海外旅行での決済手段として、圧倒的な人気を誇るWISE(ワイズ)のデビットカード。
驚くほど低い両替手数料と、アプリで簡単に資金管理ができる利便性は、一度使うと手放せなくなりますよね。
しかし、その一方で「海外で急にWISEカードが使えなくなった!」という声が聞かれるのも事実です。
せっかくの楽しい旅行中に、支払いができず冷や汗をかく…なんて事態は絶対に避けたいもの。
この記事では、なぜWISEカードが使えなくなるのか、その具体的な原因を紐解きつつ、万が一の事態に備えるための「最強の予備カードの組み合わせ」を徹底的に解説します。
この記事を読めば、手数料を賢く抑えながら、どんな状況でもスマートに対応できる盤石な支払い体制を整えることができます。
なぜ?海外でWISEカードが使えない5つの主な原因
WISEカードは非常に優れたカードですが、万能ではありません。海外で利用できなくなるケースには、いくつかの典型的な原因が存在します。事前に原因を知っておくことで、冷静に対処できるようになります。
1. ICチップ非対応・磁気ストライプの劣化
日本ではICチップでの決済が当たり前になりましたが、海外、特にアジアや南米の一部の国や、個人商店などでは、まだカードの磁気ストライプをスワイプする旧式の端末が現役で使われていることがあります。WISEカードはICチップとタッチ決済がメインであり、磁気ストライプでの取引はデフォルトでオフになっている場合があります。また、カードの磁気部分が財布のマグネットやスマートフォンなどの磁気で劣化・破損していると、読み取りができず決済エラーにつながります。アプリから磁気ストライプ決済を有効にすることもできますが、物理的な劣化だけはどうしようもありません。
2. オフライン端末での利用制限
これがWISEカードが使えない最も一般的な原因の一つです。WISEカードはアカウント残高から即時引き落としされる「デビットカード」です。そのため、決済時には必ずオンラインでサーバーに接続し、残高照会を行う必要があります。しかし、飛行機の機内販売や、一部の長距離列車、地下鉄の券売機、ローカルなバスなど、通信が不安定な環境やセキュリティ上の理由で常時オンライン接続されていない「オフライン端末」では、残高照会ができないため利用を拒否されてしまいます。これはWISEカードの仕組み上の問題なので、避けようがありません。
3. 1日の利用限度額や単純な残高不足
意外と見落としがちなのが、ご自身で設定した利用限度額です。WISEのアプリでは、セキュリティのために「1回あたり」や「1日あたり」の利用限度額を細かく設定できます。普段は少額に設定していて、海外で大きな買い物をしようとした際に上限に引っかかってしまうケースは少なくありません。また、現地の通貨で残高が十分だと思っていても、両替レートの変動や、両替し忘れていて単純に残高が不足していることもあります。決済前には必ずアプリで限度額と残高を再確認する癖をつけましょう。
4. 不正利用検知システムによる一時的なブロック
WISEはユーザーの資産を守るため、非常に高度な不正利用検知システムを導入しています。これは非常に頼もしい機能ですが、時に過敏に反応することがあります。例えば、日本で普段使いしていたカードが、数時間後には地球の裏側の国で急に使われると、システムが「不正利用の可能性あり」と判断し、安全のためにカードを一時的に凍結(ブロック)することがあります。この場合、アプリへの通知やメールが届き、本人確認を行うことで解除できますが、それに気づくまではカードが使えず困ってしまう可能性があります。
5. 特定の加盟店やサービスでの利用制限
カードの表面にVisaやMastercardのロゴがあっても、すべての加盟店で使えるわけではありません。特に、ホテルやレンタカーのデポジット(保証金)の支払いでは、デビットカードの利用が敬遠される傾向にあります。これは、デポジットが「信用の証明」として機能する側面があるためです。クレジットカードであれば、カード会社が利用者の信用を保証してくれますが、デビットカードは口座残高以上の保証がありません。そのため、高額なデポジットが必要な場面では、クレジットカードの提示を求められることがほとんどです。
WISEカードの弱点を補う!最強のサブカード選定術
WISEカードが使えない原因を見ていくと、その多くが「デビットカード」特有の弱点に起因していることがわかります。この弱点を補うためには、性質の異なる「クレジットカード」を予備として持っておくことが極めて重要になります。ここでは、賢いサブカードの選び方を解説します。
なぜ「クレジットカード」が必須なのか?デビットカードとの決定的違い
最大の理由は「信用(クレジット)」です。前述の通り、ホテルやレンタカーのデポジットでは、支払い能力の証明としてクレジットカードが求められます。これは、万が一客室に損害が出たり、車に傷がついたりした場合に、請求を保証してもらうためです。デビットカードではこの「信用供与」ができないため、そもそも受付を断られたり、高額な現金を保証金として預けるよう要求されたりすることがあります。
また、多くのクレジットカードには、海外旅行には欠かせない海外旅行傷害保険が付帯しています。WISEカード自体には保険が付帯していないため(2025年12月時点)、万が一の病気やケガ、携行品の盗難に備える意味でも、保険付きのクレジットカードは必須アイテムと言えるでしょう。
国際ブランドの分散戦略(Visa / Mastercard / JCB)
WISEカードは主にVisaかMastercardブランドで発行されます。どちらも世界中で高いシェアを誇りますが、国や地域によっては特定のブランドが強い、あるいは弱いということがあります。例えば、ヨーロッパではMastercardが強いと言われ、ハワイや韓国、台湾などではJCB加盟店が多く、独自の優待を受けられることもあります。メインのWISEカードとは異なる国際ブランドのクレジットカードを持つことで、「この店はVisaが使えないけどMastercardなら大丈夫」といった事態に対応でき、決済の成功率を格段に高めることができます。理想は「WISE(Visa/Mastercardのどちらか) + もう一方のブランド or JCBのクレジットカード」という体制です。
