本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の記事を元に、日本のGoogle WorkspaceユーザーおよびGoogle Workspaceに興味がある方々に向けて、2025年12月2日に公開された情報を分かりやすく解説したものです。
プロジェクトの進行やチーム内での情報共有に欠かせない「Google Chat」。
その中でも、特定のトピックについて継続的に議論する「スペース」機能は、日々多くのビジネスシーンで活用されています。
しかし、スペースの運用において、こんな悩みを持ったことはありませんか?
「極秘プロジェクト用のスペースなのに、誤ってリンクが広まり、関係ない人から参加リクエストが来て困った」
「招待制にしているのに、参加リクエストの通知が頻繁に来て煩わしい」
これまで、スペースへのリンクを知っている人は、誰でも管理者に対して「参加リクエスト」を送ることができました。
たとえ承認しなければ入れないとはいえ、管理者にとってはリクエストを却下する手間が発生し、セキュリティ意識の高いプロジェクトでは心理的な不安要素にもなっていました。
2025年12月2日、Googleはこの課題を解決する新しい設定をGoogle Chatに追加しました。
スペースの管理者は、ユーザーからの「参加リクエスト」そのものを受け付けないように設定できるようになります。
今回は、この新機能がどのような場面で役立つのか、設定方法とあわせて詳しく解説していきます。
何が変わるのか?「入り口」を完全に閉じる選択肢
今回のアップデートで追加されたのは、スペースの設定メニュー内にある「参加リクエストを許可する(Allow requests to join)」というオプションです。
これまでの挙動:
参加に許可が必要なスペースのリンクをクリックしたユーザーには、「参加をリクエスト」ボタンが表示されていました。ボタンを押すと、スペースの管理者に通知が飛び、承認を求めることができました。
これからの挙動(設定をOFFにした場合):
管理者がこの新機能を使い、参加リクエストを無効にすると、権限のないユーザーがリンクをクリックしても、「アクセス権がありません(No access)」というメッセージが表示されるだけになります。
「参加をリクエスト」ボタン自体が表示されなくなるため、ユーザーはアクションを起こすことができず、管理者にも通知は届きません。
つまり、管理者が明示的に招待したメンバー以外は、スペースの存在を知ることはできても、参加のアプローチすらできなくなるのです。
どんな時に便利?活用シーン
この機能は、特に以下のようなケースで威力を発揮します。
機密性の高いプロジェクト(Confidential Project)
人事情報、M&A、未発表の新製品開発など、情報の取り扱いに細心の注意が必要なプロジェクト。
関係者以外からのアクセスを一切遮断したい場合、この設定をOFFにすることで、万が一リンクが流出しても、部外者が参加を試みることすらできない鉄壁の守りを構築できます。メンバーが固定された組織運営(Board Members Only)
役員会議や特定の委員会など、メンバーの入れ替わりがほとんどなく、外部からの参加を想定していないスペース。
不要なリクエスト対応の手間を省き、静かで集中できる環境を維持できます。大規模組織でのノイズ削減
全社員がアクセス可能なポータルサイトなどに誤って限定スペースのリンクが掲載されてしまった場合など、興味本位での参加リクエストが殺到するのを防ぐことができます。
設定方法は簡単!
この機能を利用するために、Google Workspaceの管理者が特別な操作をする必要はありません。
スペースの管理者(スペースのオーナーやマネージャー)が、スペースごとに設定を行います。
Google Chatで対象のスペースを開きます。
スペース名の横にあるメニューから「スペースの設定」を開きます。
設定項目の中に新しく追加された「参加リクエストを許可する」というトグルスイッチを見つけます。
このスイッチをオフに切り替えます。
これだけで設定完了です。いつでもオンに戻すことも可能です。
展開スケジュールと対象ユーザー
展開スケジュール:
即時リリース(Rapid Release)ドメイン:
2025年12月1日より展開開始。1〜3日程度ですべてのユーザーに反映されます。計画的リリース(Scheduled Release)ドメイン:
2026年1月7日より展開開始。こちらも1〜3日程度で反映されます。
日本の多くの企業で採用されている「計画的リリース」の場合、実際に使えるようになるのは年明け(2026年1月)からとなりますのでご注意ください。
対象ユーザー:
すべてのGoogle Workspaceをご利用のお客様
個人のGoogleアカウントをご利用のユーザー
企業向けプランだけでなく、個人の無料アカウントでも利用できるのは嬉しいポイントです。サークル活動や地域のコミュニティ運営などでも役立ちそうです。
まとめ:管理者の負担を減らし、セキュリティを高める
今回のアップデートは、Google Chatのスペース管理に「完全招待制」という強力なオプションを加えるものです。
「誰でもウェルカム」なオープンなスペースと、「関係者以外立ち入り禁止」のクローズドなスペース。
この2つの性質に合わせて、参加リクエストの可否を使い分けることで、よりメリハリのある安全なコミュニケーション環境を作ることができます。
特に管理職やプロジェクトリーダーの方は、年明けの機能実装を楽しみに、ご自身の管理するスペースの設定を見直してみてはいかがでしょうか。
