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プレスリリースの出し方は、「①ネタを決める→②ニュース性を判断→③本文を書く→④配信方法を選ぶ→⑤時期と素材を準備→⑥リスクを確認→⑦精査→⑧AIで効率化→⑨配信・効果測定→⑩改善」の10ステップに整理できます。「初めてプレスリリースを出すことになったが、何から手を付ければいいか分からない」——そんな広報・PR担当者が、作成から配信、配信後の分析までを迷わず進められるよう、配信サービスの比較・ピッチメール文例・精査チェックリスト25項目までワンストップでまとめた手順書です。
この記事のポイント(更新)
- プレスリリースの出し方を「ネタ選び→作成→配信→分析→改善」の10ステップで体系化
- 配信方法4種類+主要配信サービス(PR TIMES・ValuePress!・共同通信PRワイヤー・@Press)を料金・配信先媒体数で比較
- 記者への個別送付に使えるピッチメールの件名・本文テンプレートを掲載
- 配信前の精査チェックリスト25項目と、配信後の効果測定PDCA5ステップを収録
- ChatGPT・Claude・Genspark・Geminiを使い分けるAI効率化フロー(リサーチ→構成→本文→ファクトチェック)付き
プレスリリースの出し方を10ステップで解説【全体像】
プレスリリースの出し方とは、ニュース性のあるネタを選び、5W1Hを満たす本文を作成し、目的に合った配信方法とタイミングで届け、配信後に効果を測定して次に活かす一連の流れを指します。下記の10ステップに沿って進めれば、広報初心者でも抜け漏れなく1本目を配信できます。
- STEP1:出すべきタイミングとネタの種類を決める
- STEP2:配信できる内容か(ニュース性)を判断する
- STEP3:基本構成6要素と5W1Hで本文を書く
- STEP4:配信方法4種類とサービスを比較して選ぶ
- STEP5:配信時期・メディアリスト・画像素材を準備する
- STEP6:配信前に知っておくべきリスクと注意点を確認する
- STEP7:精査チェックリスト25項目で最終確認する
- STEP8:AIツールでリサーチ・作成を効率化する
- STEP9:配信してフォローアップと効果測定を行う
- STEP10:成功パターンを参考に次回へ改善する
プレスリリースとは?目的・効果と「広告・ニュースリリース」との違い
プレスリリースとは、企業や団体が新商品・新サービス・経営情報などの公式情報を、報道機関(新聞・テレビ・Web媒体・業界誌)やメディア関係者に向けて発信する公式文書のことです。広告と異なり原則として掲載料は発生せず、メディア側の編集判断を経て記事やニュースとして取り上げられる点が特徴です。「費用をかけて自社の主張をそのまま届ける広告」に対し、プレスリリースは「情報としての価値をメディアに評価してもらい、編集を経て届けてもらう」手段だと押さえましょう。
プレスリリースを出す3つの目的
プレスリリースを出す目的は、認知・信頼・SEOの3点に集約できます。自社の顧客リスト外へ情報を届け、第三者である報道機関の編集を通すことで、広告にはない客観性を獲得できます。
- 認知拡大:自社の商品・サービス・取り組みを、自社の顧客リスト外に届ける
- 信頼性向上:第三者である報道機関に取り上げられることで、広告にはない客観性・信頼性を獲得する
- SEO・被リンク獲得:配信サービスや掲載メディアからの被リンクにより、自社サイトの検索評価を底上げする
ニュースリリース・プレリリース・広告との違い
「プレスリリース」と混同されやすい用語を、発信目的の違いで整理します。実務上「プレスリリース」と「ニュースリリース」はほぼ同義で使われますが、ニュースリリースは消費者・株主を含む広い対象への一般発表、プレスリリースは報道機関向け、というニュアンスで使い分けられることがあります。
| 用語 | 主な送り先 | 目的・特徴 | 掲載料 |
|---|---|---|---|
| プレスリリース | 報道機関・記者 | 記事化を狙う公式発表。編集判断を経て掲載される | 原則なし |
| ニュースリリース | 報道機関+消費者・株主など | ほぼ同義。対象を広くとった一般向け発表として使うことが多い | 原則なし |
| プレリリース(事前告知) | 記者・関係者 | 発表前の解禁予告。エンバーゴ(解禁日時)を設定して先行共有する | 原則なし |
| 広告 | 媒体(出稿) | 費用を払って内容をそのまま掲載。表現の主導権は自社にある | あり |
STEP1|プレスリリースを出すべきタイミングとネタの種類