年会費無料でも海外旅行保険が充実したカードを選ぶ
サブカードはあくまで「予備」や「保険」としての役割がメイン。そのため、なるべく維持コストはかけたくないものです。幸い、日本のクレジットカードには、年会費が無料にもかかわらず、手厚い海外旅行傷害保険が「自動付帯」する優秀なカードがいくつか存在します。「自動付帯」とは、カードを持っているだけで保険が適用されるという意味で、旅行代金をそのカードで支払う必要がないため、サブカードとして非常に優秀です。例えば、エポスカードや楽天カードなどは、年会費無料で海外旅行保険が付帯するため、多くの海外旅行者に支持されています。
目的別!海外旅行におすすめのカード組み合わせ具体例
ここでは、より具体的に、あなたの旅行スタイルに合わせたおすすめのカード組み合わせを紹介します。「WISEカード + クレジットカード1枚」を基本とし、必要に応じて2枚目のクレジットカードを加えることで、盤石な体制を築きましょう。
1. バランス重視派:手数料と安心感の両立
- メインカード:WISEカード(日常の決済、現地通貨のキャッシング)
- サブカード:エポスカード(Visa)(年会費無料、海外旅行保険が自動付帯)
最も多くの人におすすめできる、鉄板の組み合わせです。普段の買い物やレストランでの支払いはWISEカードで行い、手数料を最小限に抑えます。現金が必要になった際も、WISEカードを使えば主要銀行のATMで現地通貨を低い手数料で引き出せます。そして、予備としてエポスカードを携帯。WISEが使えない場面での決済をカバーしつつ、最高3,000万円の充実した海外旅行傷害保険があなたの旅を守ってくれます。エポスカードは年会費永年無料で、発行もスピーディーなので、旅行前にサッと作れるのも魅力です。
2. ポイント・マイル重視派:旅しながらお得を貯める
- メインカード:楽天プレミアムカード(Mastercard/Visa/JCB/Amex)やSPGアメックスなど(高額決済、マイル・ポイント獲得)
- サブカード:WISEカード(少額決済、現地通貨のキャッシング)
「どうせ使うならポイントやマイルを貯めたい」という方におすすめの組み合わせ。航空券やホテル代、高級レストランでの食事など、高額になりがちな支払いをポイント高還元率のクレジットカードに集中させます。海外利用手数料(1.6%〜2.2%程度)はかかりますが、それを上回るポイントバック(2%以上)があれば、結果的にお得になります。そして、カフェでの一杯やコンビニでの買い物といった少額決済はWISEカードで手数料を節約。この使い分けにより、無駄なく効率的にポイントを貯めながら、WISEのメリットも享受できます。楽天プレミアムカードであれば、世界中の空港ラウンジが使える「プライオリティ・パス」が無料で付いてくるのも大きなメリットです。
3. 安全性・ステータス重視派:最高のサポート体制
- メインカード:WISEカード(日常の少額決済)
- サブカード1:三井住友カード ゴールド(NL)など(保険、ラウンジ利用)
- サブカード2:プラチナ・カードなど(コンシェルジュサービス、最高クラスの保険)
旅先での万が一のトラブルに、万全の体制で備えたい方向けの組み合わせです。WISEカードは便利なサブ決済用と割り切り、メインはゴールドカードやプラチナカードが担います。これらのカードは、海外旅行保険が非常に手厚いのはもちろん、カードやパスポートの紛失・盗難時に日本語でサポートしてくれるデスクや、レストランの予約などを代行してくれるコンシェルジュサービスが付帯しています。慣れない海外でトラブルに見舞われた際、日本語で相談できる窓口がある安心感は、何物にも代えがたい価値があります。年会費はかかりますが、「安心を買う」という意味では、特に長期滞在や治安に不安のある地域へ行く際には検討する価値が大いにあります。
まとめ:賢いカード戦略で、ストレスフリーな海外旅行を
本記事では、海外旅行中にWISEカードが使えなくなる原因と、その対策としての予備カードの選び方について詳しく解説しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- WISEカードは便利な反面、「オフライン端末」や「デポジット」などデビットカード特有の弱点がある。
- 弱点を補うため、必ず性質の異なる「クレジットカード」を予備として持つことが重要。
- クレジットカードは「海外旅行傷害保険が付帯」し、「WISEとは異なる国際ブランド」を選ぶのがセオリー。
- 年会費無料でも優秀なカードは多く、自分の旅行スタイルに合わせて最適な組み合わせを見つけることが可能。
WISEカードが海外旅行の強力な味方であることは間違いありません。しかし、それ一枚に頼り切るのは危険です。性質の異なる複数のカードを準備し、それぞれの長所を活かして使い分ける「カード戦略」こそが、手数料を抑えつつ、安全で快適な旅を実現する鍵となります。
これから海外旅行の準備を始める方は、まず基本となるWISEカードの口座開設から進めてみてはいかがでしょうか。詳しい登録方法や使い方については、「【完全ガイド】WISE個人口座の登録から初めての海外送金まで徹底解説!手数料を抑えるコツも紹介」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
海外旅行や海外送金の必須アイテムともいえるWISEカード、まだ持っていない方はこの機会にぜひ作成を検討してみてください。一枚持っておくだけで、あなたのお金の動きがよりスマートで、より自由になるはずです。
