オンライン会議の定番ツールとなったZoom。
その便利な機能の一つがクラウド録画ですが、録画データが増えるにつれて管理が煩雑になっていませんか。
「録画データを一つずつ手動でダウンロードして、Googleドライブにアップロードするのが面倒…」
「Zoomのストレージ容量が上限に達しそうで、コストが心配…」
「共有のためにファイル名を毎回リネームするのが手間…」
もし、あなたがこのような課題を抱えているなら、この記事がその解決策となります。
本記事では、ノーコードで様々なサービスを連携できるiPaaSツール「n8n」を使い、Zoomのクラウド録画が完了したら、自動でGoogleドライブの指定フォルダに保存する仕組みを、初心者の方にも分かりやすく解説します。
この仕組みを一度構築すれば、あなたはもう録画データの管理に時間を奪われることはありません。
手作業によるダウンロード忘れやアップロードミスといったヒューマンエラーを防ぎ、チーム内でのスムーズな情報共有を実現しましょう。
なぜZoom録画の管理にn8nによる自動化が有効なのか
そもそも、なぜ手動でのデータ管理には限界があり、n8nを使った自動化がこれほどまでに強力なのでしょうか。その理由を深掘りしてみましょう。
手動作業に潜む「見えないコスト」とリスク
一見単純に見えるZoom録画データのダウンロードとアップロード作業ですが、これには多くの「見えないコスト」が潜んでいます。
- 時間的コスト: 1回の作業は数分でも、会議の頻度が高ければ月間で数時間、年間では数十時間もの時間を浪費している可能性があります。その時間は、もっと生産的な業務に使えるはずです。
- ヒューマンエラーのリスク: 人が介在する以上、ミスは避けられません。「ダウンロードを忘れてZoom上の保存期間が過ぎてしまった」「別のフォルダにアップロードしてしまい、必要な時に見つからない」といった事態は、業務に支障をきたす可能性があります。
- ストレージコストの増大: Zoomのクラウドストレージは便利ですが、容量には上限があります。特にProプランなどでは容量が限られており、上限を超えると追加料金が発生します。定期的に手動で削除・移行する手間もかかりますが、Googleドライブであればより大容量のストレージを安価に、あるいは無料で利用できる場合が多いです。
これらの課題は、日々の業務の中で当たり前になってしまいがちですが、自動化によって根本的に解決できるのです。
n8nで自動化する3つの絶大なメリット
n8nを使ってこのプロセスを自動化することで、以下のような大きなメリットを享受できます。
- 圧倒的な時間節約と業務効率化: ワークフローを一度設定すれば、あとはn8nが24時間365日、あなたに代わって作業を実行します。録画データの管理にかけていた時間をゼロにし、企画立案や資料作成といった、より創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。
- 確実で安全なデータバックアップ: 録画完了と同時に自動でGoogleドライブへ転送されるため、バックアップのし忘れがなくなります。重要な会議の記録を失うリスクを大幅に低減し、コンプライアンスの観点からも安全なデータ管理体制を構築できます。
- チーム内での迅速な情報共有: ワークフローの中でファイル名を「日付+会議名」のように自動で統一し、特定の共有フォルダに保存するよう設定できます。これにより、チームメンバーは誰でも直感的に目的の録画データを見つけられるようになり、情報共有のスピードと質が向上します。
このように、n8nの導入は単なる作業の置き換えではなく、業務全体の生産性を向上させる戦略的な一手と言えるでしょう。
【実践】n8nでZoomとGoogleドライブを連携する具体的なステップ
それでは、実際にn8nを使ってZoomの録画データをGoogleドライブに自動転送するワークフローを構築していきましょう。ここでは、2026年2月時点のn8nのインターフェースを基に解説します。
ステップ0: 準備するもの
ワークフロー作成を始める前に、以下の3つのアカウントが利用可能な状態であることを確認してください。
- n8nアカウント: まだアカウントをお持ちでない方は、公式サイトから無料でサインアップできます。クラウド版ならすぐに始められます。
- Zoomアカウント: クラウド録画機能が利用できるProプラン以上のアカウントが必要です。
- Googleアカウント: 録画データの保存先となるGoogleドライブ用のアカウントです。
ステップ1: n8nで新規ワークフローを作成し、トリガーを設定する
まず、n8nにログインし、ダッシュボードから新しいワークフローを作成します。最初のノード(+ボタン)をクリックし、トリガー(処理の開始点)を設定します。
- 検索ボックスに「Zoom」と入力し、「Zoom Trigger」を選択します。
- 次に認証情報(Credentials)を設定します。「Create New」を選択し、画面の指示に従ってn8nとご自身のZoomアカウントを連携させます。一度設定すれば、他のワークフローでも再利用できます。
- 「Event」のドロップダウンメニューから「Recording Completed」を選択します。これは「クラウド録画の処理が完了した時」にこのワークフローを開始するという設定です。
- 「Test trigger」ボタンを押し、Zoomからテストデータが正常に取得できるか確認します。成功すると、過去の録画データ情報などが表示されます。
ステップ2: 録画データをダウンロードするノードを追加する
Zoomトリガーは録画が完了した「情報」を受け取るだけなので、次にその情報を基に録画データをダウンロードする処理を追加します。
- Zoom Triggerノードの後の「+」をクリックし、検索ボックスに「HTTP」と入力して「HTTP Request」ノードを選択します。
- 以下の設定を行います。
- Method: 「GET」を選択します。
- URL: 右側の歯車アイコンから「Add Expression」を選択し、