プレスリリースは「書きたいときに書く」ものではなく、ニュース性がある題材に合わせて出すものです。まずはメディアに取り上げられやすい代表的なネタ種別を押さえ、自社の動きと照らし合わせて配信機会を見つけましょう。
メディアに取り上げられやすい8つのネタ種別
- 新製品・新サービスの発表:発売日・提供開始日に合わせて配信する王道パターン
- 資金調達・上場・IPO:スタートアップの成長段階を示す節目の情報
- 業務提携・M&A・資本提携:業界構造への影響が大きく、専門メディアの関心が高い
- 調査・アンケート結果の発表:自社で取得した一次データは引用されやすく、被リンク獲得に有効
- 受賞・認定・特許取得:第三者評価を裏付ける客観情報
- 社会課題への取り組み(サステナビリティ・DEI等):時流に沿ったテーマで関心を集めやすい
- 人事情報(経営体制の変更・キーパーソン採用):ビジネスメディア向けの定番ネタ
- イベント・キャンペーンの開催:地方紙・業界誌に刺さりやすい
ニュース性を判断する3つの基準
ネタを見つけたら、そのまま出すのではなく、新規性・数字・社会文脈の3基準でニュース性を精査します。このうち最低2つを満たさない場合、記事化される確率は大きく下がります。
- 新規性・唯一性:「業界初」「日本初」など差別化できるポイントがあるか。根拠なく「世界初」と書くと景品表示法上のリスクがあるため、調査範囲を必ず明記します。
- 数字・客観データの有無:売上・ユーザー数・削減時間・改善率など、定量的に伝えられる指標があるか
- 社会的文脈との接続:人手不足・物価高・脱炭素・AI活用など、現在メディアが追っているテーマと自社の取り組みが重なるか
無理に出すより、数値やエビデンスを揃えてから配信するほうが、メディアとの信頼関係も長続きします。
STEP2|配信できる内容・できない内容:ネタ選びの判断基準
記者がプレスリリースを記事化するかどうかは、「読者にとってのニュースか」で決まります。自社都合の宣伝は採用されにくく、世の中ごと(社会性・新規性・数字)に接続したネタが採用されやすい——この線引きを最初に理解しておくと、配信の空振りを大きく減らせます。
| 配信に向くネタ | 配信を避けるべきネタ |
|---|---|
| 新製品・新サービスの提供開始 | すでに発表済み・解禁済みで新鮮味がない情報 |
| 資金調達・業務提携・M&A | 社内向けの軽微な変更や日常業務の報告 |
| 自社調査・アンケートの一次データ | 数字・客観性のない「主観的な自慢」 |
| 受賞・認定・特許など第三者評価 | 宣伝色が強すぎてニュース性が薄いもの |
| 社会課題・時流に接続した取り組み | 送り先メディアの読者層と無関係なテーマ(誤送信) |
記者に「だから何?」と思われる、意味のないプレスリリースの特徴
配信しても反応が得られないプレスリリースには、記者視点で共通する失敗パターンがあります。配信前に以下に当てはまっていないかを確認しましょう。
- 世の中ごとになっていない:自社の宣伝だけで、読者・社会にとっての意味が語られていない
- 新規性・数字がない:「がんばっています」式で、何が新しく、どれだけ変わるのかが不明
- 配信先が的外れ:BtoB向けの情報を一般消費者メディアへ、地域情報を全国経済紙へ送るなどの誤送信
- 情報が古い:すでに自社サイトやSNSで公開済みで、メディアにとっての先行性がない
- 論点が多すぎる:1通に複数テーマを詰め込み、結局何が一番のニュースか伝わらない
STEP3|プレスリリースの基本構成と書き方【5W1H活用法】
プレスリリースには、日本のメディアが期待する標準フォーマットがあります。「タイトル→配信日・会社名→リード文→本文→補足情報→会社概要・問い合わせ先」の6要素を、この順序で組み立てるのが基本です。
プレスリリースの基本構成6要素
- タイトル(見出し):40字以内。核心となる結論と数字・固有名詞を盛り込む
- 配信日・会社名:冒頭に明記
- リード文(要約):100〜150字。結論ファーストで「誰が・何を・いつ・どこで」を要約
- 本文:400〜600字を目安に「背景→概要→特長→今後の展望」の順に記載
- 補足情報:画像・動画・関連資料・データ出典
- 会社概要・問い合わせ先:会社名・代表者・本社所在地・URL・報道関係者向け連絡先(担当者名・電話・メール)
5W1H+逆ピラミッド構造で書く
プレスリリース本文は、新聞記事と同じ「逆ピラミッド構造」——結論→重要事実→詳細→背景の順に上から重要度が下がる構造で書きます。メディア担当者は冒頭数行で記事化を判断するため、リード文と第一段落に5W1Hを圧縮して配置します。
- Who(誰が):発表主体の企業・団体名
- What(何を):発表する商品・サービス・取り組みの内容
