個人事業主として事業が軌道に乗り、初めて従業員を雇うことになったものの、給与計算や税金のことで頭を悩ませていませんか。
毎月の給与計算、源泉所得税の徴収と納付、そして年に一度の年末調整など、これまで経験したことのないバックオフィス業務が一気に増えてしまいます。
これらの複雑で手間のかかる作業は、会計ソフトで有名なマネーフォワードのサービスを活用することで、驚くほど簡単かつ正確に管理できるようになります。
この記事では、従業員を雇った個人事業主が「マネーフォワード クラウド給与」を使いこなし、給与支払いと源泉所得税の管理をスムーズに行うための具体的な手順を、初心者にも分かりやすく徹底解説します。
(この記事は2026年1月時点の情報に基づいています)
なぜ個人事業主の給与管理に「マネーフォワード クラウド給与」が最適なのか?
従業員を雇用すると、個人事業主の責任は事業運営だけにとどまらなくなります。給与を正確に計算して支払い、社会保険料や税金を適切に預かって国に納付するという、従業員の生活に直結する重要な業務が発生します。数ある給与計算ソフトの中で、なぜ「マネー-フォワード クラウド給与」が多くの個人事業主に選ばれているのでしょうか。その理由は、単なる給与計算機能にとどまらない、バックオフィス業務全体を効率化する優れた設計思想にあります。
給与計算から年末調整まで一気通貫で対応
マネーフォワード クラウド給与の最大の強みは、毎月の給与計算から年に一度の年末調整まで、一連の業務を一つのシステムで完結できる点にあります。従業員情報を一度登録すれば、毎月の勤怠情報(時間外労働や休日出勤など)を入力するだけで、総支給額、社会保険料、雇用保険料、源泉所得税などが自動で計算されます。計算された給与明細は、Web上で従業員に共有できるため、紙での印刷や配布の手間もかかりません。さらに、年末調整の時期には、従業員自身がスマートフォンやPCから扶養控除等申告書などの情報を入力できる機能も備わっています。これにより、書類の回収や内容のチェック、計算といった煩雑な作業から解放され、大幅な時間短縮が実現します。
複雑な社会保険料や税金の計算を自動化
給与計算で最もつまずきやすいのが、社会保険料(健康保険・厚生年金)や雇用保険料、そして源泉所得税の計算です。これらの金額は、給与の額面金額だけでなく、従業員の年齢や扶養家族の人数、さらには毎年のように改正される保険料率や税法に基づいて算出されるため、手計算で行うのは非常に困難でミスも起こりがちです。マネーフォワード クラウド給与は、最新の法令や保険料率に自動でアップデート対応しています。そのため、ユーザーは法改正のたびに情報を収集したり、計算式を修正したりする必要が一切ありません。給与の変動に応じた社会保険料の変更(随時改定)や、源泉所得税額の計算もシステムが自動で行ってくれるため、常に正確な金額を算出でき、税務上のリスクを大幅に軽減することができます。
「マネーフォワード クラウド確定申告」との連携が強力
マネーフォワードの真価は、各クラウドサービス間のシームレスな連携にあります。給与計算のためにマネーフォワード クラウド給与で作成したデータは、ボタン一つで「マネーフォワード クラウド確定申告」に仕訳データとして連携させることができます。これにより、毎月の給与支払いや源泉所得税の納付に関する会計処理が自動で完了し、経理作業の手間を劇的に削減できます。例えば、「従業員に支払った給与」は「給料賃金」、「預かった源泉所得税」は「預り金」として、自動で仕訳が作成されます。この連携機能があることで、確定申告の際に改めて給与関連の数値を集計・入力する必要がなくなり、経理の知識に自信がない方でも、ミスなくスムーズに申告準備を進めることが可能です。マネーフォワード クラウド確定申告の全体像やさらに詳しい使い方については、下の記事で網羅的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【完全ガイド】マネーフォワード クラウド確定申告とは?使い方・評判・料金まで個人事業主向けに徹底解説
【実践】マネーフォワード クラウド給与の初期設定ガイド
マネーフォワード クラウド給与の導入を決めたら、まずは初期設定を正確に行うことが重要です。ここで入力した情報が、今後のすべての給与計算の基礎となります。少し手間に感じるかもしれませんが、丁寧に進めていきましょう。大まかな流れは「事業所情報の登録」「従業員情報の入力」「給与体系の設定」の3ステップです。
ステップ1:事業所の基本情報を登録する
最初に、あなたの事業所に関する情報を登録します。マネーフォワード クラウド給与にログイン後、設定画面から「事業所」メニューを選択します。ここで入力する主な項目は以下の通りです。
- 事業所名、所在地、電話番号: 基本的な情報です。
- 労働保険番号、法人番号: 労働保険に加入した際に発行される番号などを入力します。個人事業主の場合は法人番号はありません。
- 社会保険: 健康保険・厚生年金保険の加入状況や事業所整理記号などを入力します。協会けんぽなのか、特定の組合健保なのかを選択します。
