この情報は、2025年6月4日のGoogle Workspace アップデートブログからのものです。
現代のビジネス環境において、異なるビデオ会議システムを使い分けることは日常茶飯事となっています。
Google Meetを社内の標準ツールとして利用しつつも、主要な取引先やパートナー企業がCisco Webexを使用している、といったケースは珍しくありません。
このような「ハイブリッド」な環境で会議を行う際、会議室のビデオ会議システムでどのようにしてスムーズに画面を共有し、コンテンツを提示するかは、常に課題となっていました。
これまでもGoogle MeetとCisco Webexの間では、会議への相互参加(相互運用性)が実現していましたが、**コンテンツの共有については一部制限がありました。**しかし、この度、Google MeetのハードウェアとCisco Webexデバイスの間で、HDMI有線接続を介したコンテンツのプレゼンテーション機能が追加されるという画期的なアップデートが発表されました!
これにより、会議室に設置されたGoogle MeetハードウェアからWebex会議へ、またサポート対象のCiscoデバイスからGoogle Meet会議へと、PCを直接HDMIケーブルで接続するだけで、資料や画面を簡単に共有できるようになります。異なるプラットフォーム間での情報共有が、これまで以上にスムーズで効率的になり、ハイブリッドな会議体験が格段に向上します。
新機能の核心:デバイスを問わないシームレスなコンテンツ共有
今回のアップデートにより、Google MeetとCisco Webexの相互運用性が大きく前進します。具体的には、以下の二つの方向でHDMI接続によるコンテンツ共有が可能になります。
Google MeetハードウェアからWebex会議へのHDMIコンテンツ共有:
会議室に設置されたGoogle Meetハードウェア(例えば、Meet Series One Desk 27やMeet Series One Board 65など)を利用してWebex会議に参加している場合、そのMeetハードウェアにPCやその他のHDMI対応機器をHDMIケーブルで接続するだけで、その映像や音声をWebex会議の参加者全員にプレゼンテーションとして共有できるようになります。
これにより、Meetハードウェアが設置された会議室から、Webexを利用している外部の参加者へ、手間なく高画質なコンテンツを提示できます。
サポート対象のCiscoデバイスからGoogle Meet会議へのコンテンツ共有:
CiscoのWebex Room Seriesなどのデバイスが設置された会議室からGoogle Meet会議に参加している場合、そのCiscoデバイスにHDMIケーブルやUSB-CケーブルでPCを接続することで、その画面や音声をGoogle Meet会議の参加者全員に共有できるようになります。
さらに、Apple AirPlayやMiracastといったワイヤレスプレゼンテーション機能もサポートされるため、ケーブルを使わずに、より手軽にコンテンツを共有することが可能です。
この機能は、「Meetエコシステム外のユーザーとの接続や共同作業をさらに容易にする」ことを目的としています。つまり、異なるプラットフォームのユーザーが、互いの会議にスムーズに参加し、ストレスなく情報共有できる環境を構築するための重要な一歩となります。
なぜこの機能が重要なのか?日本のビジネスシーンにおける影響
日本のビジネスシーンでは、グローバル企業との連携や、サプライチェーン、顧客、パートナーといった多岐にわたるステークホルダーとの協業が日常的に行われています。その中で、異なるIT環境やビデオ会議ツールを利用しているケースは非常に多く、これが生産性を阻害する要因となることが少なくありません。
1. 会議室体験の劇的な改善と生産性向上
これまで、会議室でGoogle Meetハードウェアを使ってWebex会議に参加する際、コンテンツ共有のためには、別途PCをWebex会議に参加させたり、PCの画面を別のキャプチャデバイスを通してMeetハードウェアに入力するといった、手間のかかる作業が必要な場合がありました。これは、会議開始時の無駄な時間や、スムーズな進行を阻害する要因となっていました。
「ケーブル一本」で解決: HDMIケーブルを差し込むだけでコンテンツ共有が開始できるため、会議室での準備時間が大幅に短縮されます。「あのケーブルがない」「接続がうまくいかない」といったトラブルが減り、会議開始時のストレスが軽減されます。
シームレスなプレゼンテーション切り替え: 複数人が交代でプレゼンテーションを行う場合でも、ケーブルの抜き差しだけで簡単にプレゼンターを切り替えることができます。
物理的な会議室の価値向上: 高価な会議室用ビデオ会議システムへの投資を最大限に活用できるようになります。MeetとWebex、どちらの会議でも高いレベルで機能するため、会議室の利用効率が向上します。
2. 外部連携の円滑化とビジネス機会の創出
日本企業は、強固なパートナーシップやサプライヤーとの緊密な連携を重視します。異なる会議システムを使っていることが、共同プロジェクトや商談の足かせになることもありました。
顧客・パートナーとの共同作業の質向上: 顧客やパートナーがWebexを利用していても、会議室で高画質な資料をスムーズに共有できることで、議論が深まり、より効果的な共同作業が可能になります。これは、信頼関係の構築やビジネス機会の拡大に繋がります。
海外拠点との連携強化: 海外の拠点やチームがGoogle MeetとWebexのどちらかを使っている場合でも、この相互運用性によって、距離やツールの違いを感じさせないシームレスなコミュニケーションが実現します。
トラブルシューティングの手間削減: 「画面が共有できない」といったトラブルが減ることで、IT担当者への問い合わせが減り、本業に集中できる時間が増えます。