- When(いつ):発売日・開始日・期間
- Where(どこで):提供エリア・販売チャネル
- Why(なぜ):開発背景・社会的意義
- How(どのように):独自の仕組み・価格・入手方法
タイトルのNG例とOK例
タイトルはプレスリリースの採否を分ける最重要要素です。抽象的・情緒的な表現ではなく、固有名詞と数字で具体性を持たせましょう。
- NG例:「新サービスをリリースしました」(何を誰向けに提供するのか不明)
- OK例:「中小製造業向けAI見積もりSaaS『◯◯』を4月20日提供開始、見積もり作成時間を平均70%短縮」
絶対に避けるべきNGワード・誇大表現
以下の表現は景品表示法(不当表示)や業界自主規制に抵触するリスクがあるため、根拠を明記できない場合は使用を避けましょう。景品表示法は消費者庁、効能効果表現は薬機法(医薬品医療機器等法)の所管である厚生労働省の基準が判断軸になります。
- 最上級表現:「最高」「最安」「No.1」「唯一」「完全」「絶対」(客観的な調査根拠がない場合)
- 根拠のない誇張:「世界初」「業界初」「革命的」「画期的」(調査対象・出典を明記しない場合)
- 薬機法に触れる表現:一般食品・化粧品で「治る」「改善する」「効果がある」
- 金融商品取引法に触れる表現:「必ず儲かる」「元本保証」
STEP4|プレスリリースの配信方法4種類と選び方【比較表】
プレスリリースの配信方法は、配信サービス・個別メール直送・自社プレスルーム・SNS拡散の4種類に大きく分類できます。自社の規模・予算・目的に応じて2〜3種類を組み合わせるのが現実的です。
| 配信方法 | 費用感 | 到達範囲 | 難易度 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 配信サービス (PR TIMES・ValuePress!・共同通信PRワイヤー等) | 1配信約3〜8万円/月額約3〜8万円 | 数百〜数千媒体+SEO被リンク獲得 | 低(テンプレ入力) | 幅広い認知獲得・被リンク重視・リソース少なめの企業 |
| 個別メール直送 (担当記者に直接送付) | 無料(工数のみ) | 送付リスト次第(深度は高い) | 高(リスト構築が必要) | 業界特化の情報・関係性のあるメディアへの優先出し |
| 自社プレスルーム/オウンドメディア掲載 | 無料(自社サイト運用費) | 検索流入・既存ファン中心 | 中 | 検索経由のアーカイブ価値・IR情報の保管 |
| SNS拡散 (X・LinkedIn・Facebook) | 無料〜広告費 | フォロワー数と拡散力に依存 | 中 | 一般消費者向けトピック・速報性の高い情報 |
企業規模別の推奨の組み合わせ
- スタートアップ・個人事業主:配信サービス1社+SNS拡散+自社ブログ掲載
- 中小企業:配信サービス1〜2社+業界メディアへの個別送付+自社プレスルーム
- 大企業・上場企業:共同通信PRワイヤー等の大手+経済部記者への個別送付+IRページ掲載
主要配信サービス4社の料金・媒体数を比較
配信サービスを選ぶときは、料金だけでなく「配信先の媒体数」「無料枠の有無」「自社業種との相性」の4軸で比較します。下表は各社公式サイト記載の料金・媒体数の例(・税込目安)です。料金プランは改定されるため、申し込み前に必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。
| サービス | 料金の目安 | 配信先媒体数の目安 | 無料枠 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| PR TIMES | 1配信 約33,000円〜/月額プラン 約79,800円〜 | 約5,800媒体 | なし(法人確認あり) | 幅広い認知・被リンク重視。利用企業が多く拡散力が高い |
| ValuePress! | 無料お試しプラン+有料プラン | 約2,100媒体 | あり | コストを抑えて始めたい中小・スタートアップ |
| 共同通信PRワイヤー | 1配信 約55,000円〜 | 全国紙・地方紙ネットワークに強い | なし | 大企業・IR・全国紙/地方紙への到達重視 |
| @Press(アットプレス) | 1配信 約27,500円〜 | 配信前の人力チェックに定評 | なし | 配信先の正確性・到達品質を重視する中小企業 |
配信サービスの登録〜送信フローと審査・公開までの所要時間
配信サービスは、会員登録→原稿入稿→審査→公開という流れで進みます。入稿から公開までは即時〜数営業時間が目安で、当日配信には午前中の入稿が必要なケースが多いため、希望日時から逆算して準備します。一般的な所要時間の目安は次のとおりです(各社公式サイト記載、連休前・祝前日は翌営業日扱いになる場合あり)。
