この情報は、Google Workspace アップデートブログからのものです。
日々の業務や学習、プライベートでの情報共有において、動画コンテンツの重要性はますます高まっています。
会議の録画、研修資料、製品デモ、あるいは趣味の記録まで、Google Driveには膨大な量の動画が保存されていることでしょう。
しかし、「動画に何が話されているか、必要な情報を見つけるのに時間がかかる…」と感じたことはありませんか?
長い動画を最初から最後まで見直すのは、非常に骨の折れる作業です。
そんな皆様に朗報です!
Google Driveがまた一つ、AIの力を活用した画期的な進化を遂げました。
この度、Googleの対話型AI「Gemini」が、Google Driveに保存された動画コンテンツの要約や、内容に関する質問に答える機能に対応しました。
これにより、動画から必要な情報をこれまで以上に迅速に、そして効率的に引き出すことが可能になります。
Geminiが動画の「情報」を即座に引き出す新機能
これまでもGoogle Driveでは、サイドパネルからGeminiを利用してドキュメントの要約を作成したり、PDFプレビューアでPDFファイルの内容について質問したりすることが可能でした。そして今回、この強力なGeminiの機能が、ついに動画コンテンツへと拡張されます。
この新機能により、Google Driveの動画に対して、以下のような自然言語での質問を投げかけることができます。
「このビデオを要約して」:長時間の会議録画や研修動画の内容を、数行の簡潔なテキストで瞬時に把握できます。
「この会議の録画から行動項目をリストアップして」:議事録作成の手間を大幅に削減し、決定されたタスクや担当者を素早く確認できます。
「この発表動画のハイライトは何ですか?」:製品発表や企業説明の動画から、特に重要なポイントや新しい情報を効率的に抽出できます。
これらの質問は、まるで動画の内容を完全に理解している「知識豊富なアシスタント」に尋ねるかのように、動画から直接、必要な情報を引き出してくれます。これにより、動画を最初から最後まで視聴する必要がなくなり、情報収集や確認にかかる時間を劇的に短縮することができます。
日本のビジネスと生活に与える影響:動画活用の未来を変える
このGeminiによる動画要約・Q&A機能は、特に動画コンテンツの消費量が多い日本のビジネスシーンや、情報過多の現代社会において、計り知れないメリットをもたらします。
1. 会議の効率化と生産性向上
日本企業では、会議の文化が根強く、その録画がGoogle Driveに蓄積されていることも少なくありません。しかし、そのすべてを見返すのは現実的ではありませんでした。
議事録作成の大幅な省力化: 会議の録画から、Geminiに行動項目(アクションアイテム)や決定事項を抽出させることで、議事録のドラフト作成時間を大幅に短縮できます。担当者は、Geminiが生成した内容を基に、最終的な議事録を素早く完成させることができます。
「あの時、何が決まった?」を即座に解決: 過去の会議で決定された事項や、特定の議論内容を確認したい場合、関連する動画をGeminiに質問するだけで、瞬時に答えを得られます。これにより、情報の探し直しにかかる無駄な時間を削減し、迅速な意思決定を支援します。
会議参加へのハードル軽減: やむを得ず会議を欠席した場合でも、録画をGeminiに要約させることで、短時間で会議の全体像や主要な論点を把握し、素早くキャッチアップできます。
2. 研修・教育コンテンツのパーソナライズと効率化
社内研修やeラーニング、学校教育など、動画を活用した学習が増えています。
必要な情報を素早く学習: 長時間の研修動画やオンライン講義動画から、特定のテーマやキーワードに関する情報をGeminiに質問することで、必要な部分だけを効率的に学習できます。これにより、個人の学習ペースやニーズに合わせた柔軟な学習が可能になります。
復習の効率化: 過去の研修内容や講義で理解が曖昧だった点を、動画を見直すことなくGeminiに質問することで、記憶の定着を促し、効率的な復習をサポートします。
教材作成のヒント: どの部分がよく質問されるか、要約として抽出されやすいかといった傾向を把握することで、今後の動画教材作成において、より分かりやすく、学習効果の高いコンテンツを設計するヒントが得られるかもしれません(直接的な機能ではありませんが、AIの利用状況から間接的に推測できる可能性)。
3. 顧客コミュニケーションと情報発信の最適化
顧客向けのウェビナー、製品デモ、FAQ動画など、外部向け動画コンテンツも増えています。
顧客からの問い合わせ対応の迅速化: 顧客から問い合わせがあった際、過去の製品紹介動画やウェビナー動画から、Geminiに特定の情報(例: 「この製品の保証期間は?」「特定機能の使い方は?」)を質問することで、素早く正確な回答を提供できます。これにより、顧客満足度の向上に繋がります。
営業担当者の知識武装: 新製品やサービスについて営業担当者が学習する際、詳細な説明動画をGeminiに要約させたり、疑問点を質問したりすることで、短時間で深い知識を習得し、顧客への提案力を強化できます。
