毎日のように繰り返される、レポート作成のためのデータ集計とファイル作成…。
その手作業、もうやめにしませんか?
多くのビジネスパーソンが、データベースや他のアプリケーションからデータを抽出し、ExcelやCSV形式にまとめて関係者に共有するというタスクに、多くの時間を費やしています。
この定型的な作業は、自動化ツールn8n(エヌエイトエヌ)を使えば、驚くほど簡単に、そして確実に行うことができます。
この記事では、n8nの「Spreadsheet File」ノードに焦点を当て、ExcelやCSVファイルを自動で生成・更新するための具体的な設定方法から、実践的な活用例までを詳しく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたも面倒なファイル作成作業から解放され、より創造的な業務に時間を使えるようになっているはずです。
なぜn8nでExcel/CSVファイルを自動生成するのか?そのメリットを解説
そもそも、なぜExcelやCSVファイルの生成を自動化する必要があるのでしょうか。手作業でもできる、と考える方もいるかもしれません。しかし、n8nを使ってこのプロセスを自動化することには、計り知れないメリットがあります。
メリット1:圧倒的な時間短縮と生産性の向上
最大のメリットは、手作業にかけていた時間をゼロにできることです。毎日、あるいは毎週行っていたデータ抽出、コピー&ペースト、フォーマット調整といった一連の作業をn8nがすべて代行してくれます。例えば、毎日15分かかっていたレポート作成作業を自動化すれば、1ヶ月(20営業日)で300分、つまり5時間もの時間を節約できます。この時間を、データ分析や次のアクションの計画など、より付加価値の高い業務に充てることが可能になります。
メリット2:ヒューマンエラーの徹底的な排除
手作業には、どうしてもコピーミスや入力漏れ、計算間違いといったヒューマンエラーがつきものです。特に、大量のデータを扱う場合、そのリスクは増大します。n8nでワークフローを一度正しく設定してしまえば、あとは機械が正確に処理を実行します。これにより、データの信頼性が格段に向上し、誤った情報に基づく意思決定を防ぐことができます。
メリット3:リアルタイムな情報共有の実現
「最新の売上データをCSVでください」と依頼されてから、手作業でファイルを準備していては、情報共有にタイムラグが生じます。n8nを使えば、例えば「Webhookが実行されたら」「データベースが更新されたら」といったトリガーで、常に最新のデータが反映されたExcel・CSVファイルを自動で生成し、指定のフォルダに保存したり、Slackやメールで関係者に通知したりできます。これにより、チーム全体が常に最新の状況を把握し、迅速なアクションを起こせるようになります。
メリット4:他のツールとの柔軟な連携
n8nの真価は、その連携能力の高さにあります。Spreadsheet Fileノードは、n8nが持つ数百ものノード(各種SaaS、データベース、APIなど)と自由に組み合わせることができます。例えば、CRMから顧客リストを取得し、会計ソフトから請求データを取得し、それらをマージして一つのExcelレポートとして出力する、といった複雑なワークフローも実現可能です。手作業では複数のシステムを何度も行き来する必要があった作業も、n8n上で一気通貫に自動化できるのです。
Spreadsheet Fileノードの基本的な使い方
それでは、実際にSpreadsheet Fileノードの使い方を見ていきましょう。ここでは、入力されたJSONデータを元に、新しいExcelファイル(.xlsx)を作成する最も基本的な操作を解説します。2026年1月時点の情報を元にしていますが、UIは変更される可能性がある点にご留意ください。
1. ノードの追加と設定
n8nのワークフローエディタで「+」ボタンをクリックし、検索ボックスに「Spreadsheet File」と入力してノードを追加します。
まず、基本的な設定項目を見ていきましょう。
- Operation: ここでノードの動作を選択します。「Create」は新規作成、「Append」は追記、「Read」は読み込みです。今回は「Create」を選択します。
- File Format: 生成したいファイルの形式を選びます。「XLSX (Excel)」または「CSV」が選択できます。
- File Path: 生成するファイルの保存場所とファイル名を指定します。例:
/data/reports/daily_sales.xlsxのように指定します。n8nの実行環境によってパスの指定方法が異なる場合があるので注意してください。 - Sheet Name: Excelファイルの場合、シート名を指定します。例:
売上データ
2. フィールド(カラム)のマッピング
次に、どのデータをどの列に出力するかを設定します。
「Fields to Map」セクションで、「Add Field」をクリックします。
- Header Name: ExcelやCSVのヘッダー行(1行目)に出力されるカラム名を入力します。例:
