自宅で手軽に自分だけのサーバーを構築できるRaspberry Piは、学習やホビー用途で非常に人気があります。
しかし、その便利さの一方で、インターネットに常時接続する自宅サーバーは、常にセキュリティの脅威に晒されているという事実を見過ごしてはいけません。
外部からの不正アクセスや個人情報の漏洩など、考えられるリスクは多岐にわたります。
この記事では、そうした脅威からあなたのRaspberry Pi自宅サーバーを守るための、最も効果的な対策の一つであるVPN、特に評価の高い「NordVPN」を導入する手順を、初心者にも分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたも今日から安心して自宅サーバーを運用できるようになるでしょう。
なぜRaspberry Piの自宅サーバーにVPNが不可欠なのか?
Raspberry Piで自宅サーバーを運用する魅力は、低コストでWebサイトを公開したり、ファイルサーバーを構築したりと、無限の可能性にあります。しかし、自宅のネットワークからサーバーをインターネットに公開した瞬間、それは世界中の誰からでもアクセス可能な状態になります。これは、悪意のある攻撃者にとっても格好の標的となり得ることを意味します。VPN(Virtual Private Network)は、この問題を解決するための強力なツールです。
自宅サーバーが直面する具体的なセキュリティ脅威
自宅サーバーが晒される脅威は、決して他人事ではありません。代表的なものには以下のようなものがあります。
- IPアドレスの漏洩: サーバーを公開すると、自宅のグローバルIPアドレスが外部に知られてしまいます。これにより、あなたの所在地がある程度特定されたり、DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃)の標的にされたりするリスクが高まります。
- 不正アクセスとデータ盗難: サーバーの脆弱性を突かれ、不正にログインされると、保存しているファイルや個人情報が盗まれる可能性があります。特に、パスワード管理が甘い場合は非常に危険です。
- 通信の盗聴: 暗号化されていない通信は、経路上で第三者に盗聴される可能性があります。例えば、サーバーの管理画面にログインする際のIDやパスワードが平文で送信されていると、それを傍受されるリスクがあります。
これらのリスクは、適切なセキュリティ対策を講じなければ、いつ現実に起きてもおかしくないのです。
VPNが提供する堅牢なセキュリティソリューション
ここで活躍するのがVPNです。VPNは、インターネット上に仮想的な専用線を構築し、通信を暗号化する技術です。Raspberry PiにNordVPNを導入すると、以下のような効果が得られます。
- IPアドレスの隠蔽: Raspberry Piからのすべての通信は、一度NordVPNのサーバーを経由します。そのため、外部に公開されるIPアドレスは、自宅のものではなくNordVPNサーバーのものになります。これにより、あなたの本当のIPアドレスと所在地を隠し、DDoS攻撃などのリスクを大幅に低減できます。
- 強力な通信の暗号化: NordVPNは、AES-256という現在最高レベルの暗号化技術を使用しています。これにより、Raspberry Piとインターネット間のすべての通信が暗号化され、たとえ第三者に傍受されたとしても、内容を解読されることはほぼ不可能です。
つまり、VPNはあなたの自宅サーバーの周りに目に見えないデジタルの要塞を築き、外部の脅威から守ってくれるのです。
準備するものとNordVPNのセットアップ
それでは、実際にRaspberry PiにNordVPNを導入する準備を始めましょう。難しく聞こえるかもしれませんが、手順通りに進めれば誰でも設定できます。まずは必要なものを揃え、NordVPNのアカウントを作成するところからスタートです。
インストールに必要なものリスト
作業を始める前に、以下のものが揃っているか確認してください。
- Raspberry Pi本体: Raspberry Pi 3、4、または5など、現在一般的に使われているモデルであれば問題ありません。
- OSがインストールされたmicroSDカード: Raspberry Pi OS (旧Raspbian) の最新版を推奨します。この記事では、GUI環境ではなく、コマンドラインでの操作を前提とします。
- インターネット接続環境: 有線または無線LANでインターネットに接続されている必要があります。
- SSH接続できるPC: Raspberry Piにコマンドを送信するため、ターミナルソフト(WindowsならPowerShellやTera Term、Macならターミナル)を使えるPCを用意してください。
- NordVPNのアカウント: まだ持っていない場合は、公式サイトから契約する必要があります。
NordVPNのアカウント作成と契約手順
NordVPNを利用するには、まずアカウントを作成し、プランを契約する必要があります。2025年12月時点では、長期プランほど月額料金が割安になる傾向があります。自宅サーバーの保護は継続的に行うべきなので、2年プランなどの長期契約がコストパフォーマンスに優れています。
契約は非常に簡単です。
- NordVPN公式サイトにアクセスし、プランを選択します。
- メールアドレスを登録し、支払い情報を入力します。
- 支払いが完了すると、アカウントが有効になります。
たったこれだけで、世界最高水準のVPNサービスを利用する準備が整います。30日間の返金保証もついているため、万が一満足できなくても安心して試すことができます。
実践!Raspberry PiにNordVPNをインストールする手順
