チームでGoogleドライブ上のファイルを共同編集している時、「この部分、いつの間にか変わっているけど、誰が編集したんだろう…」。
あるいは、「必要な箇所が誤って削除されてしまった…元に戻せないか？」とヒヤリとした経験はありませんか。
複数人で一つのファイルを扱う便利さの裏側には、こうした「変更の追跡」という課題がつきものです。
しかし、ご安心ください。
Googleドライブには、こうした悩みを秒速で解決してくれる強力な機能が標準で備わっています。
それが「版の履歴」と「アクティビティ」です。
これらの機能を使いこなせば、誰が、いつ、どのファイルを、どのように変更したのかを正確に把握し、必要であれば瞬時に元の状態へ復元することも可能です。
本記事では、2025年9月時点の最新情報に基づき、Googleドライブの変更追跡術を基本から応用まで、具体的な操作方法と独自の活用術を交えて徹底的に解説します。
基本の「き」！「版の履歴」でファイルの変更点をピンポイントで確認・復元する方法
まず紹介するのが、ファイル単体の変更履歴を管理する最も基本的な機能、「版の履歴」です。これは、Googleドキュメントやスプレッドシート、スライドといったファイル形式で利用できる、いわばファイルの”タイムマシン”のような機能です。
「版の履歴」とは？ – ファイルのタイムマシンのような機能
「版の履歴」は、ファイルに加えられた変更をGoogleが自動的に記録し、過去のバージョン（版）を一覧で表示してくれる機能です。誰がどの部分を編集したのかが時系列で保存されているため、「いつ、誰が、何を変更したか」が一目瞭然。例えば、チームメンバーが誤って重要な文章を削除してしまっても、この機能を使えば数クリックで元の状態に復元できます。手動でバックアップファイルを作成する手間から解放され、安心して共同編集に集中できる環境が手に入ります。
【PC・スマホ別】「版の履歴」の基本的な使い方
この強力な機能へのアクセスは非常に簡単です。
パソコン（ブラウザ版）の場合：
- 対象のGoogleドキュメントやスプレッドシートを開きます。
- メニューバーの「ファイル」をクリックします。
- 「版の履歴」にカーソルを合わせ、「版の履歴を表示」をクリックします。
- ショートカットキー（Windowsなら Ctrl + Alt + Shift + H、Macなら ⌘ + option + shift + H）でも一発で表示できます。
スマートフォン（アプリ版）の場合：
- 対象のファイルを開きます。
- 画面右上のメニューアイコン（︙）をタップします。
- 「詳細とアクティビティ」といった項目の中から「版の履歴」を探してタップします。（アプリのバージョンにより若干表示が異なります）
これにより、画面右側に過去のバージョンが日付と編集者名とともに一覧で表示されます。
変更箇所の確認と特定の版への復元手順
版の履歴が表示されたら、リストから確認したい版をクリックしてみましょう。すると、その時点でのファイル内容が表示され、直前の版からの変更箇所が編集者ごとに色分けされてハイライト表示されます。これにより、誰がどのテキストを追加・削除したのかを直感的に把握できます。
特定の版に戻したい場合は、リストから目的の版を選択し、画面上部に表示される緑色の「この版を復元」ボタンをクリックするだけです。確認ダイアログで「復元」を選択すれば、ファイルがその時点の状態に完全に戻ります。復元したからといって、その後の履歴が消えるわけではないので、安心して操作できます。
【独自の視点】「版に名前を付ける」で重要バージョンを管理するプロの技
自動で保存される履歴は便利ですが、時間が経つと膨大な数の版が作成され、重要な変更点を見つけるのが大変になることがあります。そこでおすすめしたいのが「版に名前を付ける」機能です。
版の履歴一覧で、特に重要な節目となる版（例：「第一稿完成」「クライアント提出版」「最終承認済み」など）の横にあるメニューアイコン（︙）をクリックし、「この版に名前を付ける」を選択します。これにより、自動生成されたタイムスタンプだけでなく、分かりやすい名前でそのバージョンを保存できます。名前を付けた版は、履歴の中から簡単に見つけ出せるようになり、プロジェクトのマイルストーン管理にも役立ちます。これは、単なる復元機能としてだけでなく、プロジェクトの進行状況を記録する高度な使い方と言えるでしょう。
ファイル単位だけじゃない！ドライブ全体の動きを監視する「アクティビティ」追跡術
「版の履歴」がファイル”内部”の変更を追う機能だとすれば、次にご紹介する「アクティビティ」は、Googleドライブという”場所”で起こった出来事を監視する機能です。ファイルの編集だけでなく、共有設定の変更やフォルダへの移動、名前の変更といった、より広範な操作履歴を確認できます。
「アクティビティ」機能で何がわかるのか？
「アクティビティ」機能は、「版の履歴」とは異なり、ファイルの中身の変更そのものではなく、ファイルやフォルダに対する操作全般を記録します。具体的には、以下のような操作の履歴を追跡できます。
- ファイルの編集
- コメントの追加・返信
- 共有設定の変更（誰に、どの権限で共有したか）
- ファイルのアップロード
- ファイルやフォルダの名前変更
- ファイルやフォルダの移動
- ファイルやフォルダの削除・復元
「いつの間にか重要ファイルが見当たらない…誰かが移動した？それとも削除？」といった状況で、このアクティビティ機能が真価を発揮します。ドライブ全体の動きを俯瞰的に把握できるため、チームのファイル管理における透明性を飛躍的に向上させます。
「アクティビティ」パネルの開き方と見方
アクティビティの確認方法は、これまた非常にシンプルです。
- Googleドライブのメイン画面（drive.google.com）を開きます。
- 画面右上にある、丸で囲まれた「i」（情報）アイコンをクリックします。