- PR TIMES:入稿〜公開まで通常1〜3営業時間(審査あり)。当日配信は午前中の入稿が目安
- ValuePress!:即時〜数時間
- 共同通信PRワイヤー:前営業日17時までの入稿で翌朝配信が標準
無料・有料の選び方の基準はシンプルです。初回や小規模なら無料枠のあるサービスで配信に慣れ、被リンクや拡散力を本格的に取りにいく段階で有料の大手へ移行すると無理がありません。少なくとも配信希望日の2営業日前には入稿を完了させておくと安心です。
メール個別送付(ピッチメール)のテンプレート
関係性のある記者や業界専門メディアには、配信サービスとは別に個別メール(ピッチメール)を送ると掲載率が上がります。本文は200〜300字以内に収め、件名でニュースの核心を伝えるのがコツです。以下のテンプレートをそのまま流用できます。
件名例:【新製品発表】〇〇社、AI見積もりSaaS『◯◯』を4/20提供開始(資料PDF添付)
本文構成(①〜④を200〜300字で):
- 宛名・自己紹介(1行):「〇〇新聞 △△様 〇〇社 広報担当の□□と申します。」
- ニュース要旨(2〜3文):誰が・何を・いつ・どんな価値で(数字を含める)
- 取材・掲載への協力意向:「詳細資料・取材対応・画像素材をご用意しています。」
- 問い合わせ先:担当者名・電話・メール・自社URL
添付は重いファイルを避け、PDF1点+画像数点に絞るのが基本です。一斉送信ではなく、相手の媒体・読者に触れた一言を添えると返信率が上がります。
記者クラブ・FAX・郵送のマナーと使いどころ
地方自治体・官公庁・業界団体に紐づく「記者クラブ」への投げ込み(資料配布)は、地域メディアへ一括で届く有効な手段です。各記者クラブの幹事社に事前連絡し、所定の部数(在籍社数分)の資料を持参または郵送するのが基本マナーで、配布日時のルールが定められているクラブもあります。FAX・郵送は高齢層の読者を持つ地方紙や一部業界誌でまだ有効ですが、A4・1〜2枚に要点をまとめ、連絡先を必ず明記します。
自社サイト・SNS公開と配信サービスの連動
配信サービスでの公開と同時に、自社プレスルームに同じ内容を掲載し、X・LinkedIn・FacebookでURLを共有すると、検索流入・指名検索・拡散の相乗効果が生まれます。自社サイト掲載分は配信日時を合わせ、SNS投稿には画像と一文要約を添えてクリック率を高めます。ただし自社サイトやSNSで先に全文公開してしまうとメディアにとっての先行性が失われるため、公開のタイミングは配信と同時かやや後ろに設定します。
STEP5|配信時期・タイミングと事前準備(メディアリスト・素材)
配信曜日・時間帯の目安
各配信サービスの公開レポートや広報担当者の経験則を総合すると、プレスリリースの開封率が高いのは火曜〜木曜の午前10時〜11時、または午後2時〜4時台とされています。月曜午前は週明けの業務で埋もれやすく、金曜夕方は翌週扱いになりやすいため避けるのが無難です。決算発表や大手企業の大型発表が重なる日は記事化されにくいため、経済紙の朝刊チェックと合わせて配信日を調整します。
業種・月次・年間カレンダーで見る「出す時期」の判断
「いつ出すか」は時間帯だけでなく、年間・月次のカレンダーでも判断します。決算発表が集中する3月・9月、ゴールデンウィーク前後(4月末〜5月初)、年末年始(12/28〜1/4)は埋もれやすいため避けるのが基本です。月内では月初・月末より、業務が落ち着く月中(おおむね10〜20日)のほうが目に留まりやすい傾向があります。業種別の書き入れ時の目安は次のとおりです。
- EC・小売:年末商戦前の9〜10月(クリスマス・年末特集の企画が動く時期)
- BtoB SaaS・法人向け:新年度予算の検討が進む1〜2月
- 採用・人材系:就職・転職が活発化する1〜3月・9〜10月
準備期間の目安
- 初回のプレスリリース:2〜4週間(フォーマット設計・法務確認・メディアリスト作成を含む)
- 2回目以降:1〜2週間(テンプレと既存リストを流用)
メディアリストの作り方(誰に・何を・どの形式で)
メディアリストは、単なる連絡先一覧ではなく「どのメディアに・何を・どの形式で送るか」まで設計します。次の3ステップで、刺さる相手に最適な形で届けられるよう整えます。
- 対象メディアのカテゴリ分類:経済紙/業界誌/地方紙/Web専門メディア/ラジオ・テレビの5分類で、自社ネタが刺さる媒体をリストアップ
- 担当記者の特定:過去に同業の記事を書いている記者名を、署名やX(旧Twitter)のプロフィール等から確認。「何を」送るかは記者の関心テーマに合わせる
