家族経営・同族会社の税務は「普通の会社」とはまったく違う
「うちは家族でやっている小さな会社だから、税務はそこまで複雑じゃないだろう」。
そう思っている経営者の方は少なくありません。
しかし実際には、家族経営や同族会社こそ税務リスクが潜んでいるケースが非常に多いのです。
役員報酬のバランス、親族間の取引、事業承継時の株価評価。
一般的な法人では問題にならないことが、同族会社では税務調査で指摘される「地雷」になり得ます。
2026年4月時点の情報では、国税庁の調査対象として同族会社が重点的にチェックされる傾向が続いています。
「今の税理士で本当に大丈夫なのか」と少しでも不安を感じている方は、ぜひ最後までお読みください。
家族経営・同族会社が直面する5つの税務リスク
まず、家族経営や同族会社に特有の税務リスクを整理しておきましょう。一般的な法人にはない、あるいは見過ごされがちなリスクが複数存在します。
リスク1:役員報酬の「お手盛り」認定
同族会社では、代表者の配偶者や子どもが役員に就いているケースが一般的です。このとき、実際の業務内容に見合わない高額な役員報酬を設定していると、税務調査で「過大役員報酬」として損金不算入にされるリスクがあります。
たとえば、週に数回しか出社しない配偶者に月額50万円の役員報酬を支払っていた会社が、税務調査で約3年分の報酬が過大と認定され、追徴課税を受けた事例は珍しくありません。否認された金額は法人側で損金にならず、受け取った個人側では所得税もそのまま課されるため、二重に税負担が発生することになります。
リスク2:親族間取引の「みなし贈与」「みなし譲渡」
親から子へ不動産を安く売却する、会社所有の車両を親族に無償で使わせるなど、親族間だからこそ「なあなあ」で行われがちな取引には、税務上の大きなリスクが伴います。
時価と実際の取引価格に著しい差がある場合、その差額が「みなし贈与」として贈与税の課税対象になります。また、法人から個人への低額譲渡は「みなし譲渡」として法人に時価課税が発生する場合もあります。こうした取引は当事者が意図していなくても課税されるため、事前の対策が不可欠です。
リスク3:事業承継時の自社株評価
同族会社の事業承継で最も頭を悩ませるのが、自社株式の評価額です。業績が良い会社ほど株価が高くなり、後継者が株式を取得する際に多額の贈与税や相続税が発生します。
国税庁の財産評価基本通達に基づく自社株評価は、「類似業種比準方式」「純資産価額方式」「配当還元方式」など複数の方法があり、どの方式が適用されるかによって評価額は大きく変わります。この判断を誤ると、数百万円から数千万円単位の税負担の差が生じることもあります。
リスク4:同族会社の行為計算否認規定
法人税法第132条には「同族会社の行為又は計算の否認」という規定があります。これは、同族会社が税負担を不当に減少させる行為や計算を行った場合、税務署長がその行為を否認し、適正と認められる金額で課税できるというものです。
一般の会社では認められる節税スキームでも、同族会社の場合はこの規定によって否認されるリスクがあります。たとえば、代表者個人が所有する不動産を会社に相場より高い賃料で貸し付けるケースなどが典型的です。
リスク5:相続発生時の「名義株」問題
古くから続く家族経営の会社では、過去に名義だけ借りて株主名簿に記載されている「名義株」が存在するケースがあります。先代の相続時に名義株の存在が発覚すると、真の所有者の特定をめぐって税務署と見解が分かれ、相続税の申告が大幅に複雑化します。
こうしたリスクは、家族経営や同族会社の内部事情を深く理解している税理士でなければ、事前に発見し対策を講じることが困難です。
同族会社の税務に強い税理士を選ぶ7つのチェックポイント
では、これらのリスクに適切に対応できる税理士は、どのように見極めればよいのでしょうか。具体的な判断基準を7つ紹介します。
チェック1:同族会社の顧問実績が豊富かどうか
最も重要なのは、同族会社や家族経営企業の顧問実績が十分にあるかどうかです。単に「中小企業に強い」というだけでは不十分で、同族会社特有の論点(行為計算否認、みなし贈与、事業承継税制など)に日常的に対応している経験が必要です。
初回面談の際に「同族会社の税務調査で指摘を受けやすいポイントは何ですか?」と質問してみてください。具体的な事例を交えて回答できる税理士であれば、実務経験があると判断できます。
チェック2:事業承継の知識と経験
