Google Workspaceの管理コンソールには、豊富なレポートや監査ログ機能があります。
しかし、データが多すぎて「どこをどう見れば良いか分からない」と感じたことはありませんか。
数字やテキストの羅列だけでは、組織全体の利用状況や潜んでいるリスクを直感的に把握するのは難しいものです。
私も、お客様から『このレポートのデータをグラフにして、経営会議で見せたいんだ』というご要望をいただくことがよくあります。
そんな時に絶大な威力を発揮するのが、無料で利用できるGoogleのBI(ビジネスインテリジェンス)ツール「Looker Studio(旧Googleデータポータル)」です。
この記事では、Google Workspaceの利用データをLooker Studioと連携させ、経営判断に役立つインタラクティブなダッシュボードを作成するための考え方と手順を、非エンジニアの方にも分かりやすく解説します。
【ご注意】この記事の情報は2025年7月時点のものです。Google WorkspaceおよびLooker Studioの機能、インターフェース、連携方法は変更される可能性があります。最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
Looker Studioとは? なぜWorkspaceと連携させるのか?
Looker Studioは、様々なデータソースに接続し、そのデータをグラフや表、マップなどを用いて視覚化(可視化)し、インタラクティブなレポートやダッシュボードを作成できる、Googleの無料BIツールです。
Google Workspaceの管理コンソールのレポートは、いわば「生の食材」。そのままでは少し味わいにくいですが、Looker Studioという「調理器具」を使うことで、誰の目にも分かりやすく、示唆に富んだ「料理」に仕上げることができます。
連携のメリット:
- データの可視化: 数字の羅列をグラフやチャートにすることで、利用状況の傾向や異常値を直感的に把握できます。
- インタラクティブな分析: 期間や部署、ユーザーなどでデータを絞り込み、深掘りして分析できます。
- レポートの自動更新: 一度ダッシュボードを作成すれば、元データ(スプレッドシートなど)が更新されると、ダッシュボードも自動で最新の状態に保たれます。
- 簡単な共有: 作成したダッシュボードは、URLを共有するだけで、経営層や関係者に簡単に共有できます(閲覧権限の制御も可能)。
これにより、データに基づいた客観的な組織運営や意思決定(データドリブン経営)の第一歩を踏み出すことができます。
連携の準備:WorkspaceデータをLooker Studioに渡す方法
Looker Studioで可視化するには、まず元となるGoogle Workspaceのデータを準備する必要があります。主な方法は2つです。
- 【初心者向け】管理コンソールのレポートをGoogleスプレッドシートに書き出す方法これが最も手軽で、非エンジニアの方におすすめの方法です。管理コンソールの各レポート(例: ユーザーレポート、ドライブ利用状況など)には、データをGoogleスプレッドシートやCSV形式で書き出す機能があります。この書き出したスプレッドシートを、Looker Studioのデータソースとして接続します。
- 【中〜上級者向け】監査ログをBigQueryにエクスポートする方法より大量のデータを、よりリアルタイムに近い形で、かつ高度に分析したい場合は、Google Workspaceの監査ログをGoogle Cloudのデータウェアハウス「BigQuery」に自動でエクスポートする設定を行います。Looker StudioはBigQueryに直接接続できるため、より強力なデータ分析基盤を構築できます。ただし、BigQueryの利用には別途Google Cloudの知識と、データ量に応じた費用がかかる場合があります。
この記事では、主に初心者向けの「1. スプレッドシート連携」を前提に解説を進めます。
【実践】ダッシュボード作成の基本ステップ(スプレッドシート連携)
Looker Studioでのダッシュボード作成は、以下の流れで進みます。
- データソースの準備: 管理コンソールから必要なレポート(例: ユーザーのアカウントアクティビティ)をGoogleスプレッドシートに書き出しておきます。
- Looker Studioでデータソースに接続: Looker Studio (
lookerstudio.google.com
) を開き、新しいデータソースを作成。「Googleスプレッドシート」コネクタを選択し、先ほど書き出したシートを指定します。 - レポート(ダッシュボード)の作成: 新しいレポートを作成し、先ほど接続したデータソースを追加します。白いキャンバスが表示されます。
- グラフや表の追加: ツールバーから「グラフを追加」を選択し、棒グラフ、円グラフ、時系列グラフ、表、スコアカード(主要な数値を大きく表示するもの)など、表示したい形式のグラフをキャンバスに配置します。
- 指標とディメンションの設定: 各グラフで何を表示するかを設定します。「ディメンション」は分析の切り口(例: 日付、ユーザー名、国)、 「指標」は集計する数値(例: レコード数、ログイン回数)です。
