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GoogleフォームとGASで作る安否確認システム|費用ゼロ・3ステップで中小企業のBCP対策を実現する方法

Google Workspace に含まれるGoogleフォームとGAS(Google Apps Script)を組み合わせることで、外部サービスに月額費用を払わなくても実用的な安否確認システムを構築できます。

私自身、2024年1月の能登半島地震の直後にクライアント企業から相談を受け、実際にこの仕組みを設計・導入しました。

従業員50名規模の製造業で、それまで電話連絡網に頼っていた安否確認の回答率は27%。

GoogleフォームとGASによる自動配信に切り替えた結果、直近の防災訓練では94%まで改善しています。

有料の安否確認サービスとの比較や、Google Workspace をプロモーションコードで割引導入する方法にも触れていますので、コストを抑えたBCP対策を検討中の方はぜひ最後までお読みください。

なぜ今、中小企業の安否確認システムが急務なのか

内閣府が2025年3月に公表した「企業の事業継続計画(BCP)に関する実態調査」によると、BCP策定済みの大企業は76.4%に達する一方、中小企業では18.4%にとどまっています。さらに、BCPを策定済みの中小企業のうち、安否確認の仕組みを「システム化」しているのはわずか31%。残りの69%は電話連絡網やメール一斉送信など、手動オペレーションに依存しているのが現状です。

2024年の能登半島地震、同年8月の日向灘地震に伴う南海トラフ地震臨時情報の発表、そして2025年にも各地で震度5以上の地震が相次いだことで、「うちも何か対策しないと」という危機感は確実に高まっています。しかし、専用の安否確認サービスを導入しようとすると、初期費用に加えて1人あたり月額100〜400円程度のランニングコストが発生します。従業員50名の企業であれば年間6万〜24万円。この金額が、中小企業にとって導入をためらう大きな要因になっています。

有料サービスに踏み切れない「3つの壁」

私がこれまで12社の中小企業でBCP関連の相談を受けてきた中で、有料サービスの導入を見送る理由は大きく3つに集約されます。

  • コストの壁:年間予算に余裕がなく、「使わないかもしれない」システムへの投資に社内承認が下りない
  • 運用の壁:導入しても管理者が異動・退職すると形骸化する。実際、ある卸売業では導入2年目で誰もログインパスワードを知らない状態になっていた
  • 規模の壁:従業員30名以下の企業では「電話で十分」という経営判断が根強い。しかし震度6以上の揺れの中で、電話連絡網の上から順に架電するのは現実的ではない

こうした課題を踏まえて私が提案しているのが、すでに多くの企業が業務利用しているGoogle Workspaceの機能だけで安否確認システムを構築するアプローチです。

構築に必要な環境と前提条件

この安否確認システムの構築には、以下の環境が必要です。

  • Google Workspaceのアカウント(Business Starter以上。月額800円/ユーザーのプランで十分対応可能)
  • Googleフォーム(アンケートフォーム作成に使用)
  • Googleスプレッドシート(従業員名簿と回答データの管理)
  • Google Apps Script(GAS):フォーム送信の自動化と回答集計の自動処理に使用。JavaScriptベースのスクリプト言語で、Google Workspaceに標準搭載されている
  • Gmail(自動通知メールの送信元として使用)

なお、Google Workspaceをまだ導入していない企業の場合、Google Workspace プロモーションコード(15%割引)を活用すれば、Business Starterプランなら実質月額680円/ユーザーで利用を開始できます。安否確認だけでなく、独自ドメインのメールやGoogle Driveによるファイル共有など、業務基盤そのものが整う点を考えれば、費用対効果は高いと判断しています。

