出典: Google Workspace Updates Blog
元記事の投稿日: 2025年6月23日
全社や部署のメーリングリスト、プロジェクトチームの情報共有など、Googleグループは私たちのコラボレーションに欠かせないツールです。
そのグループのメンバー管理や権限設定が、よりシンプルで分かりやすく、安全な形に変わろうとしています。
これは、グループの管理者やオーナーにとって、セキュリティと運用効率に関わる非常に重要なアップデートです。
今回は、2025年9月15日から段階的に実施される変更の内容と、それに伴い管理者が今すぐ準備すべきことを詳しく解説します。
何が変わるの?「カスタムロール」と一部の権限設定が廃止へ
今回の変更の核心は、複雑だった権限設定をシンプルにし、Google Workspaceの他の製品との一貫性を高めることにあります。具体的には、これまで可能だった一部の柔軟すぎる設定が廃止されます。
1. 「メンバーの管理・表示」権限でのカスタムロール利用廃止
Googleグループには、本来「オーナー」「マネージャー」「メンバー」という3つの標準的な役割があります。しかし、これまでは「カスタムロール」という機能を使うことで、「Aさんにはメンバー追加の権限だけを与える」といった、非常に細かい独自の役割を作成できました。
今回の変更で、特に以下の2つの権限設定において、このカスタムロールの利用が廃止されます。
メンバーを管理できるユーザー
メンバーを表示できるユーザー
今後は、これらの権限を「オーナー」「マネージャー」「メンバー」といった標準の役割に基づいて設定することになり、運用がより分かりやすくなります。
2. 「組織全体がメンバーを管理できる」設定の廃止
これは、グループに参加していない組織内の誰でも、そのグループのメンバーを追加・削除できてしまうという、セキュリティリスクの高い設定でした。このオプションも廃止され、より安全な運用が求められるようになります。
なぜ変更するの?シンプルさと一貫性の追求
この変更の背景には、「誰でも直感的に、かつ安全に使えるようにする」というGoogle Workspace全体の思想があります。複雑な設定は、時に管理者の意図しない権限をユーザーに与えてしまうリスクを生み出します。
今回の仕様変更は、こうしたリスクを低減し、設定ミスを防ぎ、Googleグループの運用をより堅牢なものにすることを目的としています。
【重要】変更スケジュールと管理者が今すぐやるべきこと
この変更は、2段階のスケジュールで進められます。特にグループの管理者・オーナーの方は、この日付を必ず確認し、事前準備を進めてください。
フェーズ1:2025年9月15日から(新規設定の停止)
「メンバーの管理」「メンバーの表示」権限に、新しいカスタムロールを追加できなくなります。
「メンバーを管理できるユーザー」を**「組織全体」に新規設定できなくなります。**
フェーズ2:2026年1月5日から(強制的な設定変更)
既存のカスタムロールが無効に: 「メンバーの管理」「メンバーの表示」に設定されていた既存のカスタムロールは、この日以降、効力を失います。
「組織全体」設定の自動更新: 「メンバーを管理できるユーザー」が「組織全体」に設定されていたグループは、自動的に「すべてのメンバー」に変更されます。(これは意図しないメンバーに管理権限を与えてしまう可能性があるため、特に注意が必要です!)
では、どうすればいいの?具体的なアクションプラン
2026年1月5日になって慌てないよう、以下の手順で設定の見直しを進めることを強くお勧めします。
ステップ1:影響を受けるグループを特定する
管理者の方へ: Googleから、あなたの組織内で影響を受けるグループの一覧が記載されたメールが届きます。必ずご確認ください。
グループのオーナー・マネージャーの方へ: 2025年7月以降、対象となるグループの設定画面に、変更を知らせるバナーが表示されるようになります。
ステップ2:権限の見直しと再設定を行う(2026年1月4日まで)
カスタムロールで特別な権限を与えられていたメンバーを、今後はどう処遇するかを決定する必要があります。
例えば、「メンバー管理」のカスタムロールにAさん、Bさん、Cさんがいた場合、以下のような選択肢が考えられます。
【Googleの推奨案】
Aさん、Bさん、Cさんを標準の**「マネージャー」ロールに昇格させ、グループ設定の「メンバーを管理できるユーザー」を「オーナーとマネージャー」**に変更する。その他の選択肢(注意点あり)
Aさん、Bさん、Cさんを**「オーナー」**に昇格させる。(マネージャーよりも強い権限を持つため、慎重な判断が必要です)
「メンバーを管理できるユーザー」を**「すべてのメンバー」**に設定する。(グループの全員がメンバー管理できるようになり、セキュリティリスクが高まります)
ご自身のグループの運用実態に合わせて、最適な設定に移行してください。
まとめ
今回のGoogleグループの仕様変更は、一見すると機能が制限されるように感じるかもしれません。しかし、長期的にはセキュリティを向上させ、管理をシンプルにするための前向きな改善です。
意図しない設定変更でグループの運用に混乱が生じないよう、計画的に設定の見直しを進め、より安全で快適なコラボレーション環境を維持していきましょう。