この記事は、https://workspaceupdates.googleblog.com/ にて2026年5月4日に公開された記事をもとに作成しています。
はじめに
日々の業務でGoogleドキュメントの生成AI「Gemini」を活用している皆様に、とても嬉しい朗報をお届けします。
AIに文章の作成や資料の要約を依頼する際、毎回同じ条件をプロンプト(指示文)に入力するのを手間に感じたことはありませんか。
たとえば、「です・ます調で書いて」「結論を先に箇条書きでまとめて」「社外向けの丁寧なトーンにして」といった具合です。
どんなに優秀なAIであっても、新しくチャットを始めるたびに、あなたの好みの文体やフォーマットを一から説明し直さなければならないのは、少々煩わしいものです。
しかし、今回のGoogleドキュメントのアップデートにより、その「前提条件の入力作業」が完全になくなります。
Geminiに対して、あなた専用の「カスタム指示(カスタムインストラクション)」を永続的に記憶させる新機能が導入されました。
本記事では、この新機能が私たちのドキュメント作成をどれほど快適で効率的なものにしてくれるのか、具体的な活用例や設定方法を交えて詳しく解説いたします。
1. カスタム指示(カスタムインストラクション)機能とは?
これまで、生成AIを使って希望通りの文章を出力させるためには、AIに対する「前提条件」をその都度細かく指定する「プロンプトエンジニアリング」のスキルが求められました。チャットのセッションを新しく開くたびに、AIは前のやり取りをリセットしてしまうため、同じトーンやフォーマットで文章を書いてほしい場合、毎回同じ指示をコピー&ペーストする必要がありました。
今回追加された新機能は、GoogleドキュメントのGeminiに対して「永続的(パーシステント)なカスタム指示」をあらかじめ設定しておけるというものです。
これにより、Geminiは会話のたびに指示を繰り返されなくても、あなた個人の「文体のスタイル」「トーン(語気や雰囲気)」「フォーマット(書式)の好み」を常に記憶し、それに適応して回答を出力するようになります。結果として、プロンプトを入力する時間が大幅に節約され、いつ誰に向けてドキュメントを作成しても、一貫性のある高品質なアウトプットを安定して得ることができるようになります。
2. 業務効率が劇的に上がる!カスタム指示の具体的な活用例
では、この機能を日本のビジネスシーンでどのように活用すればよいのでしょうか。Googleが公式に提案している例も交えながら、すぐに使える具体的なカスタム指示のアイデアをいくつかご紹介します。
① 読みやすさを重視するフォーマット指定
文章が長くなりがちなAIの回答を、常にコンパクトに整理させたい場合に有効です。
設定例:「質問に対しては、常に箇条書きで回答してください。」
設定例:「ドキュメントを要約する時は、必ず一番上に重要なポイントを3つの箇条書きで含めてください。」
このように設定しておくだけで、以後の要約依頼は「この議事録を要約して」と一言入力するだけで、完璧な構成で出力されます。
② 企業のブランドやトーン&マナーの統一
作成する文書のトーンを一定に保つための設定です。
設定例:「すべてのドキュメントにおいて、簡潔かつプロフェッショナルなトーンを使用してください。」
設定例:「社外向けの案内文を作成する際は、親しみやすさを持ちつつも、日本のビジネス習慣に合わせた丁寧な敬語(です・ます調)を使用してください。」
これらを記憶させておけば、AIが「だ・である調」やカジュアルすぎる表現で回答してしまい、後から手作業で修正する手間が省けます。
③ 特定の役割やコンテキストの付与
あなたがどのような立場でドキュメントを作成しているかをAIに理解させておくことも有効です。
設定例:「私はIT企業のマーケティング担当者です。提案書を作成する際は、専門用語をできるだけ避け、ITに詳しくない顧客にもメリットが伝わるように表現してください。」
3. 機能の制限事項:最大1000個まで登録可能
このカスタム指示機能は非常に強力ですが、設定できるルールには上限があります。
現在、一人のユーザーがGeminiに設定してアクティブ(有効)にできる指示は、最大1,000個までに制限されています。
とはいえ、個人のワークスタイルやトーンの好みを定義する上で1,000個という上限は十分に余裕のある数字です。まずは普段の業務で「AIに毎回同じお願いをしているな」と感じるものから、いくつかルールを登録してみることをお勧めします。
4. 利用開始のための設定方法(管理者およびユーザー向け)
この便利な機能を利用するために、難しい設定は必要ありません。
システム管理者の皆様へ
このカスタム指示機能に関して、Google Workspaceの管理コンソール側で操作が必要な特別な設定(管理者コントロール)は用意されていません。組織内でGeminiが有効になっていれば、対象となるユーザーは自動的にこの機能を利用できるようになります。
エンドユーザーの皆様へ
ユーザー自身がカスタム指示を設定する方法は非常に直感的です。
Googleドキュメントを開き、画面右側にある「Gemini」のサイドパネルを開きます。そして、チャット入力欄からGeminiに対して直接「特定の指示を保存して(記憶して)」とリクエストするだけで設定が完了します。詳しい保存・解除のコマンドや操作手順については、Googleのヘルプセンターに記載されているガイドラインをご参照ください。
5. 展開スケジュールと対象となるエディション
本機能は、以下のスケジュールと対象プランに沿って提供されます。
ロールアウト(展開)のペース
即時リリース(Rapid Release)ドメインおよび計画的リリース(Scheduled Release)ドメインの両方において、2026年5月4日より段階的に展開が開始されます。機能が皆様のドキュメント画面に完全に表示され、利用可能になるまでには、展開開始から最大で15日程度かかる場合があります。
利用可能なエディション
この機能は、特定の高額なプランだけでなく、Gemini機能を利用できる非常に幅広いエディションでご利用いただけます。
- Business プラン: Business Starter, Business Standard, Business Plus
- Enterprise プラン: Enterprise Starter, Enterprise Standard, Enterprise Plus
- Education プラン: Education Plus
- その他のエディション: Frontline Plus
- コンシューマー(個人)向けプラン: Google AI Plus, Google AI Pro, Google AI Ultra
- 教育機関向けアドオン: Google AI Pro for Education, Teaching and Learning
- その他のAIアドオン: AI Expanded Access, AI Ultra Access
まとめ:Geminiを「あなた専用の専属ライター」に育てよう
生成AIは、汎用的な知識を持つ優秀なアシスタントですが、そのままでは「あなたの仕事のやり方」を知りません。しかし今回、Googleドキュメントに「カスタム指示」機能が追加されたことで、Geminiは単なるAIツールから、あなたの思考のクセや好みの表現を熟知した「専属ライター」へと進化します。
毎回、「箇条書きにして」「簡潔にまとめて」と指示を打ち込む数秒の手間は、年間で計算すると膨大な時間のロスになります。その無駄な時間がなくなることで、私たちは文書の「中身(アイデア)」を練るという、より創造的で価値のある作業に集中できるようになります。
機能の展開が完了しましたら、ぜひGoogleドキュメントのサイドパネルを開き、Geminiにあなたの仕事のルールを教えてあげてください。使えば使うほど、あなたにとって手放せない最高のパートナーになってくれるはずです。
