仕事で使うツールが増えるたびに、あちこちに通知が飛び交って重要な情報を見逃してしまった、という経験はありませんか。
GitHubの更新、Trelloのタスク追加、Googleフォームへの回答など、確認すべき通知は増える一方です。
もし、これらの通知を普段お使いのGoogle Chatにすべて集約できたら、業務はもっとスムーズになるはずです。
この記事では、プログラミングの知識がなくても実践できる「Incoming Webhook」という機能を使って、様々なサービスの通知をGoogle Chatに一元化する方法を、設定手順から具体的な活用例まで詳しく解説します。
設定は驚くほど簡単で、この記事を読み終える頃には、あなたのチームの情報共有は新たなステージに進んでいることでしょう。
Google ChatのWebhookとは?通知集約の基本を理解しよう
「Webhook(ウェブフック)」という言葉に、少し技術的な印象を受けるかもしれません。しかし、その仕組みは非常にシンプルです。まずは、なぜWebhookが業務効率化の鍵となるのか、その基本から見ていきましょう。
Webhookの仕組みをわかりやすく解説
Webhookを簡単に説明すると、「あるWebサービスで特定の出来事(イベント)が起きたら、指定した別のサービスのURLへ、その情報をリアルタイムに自動で送信する仕組み」です。
例えば、レストランで渡される呼び出しベルを想像してみてください。料理が出来上がる(イベント)と、ベルが鳴って知らせてくれます(通知)。これと同じように、GitHubで新しいコードがプッシュされた(イベント)ら、即座にGoogle Chatに通知が飛ぶ(通知)、といった連携を自動化できるのがWebhookです。
よく似た仕組みに「API」がありますが、APIがこちらから能動的に「データはありませんか?」と聞きに行く(ポーリング)のに対し、Webhookは「イベントが起きたのでお知らせします」と向こうから教えてくれる(プッシュ)点が大きな違いです。このため、Webhookはリアルタイム性が高く、通知の受け取りに最適な仕組みと言えます。
なぜGoogle Chatで通知を集約するべきなのか?
世の中には多くのチャットツールがありますが、その中でもGoogle Chatで通知を集約することには、特にGoogle Workspaceユーザーにとって大きなメリットがあります。
- シームレスなGoogle Workspace連携: Google Chatは、Gmail、カレンダー、ドライブ、Meetといった他のGoogle Workspaceツールと深く連携しています。例えば、Chatで受け取った通知から直接Meetの会議を設定したり、共有されたドキュメントをドライブで開いたりと、作業の流れを分断させません。
- 追加コストや学習コストが不要: 多くの企業がすでにGoogle Workspaceを導入しています。そのため、新たなチャットツールを導入するための追加費用や、使い方を覚えるための時間的コストがかかりません。
- 情報の一元化による生産性向上: メール、Slack、そしてGoogle Chatと、通知の確認先が分散していると、それだけで無駄な時間が発生し、重要な情報を見落とす原因になります。すべての通知をGoogle Chatに集約することで、確認漏れを防ぎ、本来の業務に集中できる環境が整います。
2026年1月時点の最新情報として、Google WorkspaceはAIアシスタント「Gemini」の統合をさらに進めており、今後ますますインテリジェントな作業環境の中心としてGoogle Chatの重要性が増していくと考えられます。
【実践編】Incoming Webhookを設定して通知を受け取る方法
それでは、実際にGoogle ChatでWebhookを設定する手順を見ていきましょう。数分で完了する簡単なステップです。
1. Google ChatでWebhookのURLを発行する
まず、通知を受け取りたいGoogle Chatの「スペース」を開きます。(もし適切なスペースがなければ、新しく作成してください。)
- スペース名の横にある下向き矢印「▼」をクリックし、メニューから「アプリと統合」を選択します。
- ポップアップが表示されたら、「Webhook を追加」をクリックします。
- Webhookの「名前」を入力します。例えば、「GitHub通知」や「Trello更新情報」など、どのツールからの通知か一目でわかる名前にすると良いでしょう。
- (任意)「アバターのURL」に画像のURLを入力すると、通知元のアイコンをカスタマイズできます。各サービスのロゴ画像などを設定すると、より視覚的にわかりやすくなります。
- 「保存」をクリックすると、WebhookのURLが生成されます。このURLは後で使うので、「コピー」ボタンをクリックして控えておきましょう。
注意:このURLは、誰でもメッセージを投稿できてしまう「鍵」のようなものです。関係者以外に漏洩しないよう、厳重に管理してください。