3. 働き方改革とDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速
リモートワークとオフィスワークが混在するハイブリッドワークが定着する中で、会議室での体験とリモート参加者の体験のギャップを埋めることは重要です。
ハイブリッド会議の公平性: 会議室で共有される資料が、リモート参加者にも高画質でスムーズに届けられることで、情報格差が減り、会議への参加意欲とエンゲージメントが向上します。
柔軟なツール選択: 組織内でGoogle Meetが標準であっても、特定のプロジェクトや顧客との連携でWebexが必要な場合でも、ツール間の連携がスムーズであるため、柔軟な働き方を阻害しません。
ITインフラ投資の最適化: 既存のMeetハードウェアやCiscoデバイスを最大限に活用できるため、追加の専用機器を導入する必要が減り、IT投資の効率化にも貢献します。
利用開始は簡単!管理者とエンドユーザー向けガイド
今回のアップデートは、主にGoogle Meetハードウェアを管理している管理者の方々が対象となります。エンドユーザーの皆様は、基本的な操作を理解していれば、すぐにこの新機能を活用できます。
管理者向けの設定:Webex Suiteとハードウェアの確認
このアップデートを利用するためには、重要な前提条件があります。
Webex Suite 会議プラットフォームの要件: この機能を利用するには、Webex Suite会議プラットフォームを実行している必要があります。ご自身のWebex環境がWebex Suiteであるか、Webex ヘルプセンターの記事で確認してください。
Cisco Webex相互運用性の有効化: Google MeetハードウェアにおけるCisco Webex相互運用性は、デバイスでデフォルトで有効になっています。もし何らかの理由で無効にしたい場合は、Google Workspace 管理コンソールから以下のパスで設定できます。
デバイス > Google Meet ハードウェア > 設定 > デバイス設定 > 組み込みの相互運用性
詳細については、Google Workspace 管理ヘルプ: Meet ハードウェアでサードパーティ製のビデオ会議サービスに参加できるようにする をご参照ください。
エンドユーザー向け:HDMIケーブルで接続するだけ
会議室でHDMIケーブルを使ってプレゼンテーションを行う手順は非常にシンプルです。
会議室のGoogle Meetハードウェアまたはサポート対象のCiscoデバイスで、Google Meet会議またはWebex会議に参加します。
PCやその他のコンテンツソースを、会議室システムのHDMI入力ポートに接続します。
Meetハードウェアのタッチスクリーンコントローラーなどから、HDMI入力からのコンテンツ共有オプションを選択します。
詳細については、Google ヘルプ: HDMIケーブルを使用してプレゼンテーションを行う をご参照ください。
展開スケジュールと利用可能な対象
この新機能は、2025年6月4日より、段階的に展開が開始されます。
迅速リリース(Rapid Release)ドメインおよび計画的リリース(Scheduled Release)ドメイン: 2025年6月4日から、展開には15日以上かかる可能性があります(Extended rollout)。
この機能は、Google Meetハードウェアデバイスを所有しているすべてのGoogle Workspaceのお客様が対象となります。つまり、Google Meetハードウェアが導入されている会議室であれば、すぐにこの機能の恩恵を受けられる可能性が高いということです。
留意事項とさらなる活用ヒント
この便利な機能を最大限に活用するために、いくつかの留意点とヒントを共有します。
Webex Suiteの確認: 最も重要な前提条件であるWebex Suiteの要件を、必ずIT部門やWebexの管理者にご確認ください。これが満たされていない場合、機能は利用できません。
ハードウェアの確認: ご利用のGoogle MeetハードウェアおよびCiscoデバイスが、今回の機能に対応しているか、最新のファームウェアに更新されているかを確認しておくことが重要です。
ケーブルの準備: 会議室に適切な長さと種類のHDMIケーブル(必要に応じてUSB-C変換ケーブル)が用意されているか、確認しておきましょう。
ネットワーク環境: 高画質なコンテンツ共有には、安定したネットワーク帯域が必要です。特に外部の会議と接続する際は、ネットワーク環境の安定性を確保することが重要です。
会議室の表示設定: HDMIで接続した際に、Meetハードウェアのディスプレイにどのように表示されるか、事前にテストしておくと、会議開始時の混乱を避けることができます。
まとめ:会議室の常識を変える、相互運用性の新時代へ
今回のGoogle MeetとCisco Webex間のHDMI有線接続によるコンテンツ共有機能の追加は、ハイブリッドワーク環境における会議室のあり方を大きく変えるものです。異なるプラットフォームの垣根を越え、物理的な接続の課題を解消することで、よりスムーズで効率的、そして質の高い共同作業が実現します。
これは、会議開始時の無駄な時間を削減し、参加者のストレスを軽減するだけでなく、企業や組織がこれまで投資してきたビデオ会議システムを最大限に活用し、社内外とのコミュニケーションを深化させるための強力なツールとなります。
日本のビジネスシーンにおいて、多様なツールが共存する状況は今後も続きます。このような中で、ツール間の相互運用性が高まることは、企業全体の生産性向上、DX推進、そして働き方改革を力強く後押しすることに繋がるでしょう。
ぜひこの新しい機能を活用し、あなたの組織の会議体験を、次のレベルへと引き上げてみてください。会議室でのプレゼンテーションが、これまで以上に簡単で、効果的で、そしてストレスフリーなものとなるはずです。