「あの資料、どこにあったっけ…」。
「新しく入った人に業務の進め方を教えたいけど、まとまったマニュアルがない」。
「担当者がいないと、過去の経緯が分からず仕事が進まない」。
あなたの会社では、このような課題が日常的に発生していませんか。
社内の貴重な知識や情報(ナレッジ)が、個人のパソコンやチャットツール、メールの中に分散してしまっている状態は、業務効率を著しく低下させる原因となります。
この問題を解決する強力なツールが「社内wiki」です。
そして、多くの企業がすでに導入しているGoogle Workspaceのツールを使えば、追加コストなしで、驚くほど簡単に高機能な社内wikiを構築できることをご存じでしたか。
本記事では、Googleサイトを活用して、誰でも簡単に作成・更新できる「生きた社内wiki」を構築するための具体的なガイドを、ステップバイステップで詳しく解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたの会社のナレッジマネジメントは劇的に改善され、組織全体の生産性向上につながるはずです。
なぜ今、社内wikiが必要なのか?ナレッジ分散が引き起こす深刻な問題
社内wikiの構築に取り掛かる前に、まずは「なぜ必要なのか」を深く理解することが重要です。ナレッジの分散は、単に「探し物が増える」という小さな問題ではなく、組織全体に影響を及ぼす深刻な課題を引き起こします。
業務効率の低下と生産性の損失
最も直接的な影響は、業務効率の低下です。必要な情報が見つからないたびに、社員は作業を中断し、情報を探す時間に追われます。同僚に質問したり、過去のチャットログを延々と遡ったり、複数のフォルダを一つひとつ開いて確認したり…こうした時間は、本来であればもっと創造的な業務に使えるはずの時間です。IDCの調査によれば、知識労働者は業務時間の約25%を情報の検索に費やしているというデータもあります。これは1日のうち2時間、1週間のうち丸1日を「探し物」で失っている計算になります。社内wikiによって情報が一元管理され、強力な検索機能で瞬時にアクセスできるようになれば、この無駄な時間を大幅に削減し、組織全体の生産性を大きく向上させることが可能です。
属人化の進行と貴重なノウハウの喪失
情報は、特定の個人の頭の中やローカルPCに留まりがちです。「この業務はAさんしか分からない」という状況は、多くの組織で課題となっています。このような属人化は、担当者の不在時に業務が停滞するリスクを生むだけでなく、退職や異動によって貴重なノウハウが会社から永久に失われる危険性をはらんでいます。長年の経験で培われたスキルや顧客対応のコツ、トラブルシューティングの記録といった「暗黙知」は、組織にとっての財産です。社内wikiは、こうした暗黙知を誰もがアクセスできる「形式知」へと変換し、組織全体で共有・蓄積していくためのプラットフォームとなります。これにより、ベテラン社員の知識を若手に継承し、組織全体のスキルレベルを底上げすることができます。
新入社員のオンボーディングの遅れ
新しくチームに加わったメンバーが、一日も早く戦力になるためには、体系化された情報へのアクセスが不可欠です。しかし、情報が分散している環境では、新入社員は「何から学べばいいのか」「誰に何を聞けばいいのか」が分からず、立ち上がりに多くの時間を要してしまいます。教育担当者も、同じ説明を何度も繰り返すことになり、双方にとって大きな負担となります。社内wikiに、会社のルール、業務マニュアル、各種ツールの使い方、よくある質問(FAQ)などが整備されていれば、新入社員は自分のペースで自律的に学習を進めることができます。これは、オンボーディングの効率化だけでなく、新入社員の不安を和らげ、早期離職を防ぐ効果も期待できるでしょう。
Googleサイトが社内wikiに最適な理由
世の中には多くのwikiツールや情報共有サービスが存在しますが、その中でもGoogleサイトが特に優れているのはなぜでしょうか。ここでは、他のツールと比較した際のGoogleサイトの具体的なメリットを解説します。
追加コスト不要!Google Workspaceユーザーなら誰でも使える
