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Google WorkspaceとMicrosoft Office 365の連携がさらに強固に!カレンダー相互運用性がMicrosoft Graph APIへ移行、よりセキュアでスムーズな協業を実現

この情報は、Google Workspace アップデートブログからのものです。

現代のビジネス環境では、多様なITツールやプラットフォームが共存しています。

特に、企業によってはGoogle Workspace(旧G Suite)を主要なコミュニケーションツールとして使いつつも、取引先や一部の部門がMicrosoft Office 365(現Microsoft 365)を利用している、いわゆる「ハイブリッド環境」は珍しくありません。

このような状況において、異なるカレンダーシステム間でのスムーズな連携、特に「相手の空き時間を確認できる」という機能は、円滑な会議調整やリソース予約に不可欠であり、ビジネスの生産性を左右する重要な要素となっています。

Google WorkspaceとMicrosoft Office 365間のカレンダー相互運用性は、これまでもExchange Web Services (EWS) APIを通じて提供されてきました。

しかし、この度、この連携の基盤となるAPIが、Microsoftが推奨する最新の技術である「Microsoft Graph API」へと移行されることが発表されました。

これは単なる技術的な変更に留まらず、よりセキュアで安定した連携を将来にわたって保証するための重要なアップデートです。

なぜ今、この変更が必要なのか?:2026年問題とGraph APIへの移行の背景

このカレンダー連携の基盤変更には、明確な理由があります。Microsoftは、既存のEWS APIのサポートを2026年10月1日をもって終了することをすでに発表しています。この日付以降、EWS APIを使用したカレンダー相互運用性は機能しなくなるため、Google Workspaceを利用している企業や組織の管理者にとっては、この期限までに新しいGraph APIへの移行設定を行うことが喫緊の課題となります。

今回のGoogleからの発表は、この「2026年問題」に先手を打つ形で、管理者の方々が早めに、そしてスムーズに移行作業を進められるよう、Microsoft Graph APIを活用した新しい設定オプションと、より洗練された管理インターフェースを提供するものです。

Graph APIへの移行は、単にEWSのサポート終了に対応するだけでなく、以下のような複数の重要なメリットをもたらします。

  1. 連携の継続性と安定性: EWSのサポート終了後も、Google CalendarとMicrosoft Office 365間のカレンダー連携が途切れることなく継続されます。最新のAPIを利用することで、より安定した接続とパフォーマンスが期待でき、会議調整時の「空き時間が見えない」といったトラブルを未然に防ぎます。

  2. セキュリティの強化とアクセス権限の最適化: Graph APIは、EWSと比較してより細かな権限管理が可能です。今回のアップデートでは、管理者がExchangeカレンダーデータのみへのアクセスを許可できるようになります。これにより、Google WorkspaceからMicrosoft側のシステムへのアクセス範囲が過度に広くなることを防ぎ、不要な情報漏洩リスクを低減できます。情報セキュリティへの意識が非常に高い日本の企業にとって、これは極めて重要な改善点と言えるでしょう。

  3. 将来性と拡張性: Microsoft Graph APIは、Microsoft 365エコシステムの中心となるAPIであり、今後も機能拡張や改善が継続的に行われることが予想されます。この最新の技術基盤に移行することで、将来的な連携機能の強化や、より高度なシナリオへの対応も期待できるようになります。

管理者向け:設定変更の詳細とユーザーエクスペリエンスの向上

今回のアップデートは、主にGoogle Workspaceの管理者の方々が対象となります。エンドユーザーの皆様は、特段の操作を行う必要はありません。

新しい設定パスと合理化されたUI

管理者は、Google Workspaceの管理コンソールから以下のパスでカレンダー相互運用性の設定を行うことができます。

アプリ > Google Workspace > カレンダー > カレンダー相互運用管理 > カレンダーでのExchangeの空き時間情報 > GoogleカレンダーでのExchangeユーザーの空き時間情報の表示を許可

この設定画面が、今回のアップデートで大幅に改善されました。

  • エンドポイントタイプの簡単な選択: 新しいドロップダウンリストから「Microsoft Graph API」を簡単に選択できるようになりました。これにより、設定時の迷いが減り、作業がスムーズに進みます。

  • 詳細情報のシンプル入力: 連携したい特定のMicrosoftドメインや、空き時間情報とリソース予約に使用する「役割アカウント」などの詳細情報を、分かりやすいインターフェースで入力できるようになりました。

  • 役割アカウントの共通化: ユーザーの空き時間情報の確認と、会議室などのリソース予約の両方で、同じ役割アカウントを使用できるようになりました。これにより、設定の複雑さが軽減され、管理者の負担がさらに軽くなります。

  • 強化されたトラブルシューティング: 設定中にエラーが発生した場合でも、管理者が問題を迅速に解決できるよう、各ステップで詳細な情報が表示されるようになりました。これにより、不明なエラーメッセージに悩まされることなく、的確な対処が可能になります。

  • 管理UIの全体的な合理化: どのエンドポイントがどのドメインをサポートしているか、という情報が整理されたテーブル形式で表示されます。これにより、管理者は一目で現在の設定状況を把握でき、対応していないドメインのユーザーの空き時間情報を不必要に検索するといった非効率な操作を避けることができます。

EWS利用中の管理者への明確な警告

現在EWS APIを使用している管理者や、今後EWSを選択しようとする管理者に対しては、管理コンソール内に「EWSは2026年10月1日以降Microsoftによってサポートされなくなります。Graph APIをご利用ください。」というリマインダーバナーが表示されます。これにより、重要な変更を見落とすことなく、計画的な移行を促します。

