Lovableを使えば、驚くほど簡単にAIがWebアプリケーションを構築してくれます。
しかし、そのアプリが生成したデータを、次のアクションに繋げるにはどうすれば良いでしょうか。
例えば、問い合わせフォームの送信内容をリアルタイムでチームに共有したり、新規登録ユーザーのリストを自動で作成したりすることです。
手動でのコピー&ペーストは、時間がかかるだけでなく、ミスも発生しやすくなります。
この記事では、AIアプリ開発ツール「Lovable」と、ノーコード自動化プラットフォーム「Make(旧Integromat)」を連携させることで、データ送信を自動化する具体的なテクニックを解説します。
この連携をマスターすれば、あなたがLovableで生み出したアプリケーションの価値を最大限に引き出し、業務プロセスを劇的に効率化できます。
なぜLovableとMake(Integromat)の連携が重要なのか?
まずはじめに、なぜこの二つのツールを連携させることが、AIを活用したアプリ開発において非常に強力な武器となるのかを解説します。Lovableが持つ「アプリ生成能力」と、Makeが持つ「サービス連携能力」を組み合わせることで、単体では実現が難しい高度な自動化ワークフローを構築できるのです。
Lovable単体では難しい「データの外部連携」
Lovableは、自然言語での指示からReactとSupabaseをベースにした本格的なフルスタックアプリケーションを自動生成できる画期的なプラットフォームです。しかし、2026年2月時点では、アプリケーション内で発生したデータ(例:フォームからの送信データ、ユーザー登録情報など)を、能動的に外部のサービスへ「プッシュ通知」する機能は標準で備わっていません。
つまり、「アプリは完成したけれど、データ活用のために結局は手作業で情報を転記している」という状況に陥りがちです。これでは、せっかくAIで開発を高速化しても、運用フェーズでボトルネックが生まれてしまいます。リアルタイムな情報共有や、データの蓄積・分析を行うためには、手動作業を排除する仕組みが不可欠です。
Make(Integromat)が解決する自動化の課題
そこで登場するのが、Make(旧Integromat)です。Makeは、APIに関する専門知識がなくても、数百種類以上のWebサービス同士をブロックを繋ぐような直感的な操作で連携させられるノーコードプラットフォームです。Gmail、Slack、Googleスプレッドシート、Trelloなど、日常的に使う多くのツールに対応しています。
このMakeの機能の中でも特に重要なのが「Webhook」です。Webhookとは、あるサービスでイベントが発生した際に、指定したURLへ自動的にデータ(情報)を送信する仕組みです。Lovableのバックエンド(Lovable CloudのEdge Function)からこのWebhook URLを呼び出すように設定すれば、Lovableアプリ内で発生したイベントをトリガーに、Makeの自動化シナリオを起動させることができます。これにより、「Lovableから外部ツールへの一方通行のデータ連携」という課題を、スマートに解決できるのです。
この連携で実現できることの具体例
LovableとMakeを連携させることで、アイデア次第で様々な業務自動化が実現可能です。以下にいくつかの具体例を挙げます。
- 問い合わせ管理の自動化:Webサイトの問い合わせフォームから送信があった際に、内容を即座にSlackの特定チャンネルに通知する。
- リード管理の効率化:資料請求やユーザー登録があった場合に、顧客情報を自動でGoogleスプレッドシートやCRM(顧客管理システム)に記録する。
- Eコマースの受注処理:商品が購入されたら、在庫管理システムを更新し、同時にサンクスメールを送信する。
- プロジェクト管理との連携:ユーザーからのフィードバックがフォームで送信されたら、TrelloやAsanaに新しいタスクカードを自動で作成する。
このように、これまで手動で行っていた定型業務を完全に自動化し、チームはより創造的で重要な業務に集中できるようになります。
実践!LovableからMakeへデータを送信する基本設定
ここからは、実際にLovableからMakeへデータを送信するための具体的な設定手順を3つのステップで解説します。今回は、最も一般的な「フォームが送信されたら、その内容をMakeに送る」というシナリオを想定して進めます。この基本さえ押さえれば、様々な応用が可能です。
Step 1. Make側でWebhookトリガーを作成する
まず、データの受け口となるMakeのシナリオを作成します。
- Makeにログインし、ダッシュボードから「Create a new scenario」をクリックします。
- 最初のモジュール選択画面で「Webhooks」と検索し、選択します。
- トリガーの一覧から「Custom webhook」を選びます。