最大のメリットは、Google Workspaceを契約していれば、追加料金が一切かからない点です。多くの企業ではすでにGmailやGoogleドライブを利用するためにGoogle Workspaceを導入済みでしょう。Googleサイトはその標準機能の一つとして提供されているため、新たな予算確保や稟議に頭を悩ませる必要がありません。専用のwikiツール(例えばConfluenceやNotionなど)は高機能ですが、多くはユーザー数に応じた月額費用が発生します。まずはスモールスタートで効果を試したい、全社員に展開したいがコストは抑えたい、といったニーズに対して、Googleサイトは完璧な答えを提供してくれます。
直感的な操作で誰でも簡単にページ作成・更新が可能
社内wikiが形骸化する最大の原因は「更新が面倒」なことです。専門的な知識が必要だったり、操作が複雑だったりすると、更新のハードルが上がり、次第に使われなくなってしまいます。その点、Googleサイトは非常に優れています。テキストの入力、画像の挿入、レイアウトの変更などが、まるでプレゼンテーションソフトを操作するような感覚で、ドラッグ&ドロップで直感的に行えます。HTMLやCSSの知識は一切不要。これにより、IT部門の担当者だけでなく、現場のあらゆる社員が「情報発信者」となり、自らの手でwikiを育てていく文化を醸成しやすくなります。
Googleドライブやドキュメントとのシームレスな連携
Googleサイトは、他のGoogle Workspaceアプリケーションとの連携が非常にスムーズです。例えば、Googleドキュメントで作成した詳細な業務マニュアル、Googleスプレッドシートで管理しているプロジェクトの進捗表、Googleスライドで作った研修資料などを、そのままwikiのページに埋め込むことができます。この連携の素晴らしい点は、元のドキュメントを更新すれば、wikiに埋め込まれた内容も自動で最新の状態に反映されることです。これにより、情報の二重管理の手間がなくなり、常にwikiが最新の情報源であり続けることを保証します。動画(YouTube)やカレンダー、地図(Googleマップ)なども簡単に埋め込めるため、表現力豊かで分かりやすいページを簡単に作成できます。
レスポンシブデザインでスマホでも見やすい
作成したサイトは、特別な設定をしなくても自動的にレスポンシブデザインに対応します。つまり、PCの大きな画面でも、スマートフォンの小さな画面でも、それぞれのデバイスに最適化されたレイアウトで表示されます。外出先の営業担当者が移動中にスマホでマニュアルを確認したり、現場のスタッフがタブレットで手順書を見たりと、時間や場所を選ばずに社内情報へアクセスできる環境は、現代の多様な働き方において非常に重要です。この「いつでもどこでも見られる」手軽さが、wikiの利用率をさらに高める要因となります。
【実践】Googleサイトで社内wikiを構築する5ステップ
ここからは、実際にGoogleサイトを使って社内wikiを構築する具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。Googleアカウントにログインした状態で、ブラウザから「Googleサイト」にアクセスして、一緒に進めていきましょう。
ステップ1: サイトの新規作成と基本設定
まずは、新しいサイトを作成します。Googleサイトのホーム画面で「新しいサイトを作成」から「空白」のテンプレートを選択します。最初にやるべきは基本設定です。
- サイト名: 画面左上の「無題のサイト」部分に、「〇〇株式会社 社内ポータル」のような分かりやすい名前を入力します。これはブラウザのタブなどに表示される名前です。
- サイトのロゴ: サイト名にカーソルを合わせると表示される「ロゴを追加」から、会社のロゴ画像をアップロードします。ブランドの一貫性を保つために重要です。
- テーマの選択: 画面右側のメニューから「テーマ」を選びます。「シンプル」「アリストテレス」など、いくつかのデザインテーマが用意されています。会社の雰囲気に合ったものを選びましょう。カスタムカラーを設定することも可能です。