2. curlコマンドでテストメッセージを送信してみる
URLが正しく発行されたかを確認するため、簡単なテストメッセージを送ってみましょう。ここではターミナル(Mac)やコマンドプロンプト(Windows)で使える「curl」というコマンドを使用しますが、これはあくまでテストのためなので、この後の連携に必須ではありません。
以下のコマンドの「ここにWebhookのURLを貼り付け」の部分を、先ほどコピーしたURLに置き換えて実行してみてください。
curl -X POST -H 'Content-Type: application/json' -d '{"text": "これはGoogle Chatへのテストメッセージです。"}' 'ここにWebhookのURLを貼り付け'コマンドを実行して、指定したスペースに「これはGoogle Chatへのテストメッセージです。」というメッセージが届けば成功です。このように、指定したURLに対して特定のフォーマット(JSON形式)でデータを送るだけで、簡単にメッセージを投稿できるのがWebhookの仕組みです。
プログラミング不要!外部ツールとGoogle Chatを連携させる具体例
テストが成功したところで、いよいよ実際の外部ツールと連携させていきましょう。多くのWebサービスには、このWebhookを簡単に設定できる機能が備わっています。
【具体例1】GitHubの更新をGoogle Chatで受け取る
開発チームにとって、GitHub上の動きをリアルタイムで把握することは非常に重要です。Pull Requestの作成やレビュー依頼、masterブランチへのマージなどを即座にChatに通知させましょう。
- 通知を受け取りたいGitHubのリポジトリにアクセスし、「Settings」タブを開きます。
- 左側のメニューから「Webhooks」を選択し、「Add webhook」ボタンをクリックします。
- 「Payload URL」の欄に、先ほどGoogle Chatで取得したWebhookのURLを貼り付けます。
- 「Content type」を「application/json」に設定します。
- 「Which events would you like to trigger this webhook?」の項目で、通知したいイベントを選択します。「Just the `push` event.(プッシュされた時だけ)」や「Send me everything.(すべてのイベント)」、または「Let me select individual events.(個別のイベントを選択)」からチームの運用に合わせて選びましょう。
- 最後に「Add webhook」ボタンをクリックすれば設定完了です。
これで、指定したイベントが発生するたびに、GitHubからGoogle Chatへリアルタイムで通知が届くようになります。
【具体例2】Googleフォームの回答をリアルタイムで通知する
お客様からの問い合わせフォームや、社内の申請フォームなどに新しい回答があった際、すぐに気づけるように設定しましょう。GoogleフォームとGoogle Chatの連携は、後述する「Zapier」などのツールを使うとプログラミングなしで実現できますが、ここではGoogle Workspaceに標準で備わっている「Apps Script」を使った方法も参考としてご紹介します。(もしコードに抵抗があれば、次のH2-4のセクションに進んでください)
- Googleフォームの編集画面を開き、右上のメニュー(︙)から「スクリプト エディタ」を選択します。
- 表示されたエディタに、あらかじめ用意されているコードをすべて削除し、以下のコードを貼り付けます。
- コード内の「
YOUR_WEBHOOK_URL」の部分を、あなたのWebhook URLに書き換えます。 - フロッピーディスクのアイコン(プロジェクトを保存)をクリックして保存します。
- 時計のアイコン(現在のプロジェクトのトリガー)をクリックし、右下の「トリガーを追加」ボタンを押します。
- 「イベントの種類を選択」で「フォーム送信時」を選び、保存します。(初回のみGoogleアカウントでの承認が求められます)
これだけで、フォームに新しい回答が送信されるたびに、その内容がGoogle Chatに通知されるようになります。コードはコピー&ペーストするだけなので、プログラミング経験がなくても簡単に設定できるはずです。