- リスト管理と送付形式の設計:Googleスプレッドシート・Notion・Airtable等で、媒体名・担当者名・連絡先・前回送付日・掲載実績に加え、「配信サービス経由/個別メール/記者クラブ」のどの形式で送るかを記録
画像・ビジュアル素材の選定と準備
画像が添えられたプレスリリースは、Web媒体での転載率・クリック率が高まります。横長(おおむね1200×630px以上)のメインビジュアルを1枚+商品・ロゴ・図表を2〜4枚、合計3〜5枚を高解像度で用意するのが目安です。素材は必ず自社撮影・自社作成か、利用許諾済みのものを使い、人物が写る場合は本人同意を取得します。グラフや図表は出典を画像内にも明記しておくと、そのまま記事に使われやすくなります。
問い合わせ急増への対応体制の構築
掲載が決まると、取材依頼や顧客からの問い合わせが一気に増えます。配信前に、窓口担当者の指名・想定問答(FAQ)シートの作成・SNS上の反応監視の3点を準備しておきましょう。営業・カスタマーサポート部門にも内容と配信日時を事前共有し、電話・メールが営業時間内に応答できる体制を整えておくと、せっかくの掲載を取りこぼしません。
STEP6|配信前に知っておくべきリスクと注意点
プレスリリースは公開した瞬間に取り消せない外部発信です。配信前に「報道リスク・表現リスク・情報漏洩リスク・初動対応」の4点を点検しておくと、配信後のトラブルを大きく減らせます。
① 望ましくない報道・切り取り報道のリスク
発表内容の一部だけが切り取られ、意図と異なる文脈で報じられることがあります。対策として、主張の根拠と立場をまとめた「ポジションペーパー」と、聞かれそうな質問への回答を整理した「想定問答リスト」を事前に準備します。数字の前提条件(調査対象・期間・サンプル数)を本文に明記しておくと、誤った解釈での引用を防げます。
② 過度な宣伝表現による記者の心理的離脱
宣伝色が強すぎる文章は、記者が読んだ瞬間に「広告」と判断し離脱します。「業界最高峰」「圧倒的」「革命的」「他社とは一線を画す」といった根拠のない自画自賛は削り、数字と事実で語るのが鉄則です。「平均70%短縮(自社調べ・対象◯件)」のように、主観表現を客観データに置き換えます。
③ 競合への情報漏洩リスクと解禁日(エンバーゴ)の活用
発表前に情報が外部へ伝わると、競合に先回りされる恐れがあります。記者に先行共有する場合は、「◯月◯日◯時まで報道しないでください」という解禁日時(エンバーゴ)を明記して渡します。社内でも、配信前は関係者を限定し、共有ファイルのアクセス権を絞っておきます。
④ 問い合わせ急増・炎上時の初動対応フロー
万一、表現や事実関係に指摘が入った場合は、初動の速さが信頼を左右します。「事実確認→社内共有→訂正版の再配信→掲載メディアへの個別連絡」の順に動けるよう、判断者と連絡経路を事前に決めておきます。誤植や事実誤認が判明したら、配信サービスで速やかに訂正版を再アップし、掲載済みメディアにも個別に連絡します。
STEP7|配信前の精査チェックリスト【25項目】
配信ボタンを押す前に必ず確認したい25項目のチェックリストです。コピーしてGoogleドキュメントやNotionに貼り付け、社内の承認フローに組み込んでご活用ください。
① 内容の正確性(5項目)
- □ 5W1H(Who/What/When/Where/Why/How)がリード文で明示されているか
- □ 発表日・発売日・価格・数量などの数値はすべて原典で確認済みか
- □ 人名・会社名・商品名の表記(漢字・カナ・スペル)に誤りはないか
- □ 引用した統計・調査データの出典(機関名・調査年)を明記したか
- □ 過去の同社プレスリリースと数値・表記が矛盾していないか
② 表現の精査(5項目)
- □ 「最高」「唯一」「世界初」等の最上級表現に客観的根拠があるか
- □ 医薬品医療機器等法・健康増進法に抵触する効能効果表現はないか
- □ 金融商品取引法に抵触する「必ず儲かる」等の表現はないか
- □ 差別的表現・不適切表現(性別・年齢・職業・国籍など)が混入していないか
- □ 業界専門用語に対して一般読者向けの補足説明があるか
③ 法的・コンプライアンス確認(5項目)
- □ 景品表示法(優良誤認・有利誤認)の観点で問題ないか
- □ 他社名・他社商品名の言及が商標権・名誉毀損に抵触しないか
- □ 画像・図表・グラフの著作権(自社素材か、利用許諾済みか)を確認したか
- □ 顧客名・個人名の掲載について本人同意を取得しているか
- □ 提携先・資金調達先など他社が関わる情報について相手方の承認を得たか
④ 社内承認フロー(5項目)
- □ 担当部署のマネージャー確認が完了しているか
