出典: Google Workspace Updates Blog
元記事の投稿日: 2025年6月25日
これまでGoogleスプレッドシートのAI機能は、サイドパネルから呼び出して、データ全体の分析やグラフ作成を依頼するものでした。
それはそれで非常に強力でしたが、もし、スプレッドシートの一つ一つのセルの中で、直接AIの力を呼び出せたらどうでしょう？
まるでSUM関数やIF関数を使うように、AIを自由自在に扱えたら…？
本日ご紹介するのは、まさにそんな夢を現実にする、Googleスプレッドシートの革命的なアップデートです。
新しい関数**「=AI()」**の登場により、AIがあなたのスプレッドシートの全セルに宿ります。
何ができる？新関数「=AI()」で開く、無限の可能性
この「=AI()」関数は、あなたが指定したセルやデータ範囲を基に、AIに様々なテキスト処理を依頼できる魔法の呪文です。具体的には、主に以下の3つの強力な能力を持っています。
1. テキストの生成
パーソナライズされた文章作成:
顧客リストの各行に対して、その顧客の名前や購入履歴を基に、パーソナライズされたお礼メールや新商品の案内文を自動生成できます。
=AI(“この顧客(A2)への感謝メールを作成して”, A2:D2)広告コピーやSNS投稿の量産:
製品名、特徴、ターゲット層といったデータを基に、何百通りもの広告コピーやSNS投稿のバリエーションを瞬時に作成します。
=AI(“製品名(A2)、特徴(B2)に基づいたキャッチーな広告文を考えて”, A2:C2)
2. 情報の要約
長文レビューの要点抽出:
顧客から寄せられた長文のフィードバックやレビューを、一行の簡潔なサマリーに要約。大量の声を素早く把握し、サービス改善に繋げます。
=AI(“この顧客レビュー(C2)を一行で要約して”, C2)業務報告の自動作成:
ペットホテル事業者が、預かったペットの滞在中の様子（食事、散歩、遊びなど）を記録したデータを基に、飼い主向けのユーモアを交えた報告文を自動で作成します。
=AI(“ペットの滞在記録(F2)を基に、飼い主向けの面白い報告文を2文で作成”, F2)
3. データの分類
問い合わせ内容の自動仕分け:
ヘルプデスクに寄せられた大量の問い合わせメールの内容をAIが読み解き、「賞賛」「交換依頼」「返品依頼」といったカテゴリに自動で分類。担当部署への割り振りを効率化します。
=AI(“この問い合わせ内容(C2)を、賞賛・交換・返品のいずれかに分類して”, C2)感情分析（センチメント分析）:
顧客アンケートの自由記述欄など、テキストデータから顧客が「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」のいずれの感情を抱いているかを分析。顧客満足度の動向を定量的に把握します。
=AI(“このメール(C2)の感情を分析して”, C2)
スプレッドシートの専門家でなくても大丈夫！
この新関数の最大の魅力は、スプレッドシートの高度な知識がなくても、誰でも簡単に使えることです。
複雑な正規表現やマクロ（Google Apps Script）を組む必要はもうありません。「こんなことをしてほしい」というあなたの日常的な言葉をプロンプトとして入力するだけで、AIがその意図を汲み取り、何百行、何千行ものデータ処理を瞬時に実行してくれます。
これまでデータ整理やテキスト処理に費やしていた膨大な時間が削減され、より分析や企画といった創造的な業務に集中できるようになります。
使い方のヒントと注意点
離れたセルの参照も可能:
=AI(“A2の製品名と、D2の原材料、E2の人気度を基にレビューを書いて”) のように、「&」を使ってプロンプト内で複数のセルを組み合わせることもできます。データの更新と再生成:
参照元のセルやプロンプトを更新すると、AI関数のセルは「同期が取れていない」状態になり、古い結果を保持します。最新の結果を得るには、対象のセルを選択して「更新して挿入」をクリックする必要があります。一度に処理できる数:
一度に選択して生成できるAI関数のセルは、最初の200セルまでです。大量のデータを処理する場合は、処理の完了を待ってから次のセルを選択してください。
ご利用可能なプラン
この機能は、以下のGoogle Workspace有料プランおよびアドオンをご利用のユーザーに提供されます。
Business Standard / Plus
Enterprise Standard / Plus
Gemini Education / Gemini Education Premium アドオン など
まとめ
Googleスプレッドシートの新関数「=AI()」は、データ処理の概念を根本から変える、まさに革命的な機能です。これまで専門家でなければ不可能だった、あるいは膨大な手作業が必要だったテキストデータの処理が、誰でも、瞬時に、そして自由自在に行えるようになります。
マーケティング、顧客サポート、人事、営業…あらゆる部門の業務が、この魔法の関数によって効率化され、新たな価値創造の可能性が生まれるでしょう。ぜひ、あなたのスプレ-ドシートで、未来のデータ活用を体験してみてください。