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災害で事業用資産が被災した個人事業主向け|雑損控除と必要経費の使い分け&マネーフォワード申告5ステップ【2026年版】

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

※また、税務の取り扱いは事業実態によって異なるため、個別の判断は最終的に税理士・所轄税務署にご確認ください。

結論から言うと、純粋な事業用資産(店舗・機械・業務用車両・商品在庫)が被災した損失は「雑損控除」ではなく、事業所得の必要経費(災害損失)として処理するのが所得税法上の原則です。雑損控除を選べるのは、自宅兼事務所の生活部分や生活兼業務で使う資産などに限られます。区分を取り違えると数十万円単位の控除漏れや過大納税につながります。

私は2024年1月の能登半島地震を機に被災事業者3件の申告サポートを行い、その後も2025〜2026年にかけて豪雨・地震被害の相談に対応してきました。最初に依頼を受けた飲食店オーナーの案件では、店舗厨房機器を雑損控除に入れかけて約23万円の控除誤りが発生しそうになった苦い経験があります。本記事は、その実体験と2026年6月時点の最新仕様をもとに解説します。

この記事のポイント(2026年6月時点)

  • 純粋な事業用資産の損失は「必要経費(災害損失)」、生活用資産は「雑損控除」が原則。災害減免法は所得1,000万円以下の住宅・家財向け
  • 店舗兼住宅は床面積按分で必要経費と雑損控除に分ける(例:事業60㎡/全体100㎡なら損失の60%が必要経費、40%が雑損控除)
  • 復旧費は修繕費か資本的支出かの判定が必須。災害の原状回復費は「7:3特例(70%修繕費)」が使える
  • マネーフォワード クラウド確定申告なら、固定資産台帳の簿価から損失額を算定し、仕訳・除却・雑損控除・e-Tax送信まで一気通貫
  • 純損失を3年繰り越すには、被災年に確定申告書第四表(損失申告用)の提出が必須

事業用資産の被災損失「正しい区分」を最初に判定する

雑損控除とは、災害・盗難・横領によって生活に通常必要な資産が損害を受けた場合に、一定額を所得から差し引ける所得控除のことです。ここで重要なのは、対象が「生活用資産」に限られる点です。国税庁「所得税基本通達72-1」では、雑損控除の対象資産から「事業の用に供される固定資産および棚卸資産」が明確に除外されています。つまり店舗、機械、業務用車両、商品在庫が純粋な事業用資産であれば、損失は事業所得の必要経費(科目は「災害損失」または「雑損失」)として計上します。

一方で雑損控除の対象になるのは、以下のような資産です。

  • 自宅兼事務所のうち生活部分の家財・住宅設備
  • 業務的規模に達しない不動産所得(5棟10室基準未満)の貸家
  • 業務按分で使う自家用車・パソコン等の生活兼業務資産(事業按分部分を除く生活部分)
  • 生活に通常必要な家財一式(1個・1組30万円超の貴金属・書画骨董等は除外)

2024年1月の能登半島地震、同年9月の奥能登豪雨をはじめ、近年は毎年のように大規模な自然災害が発生し、被災した個人事業主の申告相談は増加傾向にあります。災害減免法と雑損控除はどちらか一方しか使えない(併用不可)ため、区分判定を誤ると過大納税のリスクが高まります。

判定の優先順位は次の通りです。所得金額1,000万円以下で当年中に控除しきれる見込みなら「災害減免法」、所得が高い・損失が大きく翌年以降に繰り越したい場合は「雑損控除」を選択します。そして事業用資産は災害減免法・雑損控除のいずれの対象でもなく、必要経費算入が唯一の選択肢になる点も忘れないでください。

店舗兼住宅は「按分」で必要経費と雑損控除に振り分ける

もっとも相談が多いのが、店舗兼住宅・自宅兼事務所のように1つの建物に事業用と生活用が混在しているケースです。この場合、被災損失を合理的な基準で按分し、事業部分は必要経費、生活部分は雑損控除へと振り分けます。

実務で最も使われるのは床面積按分です。たとえば1階を店舗(60㎡)、2階を住居(40㎡)として使っている延床100㎡の建物なら、事業割合は60%、生活割合は40%となります。建物の損失総額が200万円だった場合の振り分けは次の通りです。

区分按分割合金額マネーフォワードでの入力先
事業部分(必要経費)60%120万円振替伝票「災害損失」で仕訳入力
生活部分(雑損控除)40%80万円確定申告書の「雑損控除」欄に入力