- 「Add」ボタンをクリックして新しいWebhookを作成します。Webhook名(例: Lovable Form Hook)を入力し、「Save」をクリックします。
- すると、固有のWebhook URLが生成されます。このURLは後でLovable側に設定するため、「Copy address to clipboard」をクリックしてコピーしておきましょう。
- 「OK」を押したら、一旦この状態で待機します。Makeは最初のデータ受信を待っている状態になります。
このステップは非常に簡単です。重要なのは、生成されたWebhook URLを安全な場所に保管しておくことです。このURLが外部に漏れると、誰でもあなたの自動化シナリオを実行できてしまうため、取り扱いには注意してください。
Step 2. Lovableのバックエンド(Edge Function)を編集する
次に、Lovable側で、フォーム送信などのイベント発生時に、先ほどコピーしたMakeのWebhook URLへデータを送信する処理を実装します。LovableはバックエンドにSupabaseベースのEdge Functionsを利用しているため、ここにコードを追記します。
- Lovableのプロジェクトエディタを開き、フォーム送信を処理しているファイルを探します。通常、フロントエンドのコンポーネントファイル(例: `ContactForm.tsx`)からバックエンド関数を呼び出していることが多いです。
- 呼び出されているEdge Functionのファイル(例: `functions/submit-form/index.ts`)を開きます。
- フォームデータをデータベースに保存するなどの処理の後ろに、Makeへデータを送信するコードを追加します。JavaScriptの`fetch`APIを使用するのが簡単です。
以下は、Denoで書かれたEdge Function内に追加するコードのサンプルです。
// ... データベースへの保存処理など
const makeWebhookUrl = "ここにStep1でコピーしたMakeのWebhook URLを貼り付け";
const response = await fetch(makeWebhookUrl, { method: 'POST', headers: { 'Content-Type': 'application/json', }, body: JSON.stringify({ name: "送信された名前データ", email: "送信されたメールアドレスデータ", message: "送信されたメッセージデータ", }),
});
if (response.ok) { console.log("Successfully sent data to Make.");
} else { console.error("Failed to send data to Make.");
}
// ... 関数の戻り値などの処理【独自の視点:より安全な管理方法】
コード内に直接Webhook URLを書き込むのは、セキュリティや管理の観点から推奨されません。URLが変更になった場合にコードを修正する必要も出てきます。そこで、Lovable Cloudが提供する環境変数の機能を利用しましょう。Lovableのプロジェクト設定から環境変数を追加し(例: `MAKE_WEBHOOK_URL`)、コード内では `Deno.env.get(‘MAKE_WEBHOOK_URL’)` のように呼び出すことで、より安全かつ柔軟に管理できます。
Step 3. テストデータを送信して連携を確認する
コードの編集が完了したら、実際に連携がうまくいくかテストします。
- Lovableのプレビュー画面や公開URLから、設定したフォームにテストデータを入力して送信します。
- Makeのシナリオ編集画面に戻ります。Webhookモジュールの上に「1」という吹き出しが表示されれば、データ受信は成功です。
- 吹き出しをクリックすると、「Downloads」に受信したデータの中身(`body`)が表示されます。ここで、Lovableから送信したデータ(名前、メールアドレスなど)が正しくJSON形式で格納されているかを確認しましょう。
この確認が取れれば、LovableからMakeへのデータ送信設定は完了です。あとは、Make側でこのデータをどのように処理するかを組み立てていくだけです。
応用編:受信したデータを外部ツールに自動連携する
基本設定が完了し、Lovableからデータが送られてくるようになったら、次はそのデータを活用するステップです。Makeのシナリオにモジュールを追加していくことで、様々なツールとの連携をノーコードで実現できます。ここでは、特に利用頻度の高い2つの事例を紹介します。
事例1:問い合わせ内容をSlackにリアルタイム通知する
ユーザーからの問い合わせに迅速に対応するため、Slackへのリアルタイム通知は非常に有効です。設定は驚くほど簡単です。
- Makeのシナリオで、先ほど設定したWebhookモジュールの右側にある「+」をクリックして、新しいモジュールを追加します。