推奨事項: MicrosoftのEWS APIサポート終了は、Google Workspaceの管理者が対応すべき明確な期限を意味します。Googleは、可能な限り早くGraph APIへの相互運用設定を更新することを強く推奨しています。

日本の企業・組織にとっての具体的なメリットと影響

今回のアップデートは、日本におけるGoogle Workspaceユーザー、特にハイブリッド環境で業務を行う企業にとって、非常に大きな意味を持ちます。

1. シームレスな協業環境の維持・向上

日本企業は、グループ会社間や取引先との連携が密接であり、異なるITインフラを使用しているケースも少なくありません。カレンダー連携が途切れることは、会議の調整が難航し、ひいてはビジネスの機会損失に繋がりかねません。Graph APIへの移行により、この不可欠な連携が将来にわたって保証され、シームレスな協業環境が維持されます。

2. DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の加速

DXを推進する上で、社内外のコミュニケーションの円滑化は基盤となります。カレンダー連携の不安定さは、デジタルツール導入のメリットを打ち消し、結果的にアナログな調整手法(電話やメールでの空き時間確認など)に逆戻りさせるリスクがあります。最新のGraph APIへの移行は、こうした連携のボトルネックを解消し、真のデジタル変革を後押しします。

3. セキュリティガバナンスの強化

近年、日本企業では情報セキュリティに対する意識がかつてなく高まっています。Graph APIによるきめ細やかなアクセス権限管理は、「必要な情報にのみアクセスを許可する」というセキュリティの原則(最小権限の原則)に合致し、企業のセキュリティガバナンス強化に貢献します。IT管理者やCISO(最高情報セキュリティ責任者)にとって、この点は非常に大きなメリットとなるでしょう。

4. IT管理者の負担軽減と戦略的業務への注力

EWSのサポート終了間際になって慌てて対応したり、複雑な設定でトラブルが頻発したりすることは、IT管理者の貴重な時間を奪います。今回のUI改善やトラブルシューティング機能の強化は、移行作業自体を簡素化し、問題解決の時間を短縮します。これにより、IT管理者は日々の運用業務に追われることなく、より戦略的なIT基盤の強化や、イノベーション推進といった重要な業務に注力できるようになります。日本のIT人材不足が叫ばれる中で、限られたリソースを有効活用する上で、これは極めて重要なポイントです。

5. 働き方改革の推進

リモートワークやハイブリッドワークが定着する中で、チームメンバー間の空き時間確認は、場所やデバイスに縛られない柔軟な働き方を支える要となります。カレンダー連携の安定性は、場所や使用しているツールに関わらず、スムーズなコミュニケーションとコラボレーションを促進し、働き方改革を後押しします。

エンドユーザーへの影響:変更なし、しかしその恩恵は大

このアップデートは、主にGoogle Workspaceの管理者向けの技術的な変更です。エンドユーザーの皆様は、今回の変更によって何か特別な操作をしたり、設定を変えたりする必要は一切ありません。

しかし、裏側でAPIが新しく、より安定したものに切り替わることで、エンドユーザーは意識することなく、以下の恩恵を受け続けることができます。

  • 会議の空き時間確認がスムーズ: Google CalendarからMicrosoft Office 365を利用している同僚や取引先の空き時間を、これまで通りスムーズに確認し、会議を招集できます。

  • 会議室や共有リソースの予約が円滑に: 異なるカレンダーシステムで管理されている会議室やプロジェクターなどの共有リソースの予約も、混乱なく行えます。

  • システム間の摩擦を感じない体験: 異なるプラットフォームを使用しているユーザーとの間で、カレンダー連携によるストレスを感じることなく、自然な形で協業を継続できます。

つまり、エンドユーザーは「意識しないけど、いつの間にか便利が続く」という最高の体験を享受できるのです。

展開スケジュールと提供対象

この機能は、2025年5月28日より、順次展開が開始されています。

  • 迅速リリース(Rapid Release)ドメインおよび計画的リリース(Scheduled Release)ドメイン: 2025年5月28日から最大15日間かけて、段階的に利用可能になります。

この機能は、ほとんどのGoogle Workspaceエディションで利用可能です。

  • Google Workspace: Business Starter, Standard, and Plus / Enterprise Starter, Standard, and Plus / Education Fundamentals, Standard, and Plus / Frontline and Frontline Plus / Nonprofits

まとめ

今回のGoogle WorkspaceにおけるMicrosoft Graph APIへのカレンダー相互運用性移行は、単なる技術的なアップデート以上の意味を持ちます。これは、異なるIT環境が混在する現代のビジネスにおいて、シームレスなコラボレーションを継続的に保証し、企業の生産性とセキュリティを向上させるための重要な戦略的投資と言えるでしょう。

特に、2026年10月1日というEWS APIサポート終了の期限が迫る中、Googleが提供するこの新しい設定オプションと管理エクスペリエンスの改善は、管理者の方々が安心して、そして効率的に移行作業を進めるための強力な後押しとなります。

企業のIT担当者やGoogle Workspaceの管理者の方々は、この機会に管理コンソールの設定を確認し、計画的にGraph APIへの移行を進めることを強くお勧めします。これにより、今後もGoogle WorkspaceとMicrosoft Office 365間のカレンダー連携は、変わらず円滑に機能し、社内外の協業を力強く支え続けてくれることでしょう。未来の働き方、より柔軟で効率的なビジネス運営のために、今すぐこの重要な変更に対応しましょう。