function onFormSubmit(e) { var webhookUrl = 'YOUR_WEBHOOK_URL'; // ここにWebhookのURLを貼り付け var itemResponses = e.response.getItemResponses(); var message = 'Googleフォームに新しい回答がありました。\n\n'; for (var i = 0; i < itemResponses.length; i++) { var itemResponse = itemResponses[i]; message += 'Q: ' + itemResponse.getItem().getTitle() + '\n'; message += 'A: ' + itemResponse.getResponse() + '\n\n'; } var payload = { 'text': message }; var options = { 'method': 'post', 'contentType': 'application/json', 'payload': JSON.stringify(payload) }; UrlFetchApp.fetch(webhookUrl, options);
}【応用編】Zapierを使って連携の可能性を無限に広げる
GitHubのように直接Webhookを設定できる機能がないツールや、もっと複雑な連携をしたい場合に絶大な効果を発揮するのが、「Zapier(ザピアー)」のようなハブ(iPaaS)ツールです。
Zapierとは?ノーコードツールの王様を使いこなす
Zapierは、数千種類以上のWebサービス同士を、プログラミングなしで連携させることができるサービスです。「もし[トリガー]が起きたら、[アクション]を実行する」という「Zap(ザップ)」と呼ばれるレシピを作成するだけで、様々な業務を自動化できます。例えば、「Gmailで特定のラベルが付いたメールを受信したら(トリガー)、その内容をGoogle Chatに通知する(アクション)」といった連携が可能です。
ZapierでTrelloのカード追加をGoogle Chatに通知するレシピ
ここでは、プロジェクト管理ツール「Trello」で新しいタスク(カード)が作成されたら、Google Chatに通知するZapを作成する手順を見ていきましょう。
- Zapierにログインし、「Create Zap」をクリックします。
- Trigger(トリガー)の設定:
- 検索窓で「Trello」を検索して選択します。
- 「Event」で「New Card」を選択し、Continueをクリックします。
- Trelloアカウントを連携し、対象のボードとリストを選択します。
- テストを実行して、正常にカード情報が取得できることを確認します。
- Action(アクション)の設定:
- 検索窓で「Google Chat」を検索して選択します。
- 「Event」で「Create Message」を選択し、Continueをクリックします。
- 「Message」の入力欄に、Trelloから取得した情報を組み合わせて通知メッセージを作成します。例えば、「新しいカードが追加されました: [Card Name] – [Card URL]」のように、カード名やURLを動的に挿入できます。
- 「Chat Room」に、Google ChatのWebhook URLを貼り付けます。
- テストを実行し、Google Chatに意図した通りのメッセージが投稿されることを確認します。
- 最後にZapを公開(Publish)すれば、自動連携がスタートします。
このようにZapierを使えば、Trelloだけでなく、Slack、Asana、Salesforce、Evernoteなど、普段使っているほとんどのツールとGoogle Chatを連携させることが可能になります。
まとめ:通知を制する者が、業務を制する
今回は、Google ChatのIncoming Webhook機能を使って、外部ツールの通知を集約し、業務効率を向上させる方法について解説しました。
- Webhookを使えば、様々な通知をGoogle Chatにリアルタイムで集約できる。
- GitHubのように直接連携できるツールもあれば、Zapierのようなハブツールを使うことで連携の幅は無限に広がる。
- プログラミングの知識は不要で、簡単な設定だけですぐに始められる。
情報の洪水の中で重要なサインを見逃さないためには、情報を一元管理する「仕組み」が不可欠です。今回ご紹介したGoogle Chatへの通知集約は、その最も簡単で効果的な第一歩と言えるでしょう。ぜひ、あなたのチームでも導入を検討してみてください。
そして、今回ご紹介したGoogle Chatは、Google Workspaceというビジネス向け統合ツールのほんの一機能に過ぎません。Google Workspaceには、AIが搭載されたGmailやドキュメント、大容量のクラウドストレージなど、チームの生産性をさらに高めるための強力なツールが揃っています。もし、これからGoogle Workspaceの導入を検討されるなら、少しでもお得に始めたいですよね。以下の公式サイトでは、お得なプロモーションコードが配布されていることがありますので、ぜひ一度チェックしてみてください。