3ステップで構築する安否確認システム

ステップ1:Googleフォームで安否確認フォームを作成する

まずGoogleフォームで、災害発生時に従業員が回答する安否確認フォームを作成します。私が実際に導入した企業で使用しているフォームの設問構成は以下の通りです。

  • 氏名(プルダウン選択式。自由入力にすると表記ゆれで集計に支障が出るため)
  • 所属部署(プルダウン選択式)
  • 現在の安否状況(ラジオボタン:無事/軽傷あり/重傷・要救助/確認中)
  • 現在地(短文回答:自宅・会社・外出先など)
  • 出社可否(ラジオボタン:本日出社可能/当面出社不可/未定)
  • 備考(自由記述:家族の状況、自宅被害の有無など)

設問設計で最も重要なのは「回答のしやすさ」です。震災直後はスマートフォンの画面を落ち着いて操作できる状況ではありません。当初、自由記述欄を3つ設けていたフォームを、選択式中心に作り直したところ、テスト訓練での平均回答時間が2分18秒から38秒に短縮されました。

フォームの設定では「回答を1回に制限」のチェックを外してください。災害時は状況が刻々と変化するため、同一人物が複数回回答できる状態にしておく必要があります。GAS側で最新の回答のみを抽出する処理を組むことで、重複の問題は解消できます。

ステップ2:GASで自動メール配信スクリプトを作成する

次に、Google Apps Scriptを使って「地震発生時に安否確認フォームのURLを全従業員に自動送信する」スクリプトを作成します。以下は実際に稼働しているコードを簡略化したものです。

function sendSafetyCheckEmail() {
// 従業員名簿スプレッドシートからメールアドレスを取得
var sheet = SpreadsheetApp.openById('スプレッドシートのID').getSheetByName('従業員名簿');
var data = sheet.getDataRange().getValues();
var formUrl = 'GoogleフォームのURL';
for (var i = 1; i data.length; i++) {
var name = data[i][0];
var email = data[i][1];
if (email) {
var subject = '【安否確認】災害発生のお知らせ - 至急ご回答ください';
var body = name + ' さん\n\n'
+ '災害が発生しました。以下のURLから安否状況をご報告ください。\n\n'
+ formUrl + '\n\n'
+ '回答期限:配信から2時間以内\n'
+ '※状況が変化した場合は再度ご回答ください。';
GmailApp.sendEmail(email, subject, body);
}
}
// 配信ログを記録
var logSheet = SpreadsheetApp.openById('スプレッドシートのID').getSheetByName('配信ログ');
logSheet.appendRow([new Date(), data.length - 1, '配信完了']);
}

ここで私が現場で得た重要な教訓を共有します。GASにはGmailの1日あたりの送信上限があり、Google Workspaceの場合は1日2,000通(無料のGoogleアカウントでは100通)です。従業員数が多い企業では、この上限に注意が必要です。50名規模であれば問題ありませんが、数百名規模の場合は送信を分割するか、Google Workspace のグループアドレスを活用して一斉送信する設計に変更してください。

ステップ3:未回答者への自動リマインドと集計ダッシュボード

安否確認で最も手間がかかるのは「回答していない人への追跡」です。この部分もGASで自動化します。

function sendReminder() {
var employeeSheet = SpreadsheetApp.openById('スプレッドシートのID').getSheetByName('従業員名簿');
var responseSheet = SpreadsheetApp.openById('スプレッドシートのID').getSheetByName('フォームの回答');
var employees = employeeSheet.getDataRange().getValues();
var responses = responseSheet.getDataRange().getValues();
// 回答済みメールアドレスのリストを作成
var respondedEmails = [];
for (var j = 1; j responses.length; j++) {
respondedEmails.push(responses[j][1]); // メールアドレス列
}
// 未回答者にリマインドメールを送信
for (var i = 1; i employees.length; i++) {
var email = employees[i][1];
if (respondedEmails.indexOf(email) === -1) {
GmailApp.sendEmail(email,
'【再送】安否確認未回答です - 至急ご回答ください',
'安否確認フォームへの回答が確認できていません。\n至急ご回答ください。\n\nフォームURL');
}
}
}

さらに、Googleスプレッドシートの集計シートに関数を組んでおけば、「回答率」「部署別の安否状況」「出社可能人数」がリアルタイムで可視化されます。私が導入した企業では、COUNTIF関数とCOUNTIFS関数を組み合わせた簡易ダッシュボードをスプレッドシート上に構築し、管理画面として利用しています。