- 「Slack」と検索し、選択します。
- アクションの一覧から「Create a Message」を選びます。
- Slackアカウントへの接続設定を行った後、通知先のチャンネル(公開チャンネル or プライベートチャンネル)を選択します。
- 「Text」の入力欄で、通知するメッセージの内容を作成します。ここでMakeの真価が発揮されます。入力欄をクリックすると、前のWebhookモジュールで受信したデータ項目(`name`, `email`, `message`など)が一覧で表示されます。
- これらの項目をクリックして選択することで、メッセージ内に動的なデータを埋め込むことができます。例えば、以下のように設定します。
新規の問い合わせがありました!\nお名前: `1. name`\nメールアドレス: `1. email`\n内容:\n`1. message` - 設定が完了したらシナリオを保存し、左下のスイッチを「ON」にして有効化します。
これで、Lovableのフォームから問い合わせが送信されるたびに、設定したSlackチャンネルに整形されたメッセージが自動で投稿されるようになります。
事例2:新規ユーザー情報をGoogleスプレッドシートに蓄積する
ユーザー登録があった際に、その情報をスプレッドシートに自動で記録しておけば、マーケティングリストの作成やユーザー動向の分析に役立ちます。
- まず、Googleスプレッドシートで記録用のシートを作成します。1行目にはヘッダーとして「登録日時」「名前」「メールアドレス」などのカラム名を設定しておきましょう。
- Makeのシナリオに「Google Sheets」モジュールを追加します。
- アクションとして「Add a Row」を選択します。
- Googleアカウントに接続し、先ほど作成したスプレッドシートとシート名を指定します。
- すると、スプレッドシートのヘッダー名が項目として表示されます。各項目に対応するデータを、Webhookモジュールから受け取ったデータ項目から選択してマッピングします。例えば、「名前」の項目には`1. name`を、「メールアドレス」の項目には`1. email`を設定します。「登録日時」には、Makeが提供する特殊な日付変数 `now` を設定すると便利です。
- 設定が完了したらシナリオを有効化します。
これにより、手作業でのコピー&ペーストは完全に不要になり、Lovableアプリで獲得したユーザーリストが自動的に構築されていきます。
【独自の視点】エラーハンドリングと注意点
自動化シナリオを安定して運用するためには、エラーハンドリングが重要です。例えば、SlackやGoogleのサービスが一時的にダウンしていると、シナリオが失敗する可能性があります。Makeでは、モジュールを右クリックして「Add error handler」を選択することで、エラー発生時の代替ルート(例: 管理者にメールで通知する)を設定できます。
また、Makeのプランによっては、1ヶ月に実行できるシナリオの回数や転送できるデータ量に上限があります。大量のデータを扱う場合は、プランの見直しも検討しましょう。個人情報などの機密データを扱う際は、各サービスのプライバシーポリシーを確認し、適切なセキュリティ対策を講じることも忘れないでください。
まとめ:LovableとMakeでAIアプリの価値を最大化しよう
この記事では、AIアプリ開発ツール「Lovable」と自動化プラットフォーム「Make(Integromat)」を連携させる具体的な方法と、その活用事例について解説しました。
この連携のポイントは以下の通りです。
- Lovableで生成したアプリのデータを、MakeのWebhook機能を使って外部へ簡単に送信できる。
- Slack通知やGoogleスプレッドシートへの記録など、日常的な業務をノーコードで自動化できる。
- 手動作業をなくすことで、業務効率が飛躍的に向上し、より本質的なタスクに集中できる時間を生み出せる。
Lovableは「アプリを作る」プロセスを劇的に短縮してくれますが、その真価は「作ったアプリをいかに業務に組み込み、活用するか」にかかっています。Makeとの連携は、そのための最も強力で柔軟な手段の一つです。
今回紹介した基本的な連携方法をマスターすれば、あなたのアイデア次第で無限の自動化ワークフローを構築できます。まずは、Lovableで簡単なフォームアプリを作成し、その内容をSlackに通知するところから始めてみてはいかがでしょうか。
Lovableの基本的な使い方や、さらに高度な機能、料金プランの詳細については、こちらの【2026年完全版】Lovable(ラバブル)完全ガイド記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
AIによるアプリ開発と業務自動化の世界は、もう始まっています。その第一歩を、ぜひLovableで踏み出してみましょう。