コンテンツマーケティング戦略の改善: 競合他社の発表動画や市場トレンドを解説する動画をGeminiで分析することで、自社のコンテンツ戦略に役立つインサイトを効率的に収集できます。
4. 個人利用での情報活用
ビジネスだけでなく、個人のGoogleアカウントユーザーにとっても、この機能は非常に役立ちます。
趣味の動画からの情報抽出: 料理のレシピ動画、DIYのチュートリアル動画、旅行のVlogなどから、必要な手順や場所、ハイライトを簡単に抽出できます。
家族のイベント記録: 家族旅行や発表会の動画から、印象的なシーンや誰かの発言を素早く探し出すことができます。
注意点と考慮事項:日本語対応への期待
この画期的な機能ですが、いくつかの留意点も存在します。
現在は英語のみ対応
最も重要な点は、現時点ではこの機能が英語のみに対応しているという点です。日本語の動画に対して要約や質問を行うことはできません。日本のユーザーにとってはこれが最大の障壁となりますが、GoogleのAI技術の進化は目覚ましく、近い将来、日本語を含む多言語対応が実現されることを強く期待したいところです。
利用環境の要件
この機能は、Google Driveのオーバーレイプレビューア(ファイルをダブルクリックして表示される画面)または、スタンドアロンのファイルビューア(動画を新しいブラウザタブで開いた場合)で利用可能です。
管理者による設定の確認
企業や組織でGoogle Workspaceをご利用の場合、管理者は以下の設定を確認する必要があります。
「スマート機能とパーソナライゼーション」の有効化: Geminiにアクセスするには、Google Workspaceアプリのサイドパネルでこの設定が有効になっている必要があります。管理者は管理コンソールからユーザーのデフォルト設定をオンにできます。
動画の自動生成キャプションの有効化: Geminiが動画の内容を理解し、要約や質問応答を行うためには、動画に自動生成キャプションが有効になっている必要があります。このキャプションがAIによる理解の基盤となります。
これらの設定が適切に行われているか、IT部門やGoogle Workspaceの管理者にご確認ください。
今すぐ試せる!Geminiによる動画要約機能の利用方法
エンドユーザーとしてこの機能を利用する手順は非常に簡単です。
Google Driveのファイルリストから、要約したい動画ファイルをダブルクリックして開きます。
動画のプレビュー画面が表示されたら、画面の右上にある「Geminiに質問」(星マークのボタン)をクリックします。
サイドパネルまたはダイアログボックスが表示され、質問を入力できるようになります。ここに「Summarize this video」などのプロンプトを入力し、Enterキーを押すだけです。
Google ヘルプセンターでも、Geminiの利用方法について詳しく解説されています。
展開スケジュールと提供対象
この新機能の展開は、段階的に進められています。
迅速リリース(Rapid Release)ドメイン: 2025年5月28日より、最大15日間かけて順次利用可能になります。
計画的リリース(Scheduled Release)ドメイン: 2025年6月16日より、1~3日かけて全面的に展開される予定です。
この機能は、以下のGoogle Workspaceエディションをご利用のお客様に提供されます。
Google Workspace Business StandardおよびPlus
Google Workspace Enterprise StandardおよびPlus
Gemini EducationまたはGemini Education Premiumアドオンをご利用のお客様
Google One AI Premium
以前にGemini BusinessまたはGemini Enterpriseアドオンを購入されたお客様(※これらのアドオンは2025年1月15日をもって販売終了しています。詳細はこちらの発表をご参照ください。)
ご自身の契約プランが対象に含まれるか、ご確認いただくことをお勧めします。
まとめ:動画コンテンツの価値を最大限に引き出すAIの力
Google DriveにおけるGeminiの動画要約・Q&A機能は、単なる機能追加以上の意味を持ちます。これは、時間という貴重なリソースを節約し、情報へのアクセスを民主化し、あらゆる動画コンテンツの価値を最大限に引き出すための強力なツールとなるでしょう。
今はまだ英語のみの対応ですが、GoogleのAI技術の急速な進化を考えれば、日本語を含む多言語対応も遠くない未来に実現するはずです。その時、日本のビジネスシーンや学習環境は、さらに大きく変革されることでしょう。
ぜひこの新しい機能を活用し、Google Driveに眠っている動画コンテンツの可能性を最大限に引き出してみてください。動画を見る時間が劇的に短縮され、より重要な業務や学習に集中できるようになるはずです。