本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の記事を元に、日本のGoogle WorkspaceユーザーおよびGoogle Workspaceに興味がある方々に向けて、2025年11月20日に公開された情報を分かりやすく解説したものです。
企業のファイル管理において、セキュリティと利便性のバランスは常に悩ましい課題です。
特に、高度なデータガバナンス機能を備えた「Egnyte」と、圧倒的なコラボレーション機能を誇る「Google Workspace」の両方を導入している組織にとっては、ツール間の行き来が業務のボトルネックになることもありました。
「EgnyteにあるファイルをGoogleドキュメントで編集したいけれど、手順が面倒」
「Google Workspaceで作った資料を、Egnyteのセキュリティポリシーで管理したい」
そんな現場の声に応える、待望のアップデートが発表されました。
EgnyteとGoogle Workspaceの統合機能が大幅に強化され、すべての顧客に向けて一般提供(General Availability)が開始されました。
今回のアップデートにより、Egnyteの強固なセキュリティ環境と、Google Workspaceの柔軟な編集機能が、まるで一つのツールであるかのようにシームレスに連携します。
本記事では、この連携強化が具体的にどのようなメリットをもたらすのか、新機能の詳細や導入方法を含めて徹底解説します。
何が変わるのか?EgnyteとGoogle Workspaceの「いいとこ取り」が実現
今回の統合強化の核心は、ユーザーが普段使い慣れているEgnyteのインターフェース(Web、モバイルアプリ、デスクトップクライアント)から離れることなく、Google Workspaceのファイルを直接操作できるようになった点です。
これまで、異なるプラットフォーム間でファイルを扱う際には、ダウンロードやアップロード、あるいは専用のコネクタを経由するなど、少なからず手間が発生していました。
しかし、これからはEgnyte上でGoogleドキュメント、スプレッドシート、スライドのファイルを安全に見つけ出し、開き、編集し、管理することが可能になります。
これにより、企業はEgnyteが持つ強力なコンテンツガバナンス機能を維持しつつ、Google Workspaceが提供するリアルタイム共同編集やAI機能の恩恵をフルに享受できるようになります。
まさに、セキュリティと生産性の「いいとこ取り」を実現するアップデートと言えるでしょう。
具体的な4つの強化ポイント
今回のアップデートでは、主に以下の4つの領域で機能強化が行われています。それぞれの詳細を見ていきましょう。
デュアルファイルストレージ(二重保存)による柔軟性と統制
これが今回の連携の大きな特徴です。ファイルはEgnyteとGoogle Driveの両方に安全に保存されます。
ユーザーにとっては、Google Driveの使いやすさをそのまま利用できる一方、IT管理者にとっては、Egnyteが提供する厳格なデータガバナンス、コンプライアンス、アクセス制御ポリシーをGoogle Workspaceファイルにも適用できるというメリットがあります。
「現場の利便性」と「管理側の統制」という、相反しがちなニーズを同時に満たす仕組みです。Google Workspace向けEgnyteアドオンの提供
Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドの画面内から、直接Egnyteのファイルを共有できるようになります。
わざわざアプリを切り替えてEgnyteのリンクを取得し、それをメールやチャットに貼り付ける…といった手間はもう不要です。
Google Workspaceの画面上で作業を完結させることができるため、業務フローが中断されず、集中力を維持したままコラボレーションを加速させることができます。スマートキャンバスとGeminiへのアクセス
Egnyteとの統合環境下でも、Google Workspaceの最新機能が制限されることはありません。
Googleドキュメントの「スマートキャンバス」機能(@メンションによるファイルや会議の埋め込みなど)や、Googleの生成AI「Gemini」の機能を、Egnyte経由で開いたファイルでも利用可能です。
これにより、よりダイナミックでインタラクティブな編集体験が保証されます。セキュリティのために便利な機能を諦める必要はありません。バックエンドの最適化によるパフォーマンス向上
目に見える機能だけでなく、裏側のシステム(バックエンド)でも大幅な最適化が行われました。
全体的な動作パフォーマンス、使いやすさ、そして信頼性が向上しています。
毎日の業務で頻繁に使うツールだからこそ、こうした基礎的な快適さの向上は、ユーザー体験に大きな影響を与えます。ストレスなくサクサク動く環境で、業務効率化を後押しします。
導入のメリット:なぜこの連携が重要なのか
この連携強化は、特に金融、医療、製造業など、機密情報の取り扱いに厳格なルールが求められる業界の企業にとって大きな意味を持ちます。
セキュリティリスクの低減:
Google WorkspaceのファイルをEgnyteのガバナンス下に置くことで、意図しない外部共有や情報漏洩のリスクを一元的に管理できます。シャドーITの防止:
「使いにくいから」という理由で、従業員が許可されていない個人用クラウドストレージを使ってしまうリスク(シャドーIT)を減らすことができます。公式ツール同士が便利に連携していれば、従業員は自然とセキュアな環境を利用するようになります。モバイルワークの推進:
EgnyteのモバイルアプリからもGoogle Workspaceファイルをスムーズに扱えるため、外出先や移動中でも、セキュアな環境で業務を継続できます。
どうやって始める?管理者とユーザーの設定方法
この新しい統合機能を利用するためには、Google Workspace側とEgnyte側の双方で設定が必要です。
管理者の方へ(必須設定)
この機能を利用するには、以下の2つのステップが必要です。Google Workspace管理者: Google Workspace Marketplaceの設定メニューから、自社のドメインに対して「Egnyte Workspace add-on」を有効にする必要があります。
Egnyte管理者: Egnyteの設定メニュー内にある「Egnyte Apps & Integration Settings」から、自社ドメインに対して統合機能を有効にする必要があります。
詳細はEgnyteのヘルプセンターに詳しいガイドがありますので、そちらを参照しながら設定を進めてください。
エンドユーザー(利用者)の方へ
管理者が設定を完了させれば、ユーザー側で特別な設定を行う必要はありません。
Egnyteの画面やGoogle Workspaceのアドオンメニューから、新しい機能をすぐに使い始めることができます。
展開スケジュールと移行について
新規ユーザー:
これからこの連携機能を利用し始めるユーザーには、最初からこのアップグレードされた新しい体験がデフォルトで提供されます。既存ユーザー:
すでに従来のEgnyte連携機能を利用しているユーザーについては、段階的に新しいバージョンへの移行が行われます。
「すぐに新しい機能を使いたい!」という場合は、Egnyteのサポートチームに連絡することで、早期の移行をリクエストすることも可能です。
利用可能なプラン
この機能は、Google Workspaceの非常に幅広いプランで利用可能です。
Business Starter, Standard, Plus
Enterprise Starter, Standard, Plus
Essentials Starter, Enterprise Essentials, Enterprise Essentials Plus
Education Fundamentals, Standard, Plus
Nonprofits
Frontline Starter, Standard, Plus
ほぼすべての企業・組織向けプランが対象となっているため、Egnyteをご利用中の多くのGoogle Workspaceユーザーが恩恵を受けることができます。
まとめ
Google WorkspaceとEgnyteの連携強化は、単なるツールの接続ではありません。それは「自由なコラボレーション」と「厳格なセキュリティ」という、企業の二大ニーズを高い次元で両立させるソリューションです。
これまでツールの使い分けに悩んでいた企業も、このアップデートを機に、よりシンプルで安全なファイル管理体制を構築できるはずです。
Egnyteを導入済みの企業の皆様は、ぜひ管理コンソールを確認し、この強力な統合機能を有効化して、チームの生産性を新たなレベルへと引き上げてください。