- □ 法務部/顧問弁護士のリーガルチェックが完了しているか
- □ 役員・経営層の最終承認が下りているか
- □ IR情報・決算関連の場合、開示タイミングの規制(適時開示)を遵守しているか
- □ 関連部署(営業・カスタマーサポート)に事前共有し、問い合わせ対応準備ができているか
⑤ 技術・配信準備(5項目)
- □ 添付画像・動画のファイルサイズ・解像度が配信サービスの規定内か
- □ 本文内のURL・問い合わせ先メールアドレスが全てリンク切れなく動作するか
- □ 配信先メディアリストの宛先に誤りはないか(テスト送信済みか)
- □ 配信日時が火〜木の推奨時間帯に設定されているか
- □ 配信後の問い合わせ窓口(担当者・電話・メール)が営業時間内に応答可能か
STEP8|AIツールを活用したプレスリリース作成の効率化【ツール別比較】
プレスリリース作成で最も時間を奪われる「リサーチ」「構成検討」「下書き」は、AIツールで大幅に短縮できます。特定ツールに依存せず、用途ごとにChatGPT・Claude・Genspark・Geminiを使い分けるのが、品質と効率を両立させる現実的な方法です。
主要AIツールの使い分け(比較)
料金は各社公式サイト記載の目安()で、無料枠でも基本的な作業は試せます。最新の料金・仕様は各公式サイトで確認してください。
| ツール | 得意領域 | プレスリリース用途での強み | 料金の目安 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 文章生成・構成 | タイトル案出し・本文のたたき台・トーン調整 | 無料〜月20ドル前後 |
| Claude | 長文読解・推敲 | 企画資料の要約、長文の推敲・表記統一・トーン統一 | 無料〜月20ドル前後 |
| Gemini | Google検索連携 | 最新の市場・競合情報のリサーチと要約 | 無料〜 |
| Genspark | 複数エージェント並列リサーチ | 競合・市場の横断リサーチ+共有用ページの自動生成 | 無料〜Plus(有料) |
AIを使った効率化の4フロー
ツールが変わっても、効率化の流れは共通です。次の4ステップで進め、最後のファクトチェックと独自性の追加は必ず人間が担当します。
- リサーチ:競合サービス・市場規模・ターゲットの課題・関連トレンドを収集し、出典URLごとに整理する
- 構成案作成:基本構成6要素と5W1Hを満たすよう、タイトル案5本・リード文・本文構成を生成する
- 本文ドラフト生成:企画書や技術資料を読み込ませ、各セクションの下書きを作る
- ファクトチェック・独自性追加(人間):数値を原典で確認し、開発秘話など一次体験を加え、法務確認を行う
導入してわかった、AI活用で本当に効くポイント
筆者も自社の告知でこのフローを運用しています。以前は競合リサーチから初稿づくりまでに丸1日(おおむね6〜7時間)かかっていましたが、リサーチと構成のたたき台をAIに任せることで、初稿到達までの時間が体感で半分以下になりました。一方で、AIが出した数字をそのまま使うと誤りが混入することが何度かあり、結局「出典URLに自分でアクセスして数値を確認する」工程は外せないと痛感しています。AIは骨子づくりまで、仕上げと検証は人間、という分担が品質を保つ鍵です。提案資料や報告書づくりにAIを使う具体例は、NPOのファンドレイジングでAIを活用した実践事例でも詳しく紹介しています。
コラム:Gensparkを使った具体的ワークフロー(活用例)
AIエージェント「Genspark(ジェンスパーク)」は、複数のAIが並列でリサーチ・分析・資料生成を行うAIワークスペースです。プレスリリース作成に応用する場合、次の6ステップで進められます。
- Genspark Hubで案件専用ワークスペースを作成:「2026年4月 新サービス〇〇ローンチ」のようなHubを作り、企画書や技術資料をアップロードしておく
- Super Agentで競合・業界動向を高速リサーチ:競合の最新動向・市場規模・ターゲットの課題・社会トレンドを一括で依頼。出典URLが明記されるためファクトチェックも容易
- Sparkpageで切り口を整理・共有:結果がWebページ形式で出力され、URLでチームに共有できる。競合比較から自社の優位点を発見する
- 最新AIモデルで構成案を作成:「基本構成6要素」と「5W1H」を満たすよう指示し、タイトル案5本・リード文150字・本文構成を生成
- Hubのコンテキストで本文を自動生成:アップロード済みの企画書を参照させ、各セクションの下書きを作る
- 独自性の追加と必須のファクトチェック:開発秘話の追加、NGワードの置換、数字・固有名詞の原典確認、景品表示法・薬機法・著作権の法務確認を人間が仕上げる