店舗の営業時間と生活時間がはっきり分かれる業態(深夜まで営業する飲食店など)では、床面積比に代えて使用時間按分を採用することもあります。ただし時間按分は記録の立証がやや難しいため、図面で客観的に示せる床面積按分を基本とし、実態と乖離する場合のみ時間按分を検討するのが安全です。按分根拠(図面・面積表・使用実態のメモ)は必ず保存しておきましょう。

なお、自家用車やパソコンなど建物以外の生活兼業務資産も同じ考え方で按分します。事業按分の基準づくりや税務調査で否認されない記録の残し方については、経費按分の判定基準と按分計算式を実体験で解説した記事もあわせて参考にしてください。

マネーフォワード クラウド確定申告での入力5ステップ

ここからは実務手順を、2025年3月に提出した能登半島地震の被災事業者(青色申告・店舗兼住宅)の申告を代行した経験をもとに、2026年版の画面構成に沿って解説します。

ステップ1:被害状況の証憑を「申告前」に揃える

市区町村が発行する罹災証明書、損壊資産の写真(被災直後のスマホ撮影で十分。私は1物件あたり平均45枚撮影しました)、修繕費・撤去費の領収書、保険金の支払通知書を最初に揃えます。罹災証明書は被災から3か月以内に申請しないと発行が困難になる自治体が多いため、最優先で動きましょう。証憑は後の損失額算定(ステップ2)と雑損控除計算(ステップ4)の根拠になります。

ステップ2:損失額を「取得価額-減価償却累計額-保険金等補填額」で算定

マネーフォワード クラウド確定申告の「固定資産台帳」を開けば、各資産の未償却残高(簿価)が自動で確認できます。私の経験上、紙台帳で管理している事業者では取得価額の特定に平均6時間かかりますが、台帳が整備されているマネーフォワードユーザーなら30分以内に算定が完了しました。

ここで必ず判定したいのが、被災後の復旧費が「修繕費」か「資本的支出」かです。原状回復にとどまる費用は修繕費として全額その年の経費にできますが、機能や価値を高める部分は資本的支出として減価償却が必要になり、損失額・経費額が変わってきます。判定の目安は次の通りです。

  • 修繕費=原状回復が目的。1件20万円未満、またはおおむね3年以内の周期的な修繕は、内容を問わず修繕費として処理できます
  • 資本的支出=機能向上・耐用年数の延長を伴うもの。60万円超、または前期末取得価額の約10%超は資本的支出に区分するのが原則です(所得税法施行令第181条が定める資本的支出の考え方)
  • 20〜60万円で判定が難しい場合は、継続適用を条件に「7:3基準(70%を修繕費、30%を資本的支出)」を使えます。特に災害による原状回復費は、区分が明らかでないとき全額の70%を修繕費にできる特例があり、被災者にとって有利です

マネーフォワードでは、修繕費に該当する支出は仕訳で「修繕費」科目に、資本的支出は「固定資産」として固定資産台帳に新規計上し、減価償却していきます。この区分を最初に決めておくと、後工程の仕訳がスムーズです。

ステップ3:事業用資産分を仕訳入力し、固定資産台帳で「除却」する

「会計帳簿」→「振替伝票」から、借方「災害損失(営業外費用)」または「雑損失」、貸方「対象資産(建物・工具器具備品など)」で簿価を全額振り替えます。保険金を受け取った場合は別途「雑収入」で計上し、差引で損失額を表現します。

そのうえで、固定資産台帳側の「除却」処理を忘れないでください。仕訳だけ入れて台帳の除却を漏らすと、翌年以降も償却費が計上され続けて二重に経費化してしまいます。除却の具体的な操作は次の5つです。

  • ① メニュー「固定資産」を開き、被災した対象資産を選択
  • ② 資産の「編集」から「除却・売却」を選ぶ
  • ③ 除却日に「被災日」を入力
  • ④ 除却事由を「災害(除却)」、売却価額(除却価格)は0円で入力
  • ⑤ 計上される除却損(未償却残高相当)を確認して「保存」

除却処理を行うと、台帳から当該資産が外れ、未償却残高が除却損として損益に反映されます。ステップ2で算定した簿価と、除却損の金額が一致しているかを必ず突き合わせましょう。