- 締日・支払日: 従業員の給与計算の対象期間(例:末日締め)と、実際の給与支払日(例:翌月25日払い)を設定します。
これらの情報は、給与明細や後述する「所得税徴収高計算書」などの公的書類にも印字される重要な情報ですので、手元に資料(年金事務所や労働基準監督署からの書類など)を用意して、間違いのないように入力しましょう。
ステップ2:従業員情報を正確に入力する
次に、給与を支払う従業員の情報を一人ひとり登録していきます。「従業員情報」メニューから新規登録画面を開き、以下の情報を入力します。
- 基本情報: 氏名、住所、生年月日、入社年月日など。
- 給与・賞与: 月給制、時給制などの給与形態と、基本給や時給の金額を設定します。
- 社会保険・労働保険: 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の加入状況を選択します。パート・アルバイトで加入義務がない場合は「加入しない」を選択できます。
- 税: 源泉所得税の計算方法(月額表の甲欄・乙欄など)や、住民税の徴収方法(特別徴収・普通徴収)を設定します。また、扶養親族の情報を入力することで、所得税計算がより正確になります。
特に「扶養親族の有無」や「源泉所得税の計算方法(甲乙)」は、毎月の所得税額に直接影響する非常に重要な項目です。従業員から提出された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の内容を正確に反映させることが、後々の年末調整をスムーズに進める鍵となります。
ステップ3:支給項目・控除項目を設定する
最後に、給与明細に記載される項目をカスタマイズします。「基本設定」>「支給項目」や「控除項目」から設定します。デフォルトで「基本給」「健康保険料」などが用意されていますが、事業所の実態に合わせて項目を追加・編集します。
- 支給項目: 基本給以外に支払う手当です。「通勤手当(非課税枠の設定も可能)」「役職手当」「資格手当」などが考えられます。
- 控除項目: 給与から天引きする項目です。社会保険料や税金以外に、「親睦会費」「財形貯蓄」など、労使協定に基づいて控除する項目があれば設定します。
例えば、通勤手当は一定額まで所得税が非課税になりますが、マネーフォワード クラウド給与では、支給項目設定時に「課税区分」を「非課税」に設定するだけで、自動的に非課税枠を考慮した所得税計算が行われます。このような細かい設定が、正確な給与計算を支えています。ここまで完了すれば、初期設定は終了です。
毎月の給与支払いと源泉所得税の納付フロー
初期設定が完了すれば、いよいよ毎月の給与計算が始まります。マネーフォワード クラウド給与を使えば、これまで手作業で行っていたら数時間かかっていたかもしれない作業が、わずかな時間で完了します。ここでは、給与計算から源泉所得税の納付までの一連の流れを具体的に見ていきましょう。
月々の給与計算と給与明細の発行
給与の締日を迎えたら、給与計算を開始します。「給与計算」メニューを開くと、登録されている従業員の一覧が表示されます。ここで行う作業は非常にシンプルです。
- 勤怠情報の入力: 従業員ごとの労働日数、時間外労働時間、休日労働時間、欠勤日数などを入力します。これらの勤怠情報に基づいて、残業代などが自動で計算されます。
- 計算内容の確認: 勤怠情報を入力すると、即座に総支給額、控除額、手取り額(差引支給額)が自動計算されます。各従業員の計算結果に間違いがないか、画面上で確認します。特に、イレギュラーな手当や控除がある月は注意深くチェックしましょう。
- 給与計算の確定: 全従業員の計算内容に問題がなければ、「計算を確定する」ボタンをクリックします。これでこの月の給与データがロックされ、給与明細が作成されます。
確定後、「給与明細」メニューから各従業員の明細を確認・印刷できます。また、Web明細機能を有効にしていれば、従業員は自分のスマートフォンやPCからいつでも給与明細を閲覧できるようになり、ペーパーレス化も実現できます。
源泉所得税の計算と「所得税徴収高計算書」の作成
従業員から預かった源泉所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに国に納付する必要があります。この納付の際に必要となるのが「所得税徴収高計算書(納付書)」です。マネーフォワード クラウド給与では、この書類も自動で作成できます。「帳票」メニューから「所得税徴収高計算書」を選択するだけで、その月の納付すべき源泉所得税の合計額が記載された帳票がPDFで出力されます。従業員が10人未満の事業所で「納期の特例」の承認を受けている場合は、半年分(1月〜6月分を7月10日、7月〜12月分を翌年1月20日)をまとめて納付することも可能で、マネーフォワード クラウド給与はその計算にも対応しています。
源泉所得税の納付方法
作成した所得税徴収高計算書を使って、実際に源泉所得税を納付します。主な納付方法は以下の2つです。
- 金融機関や税務署の窓口で納付: 出力した所得税徴収高計算書を印刷して、銀行や郵便局、所轄の税務署の窓口に持参し、現金で納付します。最もシンプルで分かりやすい方法です。
