本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の記事を元に、日本のGoogle WorkspaceユーザーおよびGoogle Workspaceに興味がある方々に向けて、2025年12月17日に公開された情報を分かりやすく解説したものです。
ビジネスツールとしてだけでなく、個人的なコミュニケーションツールとしても普及が進むGoogle Chat。
便利になる一方で、見知らぬアカウントから突然メッセージが届いたり、怪しいスペースへの招待が来たりして、不安を感じたことはありませんか?
特に、Googleアカウントはメールアドレスだけで連絡が取れてしまうため、スパムや迷惑メッセージの標的になりやすい側面もありました。
「知らない人からの連絡は受け取りたくない」
「業務に関係ないスパム招待をシャットアウトしたい」
そんなユーザーの切実な声に応える、強力なセキュリティ機能がついに実装されました。
2025年12月17日、GoogleはGoogle Chatに「未知の送信者からのメッセージをブロック(制限)する」新しい設定を追加しました。
これにより、ユーザーは自分自身で「誰からの連絡を受け入れるか」をコントロールできるようになります。
今回は、この新機能がどのような仕組みで動くのか、そしてどのように設定すればよいのかを詳しく解説します。
何が変わるのか?「既知の相手」以外をシャットアウト
これまでのGoogle Chatでは、デフォルト設定で「誰でも」あなたに1対1のメッセージリクエストやスペースへの招待を送ることができました。
今回のアップデートにより、この「入り口」を狭めることができるようになります。
新しく追加される設定を使うと、以下の条件に当てはまらない(=未知の)相手からのリクエストを、自動的に「スパム」フォルダに振り分けることができます。
「既知の相手(Known senders)」の条件:
-
過去にやり取りがある相手: すでに会話をしたことがあるユーザー。
-
連絡先に登録されている相手: Googleコンタクト(連絡先)に登録されているユーザー。
これらに該当しない、全く接点のない外部ユーザーからの招待は、あなたの受信トレイに通知されることなく、静かにスパムとして処理されます。
これにより、悪意のあるスパム業者や、無差別に招待を送ってくる迷惑なユーザーからの通知に悩まされることがなくなります。
社内の連絡は大丈夫?
「設定をオンにしたら、新入社員や他部署の人からの連絡も届かなくなるのでは?」と心配になる方もいるかもしれません。
ご安心ください。この機能は**「組織外(外部ドメイン)」のユーザーに対してのみ**適用されます。
同じ会社の同僚(同じドメインのユーザー)からのメッセージや招待は、過去に会話がなくても、連絡先に登録されていなくても、これまで通り正常に届きます。
社内コミュニケーションの円滑さを損なうことなく、外部からの不審なアクセスだけを遮断できる、非常に実用的な設計になっています。
細かい設定が可能:1対1とスペースを個別に制御
この制限設定は、以下の2つのパターンに対して個別にオン/オフを切り替えることができます。
-
1対1の会話(1:1 conversations)
個人宛のダイレクトメッセージの制限。 -
スペース(Spaces)
グループチャットやプロジェクトルームへの招待の制限。
例えば、「個人のDMは仕事の依頼が来るかもしれないから開放しておくけど、怪しい投資グループとかに勝手に追加されるのは嫌だからスペースの招待は制限する」といった使い分けも可能です。
誰が設定できる?
管理者の方へ:
この機能に関して、管理者が組織全体の設定を強制するようなコントロールはありません。あくまでエンドユーザー個人のプライバシー設定として提供されます。
エンドユーザーの方へ:
すべてのユーザーが、自分のGoogle Chat設定画面から自由に変更できます。
デフォルトでは、これまで通り「誰からの招待も受け取る」設定になっていますので、制限をかけたい場合は手動で設定を変更する必要があります。
設定方法(イメージ)
機能がロールアウトされると、Google Chatの設定画面(歯車アイコン)の中に、新しい項目が追加されます。
「メッセージリクエスト」や「プライバシー」といったセクションの中に、「未知の送信者からのメッセージを制限する」といった趣旨のチェックボックスやトグルスイッチが表示されるはずです。
ここから、1対1の会話やスペースへの招待について、制限を有効化してください。
展開スケジュールと対象ユーザー
展開スケジュール:
即時リリース(Rapid Release)および計画的リリース(Scheduled Release)の両ドメインにおいて、2025年12月16日より展開が開始されています。
機能が全員に行き渡るまでには、1〜3日程度かかる見込みです。
対象ユーザー:
-
すべてのGoogle Workspaceをご利用のお客様
-
個人のGoogleアカウントをご利用のユーザー
企業ユーザーだけでなく、個人の無料アカウントでも利用できるため、プライベートでのスパム対策としても非常に有効です。
まとめ:自分の「受信トレイ」は自分で守る
チャットツールはオープンさが魅力ですが、それは同時にリスクでもあります。
今回のアップデートは、ユーザーに「門番」としての権限を与えるものです。
不要なノイズを遮断し、本当に必要なコミュニケーションだけに集中できる環境を作るために、ぜひこの新機能を活用してみてください。
特に、外部とのやり取りが少なく、スパム通知に悩まされている方は、設定を見直すことを強くお勧めします。