本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の記事を元に、日本のGoogle WorkspaceユーザーおよびGoogle Workspaceに興味がある方々に向けて、2025年12月3日に公開された情報を分かりやすく解説したものです。
業務効率化の新しい波がやってきました。
Googleは、コーディング不要でAIエージェントを作成し、業務を自動化できる新プラットフォーム「Google Workspace Studio」を発表しました。
これまでは専門的なプログラミング知識が必要だった「業務の自動化」が、誰でも直感的に行えるようになります。
Geminiの力を借りて、あなたの代わりに働き、考え、タスクをこなす「自分だけのAIアシスタント」を作れる時代の到来です。
単純作業から複雑なワークフローまで、私たちの働き方を根本から変える可能性を秘めたこの新機能について、詳しく解説していきます。
Google Workspace Studioとは?
「Google Workspace Studio」は、Google Workspace内でAIエージェントを作成、管理、共有するための新しい場所です。最大の特徴は、**「ノーコード(No coding required)」**であること。
エンジニアでなくても、営業担当者や人事担当者、マーケティング担当者が、自分たちの業務に特化した自動化ツールを自らの手で作ることができます。作成したエージェントはチーム内で共有することも可能で、組織全体の生産性を底上げします。
Workspace Studioでできる5つのこと
このプラットフォームで作成される「AIエージェント」は、従来の単純な自動化ツールとは一線を画します。具体的にどのようなことができるのか、5つのポイントで紹介します。
1. 言葉で指示するだけでエージェントが完成
「毎週金曜日に、トラッカーを更新するようリマインドしてほしい」
「プロジェクトCymbalの週次報告書の下書きを作って」
このように、やりたいことを自然な言葉(平易な言語)で記述するだけで、Geminiがその指示を理解し、自動的にエージェントを構築してくれます。複雑な設定画面と格闘する必要はありません。
2. 単純作業を超えた「推論」が可能
従来の自動化ツールは「AならBする」といった単純なルールベースのものが主流でした。しかし、Workspace Studioのエージェントは、情報を読み取り、推論し、状況に合わせて判断することができます。
例えば、「サポートへの問い合わせ内容を分析して優先順位をつける」「承認フローを状況に応じて判断する」「センチメント分析(感情分析)を行う」といった、高度な処理が可能です。
3. Workspaceアプリとの深い連携
エージェントは、Gmail、Googleドライブ、スプレッドシートなどのGoogle Workspaceアプリと深く統合されています。
「今日の予定はどうすべき?」と聞けば、あなたのメールやドキュメントから関連情報を引き出し、文脈を理解した上で、パーソナライズされた回答やアクションを提案してくれます。ドキュメントの内容を読み込んで要約したり、メールの内容から必要な情報をスプレッドシートに転記したりといった作業はお手のものです。
4. 外部ツールともシームレスに接続
Googleのツールだけではありません。Asana、Jira、Mailchimp、Salesforceといったサードパーティ製のアプリやプラットフォームとも接続可能です。
「Salesforceの商談ステータスが変わったら、Gmailでチームに通知し、Asanaでタスクを作成する」といった、複数のツールを跨いだワークフローも自動化できます。
5. 拡張性とカスタマイズ
さらに高度なニーズがある場合は、Webhookを使用して外部APIを呼び出したり(SlackやTeamsへの通知など)、Google Apps Scriptを使用して独自の内部ツールと連携させたりすることも可能です。Vertex AI経由でモデルを統合するなど、ビジネスの成長に合わせて機能を拡張していくことができます。
すぐに使える「テンプレート」も充実
「何から作ればいいかわからない」という方のために、設定不要ですぐに使えるテンプレートライブラリも用意されています。
未読メールの要約: 毎朝、未読メールのサマリーを受け取る。
メールの自動ラベル付け: アクションアイテムが含まれるメールを自動で識別しラベルを付ける。
会議前のブリーフィング: チャットで次の会議に関する情報を事前に受け取る。
これらのテンプレートを使えば、導入したその日から業務効率化を実感できるでしょう。また、作成したエージェントはGoogleドキュメントのように簡単にチームメンバーと共有(コピー)できるため、優れた自動化の仕組みを組織全体に広げるのも簡単です。
管理者向けの重要情報
Google Workspace Studioはコアサービスとして提供されます。
設定: デフォルトでのオン/オフは、組織の新製品リリース設定(リリース設定)に基づきますが、組織部門(OU)やグループ単位で有効化/無効化が可能です。
セキュリティとコンプライアンス: 今後数週間で、外部共有、ドメイン外へのメール送信、Webhookのサポートなどの機能強化が予定されています。これらは信頼できるドメインの設定や許可リストと統合され、管理者がデータの流れを制御、監視、監査できるようになります。
年齢制限: 18歳未満のユーザーは、Gemini AIを使用したエージェントの作成や、AI機能を含むステップの利用はできません。
また、対象エディションのユーザーには、当面の間(2026年1月頃まで)、Workspace Studioの高い使用制限(クォータ)がプロモーションとして適用されます。これにより、ユーザーは新機能を存分に試すことができます。
いつから使える?展開スケジュールと対象エディション
展開スケジュール:
即時リリース(Rapid Release)ドメイン:
2025年12月3日から段階的に展開が開始されます。管理コンソールの設定も同時に表示されます。計画的リリース(Scheduled Release)ドメイン:
管理コンソールの設定は2025年12月3日から段階的に展開されますが、エンドユーザーがWorkspace Studio( https://studio.workspace.google.com/ )にアクセスできるようになるのは、2026年1月5日以降、段階的に展開されます。
利用可能なエディション:
非常に幅広いエディションで利用可能です。
Business Starter, Standard, Plus
Enterprise Starter, Standard, Plus
Education Fundamentals, Standard, Plus
Google AI Pro for Education
Google AI Ultra for Business
まとめ
Google Workspace Studioの登場は、「業務自動化の民主化」と言える大きな変革です。
これまでは一部のITスキルを持った人だけのものだった「自動化」の恩恵を、すべての従業員が受けられるようになります。
「毎週のあの作業、面倒だな」と思ったら、言葉でAIに伝えてエージェントを作ってもらう。そんな働き方が、2026年には当たり前になっているかもしれません。
まずはテンプレートから試し、AIエージェントと共に働く新しいワークスタイルを体験してみてはいかがでしょうか。