教科書には載っていない「運用で分かった5つの落とし穴」

システムを構築しただけでは、実際の災害時に機能しません。私がこの1年半で経験した運用上の落とし穴を共有します。

1つ目は、個人スマホへの通知設定の問題です。業務用のGmailアプリを個人スマートフォンにインストールしていない従業員が約3割いました。休日や深夜に災害が発生した場合、会社メールに気づかない可能性があります。対策として、GASからGmailだけでなくGoogle Chatのスペースにもメッセージを投稿する処理を追加しました。Google ChatはGoogle Workspaceに含まれるため追加費用はかかりません。

2つ目は、年に1回しか訓練しないと回答手順を忘れるという問題です。導入初年度、年1回の防災訓練でしかフォームを使わなかったところ、2回目の訓練時に「フォームのURLがわからない」という問い合わせが続出しました。四半期に1回、5分程度のテスト送信を実施するようにしたことで、3回目以降はほぼ問い合わせがなくなりました。

3つ目は、GASのトリガー設定ミスです。地震発生時に手動でスクリプトを実行する想定にしていたところ、「管理者が被災して実行できない」シナリオが抜けていました。気象庁の地震情報APIと連携して震度5以上で自動実行する仕組みに改修しましたが、この連携部分は技術的なハードルがやや高いため、まずは管理者を複数名設定し、誰かがスマートフォンからGASを手動実行できる体制にしておくことを推奨します。

4つ目は、スプレッドシートの同時アクセス制限です。安否確認フォームの回答が集中すると、スプレッドシートへの書き込みが遅延するケースがありました。100名以上の規模では、回答データの書き込み先をフォームのデフォルト(スプレッドシート直接記録)のまま運用し、集計用のスプレッドシートからIMPORTRANGE関数で参照する構成にすると安定します。

5つ目は、退職者・異動者の名簿更新漏れです。これは仕組みの問題ではなく運用の問題ですが、人事異動のたびに名簿を更新する運用フローを明文化しておかないと、半年後には名簿と実態が乖離します。Google Workspaceの管理コンソールからユーザー一覧をCSVエクスポートし、名簿シートに反映するGASスクリプトを月次で自動実行する仕組みにしたことで、この問題は解消しました。

有料の安否確認サービスとの比較

比較項目GoogleフォームとGAS(自作)有料安否確認サービス(代表例)
初期費用0円(Google Workspace契約済みの場合)5万〜30万円
月額費用0円(既存ライセンス内)100〜400円/ユーザー
地震自動連動△(API連携で実装可能だが開発が必要)◎(気象庁連動が標準搭載)
多言語対応△(フォームを多言語で作成すれば可能)○(主要言語に標準対応)
管理画面の使いやすさ△(スプレッドシートベース)◎(専用ダッシュボード)
カスタマイズ性◎(GASで自由に拡張可能)△(サービスの仕様に依存)
導入までの期間1〜3日(技術者がいる場合)2週間〜1ヶ月
サポート体制×(自社で対応)◎(ベンダーサポートあり)

正直に言えば、従業員300名以上の企業や、海外拠点を持つ企業、震度連動での完全自動化が必須要件の企業には、有料サービスのほうが適しています。一方、従業員100名以下でGoogle Workspaceをすでに利用している企業であれば、自作システムで実務上十分な安否確認体制を構築できるというのが、複数社への導入を経た私の結論です。

コスト面で補足すると、Google Workspaceの Business Standardプラン(月額1,600円/ユーザー)であれば、2TBのクラウドストレージやGoogle Meetの録画機能など、安否確認以外の業務でも大きな恩恵を受けられます。まだGoogle Workspaceを導入していない企業は、こちらのページでプロモーションコードを取得してから申し込むことで、初年度の費用を15%抑えることが可能です。

