本記事はGoogle Workspace Updatesブログ( https://workspaceupdates.googleblog.com/ )の記事を元に、日本のGoogle WorkspaceユーザーおよびGoogle Workspaceに興味がある方々に向けて、2025年12月8日に公開された情報を分かりやすく解説したものです。
お客様からの電話問い合わせ窓口や、営業チームの代表電話。
「せっかくお電話いただいたのに、担当者が全員他の電話に出ていて対応できなかった」
「呼び出し音が鳴り続けて、最後は留守番電話になってしまった」
そんな経験はありませんか?
これまでのGoogle Voiceの代表電話機能(リンググループ)では、メンバー全員が話し中の場合、電話はボイスメールに転送されるか、最悪の場合、通信キャリアの仕様で切断されてしまうことがありました。
これは、ビジネスチャンスの喪失だけでなく、お客様の満足度低下にも直結する深刻な問題です。
しかし、2025年12月8日に発表されたアップデートにより、この課題が解消されます。
Google Voiceに、待望の「コールキューイング(通話待ち行列)」機能が追加されました。
これにより、担当者が空くまでお客様を「保留状態」で待たせることが可能になり、本格的なコールセンターのような受電体制を構築できるようになります。
今回は、この新機能がビジネスにどのようなメリットをもたらすのか、そしてどのように設定できるのかを詳しく解説します。
何が変わるのか?「話し中」でも電話を逃さない
今回のアップデートの核心は、リンググループ(代表電話)にかかってきた電話を、一時的に「列(キュー)」に並ばせておけるようになったことです。
これまでの挙動:
メンバー全員が通話中だと、電話は即座にボイスメールへ転送されるか、切断されていました。
これからの挙動:
メンバー全員が通話中の場合、かかってきた電話は自動的に「保留キュー」に入ります。
そして、メンバーの誰かが通話を終えて手が空いた瞬間に、キューの先頭で待っている電話がそのメンバーに繋がれます。
管理者がカスタマイズできる4つのポイント
このコールキューイング機能は、単に待たせるだけではありません。管理者は、お客様の待ち時間を快適にし、またオペレーターの負担を考慮した設定を行うことができます。
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待機中の音楽とアナウンス
お客様が待っている間、保留音を流したり、「ただいま電話が混み合っております。順番にお繋ぎしますのでそのままお待ちください」といった定期的なアナウンスを流したりできます。 -
最大待ち人数の設定
キューに並べる人数の上限を設定できます。あまりに多くの人を待たせすぎないよう、上限を超えた場合はボイスメールに転送するなどの制御が可能です。 -
最大待ち時間の設定
お客様を待たせる時間の限界を設定できます。「5分待っても繋がらなければボイスメールへ」といった設定で、無限に待たされるストレスを防ぎます。 -
後処理時間(ラップアップタイム)の設定
オペレーターが通話を終えた後、すぐに次の電話が鳴ると、前の通話のメモを残す暇もありません。
「通話終了後、次の着信まで30秒空ける」といった設定をすることで、オペレーターが一息つき、事務処理を行う時間を確保できます。
ビジネスへの3つのメリット
この機能は、顧客対応を行うすべてのチームにとって強力な武器になります。
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応答率の劇的向上(機会損失の防止)
ボイスメールに飛ばされると、多くのお客様はメッセージを残さずに切ってしまいます。キューイング機能により、少し待てば繋がるという期待感を持たせることで、通話成立の確率を大幅に高め、セールスの機会損失を防ぎます。 -
顧客満足度の向上
「プツン」と切られたり、いきなり留守電になったりするよりも、「順番にお繋ぎします」と案内される方が、お客様の心象は遥かに良いものです。特に混雑時のイライラを軽減する効果があります。 -
サポート業務の効率化
ピークタイムの着信集中をキューで吸収することで、オペレーターは焦らず順番に対応できるようになります。また、ラップアップタイムの導入により、精神的な余裕を持って次の電話に対応できるため、応対品質の向上にも繋がります。
導入方法と対象プラン
設定方法:
Google Workspace管理者は、管理コンソールのGoogle Voice設定から、リンググループごとにこの機能を有効化・無効化できます。
展開スケジュール:
2025年12月8日より、即時リリースおよび計画的リリースドメインの両方で展開が開始されています。
ただし、「拡張ロールアウト」のため、機能が表示されるまで15日以上かかる可能性があります。
対象プラン:
この機能を利用するには、以下のアドオンライセンスが必要です。
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Google Voice Standard
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Google Voice Premier
※Google Voice Starterプランでは利用できませんのでご注意ください。
まとめ:Google Voiceで本格的なコールセンター運用を
今回のアップデートにより、Google Voiceは単なる「クラウド電話」から、「簡易コールセンターシステム」としても十分に使えるツールへと進化しました。
これまで高価なPBX(構内交換機)や専用のコールセンターシステムを導入しなければ実現できなかった機能が、Google Workspaceのアドオンとして手軽に利用できるようになったことは、中小企業や部門単位での導入にとって非常に大きなメリットです。
顧客対応の品質を上げたい、電話の取りこぼしを減らしたいと考えている管理者の皆様は、ぜひこの新機能の設定を検討してみてください。