名前(例: 「ヘルプデスク(パスワードリセット担当)」)と、どのような権限を持つロールなのかを分かりやすく説明文に入力します。この説明は後から見直す際に非常に重要になります。
  5. 権限の選択: 「権限リスト」が表示されます。ここが最も重要なステップです。カテゴリ([組織部門]、[ユーザー]、[セキュリティ]など)ごとに、許可したい操作のチェックボックスをオンにします。例えば、パスワードリセットのみを許可したい場合は、[ユーザー] の権限リストを展開し、「更新」にチェックを入れます。権限にマウスを合わせると詳細な説明が表示されるので、内容をよく確認しながら選択しましょう。
  6. ロールを作成: 必要な権限を選択し終えたら、[続行] をクリックし、内容を確認して [ロールを作成] ボタンを押せば完了です。
  7. ロールの割り当て: 作成したロールをユーザーに割り当てるには、管理者ロールの一覧から作成したロール名をクリックし、[管理者を割り当て] を選択します。ユーザーを検索して選択し、[ロールを割り当て] をクリックすれば、そのユーザーにカスタム権限が付与されます。

便利なカスタムロール作成例

具体的にどのようなカスタムロールが考えられるか、2つの例を挙げます。

例1: 「監査ログ閲覧者」ロール

  • 目的: セキュリティ監査を担当する部署に、設定変更は許可せず、監査ログの閲覧権限のみを与える。
  • 必要な権限: [レポート] カテゴリ内の関連する閲覧権限。
  • メリット: 監査担当者が誤って設定を変更してしまうリスクをゼロにしながら、独立した立場での監査業務を可能にします。内部統制の強化に直結します。

例2: 「Googleサイト管理者」ロール

  • 目的: 広報部門や特定のプロジェクトチームに、他のサービスには触れさせず、Googleサイトの作成・管理権限のみを委任する。
  • 必要な権限: [サービスの設定] > [Googleサイト] に関連する権限。
  • メリット: 情報システム部門の手を借りずに、各部門がスピーディに情報発信用のサイトを構築・更新できるようになり、業務効率が向上します。

このように、カスタムロールを活用することで、「必要最小限の権限」というゼロトラストの原則を徹底し、セキュリティと利便性を高いレベルで両立させることが可能になるのです。

権限委任を成功させるための運用上のポイント

管理者ロールを設定し、権限委任の仕組みを構築することはゴールではありません。むしろ、それは安全な運用体制のスタートラインです。

設定して終わりにするのではなく、継続的に運用していく中で、形骸化させないためのいくつかの重要なポイントがあります。これらを意識することで、権限委任の効果を最大化し、長期的に安全な状態を維持できます。

1. 定期的な権限の棚卸しと見直し

従業員の異動や退職、組織変更は日常的に発生します。

「以前は必要だったが、今は不要になった権限」が放置されていないか、定期的に確認する「権限の棚卸し」が不可欠です。

最低でも半年に一度、できれば四半期に一度、全ての管理者ロールが現在の業務内容と一致しているかを見直しましょう。

特に退職したユーザーに管理者権限が残ったままになっていないかは、最優先で確認すべき項目です。Google Workspaceの監査ログやレポート機能を活用し、使われていない管理者アカウントの洗い出しを行うことも有効です。

2. 全ての管理者アカウントに多要素認証(MFA)を強制する

これは基本中の基本ですが、非常に重要です。

管理者権限を持つアカウントは、一般ユーザー以上に厳格な本人認証が求められます。

パスワードだけに頼るのではなく、スマートフォンアプリ(Google Authenticatorなど)やセキュリティキーを利用した多要素認証(MFA/2SV)を必ず有効にし、かつ強制するポリシーを設定してください。

これにより、万が一パスワードが漏洩したとしても、第三者による不正アクセスを効果的に防ぐことができます。

3. 管理者操作ログのモニタリング

「誰が、いつ、何をしたか」を記録する監査ログは、不正の検知とインシデント発生時の原因究明に不可欠な情報です。

Google Workspaceの管理コンソールには、管理者アクティビティを詳細に追跡できるレポート機能があります。

「特権管理者が新しく作成された」「重要なセキュリティ設定が変更された」といったクリティカルな操作が行われた際にアラートが通知されるように設定し、不審な動きがないか定期的にログをモニタリングする習慣をつけましょう。

これにより、問題の早期発見と迅速な対応が可能になります。

4. 権限を委任された担当者への教育

せっかく権限を委任しても、委任された担当者がその権限の重要性やリスクを理解していなければ意味がありません。

「あなたに与えられた権限で何ができるのか」「どのような操作はしてはいけないのか」「なぜその権限が必要なのか」を明確に伝え、セキュリティ意識向上のための簡単なトレーニングを実施することが望ましいです。

ツールによる仕組み化と、それを使う「人」への教育は、セキュリティ対策の両輪です。この両方を実践することで、初めて堅牢な管理体制が実現します。

まとめ:今すぐ自社の権限設定を見直そう

本記事では、Google Workspaceにおける特権IDの使い回しがもたらす深刻なリスクと、それを回避するための「管理者ロール」を活用した権限委任の方法について詳しく解説しました。

要点をまとめると以下の通りです。

  • 特権IDの共有はNG: 不正アクセス、操作ミス、監査不能といった重大なリスクの原因となります。
  • デフォルトロールの活用: まずはGoogle Workspaceに標準で備わっている「ユーザー管理者」や「請求管理者」などを活用し、権限を分散させましょう。
  • カスタムロールで最適化: 業務内容に合わせて必要な権限だけを持つ独自のロールを作成することで、「必要最小限の権限」の原則を徹底できます。
  • 継続的な運用が鍵: 定期的な棚卸し、MFAの強制、監査ログの監視を習慣化し、安全な状態を維持することが重要です。

Google Workspaceの管理者権限の細分化は、複雑に見えるかもしれませんが、一度設定してしまえば、組織のセキュリティレベルを飛躍的に向上させることができます。まずは自社の管理コンソールにログインし、誰にどのような権限が割り当てられているかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。

適切な権限管理によって、Google Workspaceをより安全かつ効率的に活用していきましょう。さらに、これからGoogle Workspaceの導入を検討されている方や、現在の利用コストを見直したい方は、お得なプロモーションコードを利用するのも一つの賢い方法です。

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