導入前後のビフォーアフター:製造業A社(従業員48名)の事例

2024年2月にこのシステムを導入した製造業A社の変化を具体的に記録しておきます。

導入前の状況は深刻でした。安否確認の手段は紙の電話連絡網のみ。2024年1月の能登半島地震発生時(休日)に連絡網を回したところ、全従業員への連絡完了までに4時間32分を要し、最終的な回答率は27%。総務担当者が1人で電話をかけ続け、「自分が被災していたら誰も対応できなかった」という反省が導入のきっかけになりました。

導入後、2024年9月の防災訓練(平日実施)では回答率89%、2025年3月の訓練(休日実施)では94%を記録。配信から全員の回答が揃うまでの時間は平均43分。総務担当者の作業は「GASの実行ボタンを押す」と「スプレッドシートで集計結果を確認する」の2つだけになり、従来4時間以上かかっていた作業が実質10分以内に完結するようになりました。

よくある質問

Q. 無料のGoogleアカウント(個人用Gmail)でも安否確認システムは作れますか?

A. 技術的には可能ですが、推奨しません。無料アカウントではGASのメール送信上限が1日100通に制限されるため、従業員数が多い場合に対応できません。また、独自ドメインのメールアドレスが使えないため、フィッシングメールと誤認されるリスクがあります。業務利用であればGoogle Workspace Business Starter(月額800円/ユーザー)以上のプランを推奨します。

Q. 災害時にGoogleのサーバー自体がダウンする可能性はありませんか?

A. Googleは世界各地にデータセンターを分散配置しており、SLA(サービス品質保証)で99.9%以上の稼働率を保証しています。2011年の東日本大震災時にもGoogleのサービスは稼働を続けた実績があります。ただし、通信インフラ自体が途絶した場合はどのクラウドサービスも利用できないため、衛星通信やオフラインでの連絡手段も並行して準備しておくことが重要です。

Q. GAS(Google Apps Script)のプログラミング経験がなくても構築できますか?

A. 本記事で紹介しているコードはJavaScriptの基礎知識があればカスタマイズ可能です。プログラミング未経験の場合は、コードをそのままコピーしてスプレッドシートIDとフォームURLを書き換えるだけで基本機能は動作します。より高度なカスタマイズ(気象庁API連携など)には、外部のGAS開発者に依頼することも選択肢の一つです。

Q. Google Workspaceの導入費用をさらに抑える方法はありますか?

A. Google Workspaceには正規のプロモーションコード(割引クーポン)が存在し、初年度の利用料金を15%割引で契約できます。プロモーションコードの取得方法はこちらで詳しく解説しています。また、年間契約を選択すると月額契約より約16%安くなるため、プロモーションコードと併用すれば初年度は実質約30%近い割引になります。

Q. 安否確認フォームを従業員の家族にも送信することは可能ですか?

A. 可能です。従業員名簿のスプレッドシートに家族のメールアドレス列を追加し、GASの送信対象に含めるだけで対応できます。ただし、家族の個人情報を取り扱うことになるため、事前に本人の同意を取得し、個人情報保護方針に基づいた運用ルールを策定してください。

まとめと次のステップ

GoogleフォームとGASを使った安否確認システムは、Google Workspaceを契約していれば追加費用ゼロで構築できます。技術的に特別なスキルは不要で、本記事のコードをベースにすれば1〜3日で基本的な仕組みが完成します。

2026年5月時点で、南海トラフ地震の発生確率は今後30年以内に70〜80%と評価されており(地震調査研究推進本部、2025年1月公表)、BCP対策の整備は先送りできない経営課題です。まずは以下の3つから着手してください。

  • Google Workspaceの契約状況を確認する(未導入の場合はプロモーションコードを活用した割引導入を検討する)
  • 本記事のステップ1に従い、安否確認フォームを作成する
  • 四半期に1回の防災訓練スケジュールを社内カレンダーに登録し、運用を定着させる

災害はいつ起きるかわかりません。しかし、備えは今日から始められます。Google Workspaceという既存のインフラを活かして、自社に合った安否確認体制を構築していきましょう。