準備が整ったら、いよいよRaspberry PiにNordVPNクライアントをインストールしていきます。SSHでRaspberry Piにログインし、以下のコマンドを一つずつ実行してください。コピー&ペーストで進めると確実です。
ステップ1: パッケージリストの更新とcurlのインストール
まず、システムのパッケージリストを最新の状態に更新し、ファイルのダウンロードに必要なcurlをインストールします。
sudo apt update
sudo apt upgrade -y
sudo apt install curl -yステップ2: NordVPNの公式リポジトリをセットアップ
次に、NordVPNのLinux向けクライアントをダウンロードするための公式インストーラーを実行します。以下のコマンドは、NordVPNの公式サイトで推奨されている安全な方法です。
sh <(curl -sSf https://downloads.nordcdn.com/apps/linux/install.sh)このコマンドを実行すると、NordVPNのパッケージリポジトリがシステムに追加され、aptコマンドでNordVPNをインストールできるようになります。
ステップ3: NordVPNクライアントへのログイン
インストールが完了したら、NordVPNアカウントでログインします。以下のコマンドを実行してください。
nordvpn loginコマンドを実行すると、ブラウザで開くためのURLが表示されます。PCのブラウザでそのURLにアクセスし、NordVPNの認証画面でログインを完了させてください。成功すると、ターミナル側にも認証完了のメッセージが表示されます。
ステップ4: VPNサーバーへの接続と確認
ログインが完了したら、いよいよVPNサーバーに接続します。最も簡単なのは、以下のコマンドで最寄りの推奨サーバーに自動接続する方法です。
nordvpn connect「You are connected to (国名) # (サーバー番号)」のようなメッセージが表示されれば接続成功です。
正しく接続できているか確認するために、接続前と接続後で以下のコマンドを実行し、表示されるIPアドレスが変わっていることを確認しましょう。
curl ifconfig.me接続後に表示されるIPアドレスが、あなたの自宅のものではなく、NordVPNのサーバーのものになっていれば、設定は完璧です。
NordVPNの便利な設定と自宅サーバーでの活用術
基本的な接続は完了しましたが、自宅サーバーで24時間365日安定して運用するためには、もう少し設定を加えておくと安心です。NordVPNには、サーバー運用に役立つ便利な機能がいくつか用意されています。
Kill Switch機能で万が一の通信漏洩を防ぐ
「Kill Switch」は、何らかの理由でVPN接続が切断された際に、インターネット接続自体を自動的にブロックする機能です。これにより、意図せず生身のIPアドレスで通信してしまう事故を防ぎます。常時稼働させる自宅サーバーには必須の機能と言えるでしょう。
以下のコマンドでKill Switchを有効にできます。
nordvpn set killswitch onAutoconnect機能で常時VPN接続を維持
「Autoconnect」は、Raspberry Piの起動時やVPN接続が切れた際に、自動的にVPNに再接続してくれる機能です。これにより、手動で再接続する手間が省け、常に保護された状態を維持できます。
以下のコマンドで、特定の国(例えば日本)のサーバーに自動接続する設定ができます。
nordvpn set autoconnect on Japanこれで、予期せぬ再起動が発生しても、自動でVPN接続が復旧するため安心です。
独自の視点: さらなる活用のヒント
NordVPNは非常に強力ですが、いくつか知っておくべき点もあります。例えば、2025年12月現在、NordVPNはポートフォワーディングをサポートしていません。そのため、外部から自宅サーバー内の特定のサービス(例: Webサーバーの80番ポート)に直接アクセスするような構成は基本的にはできません。
もし外部からのアクセスが必要な場合は、NordVPNで全体のセキュリティを確保しつつ、「Tailscale」や「ZeroTier」といった、P2P型のVPNツールを併用して、許可したデバイスからのみ安全にアクセスする経路を別途確保するという、より高度な構成も考えられます。これは、セキュリティと利便性を両立させる上級者向けのテクニックの一つです。
まとめ:今日から始めるRaspberry Piセキュリティ対策
この記事では、Raspberry Piで構築した自宅サーバーをセキュリティの脅威から守るため、NordVPNを導入する具体的な手順を解説しました。
IPアドレスを隠蔽し、すべての通信を強力に暗号化することで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを劇的に低減させることができます。Kill SwitchやAutoconnectといった機能を活用すれば、24時間安心してサーバーを運用する体制が整います。
自宅サーバーのセキュリティ対策は、後回しにすればするほどリスクが高まります。この記事を参考に、ぜひ今日からあなたのRaspberry Piに鉄壁の守りを実装してください。
NordVPNには、今回紹介した機能以外にも、広告ブロック機能や多様なプロトコルの選択など、多くの魅力があります。料金プランやさらに詳しい使い方、他のVPNサービスとの比較については、別記事の「【2025年最新版】NordVPN完全ガイド:始め方から料金、メリット・デメリットまで徹底解説!」で網羅的に解説していますので、ぜひそちらもご覧ください。
安全で快適な自宅サーバーライフを始める第一歩として、まずは公式サイトで最新のキャンペーンをチェックしてみてはいかがでしょうか。