{{ $json.body.payload.object.recording_files[0].download_url }}と入力します。これは、トリガーが受け取ったデータの中から、録画ファイル(通常は配列の最初のファイル)のダウンロードURLを指定する記述です。 - Authentication: 「Header Auth」を選択します。
- Name: 「Authorization」と入力します。
- Value: 「Add Expression」を選択し、
Bearer {{ $json.body.download_token }}と入力します。ZoomのダウンロードURLには認証トークンが必要なため、ここでそれを付与します。 - Response Format: 「File」を選択します。これにより、n8nはダウンロードしたデータをファイルとして扱えるようになります。
ステップ3: Googleドライブへアップロードするノードを設定する
最後に、ダウンロードしたファイルをGoogleドライブにアップロードする処理を追加します。
- HTTP Requestノードの後の「+」をクリックし、検索ボックスに「Google Drive」と入力して「Google Drive」ノードを選択します。
- 最初に認証情報(Credentials)を設定します。Zoomの時と同様に、ご自身のGoogleアカウントとn8nを連携させます。
- 以下の設定を行います。
- Resource: 「File」を選択します。
- Operation: 「Upload」を選択します。
- Parent Folder ID: 保存したいGoogleドライブのフォルダを開き、ブラウザのURL末尾にあるID(例: …/folders/XXXXXXXXXXXXXXXX)をコピーして貼り付けます。
- File Name: ここでファイル名を動的に設定します。「Add Expression」を選択し、例えば
{{ $json.body.payload.object.topic }}_{{ new Date($json.body.payload.object.start_time).toISOString().split('T')[0] }}.mp4のように入力します。これにより「ミーティングのトピック_録画開始日.mp4」という分かりやすいファイル名が自動で設定されます。 - Input Data: 「Binary」が選択されていることを確認します。
- 「Execute Node」でテストを実行し、Googleドライブの指定フォルダにファイルが正しくアップロードされることを確認します。
全ての設定が完了したら、ワークフロー右上の「Active」トグルをオンにすれば、自動化の完成です!
応用編:さらに便利なn8nワークフローのカスタマイズ
基本の連携だけでも十分に強力ですが、n8nの真価はここからのカスタマイズにあります。いくつか応用例をご紹介します。
応用1: SlackやChatworkへの完了通知
Googleドライブへのアップロードが完了したら、関係者に通知を送ることで、情報共有はさらにスムーズになります。
Google Driveノードの後に「Slack」ノードを追加し、「アップロードが完了しました。ファイル名: {{ $json.name }}」のようなメッセージと、Google Driveノードから取得できる共有リンク(webContentLink)を送信するよう設定します。これにより、チームメンバーは通知からワンクリックで録画を確認できます。
応用2: 日付やホスト名に基づいたフォルダの自動作成
録画データが増えてくると、フォルダ分けも重要になります。「If」ノードや「Code」(旧Function)ノードを活用すれば、さらに高度な整理が可能です。
例えば、「Code」ノードでJavaScriptを使い、録画日に基づいて「YYYY-MM」形式のフォルダ名を生成します。次にGoogle Driveノードでその名前のフォルダを検索し、存在しなければ新規作成、存在すればそのフォルダのIDを取得します。最後に、取得したIDをアップロード先のフォルダとして指定することで、月ごとの自動フォルダ分けが実現します。
応用3: 文字起こしAIとの連携で議事録作成を自動化
究極の応用例として、文字起こしAIとの連携が挙げられます。Googleドライブへの保存後、さらにHTTP Requestノードを追加し、OpenAIのWhisper APIやGoogle Cloud Speech-to-TextなどのAPIを呼び出します。
録画データをAPIに送信し、返ってきた文字起こしテキストをファイルとしてGoogleドライブに保存したり、要約AI(例: Gemini, GPT)に渡して議事録のドラフトを作成させ、Googleドキュメントに追記したりすることも可能です。これにより、議事録作成という非常に時間のかかる作業からも解放されます。
まとめ:自動化で生まれた時間を、より創造的な業務へ
この記事では、iPaaSツール「n8n」を使い、Zoomのクラウド録画データをGoogleドライブへ自動で転送・保存する方法を、具体的なステップと応用例を交えて解説しました。
手動でのデータ管理は、時間と労力を奪うだけでなく、ヒューマンエラーというリスクも伴います。n8nによる自動化は、これらの課題を根本から解決し、あなたを面倒なルーティンワークから解放します。
今回ご紹介したワークフローは、ほんの一例です。n8nを使えば、Slackへの通知、文字起こしAIとの連携など、あなたの業務に合わせて自由自在にプロセスを拡張できます。
まずはこの記事を参考に、シンプルなワークフローから始めてみませんか?n8nは無料プランからでも十分に強力な機能を利用できますので、ぜひその可能性を体感してみてください。
また、n8nの基本的な使い方から様々なサービスとの連携事例まで、より深く知りたい方は、その全てを網羅した「n8n完全ガイド記事」もぜひご覧ください。あなたのビジネスを加速させるヒントがきっと見つかるはずです。
自動化によって生まれた貴重な時間を、ぜひ新しいアイデアの創出や顧客との対話など、あなたにしかできない創造的な業務に活かしていきましょう。