- e-Tax(電子納税)で納付: e-Taxを利用して、インターネットバンキングやクレジットカードで電子納税を行うことも可能です。これにより、窓口へ行く手間が省けます。マネーフォワード クラウド給与は、e-Taxで納付手続きを行うためのデータ(CSV形式など)を出力する機能もサポートしています。
納付が完了したら、マネーフォワード クラウド確定申告側で「預り金」を支払った仕訳を登録します。これにより、会計帳簿上の残高も正しく管理することができます。
年末調整もマネーフォワードで完結!具体的な手順を解説
従業員を雇用する個人事業主にとって、一年のうちで最も大きな事務作業の山場が「年末調整」です。年末調整とは、毎月の給与から源泉徴収した所得税の合計額と、その従業員が本来納めるべき年間の所得税額を比較し、その差額を精算する手続きのことです。これを怠ると、追徴課税などのペナルティを受ける可能性もあります。しかし、マネーフォワード クラウド給与を活用すれば、この複雑なプロセスも驚くほどシンプルになります。
ステップ1:年末調整の準備
年末調整をスムーズに進めるためには、事前の準備が欠かせません。11月頃になったら、従業員に以下の書類の提出を依頼します。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書: 翌年分の扶養家族の状況などを申告してもらう書類です。
- 給与所得者の保険料控除申告書: 従業員が支払った生命保険料や地震保険料などを申告してもらう書類です。
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書: 従業員本人や配偶者の所得状況などを申告してもらう書類です。
マネーフォワード クラウド給与では、これらの申告書情報を従業員がWeb上で直接入力できる機能があります。従業員は質問に答えていくだけで簡単に入力が完了し、管理者はその内容を画面上で確認・承認するだけ。書類の配布・回収・転記といった手間がなくなり、ペーパーレスで効率的に情報を収集できます。
ステップ2:マネーフォワード クラウド給与での年末調整計算
従業員からの申告情報が集まったら、いよいよ年末調整の計算を実行します。「年末調整」メニューから計算対象の従業員を選択し、計算を開始します。ここでの作業も非常に簡単です。
- 申告情報の確認・反映: 従業員が入力した保険料控除などの情報を確認し、計算に反映させます。例えば、生命保険料の控除額なども自動で計算されます。
- 年調計算の実行: 「年調計算」ボタンをクリックすると、1年間の給与・賞与の総額と、徴収済みの源泉所得税額、そして各種控除を反映した最終的な年税額が自動で計算されます。
- 過不足額の精算: 計算結果として、年税額に対する過不足額(還付または徴収)が算出されます。この金額を、通常は12月の最終給与または1月の給与で精算します。マネーフォワード クラウド給与では、この精算額を給与計算に自動で反映させることも可能です。
システムがすべての計算を担ってくれるため、複雑な控除計算や税額計算の知識がなくても、ミスなく正確な年末調整を完了させることができます。
ステップ3:源泉徴収票や法定調書の作成と提出
年末調整が完了したら、関連する公的書類を作成し、税務署や市区町村に提出します。マネーフォワード クラウド給与では、これらの書類も自動で作成できます。
- 源泉徴収票: 年末調整の結果を記載した書類。1部を従業員に交付し、もう1部(条件に該当する場合)を税務署に提出します。
- 給与支払報告書: 源泉徴収票とほぼ同じ内容の書類で、従業員が住む市区町村に提出します。これは翌年度の住民税を計算するための基礎資料となります。
- 法定調書合計表: 1年間の給与支払総額や源泉徴収税額などをまとめた報告書で、税務署に提出します。
これらの書類はPDFで出力して印刷・郵送することもできますし、e-TaxやeLTAXといった電-子申告システムに対応したファイル形式で出力し、オンラインで提出手続きを完結させることも可能です。
まとめ:バックオフィス業務を効率化し、本業に集中しよう
この記事では、従業員を雇った個人事業主が「マネーフォワード クラウド給与」を活用して、毎月の給与計算から源泉所得税の管理、そして年末調整までをスムーズに行う方法を解説しました。手作業では膨大な時間と手間がかかり、ミスも起こりがちな給与関連業務ですが、優れたクラウドサービスを導入することで、その負担を劇的に軽減できます。
マネーフォワード クラウド給与を導入するメリットは、単なる時間短縮だけではありません。法改正への自動対応や会計ソフトとの連携により、常に正確で法令に準拠した管理体制を構築できるという安心感を得られます。これにより、あなたは煩雑なバックオフィス業務から解放され、事業の成長という最も重要な本業に集中するための貴重な時間とエネルギーを生み出すことができるのです。
マネーフォワード クラウド給与には、機能を試せる無料プランも用意されています。まずはその使いやすさと効率性を、あなた自身で体験してみてはいかがでしょうか。未来の事業拡大を見据え、信頼できるパートナーとしてマネーフォワードの導入をぜひご検討ください。