家族経営の会社にとって、事業承継は避けて通れないテーマです。事業承継税制(特例措置)の適用要件、自社株評価の引き下げ策、持株会社の活用、生前贈与の計画的な実行など、幅広い知識が求められます。
特に事業承継税制の特例措置は要件が複雑で、適用を受けるためには事前に「特例承継計画」の提出が必要です。こうした手続きをスムーズに進められるかどうかは、税理士の経験値に大きく左右されます。
チェック3:相続税にも対応できるか
同族会社の代表者に相続が発生すると、個人の相続税申告と法人の税務処理が同時に必要になります。このとき、法人税だけに強い税理士では対応しきれない場面が出てきます。
相続税の申告を年間何件程度手がけているかを確認しましょう。年間10件以上の実績がある税理士であれば、一定の専門性があると考えてよいでしょう。
チェック4:税務調査への対応力
同族会社は税務調査の対象になりやすい傾向があります。調査が入った際に、顧問税理士が立ち会い、調査官に対して適切に反論・交渉できるかどうかは極めて重要です。
「税務調査の立ち会い経験はどの程度ありますか?」「修正申告ではなく更正の請求で是正した経験は?」といった質問を投げかけてみてください。調査対応に慣れている税理士は、これらの質問に対して具体的なエピソードを持っています。
チェック5:「ダメ」だけでなく代替案を提示してくれるか
家族経営の経営者が節税策や経営判断について相談した際に、「それはできません」で終わる税理士は避けるべきです。リスクを説明したうえで「こうすれば同じ目的を合法的に達成できます」と代替案を提示してくれる税理士を選びましょう。
たとえば、「社長の退職金を高額に設定したい」という相談に対して、功績倍率法に基づく適正額の算定と、それを超える場合の否認リスク、さらに小規模企業共済や中退共の活用など複合的な提案ができるかどうかが力量の差です。
チェック6:親族間のコミュニケーション調整ができるか
家族経営の税務では、経営に関わる親族全員の利害を調整する場面が少なくありません。後継者の選定、株式の分散防止、退任する先代への報酬設計など、デリケートなテーマを扱う必要があります。
こうした場面で中立的な立場からアドバイスでき、必要に応じて親族間の意見調整を手伝ってくれる税理士は、家族経営にとって非常に心強い存在です。単なる数字の専門家ではなく、経営パートナーとしての資質を持っているかどうかを見極めましょう。
チェック7:他の専門家との連携体制
事業承継や相続の場面では、税理士だけでなく弁護士(遺言・信託)、司法書士(登記)、社会保険労務士(退職金制度)など、複数の専門家との連携が必要です。ワンストップで対応できる事務所か、あるいは信頼できる専門家ネットワークを持っているかを確認しましょう。
よくある失敗パターンと回避策
同族会社が税理士選びで陥りがちな失敗パターンをいくつか紹介します。これらを事前に知っておくことで、同じ過ちを避けることができます。
失敗1:「昔からの付き合い」だけで税理士を変えない
先代から引き継いだ税理士にそのまま依頼し続けているケースは多いですが、その税理士が事業承継や相続税に詳しくない場合、世代交代のタイミングで深刻な問題が発覚することがあります。
長年の信頼関係は大切ですが、会社のステージが変わるタイミングでは税理士の適性を見直すことも必要です。今の税理士に不満がなくても、セカンドオピニオンとして別の税理士に意見を求めることは有効な手段です。
失敗2:顧問料の安さだけで選んでしまう
月額顧問料が1万円台の格安税理士もいますが、同族会社に必要な高度な税務判断には対応しきれないことが多いです。記帳代行と申告書作成だけの「作業型」の税理士と、経営判断に寄り添う「アドバイザー型」の税理士では、提供価値がまったく異なります。
結果として、事業承継時に数千万円の税負担が増えてしまえば、数年分の顧問料の差額など簡単に吹き飛んでしまいます。費用対効果の観点で判断することが大切です。
失敗3:VPN未導入で会計データのセキュリティが脆弱
家族経営の企業では、自宅と事務所の間でクラウド会計ソフトのデータをやり取りするケースが増えています。しかし、セキュリティ対策が不十分なまま公共Wi-Fiなどからアクセスすると、機密性の高い財務データが漏洩するリスクがあります。