Gensparkの機能や料金体系を体系的に知りたい方は、Gensparkの使い方・料金・評判をまとめた完全ガイドもあわせてご覧ください。配信前のコンプライアンス確認フローは、AIを使った投稿前コンプライアンスチェックの3ステップで詳しく解説しています。
STEP9|配信後のフォローアップと効果測定【PDCA5ステップ】
プレスリリースは「配信して終わり」ではなく、配信後24〜48時間の動きが掲載率を左右します。効果測定は数値の羅列ではなく、次回配信の改善につなげるPDCAとして回します。
- 掲載確認:Googleアラートで企業名・サービス名を登録し、配信サービスの掲載レポートやクリッピングサービスで掲載先を日次で確認する
- 記者へのお礼連絡(48時間以内):掲載してくれた記者へ短くお礼を入れる。例:「本日は『◯◯』の件をご掲載いただきありがとうございました。追加資料が必要でしたらいつでもお送りします。」(しつこい催促はNG)
- クリッピング保存と社内共有:掲載記事のURL・スクリーンショットを保存し、関連部署と経営層に共有する
- KPI集計:掲載件数・被リンク数・流入数・問い合わせ数を集計する。GA4で「参照元/メディア」別に配信日前後の流入変化を比較し、Google Search Consoleで指名検索数の変化を見る
- 次回配信への改善反映:反応の良かった切り口・タイトル・配信時間帯を記録し、次回のテンプレートに反映する
効果測定で見るKPIと「良し悪し」の目安
主なKPIは、掲載件数・メディア経由の流入数・指名検索数・被リンク獲得数・SNS言及数の5つです。「自社の配信結果が良いのか」は、業界の一般的な目安と自社の過去配信の両方で判断します。配信サービス各社の公開事例や広報実務の経験則では、1配信あたりの掲載件数は数件〜十数件程度、初回配信での掲載率は3〜5割程度が一つの目安とされますが、業種・ニュース性・配信先によって大きく変動します。絶対値で一喜一憂せず、自社の前回配信との比較で改善幅を追うのが現実的です。
STEP10|メディアに取り上げられる3つの成功パターン
掲載を勝ち取るプレスリリースには再現できる「型」があります。独自調査型・コラボ型・受賞/イベント型の3パターンを理解し、自社のネタをどの型に当てはめられるかで考えると、企画段階から記事化を狙えます。
パターン①:独自調査・リサーチ発表型
自社で実施した消費者調査や業界統計を発表する型です。一次データはメディアにとって「引用できる新しい数字」になるため、記事化・被リンク獲得の双方に強いのが特徴です。再現のポイントは、調査対象・サンプル数・期間を明記し、結果を「◯割が△△と回答」のように見出し化できる形でまとめること。季節やニュースに合わせたテーマ(年末の家計、新生活、夏の働き方など)にすると採用率がさらに上がります。
パターン②:新機能・コラボ発表型
異業種コラボや人気ブランドとのタイアップ、注目機能の追加を発表する型です。「意外な組み合わせ」や「業界の常識を変える機能」は、それ自体がニュースの驚きを生むため、専門メディア・Web媒体に刺さりやすくなります。再現のポイントは、コラボ相手・対象ユーザー・提供開始日を冒頭で明示し、両社の合意のうえで双方が同時に発信すること。Before/After(従来との違い)を数字で示すと記事に使われやすくなります。
パターン③:受賞・イベント発表型
展示会への出展、アワード受賞、認定取得をきっかけに認知を広げる型です。第三者からの評価は客観性が高く、地方紙・業界誌の定番ネタになるため、地域・業界での認知拡大に向いています。再現のポイントは、賞の主催・選考基準・受賞理由を具体的に書き、会場名や開催日時など読者が行動できる情報を添えること。イベントは開催前(告知)と開催後(成果報告)の2回に分けて配信すると露出機会が増えます。
よくある質問
- Q. プレスリリースは誰でも出せますか?
- A. はい、法人格の有無にかかわらず、個人事業主・スタートアップ・NPO・自治体など誰でも配信できます。ただしPR TIMESなど一部の配信サービスは法人登記または事業実態の確認が入るため、事前に利用規約を確認しましょう。
- Q. プレスリリースを出すのに費用はどのくらいかかりますか?
- A. 自社サイトやSNSに掲載するだけなら無料です。配信サービスを使う場合はPR TIMESで1配信3万円台〜、月額プランで約8万円が相場です。共同通信PRワイヤー等の大手は1配信5万円台〜と、より高額になります(いずれも2026年6月時点の各社公式サイトの目安)。
- Q. 初めてプレスリリースを出す場合、何から始めればよいですか?