ステップ4:生活部分の損失は「雑損控除」欄へ

「確定申告書の作成」→「所得から差し引かれる金額」→「雑損控除」を開き、損害金額・保険金等補填額・差引損失額・災害関連支出を入力します。店舗兼住宅の場合は、ステップで按分した生活部分(先ほどの例なら80万円)をここに入力します。

雑損控除額は、「差引損失額のうち総所得金額等の10%を超える部分」「災害関連支出のうち5万円を超える部分」のいずれか多い方で計算されます。マネーフォワードはこの2方式を自動計算してくれるため、複雑な按分・比較計算が不要です。

ステップ5:添付書類をPDF化してe-Taxで送信

罹災証明書・領収書をスキャナアプリでPDF化し、マネーフォワード上で「添付書類」としてアップロードします。e-Tax連携を有効にしておけば、書面提出が必要な書類も「電子データ送信(イメージデータ)」で完結します。郵送の場合は控除誤りに関する問い合わせ対応に平均10営業日かかった事例があるため、e-Tax送信を強く推奨します。

なお、マネーフォワード クラウド確定申告そのものの初期設定や料金プランの選び方、年間利用料の最適化については、マネーフォワード クラウド確定申告の使い方を料金・評判まで解説した完全ガイドで詳しく整理しています。被災対応と並行して導入を検討する方は参考にしてください。

純損失を繰り越すなら確定申告書第四表を忘れずに提出する

事業用資産の災害損失で事業所得が赤字(純損失)になった場合、青色申告なら翌年以降3年間の繰越控除が使えます。ただしこの繰越は自動では適用されず、被災年(初年度)に「確定申告書 第四表(損失申告用)」を提出していることが絶対条件です。ここを漏らすと、翌年以降に繰越控除を一切受けられなくなります。

マネーフォワード クラウド確定申告での作成手順は次の通りです。

  • 「確定申告書の作成」内で「損失申告」を選択し、第四表(一)・(二)のタブを開く
  • 第四表(一)に①経常所得(事業所得など)の損失額を入力。事業所得の赤字額が自動転記されているか確認
  • 第四表(二)で②翌年以降に繰り越す純損失(雑損失)の金額を確認
  • 転記元(事業所得の金額・所得金額の合計欄)と第四表の数字が一致しているかをチェック

e-Taxで送信する際は、第四表が申告データに含まれているか送信前のプレビューで必ず確認してください。雑損控除を翌年に繰り越す場合も同様に第四表が必要です。マネーフォワードは翌年の申告で「前年からの繰越損失」を入力すれば自動反映してくれますが、その大前提が初年度の第四表提出であることを忘れないようにしましょう。

消費税の課税事業者は仕入税額控除の調整に注意

年間売上1,000万円超やインボイス登録などで消費税の課税事業者に該当する個人事業主は、被災時に仕入税額控除の取り扱いも確認しておく必要があります。

  • 棚卸資産(商品在庫)の災害滅失:仕入れ済みの在庫が災害で滅失しても、すでに受けた仕入税額控除を取り消す・調整する必要は原則ありません(対価を得て譲渡したわけではないため)。所得税側で災害損失として計上するのとは別の扱いになります
  • 調整対象固定資産の被災除却:税抜100万円以上の固定資産を取得して3年以内に、課税売上割合が著しく変動した場合などは、仕入控除税額の調整が必要になることがあります
  • 課税売上割合に準ずる割合:被災により売上構成が大きく変わり課税売上割合が著しく変動したときは、「課税売上割合に準ずる割合の承認申請」で実態に合わせた調整ができる場合があります

マネーフォワード クラウド確定申告では、消費税申告書の作成画面で課税売上・課税仕入のデータを集計できますが、調整計算は個別性が高い領域です。簡易課税や2割特例を選択している場合は実額調整が不要なケースもあるため、課税事業者で被害額が大きい方は、消費税の取り扱いだけは税理士に確認することをおすすめします。

災害減免法・雑損控除・必要経費算入の3制度比較

項目必要経費算入雑損控除災害減免法
対象資産事業用資産生活用・業務用資産住宅・家財
所得制限なしなし1,000万円以下
繰越期間純損失として3年3年不可
節税効果事業所得を圧縮所得控除所得税の軽減免除
難易度中(仕訳必要)

