確定申告の時期が近づくと、多くの人が頭を悩ませるのが医療費の扱いです。
「年間の医療費が10万円を超えたから、医療費控除が使えるはず…」。
そう思って準備を始めたものの、「セルフメディケーション税制」という別の制度もあると知り、混乱していませんか。
「結局、自分はどっちを使えば一番お得になるの?」。
この2つの制度は選択制で、どちらか一方しか利用できないため、慎重な判断が求められます。
しかし、ご安心ください。
この記事では、医療費控除とセルフメディケーション税制の基本的な違いから、どちらを選ぶべきかの判断基準、そして人気の会計ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」を使って、どちらが得かを簡単にシミュレーションする方法まで、具体的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたは自分に最適な制度を選び、迷うことなく確定申告を進められるようになっているはずです。
どっちがお得?医療費控除とセルフメディケーション税制の基本を徹底比較
まずは、2つの制度がどのようなものなのか、基本的な違いを理解することから始めましょう。似ているようで全く異なるこの制度、ポイントを押さえて比較することで、自分の状況にどちらが合っているかが見えてきます。
制度の目的と対象者の違い
両制度は、その成り立ちの目的が異なります。
- 医療費控除: 高額な医療費による家計の負担を軽減するための制度です。本人だけでなく、生計を同一にする配偶者や親族のために支払った医療費も合算できます。
- セルフメディケーション税制(医療費控除の特例): 健康の維持増進や疾病の予防への取り組みを促すための制度です。薬局などで購入できる特定の市販薬(スイッチOTC医薬品)が対象で、適切な健康管理を行う個人を税制面で優遇することを目的としています。
つまり、医療費控除が「かかってしまった医療費」に対する救済措置であるのに対し、セルフメディケーション税制は「健康のために自発的に行った市販薬購入」に対するインセンティブ、という位置づけになります。
対象となる費用の違い
控除の対象となる費用も、明確に区別されています。
- 医療費控除の対象:
- 医師、歯科医師による診療費、治療費
- 処方された医薬品の購入費
- 入院費用、通院のための交通費(公共交通機関)
- あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術費(治療目的のもの)
- その他、治療に直接必要な費用
- セルフメディケーション税制の対象:
- 医師によって処方される医療用から、薬局で購入できるようになったスイッチOTC医薬品の購入費のみ。風邪薬、胃腸薬、アレルギー薬、湿布薬など、多くの市販薬が対象ですが、全ての市販薬が該当するわけではありません。対象製品のパッケージには識別マークが印刷されているので、購入時に確認できます。
ポイントは、セルフメディケーション税制は「スイッチOTC医薬品」のみが対象という点です。病院の診察代や処方薬、交通費などは一切含まれません。
控除額の計算方法と上限
最も重要な控除額の計算式と上限額も異なります。どちらがより多くの控除を受けられるかを判断する上で、中心となる部分です。
- 医療費控除の計算式:
(実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補てんされる金額) - 10万円
※総所得金額等が200万円未満の人は、10万円の代わりに総所得金額等の5%を引きます。控除額の上限は200万円です。 - セルフメディケーション税制の計算式:
(スイッチOTC医薬品の購入合計額 - 保険金などで補てんされる金額) - 1万2千円
控除額の上限は8万8千円です。
判断の分かれ目となるのは、「10万円」と「1万2千円」という2つの基準額です。家族全体の医療費が10万円を大きく超える場合は医療費控除が有利になる可能性が高く、医療費はそれほどでもないけれど、市販薬を年間1万2千円以上購入しているという場合はセルフメディケーション税制を検討する価値が出てきます。
そして、大前提として、この2つの制度は同時に利用することはできません。必ずどちらか一方を選ぶ必要があります。
【実践】マネーフォワード クラウド確定申告でどっちが得かシミュレーションする方法
理論は分かっても、いざ自分のケースで計算しようとすると面倒に感じるものです。そこで活躍するのが「マネーフォワード クラウド確定申告」です。このソフトを使えば、どちらの制度が自分にとって有利なのかを、ゲーム感覚で簡単にシミュレーションできます。
※2025年12月時点の情報に基づき解説します。実際の画面は変更される可能性があります。
STEP1: まずは医療費のデータを集計しよう
シミュレーションを始める前に、1年間(1月1日〜12月31日)にかかった医療費関連の領収書を手元に集めましょう。以下の2種類に分けておくと、後の入力がスムーズです。
- 病院の診療費、処方薬、交通費など、医療費控除の対象となる費用全体の合計額
- 薬局などで購入したスイッチOTC医薬品の合計額
もし普段から家計簿アプリ「マネーフォワード ME」を利用しているなら、さらに簡単です。クレジットカードや電子マネーの明細と連携していれば、「医療費」カテゴリで絞り込むだけで年間の支出額を自動で集計できます。この連携機能こそ、マネーフォワードを使う大きなメリットの一つです。