この段階では、完璧を目指す必要はありません。まずは大枠を決め、後からいつでも修正できるという気持ちで進めましょう。
ステップ2: トップページの設計
トップページは、社内wikiの「玄関」です。全社員が最初に訪れる場所なので、必要な情報に迷わずたどり着けるような設計を心がけます。
- 重要な情報への導線: 右側の「挿入」メニューから「ボタン」や「テキストボックス」を使い、「業務マニュアル」「社内規定」「各種申請書」「プロジェクト一覧」など、利用頻度の高い主要カテゴリーへのリンクを分かりやすく配置します。
- お知らせ欄の設置: 全社的に共有したい最新情報を掲載する「お知らせ」セクションを設けます。ここでもテキストボックスや、コンテンツブロックを活用すると見やすく整理できます。
- 検索バーの活用: Googleサイトには強力な検索機能が標準で備わっています。トップページの上部に検索バーが自動で表示されるため、ユーザーはキーワードでサイト内の全情報を横断的に検索できます。この機能があることを周知するのも良いでしょう。
ステップ3: コンテンツの作成と階層化
トップページからリンクする各カテゴリーのページを作成していきます。画面右側の「ページ」メニューから「+」アイコンをクリックし、新しいページを追加します。ページの階層化も可能です。例えば、「業務マニュアル」という親ページの下に、「営業部マニュアル」「開発部マニュアル」といった子ページ(サブページ)を作成することで、情報を体系的に整理できます。
独自の視点: テンプレート機能の活用
毎回ゼロからページを作成するのは非効率です。議事録、日報、プロジェクト計画書など、定型的なドキュメントは、一度テンプレートとなるページを作成しておきましょう。そして、新しいページを作る際は、そのテンプレートページを「複製」して使うようにルール化します。これにより、フォーマットが統一され、誰が書いても分かりやすいページを作成でき、作成時間の短縮にも繋がります。
ステップ4: Googleドキュメントやスプレッドシートの埋め込み
これがGoogleサイトの真骨頂です。右側の「挿入」メニューから「ドライブ」を選択すると、あなたのGoogleドライブ内のファイル一覧が表示されます。ここから、wikiに掲載したいドキュメント、スプレッドシート、スライドなどを選び、ページに埋め込みます。例えば、経費精算のマニュアル(ドキュメント)や、共有備品リスト(スプレッドシート)をページに直接表示させることができます。前述の通り、元のファイルを更新すれば埋め込んだ内容も自動で更新されるため、メンテナンスが非常に楽になります。
ステップ5: 権限設定と公開
wikiが完成したら、いよいよ公開です。画面右上の「公開」ボタンをクリックします。
- ウェブアドレス: wikiのURLの末尾部分を決めます。`sites.google.com/yourdomain.com/wiki` の `wiki` の部分です。短く分かりやすいものが良いでしょう。
- アクセスできるユーザーの管理: 「管理」リンクから、このwikiを閲覧・編集できるユーザーを設定します。「下書き」を編集できるユーザーと、「公開済みサイト」を閲覧できるユーザーを別々に設定可能です。基本的には「(あなたのドメイン)内の全員」が閲覧できるようにし、編集権限は情報システム部や各部署の担当者など、一部のメンバーに限定するのが一般的です。特定のページだけ、特定のグループにのみ公開するといった、より細かい権限設定も可能です。
設定が完了したら、再度「公開」ボタンを押して完了です。いつでも「公開設定」から変更できるので、まずは限定的な範囲で公開してテストするのも良い方法です。
社内wikiを「使われる」ものにするための運用術
素晴らしい社内wikiを構築しても、それが社員に使われなければ意味がありません。「作って終わり」ではなく、継続的に価値を生み出す「生きた」情報基盤にするためには、戦略的な運用が不可欠です。
運用ルールの策定
無秩序に情報が追加されていくと、せっかくのwikiが再びカオスな状態に陥ってしまいます。そうならないために、最低限のルールを定め、周知することが重要です。