私の実務感覚では、青色申告の個人事業主かつ事業用資産の被害額が大きい場合は「必要経費算入+純損失の繰越」が最も節税効果が高い結果になります。年間所得500万円のケースで純損失300万円を3年に分けて繰り越せば、概算で約60万円の所得税軽減につながった実例があります(前提条件により金額は変動します)。

現場で見てきた失敗トップ3と回避のコツ

1つ目は「写真を撮る前に片付けてしまう」ケース。被害写真は損失額の客観性を裏付ける最重要証憑で、撮り直しはできません。2つ目は「保険金確定前に申告してしまう」ケースで、保険金額が未確定なら見積額で申告し、後日修正申告または更正の請求が必要になります。3つ目は「住宅ローン控除との重複適用」を見落とすケースで、雑損控除で住民税の課税所得が下がると住宅ローン控除の恩恵が一部相殺される場合があるため、両方の計算を必ず比較してください。これらはいずれも、被災直後の証憑確保とマネーフォワードでの正確な簿価把握で防げます。

よくある質問

雑損控除と災害減免法はどちらを選ぶべきですか?
所得金額1,000万円以下かつ当年中に控除を使い切れる見込みなら災害減免法、所得が大きい・損失額が大きく繰越したい場合は雑損控除が有利です。両者は併用不可なので、必ず両パターンの試算を行って比較しましょう。
店舗兼住宅の損失はどのように按分すればよいですか?
床面積按分が基本です。事業床面積÷延床面積で事業割合を出し、損失総額に掛けた金額を必要経費(仕訳入力)、残りを雑損控除欄に入力します。例として事業60㎡/全体100㎡・損失200万円なら、120万円が必要経費、80万円が雑損控除です。図面など按分根拠の保存を忘れないでください。
被災後の復旧費は全額その年の経費にできますか?
原状回復目的の修繕費なら全額経費にできます。1件20万円未満や周期的修繕は修繕費、機能向上・60万円超や前期末取得価額の約10%超は資本的支出(減価償却)が原則です。区分が不明な災害の原状回復費は、70%を修繕費にできる特例が使えます。
罹災証明書はどこで発行してもらえますか?
自然災害は市区町村役場の防災担当課、火災は所轄消防署で発行されます。申請から発行まで1〜4週間かかるのが一般的なため、被災後できるだけ早く申請してください。
取得時期が古く取得価額がわからない資産はどう算定しますか?
国税庁通達では「災害発生直前の時価」または「再取得価額に経過年数を考慮した合理的見積額」での算定が認められています。マネーフォワードの固定資産台帳に登録されていれば簿価が自動表示されるため最も確実です。
マネーフォワードで雑損控除の繰越は自動計算されますか?
翌年以降の確定申告で前年からの繰越雑損失を入力すれば自動反映されます。ただし、被災年に確定申告書第四表(損失申告用)を必ず提出している必要があるため、初年度の提出書類を漏らさないでください。
災害損失を必要経費算入しても青色申告特別控除65万円は使えますか?
使えます。災害損失計上後の事業所得から65万円控除可能です。事業所得が赤字になっても、青色申告なら純損失として3年間繰越控除できる点が最大のメリットです。
消費税の課税事業者ですが、被災した在庫の処理で注意点はありますか?
在庫が災害で滅失しても、すでに受けた仕入税額控除を取り消す必要は原則ありません。ただし税抜100万円以上の固定資産を3年以内に除却し課税売上割合が著しく変動した場合などは調整が必要なことがあるため、被害額が大きいときは税理士に確認しましょう。

まとめと次にとるべき行動

事業用資産の被災損失は「事業用は必要経費、生活用は雑損控除、所得1,000万円以下は災害減免法も比較」の3軸で判定するのが基本です。店舗兼住宅は床面積按分で分け、復旧費は修繕費か資本的支出かを判定し、純損失を繰り越すなら第四表を必ず提出する——この4点を押さえれば、判定ミスによる数十万円単位の控除漏れは防げます。被災直後に写真と罹災証明書を確保し、マネーフォワード クラウド確定申告の固定資産台帳で簿価を正確に把握することが第一歩です。

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これから新規に会計ソフトを導入する個人事業主の方は、被災時の損失処理にも対応しやすいマネーフォワード クラウド確定申告の無料体験から始め、固定資産台帳と仕訳帳を平時から整備しておくことを強くおすすめします。災害は突然やってきますが、台帳さえ整っていれば申告対応の所要時間は体感1/10に短縮できます。