こうした通信の安全性を確保するためには、VPN(仮想プライベートネットワーク)の導入が有効です。日本製VPNサービスのMillenVPNは、国産ならではの使いやすさとノーログポリシーによる安全性を兼ね備えています。導入方法や料金の詳細は「【2026年最新】MillenVPN完全ガイド!始め方から料金、評判、使い方まで徹底解説」で詳しくまとめていますので、会計データの保護を強化したい方は参考にしてください。
自力で探す vs 紹介サービスを活用する――どちらが有効か
同族会社に強い税理士を探す方法は、大きく分けて「自力で探す」方法と「紹介サービスを活用する」方法があります。それぞれの特徴を整理します。
自力で探す場合
インターネット検索や知人の紹介で税理士を探す方法です。メリットとしては、自分のペースで情報収集できる点が挙げられます。一方で、ホームページの情報だけでは実力を判断しにくく、同族会社の税務に本当に強いかどうかを見極めるのが難しいというデメリットがあります。
また、知人からの紹介は断りにくいという心理的な負担もあり、相性が合わなかった場合に変更しづらくなるケースもあります。
紹介サービスを活用する場合
専門のコーディネーターが希望条件をヒアリングし、要件に合った税理士を紹介してくれるサービスを活用する方法です。日本最大級の税理士紹介サービスである税理士ドットコムは、登録税理士数7,300名以上、累計実績43万件以上(2026年4月時点)の実績を持ち、「同族会社に強い税理士を探したい」「事業承継に対応できる税理士が必要」といった具体的な条件で絞り込んでもらえます。
紹介は完全無料で、面談後に断ることも自由なため、まず相談してみて比較検討するという使い方ができます。とりわけ同族会社のように専門性が求められるケースでは、コーディネーターの知見を活用することで、ミスマッチを防ぐ確率が大幅に上がります。
結論:同族会社は紹介サービスの活用が効率的
同族会社の税務は専門性が高いため、「同族会社対応の実績がある税理士」をピンポイントで探す必要があります。自力検索では条件を絞り込みにくいため、コーディネーターが間に入る紹介サービスのほうが効率的で確実性が高いといえます。
税理士変更のタイミングと進め方
現在の税理士から別の税理士に変更する場合、タイミングと手順を誤るとトラブルの原因になります。スムーズに移行するためのポイントを押さえておきましょう。
変更に適したタイミング
最も適しているのは決算月の2〜3か月前です。新しい税理士に十分な引き継ぎ期間を確保でき、決算・申告をスムーズに進められます。逆に、決算直前や申告期限間際の変更は避けるべきです。
事業承継を控えている場合は、できるだけ早い段階で対応できる税理士に切り替えることをおすすめします。事業承継税制の適用には事前の計画策定が必要で、準備に1年以上かかることも珍しくありません。
引き継ぎ時に確認すべきこと
税理士を変更する際は、以下の資料を現在の税理士から受け取っておくことが重要です。
- 過去3期分の決算書・申告書の控え
- 総勘定元帳などの会計データ
- 固定資産台帳
- 株主名簿(名義株の有無を含む)
- 議事録(株主総会・取締役会)
- 親族間取引がある場合はその契約書
特に同族会社では、株主名簿と親族間取引の契約書が極めて重要です。これらの資料が整備されていない場合は、新しい税理士と一緒に整備していく必要があります。
まとめ:家族経営の「守り」は税理士選びから始まる
家族経営や同族会社の税務リスクは、一般的な法人とは異なる独自の論点が数多く存在します。役員報酬の適正性、親族間取引の税務処理、事業承継時の株価対策、行為計算否認への備えなど、専門知識なしに対応するのは困難です。
ここまで紹介した7つのチェックポイントを参考に、自社の状況に合った税理士を見つけてください。特に以下の3つは最優先で確認すべき項目です。
- 同族会社の顧問実績が豊富かどうか
- 事業承継・相続税の両方に対応できるか
- リスクの指摘だけでなく代替案を提示してくれるか
もし「どこから手をつければよいかわからない」という方は、まず税理士ドットコムのような専門紹介サービスに相談してみることをおすすめします。完全無料で、同族会社の税務に精通した税理士を紹介してもらえるため、第一歩としてハードルが低い方法です。
家族経営の会社を次の世代に引き継いでいくためにも、税務リスクの「守り」を固めることは経営者の重要な責任です。今のうちから対策を始めることで、将来の大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