- 命名規則: ページタイトルやファイル名の付け方を統一します。(例: 「【議事録】20250930_〇〇プロジェクト定例」)
- 更新担当者: 各カテゴリーやページごとに、情報の鮮度を保つ責任者を明確にします。
- 情報の陳腐化への対策: 古くなった情報や不要になったページをどう扱うか(アーカイブ用のページに移動する、削除するなど)のルールを決めます。ページの末尾に「最終更新日」と「更新者」を記載する欄を設けるのも有効です。
周知と利用促進のアイデア
wikiの存在と利便性を、粘り強く社内にアピールし続けることが大切です。
- 定例会議での共有: 週次や月次の定例会議で、「今週、wikiにこんな便利なページが追加されました」といった紹介を数分間行うだけでも効果があります。
- 質問への回答はwikiで: 社員から質問を受けた際に、口頭で答えるだけでなく、「その答えはwikiのこのページに書いてありますよ」とURLを共有する習慣をつけましょう。これを繰り返すことで、「まずはwikiで探す」という文化が根付きます。
- 貢献者の称賛: 積極的にページを作成・更新してくれた社員を、社内チャットなどで称賛し、貢献を可視化することもモチベーション向上に繋がります。
定期的な棚卸しとコンテンツの改善
情報も生き物と同じで、定期的なメンテナンスが必要です。半年に一度、あるいは年に一度は「wikiの棚卸し期間」を設け、全部署で内容を見直す機会を作りましょう。アクセス解析機能(Googleアナリティクスと連携可能)を使い、よく見られているページ、逆に全く見られていないページを特定し、コンテンツの改善に役立てることもできます。ユーザーからのフィードバックを収集するためのフォームをwiki内に設置するのも良いでしょう。
Gemini in Google Workspaceを活用したコンテンツ作成の効率化
2025年9月時点の情報として、Google WorkspaceにはAIアシスタント「Gemini」が搭載されており、これを使わない手はありません。例えば、会議の録画データ(Google Meetで録画しドライブに保存)をもとに、Geminiに議事録の草案を作成させ、それをドキュメントに貼り付けて整形し、wikiに掲載する、といった活用が可能です。複雑なマニュアルの要約や、FAQのたたき台作成など、コンテンツ作成にかかる時間を大幅に短縮できます。AIを積極的に活用することで、wiki運用の負担を軽減し、より質の高いコンテンツを効率的に蓄積していくことができるでしょう。
まとめ
本記事では、ナレッジの分散という多くの企業が抱える課題を解決するために、Googleサイトを活用した社内wikiの構築方法とその運用術を詳しく解説しました。
Googleサイトを使えば、追加コストをかけることなく、誰でも直感的な操作で、Googleの各種サービスと連携した高機能な社内wikiを構築できます。これにより、情報検索の時間を削減し、業務の属人化を防ぎ、組織全体の生産性を向上させることが可能です。
重要なのは、作って終わりではなく、明確なルールのもとで継続的に情報を更新し、「まずはwikiを見る」という文化を組織に根付かせることです。まずはこの記事で紹介したステップを参考に、あなたの部署やチームといった小さな単位からでも、社内wikiの構築を始めてみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、会社の情報共有を劇的に変える大きな力になるはずです。
なお、Googleサイトを含むGoogle Workspaceの各種ツールを最大限に活用するには、自社に合ったプランの選択が重要です。Business StarterからEnterpriseプランまで、それぞれ機能やストレージ容量が異なります。現在、当サイトではGoogle Workspaceの利用料金が初年度15%OFFになる大変お得なプロモーションコードを配布しております。どのプランを選べば良いか分からない、少しでもコストを抑えて導入したいとお考えの方は、ぜひ以下の解説ページで詳細をご確認ください。