すると、画面右側にパネルが表示されます。このパネルには「詳細」と「アクティビティ」の2つのタブがあります。「詳細」は選択中のファイルやフォルダの情報を表示しますが、「アクティビティ」タブに切り替えることで、ドライブ全体（または特定のフォルダを選択している場合はそのフォルダ内）の操作履歴が時系列で表示されます。
フィルタ機能を活用して目的の情報を素早く見つける
情報量が多くなりがちなアクティビティログですが、強力なフィルタ機能を使えば、目的の情報を効率的に探し出せます。アクティビティパネルの上部にあるフィルタアイコンをクリックすると、「ファイルの種類」「ユーザー」「期間」などで表示する情報を絞り込めます。
例えば、「先週、経理部のAさんが編集したスプレッドシートのアクティビティだけを見たい」といった具体的なニーズにも対応可能です。ユーザー名で絞り込み、期間を「過去7日間」、ファイルの種類を「スプレッドシート」に設定するだけで、関連する操作ログだけをピンポイントで表示できます。このフィルタ機能を使いこなすことが、アクティビティ追跡術の鍵となります。
【独自の視点】チームの透明性を高める「アクティビティ」の活用シナリオ
アクティビティ機能は、単に「誰が何をしたか」を監視するためのツールではありません。チームのコラボレーションを円滑にするためのコミュニケーションツールとして活用できます。例えば、プロジェクトリーダーが定期的にアクティビティを確認することで、「Aさんは今、この資料の作成に集中しているな」「Bさんが新しい提案資料をアップロードしてくれたようだ」といったチーム全体の動きを把握できます。これにより、個々のメンバーの作業進捗を細かく報告させることなく、プロジェクトの状況を理解し、適切なサポートや指示を出すことが可能になります。アクティビティログは、チームの生産性と透明性を高めるための貴重なデータソースなのです。
「誰が編集した？」を防ぐ！Google Workspaceで実現するストレスフリーな共同編集環境の構築
これまで紹介してきた「版の履歴」や「アクティビティ」は、問題が起きた後に原因を特定する”事後対応”の側面が強い機能です。しかし、Google Workspaceの機能を活用すれば、そもそも問題が発生しにくい”予防的”な環境を構築することも可能です。
そもそも「上書き戦争」を発生させない共有設定の基本
意図しない変更の多くは、不適切な共有設定が原因で発生します。Googleドライブでは、ファイルやフォルダごとにユーザーの権限を細かく設定できます。
- 編集者: ファイルの編集、コメント、共有設定の変更など、すべての操作が可能です。
- 閲覧者（コメント可）: ファイルの閲覧とコメントの追加はできますが、編集はできません。
- 閲覧者: ファイルの閲覧のみ可能です。
チームメンバーにファイルを共有する際は、その人の役割に応じて最小限の権限を付与するのが原則です。例えば、内容を確認してフィードバックをもらうだけであれば「閲覧者（コメント可）」で十分です。全員に「編集者」権限を与えてしまうと、誤操作による上書きのリスクが高まります。適切な権限設定を徹底することが、ストレスフリーな共同編集の第一歩です。
コメント機能と提案モードの活用
ファイルの内容に修正を加えたい場合、直接本文を書き換えるのではなく、「コメント機能」や「提案モード」を活用する文化をチームに根付かせることを強く推奨します。
コメント機能を使えば、特定の箇所に対して「ここの表現はもう少し具体的にした方が良いのでは？」といった形で、意図や背景を伝えながらフィードバックを残せます。
さらに強力なのが「提案モード」です。このモードで編集を行うと、変更が即座に反映されるのではなく、「元のテキストを削除し、新しいテキストを挿入する」という提案として記録されます。ファイルのオーナーや編集者は、その提案を個別に「承認」または「拒否」できます。これにより、変更内容とその意図を確認した上で反映できるため、一方的な上書きを防ぎ、レビュープロセスを極めて円滑に進めることができます。
【ピラーページへの誘導】より高度な管理と生産性向上を目指すなら
今回紹介したファイルの履歴管理や共同編集機能は、Google Workspaceが提供する強力な機能のほんの一部です。これらの機能は、どのプランでも利用できますが、チーム全体の生産性をさらに高め、セキュリティを強化したい場合は、より上位のプランへのアップグレードが非常に有効な選択肢となります。
例えば、人気のBusiness Standardプランにアップグレードすれば、大容量のクラウドストレージ（ユーザーあたり2TB）が利用可能になるほか、Google Meetでのビデオ会議の録画機能、ドキュメントの電子署名機能など、チームのコラボレーションをさらに加速させる機能が満載です。
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まとめ：履歴追跡機能をマスターして、安心・安全なファイル共有を
本記事では、Googleドライブにおける「このファイル誰が編集した？」という問題を解決するための「版の履歴」と「アクティビティ」という2大追跡機能について詳しく解説しました。
「版の履歴」を使えば、ファイル単体の変更履歴を遡り、誰がどの部分を変更したかを正確に把握し、必要に応じてワンクリックで復元できます。重要なバージョンに名前を付けて管理する応用技もぜひ活用してください。
一方、「アクティビティ」機能は、ドライブ全体でのファイルの編集、共有、移動といった操作を俯瞰的に監視し、ファイル管理の透明性を高めます。
これらの追跡機能と、適切な共有設定やコメント・提案モードといった予防策を組み合わせることで、チームは意図しない変更やデータ損失の不安から解放され、本来の創造的な業務に集中できるようになります。
まずは試しに、あなたが管理している共有フォルダでアクティビティを覗いたり、共同編集中のドキュメントで版の履歴を確認したりしてみてください。その手軽さと情報量の多さに、きっと驚くはずです。Google Workspaceのポテンシャルを最大限に引き出し、チームの生産性を次のレベルへと引き上げましょう。