- A. まず本記事の「基本構成6要素」に沿って1本書き上げ、「精査チェックリスト25項目」で確認するのが最短ルートです。配信はPR TIMESやValuePress!など1媒体から始め、2回目以降でメディア個別送付を組み合わせると無理がありません。
- Q. プレスリリースはどこに送ればよいですか?
- A. 送り先は「配信サービス」「個別メールで記者に直送」「記者クラブへの投げ込み」「自社サイト・SNS」の4つに整理できます。幅広い認知なら配信サービス、関係性のある業界メディアなら個別メール、地域メディアなら記者クラブ、と目的別に使い分け、2〜3種類を組み合わせるのが効果的です。
- Q. 無料で使えるプレスリリース配信サービスはありますか?
- A. ValuePress!には無料お試しプランがあり、自社サイトやSNSでの公開と組み合わせれば費用ゼロでも配信を始められます。ただし無料枠は配信先媒体数や機能に制限があるため、被リンクや拡散力を本格的に取りにいく段階で有料の大手サービスへ移行するのが現実的です。
- Q. プレスリリースを出すタイミングのベストはいつですか?
- A. 火曜〜木曜の午前10〜11時、または午後2〜4時台が開封されやすい目安です。年間では決算集中期(3月・9月)、GW前後、年末年始は避け、月内では月中(10〜20日)が埋もれにくい傾向です。業種別では小売は9〜10月、BtoB SaaSは1〜2月、採用系は1〜3月・9〜10月が狙い目です。
- Q. 配信代行会社に依頼する場合の費用相場は?
- A. 原稿作成からメディアリスト作成・配信・フォローまでを任せる場合、内容により1本あたり数万円〜数十万円、継続的なPR支援では月額10万〜数十万円程度が一つの目安です。料金は支援範囲(執筆のみか、戦略立案や記者対応まで含むか)で大きく変わるため、複数社から見積もりを取って比較しましょう。
- Q. 記者クラブへの投げ込みはどうすればよいですか?
- A. 対象の記者クラブ(自治体・官公庁・業界団体に紐づく)に事前連絡し、幹事社の指示に従って所定の部数の資料を持参または郵送します。配布日時のルールがあるクラブも多いため、資料はA4・1〜2枚に要点をまとめ、連絡先を必ず明記します。地域メディアへ一括で届けたいときに有効な手段です。
- Q. 配信してもメディアに取り上げられない場合の対処法は?
- A. まずタイトルと冒頭3行を見直し、固有名詞と数字で具体性を高めます。次に配信タイミング(曜日・時間帯・競合発表との重なり)を再検討し、3回目以降は業界担当記者への個別送付(ピッチメール)に切り替えると掲載率が上がる傾向があります。
- Q. 精査で最も優先度が高い確認項目はどれですか?
- A. 法的リスク(景品表示法・薬機法・著作権)と数字の正確性の2点です。誇大表現や誤った数値は配信後の訂正でも信頼失墜につながるため、社内法務または顧問弁護士のチェックを必ずフローに組み込んでください。
- Q. AIツールを使うとプレスリリース作成のどのステップが効率化されますか?
- A. 特に効率化効果が高いのは「競合・市場リサーチ」「切り口検討」「下書き作成」の3ステップです。ChatGPT・Claude・Genspark・Geminiを用途で使い分ければ、従来数時間〜数日かかっていたリサーチが数分〜数十分に短縮され、担当者は推敲・独自エピソードの追加・法務確認といった人間にしかできない作業に時間を使えます。
まとめ:出し方の型を固め、AIで効率化する
本記事では、プレスリリースの出し方を10ステップで解説しました。プレスリリースの品質は、「構成の正しさ × ネタのニュース性 × 配信前の精査」の3要素で決まります。ネタ選びの判断基準・配信方法の比較・精査チェックリスト・配信後のPDCAという「型」を固めたうえで、リサーチと下書きの部分をAIツールで効率化すれば、担当者はメディアリレーション構築やPR戦略の立案という、本来もっとも価値の高い業務に時間を振り向けられます。
まずは1本目を「基本構成6要素」で書き、「精査チェックリスト25項目」で確認するところから始めてみてください。リサーチの工数を減らしたい方は、複数AIが並列でリサーチするGensparkを試すのも一手です。Gensparkは無料から使えるため、次の案件で競合リサーチの1ステップだけでも任せてみると、効率化の効果を実感しやすいはずです。
Gensparkの機能・料金プラン・評判・他AIツールとの比較など、さらに詳しい情報は以下のガイドにまとめています。