STEP2: マネーフォワード クラウド確定申告の「医療費控除」入力画面へ
マネーフォワード クラウド確定申告にログインし、確定申告書作成画面に進みます。メニューから「所得から差し引かれる金額」>「医療費控除」を選択してください。
入力画面では、「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」のどちらを適用するかを選択するラジオボタンがあります。ここがシミュレーションのキモとなります。
STEP3: 2つのパターンで控除額を自動計算・比較
いよいよ、どちらがお得かを確認します。以下の手順で試してみてください。
パターンA:医療費控除で計算してみる
- まず、「医療費控除」のラジオボタンを選択します。
- 「医療費の明細」入力欄に、集計したすべての医療費(病院代、薬代、交通費など)の合計額を入力します。
- 入力が完了すると、画面右側などに表示されている納税額(または還付額)がリアルタイムで変動します。この金額をメモしておきましょう。
パターンB:セルフメディケーション税制で計算してみる
- 次に、先ほど入力した医療費の明細を一旦削除します。
- 「セルフメディケーション税制」のラジオボタンに切り替えます。
- 入力欄に、集計した「スイッチOTC医薬品」の購入合計額のみを入力します。
- 再度、画面の納税額(または還付額)が変動します。
結果の比較
パターンAとパターンBの納税額(還付額)を比較して、より納税額が少なくなる方(または還付額が多くなる方)が、あなたにとってお得な制度ということになります。電卓を叩いて複雑な計算をする必要は一切ありません。入力内容を変えるだけで、ソフトが瞬時に有利な選択を教えてくれるのです。
マネーフォワードで簡単!医療費控除・セルフメディケーション税制の申告手順
シミュレーションで有利な方が決まったら、そのまま申告手続きに進みましょう。マネーフォワード クラウド確定申告を使えば、面倒な明細書の作成から提出まで、驚くほどスムーズに完了します。
「医療費控除」を選択した場合の申告フロー
シミュレーションの結果、医療費控除が有利だった場合は、そのまま医療費の明細を入力した状態で申告を進めます。マネーフォワードでは、入力した情報をもとに「医療費控除の明細書」が自動で作成されます。
申告方法としてe-Tax(電子申告)を選べば、この明細書や領収書を税務署に郵送する必要はありません。ただし、領収書の原本は5年間の保管義務があるため、申告が終わっても捨てずに大切に保管しておきましょう。マネーフォワードはe-Taxとの連携もスムーズで、画面の指示に従っていくだけで申告が完了します。
「セルフメディケーション税制」を選択した場合の申告フロー
セルフメディケーション税制が有利だった場合も、手順はほぼ同じです。スイッチOTC医薬品の購入額を入力した状態で申告を進めると、「セルフメディケーション税制の明細書」が自動で作成されます。
こちらもe-Taxで申告すれば、領収書の提出は不要です(5年間の保管義務あり)。ただし、一つ注意点があります。セルフメディケーション税制を利用するには、申告する本人が健康診断や予防接種など、健康のための一定の取組を行ったことを証明する必要があります。申告時に証明書類(結果通知表など)の提出は不要ですが、求められた際に提示できるよう、こちらも領収書と一緒に保管しておきましょう。
独自の視点:個人事業主が注意すべきポイント
特に個人事業主の方にとって、マネーフォワード クラウド確定申告は強力な味方です。日々の経費を帳簿付けする際に、プライベートな支出である医療費も「事業主貸」の勘定科目で記録しておくことができます。こうすることで、確定申告の時期にあわてて1年分の領収書を探し回る手間が省けます。
医療費控除やセルフメディケーション税制の申告は、確定申告全体の一部に過ぎません。マネーフォワード クラウド確定申告は、医療費の計算だけでなく、日々の経費管理から青色申告決算書の作成、そして提出まで、個人事業主の確定申告プロセス全体を劇的に効率化してくれます。詳しい使い方や料金プランについては、「【完全ガイド】マネーフォワード クラウド確定申告とは?使い方・評判・料金まで個人事業主向けに徹底解説」で網羅的に解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ:迷ったら、まずはマネーフォワードで試すのが最善手
今回は、医療費控除とセルフメディケーション税制という、多くの人が迷う2つの制度について解説しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- 医療費控除は家族全員の医療費が年間10万円を超えた場合に検討。
- セルフメディケーション税制は病院にあまり行かないが、市販薬(スイッチOTC)を年間1万2千円以上買う場合に検討。
- 両制度は併用不可。どちらか一方を選択する必要がある。
- どちらがお得か迷ったら、マネーフォワード クラウド確定申告でシミュレーションするのが最も確実で簡単な方法。
複雑に見える税金の制度も、便利なツールを使えば恐れるに足りません。「自分はどっちがお得なんだろう?」と一人で悩み続けるよりも、まずは実際に数字を入れて試してみることが、賢い節税への一番の近道です。
まだマネーフォワード クラウド確定申告を使ったことがない方は、この機会にぜひ試してみてはいかがでしょうか。無料プランから始められ、面倒な確定申告が驚くほど身近で簡単なものに変わる体験ができますよ。