- フィルタや期間設定の追加: 「コントロールを追加」から、期間設定(日付範囲)、プルダウンリスト(部署やユーザーで絞り込み)などのインタラクティブな操作部品を配置します。
- デザインと共有: レポート全体のテーマや色、レイアウトを整え、右上にある「共有」ボタンから、関係者に閲覧権限を付与して共有します。
経営判断に活かす!ダッシュボード作成アイデア4選
具体的にどのようなダッシュボードが役立つのか、4つの例をご紹介します。
1. ライセンス最適化ダッシュボード
- 目的: 利用されていないアカウントを発見し、無駄なライセンスコストを削減する。
- 使用データ: ユーザーレポート(最終ログイン日時、ストレージ使用量など)を書き出したスプレッドシート。
- 可視化例:
- アクティブユーザー数と契約ライセンス数の推移(時系列グラフ)。
- 最終ログインが90日以上前のユーザー一覧(表)。
- ストレージ使用量が極端に少ないユーザー一覧(表)。
2. セキュリティ監視ダッシュボード
- 目的: 不審なアクセスや不適切な共有など、セキュリティリスクの兆候を可視化し、早期に発見する。
- 使用データ: ログイン監査ログ、ドライブ監査ログなどを書き出したスプレッドシート。
- 可視化例:
- ログイン元の国別マップ表示。
- ログイン失敗回数の多いユーザーランキング(棒グラフ)。
- 組織外と共有されているファイル数の推移(時系列グラフ)。
- 2段階認証プロセスの設定状況(円グラフ)。
3. コラボレーション活性度ダッシュボード
- 目的: 社内のツール利用状況を把握し、コラボレーションが活発か、あるいは定着していないツールはないかを確認する。
- 使用データ: アプリ利用状況レポート(Meetの会議数、Chatのメッセージ数、共有ドライブでの共同編集数など)。
- 可視化例:
- 部署別のMeet開催数・総時間(棒グラフ)。
- Chatとメールの送信数比較(時系列グラフ)。
- 共有ドライブのアクティブユーザー数の推移(時系列グラフ)。
4. ストレージ管理ダッシュボード
- 目的: 組織全体のストレージ使用量を監視し、将来的な逼迫を予測する。
- 使用データ: ストレージ利用状況レポート。
- 可視化例:
- 組織全体のストレージ使用量の推移と上限値(時系列グラフ)。
- 部署別、またはユーザー別のストレージ使用量ランキング(棒グラフ)。
- Gmailとドライブの使用容量の内訳(円グラフ)。
【私の視点】データ可視化で失敗しないための考え方
Looker Studioは非常に強力ですが、ただグラフを作るだけでは意味がありません。私がお客様にダッシュボード構築をご支援する際に、大切にしている考え方です。
- 「何を知りたいか?」という問いから始める: ツールを触る前に、まず「このダッシュボードで、私たちは何を知りたいんだっけ?」「どんな意思決定をしたいんだっけ?」という目的を明確にすることが最も重要です。目的がなければ、ただの自己満足なグラフが並ぶだけになってしまいます。
- 最初はシンプルな指標から始める、欲張らない: 最初から全てのデータを盛り込んだ複雑なダッシュボードを目指す必要はありません。まずは「非アクティブユーザー数」や「組織外への共有ファイル数」といった、最も重要で分かりやすい指標一つを可視化することから始めましょう。小さな成功体験が、次のステップに繋がります。
- ダッシュボードは「作って終わり」ではなく「育てる」もの: 一度作ったダッシュボードも、運用していく中で「もっとこういう切り口で見たい」「この指標はあまり意味がなかった」といった発見があるはずです。関係者からのフィードバックを元に、定期的にダッシュボードを改善し、「育てる」という意識が大切です。
- データは「犯人探し」ではなく「対話」のきっかけにする: 「この部署はMeetの利用率が低い!」と責めるのではなく、「何か困っていることはありますか?」「もっと良い使い方があるかもしれません」と、データを基に対話し、改善策を一緒に考えるための材料として活用することで、ポジティブな変化が生まれます。私も、レポートをお客様と見ながら、「ここが伸びていますね!」「ここは少しテコ入れが必要かもしれませんね」と対話することを心がけています。
まとめ:データを味方につけ、賢い組織運営を
Google Workspaceのレポート機能とLooker Studioを組み合わせることで、これまで「感覚」でしか分からなかった組織のIT利用状況を、「データ」として客観的に可視化し、把握することができます。
データに基づいたライセンスの最適化、セキュリティリスクの早期発見、そして従業員の活用度向上への働きかけは、あなたの会社をより強く、より効率的な組織へと導いてくれるはずです。
まずは簡単なレポートのエクスポートと、Looker Studioでのグラフ作成から、データドリブンな組織運営への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
このように、Google Workspaceは利用するだけでなく、その利用データを分析・可視化することで、さらに深い価値を引き出せます。このデータドリブンな経営基盤を、お得なプロモーションコードで導入しませんか?
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この記事が、あなたの会社のGoogle Workspace活用とデータドリブン経営の一助となれば幸いです。