商品名 - Value: そのカラムに出力する値を指定します。通常、前のノードから受け取ったデータの値を設定します。Expression(式)を使って
{{ $json["product_name"] }}のように指定するのが一般的です。
この作業を、出力したいカラムの数だけ繰り返します。例えば、商品名、単価、数量の3つのカラムを持つファイルを生成したい場合は、以下のようになります。
// 前のノードから受け取るJSONデータの例
[
{
"product_name": "商品A",
"price": 1000,
"quantity": 5
},
{
"product_name": "商品B",
"price": 2500,
"quantity": 2
}
]
Fields to Mapの設定例:
- Field 1
- Header Name:
商品名 - Value:
{{ $json["product_name"] }}
- Header Name:
- Field 2
- Header Name:
単価 - Value:
{{ $json["price"] }}
- Header Name:
- Field 3
- Header Name:
数量 - Value:
{{ $json["quantity"] }}
- Header Name:
3. オプション設定
「Options」セクションでは、さらに細かい設定が可能です。「Add Option」から設定したい項目を追加します。
- Include Header: チェックを入れると、1行目にヘッダー行が出力されます。通常はオンのままで問題ありません。
- Pre-formatted: 入力データがすでに特定のフォーマットになっている場合に使用しますが、通常はオフで問題ありません。
これらの設定を行いワークフローを実行すると、指定したパスにJSONデータの内容が反映されたExcelファイルが自動で生成されます。非常に直感的で簡単だということがお分かりいただけたかと思います。
【実践】具体的なユースケースとワークフロー例
基本的な使い方がわかったところで、より実践的な活用例を3つご紹介します。これらの例を参考に、ご自身の業務にどう活かせるかをイメージしてみてください。
例1:Webフォームからの問い合わせをCSVファイルに自動追記する
Webサイトの問い合わせフォームから送信された内容を、リアルタイムでCSVファイルに記録するワークフローです。手作業での転記が不要になり、問い合わせ管理が効率化されます。
- ワークフロー構成:
Webhookノード →Spreadsheet Fileノード - 設定のポイント:
- Webhookノード: フォームからのデータを受け取るためのURLを生成します。フォーム側で、このURLにデータをPOSTするように設定します。
- Spreadsheet Fileノード:
- Operation: 「Append」を選択し、既存のファイルにデータを追記するようにします。
- File Path:
/data/inquiries.csvのように、追記対象のCSVファイルを指定します。 - Fields to Map: Webhookノードが受け取ったJSONデータ(氏名、メールアドレス、問い合わせ内容など)を、CSVの各カラムに対応付けます。
{{ $json.body.name }}のように指定します。
このワークフローを有効にしておけば、ユーザーがフォームを送信するたびに、自動でCSVファイルに新しい行が追加されていきます。担当者はそのCSVファイルを確認するだけで、最新の問い合わせ状況を把握できます。
例2:データベースの情報を基にExcelレポートを毎日自動生成し、Slackで通知する
ECサイトの売上データベースから前日の売上データを抽出し、Excel形式のレポートを作成。完成したらSlackの担当チャンネルに通知する、という少し高度なワークフローです。
- ワークフロー構成:
Cronノード →Postgresノード →Spreadsheet Fileノード →Slackノード - 設定のポイント:
- Cronノード: 毎日決まった時間(例: 午前9時)にワークフローを開始するように設定します。
- Postgresノード (DBノード): 売上データベースに接続し、前日のデータを取得するSQLクエリを実行します。
- Spreadsheet Fileノード:
- Operation: 「Create」を選択します。
- File Path: Expressionを使い、日付を含む動的なファイル名を生成します。例:
/data/sales_reports/daily_sales_{{ $now.toFormat('yyyy-MM-dd') }}.xlsxこれにより、毎日新しいレポートファイルが作成され、過去のファイルが上書きされるのを防ぎます。 - Fields to Map: SQLの実行結果を各カラムにマッピングします。
- Slackノード: 「今日の売上レポートを作成しました」といったメッセージと共に、生成したファイルを添付して特定のチャンネルに投稿します。
例3:複数のAPIから取得したデータを統合して一つのExcelファイルに出力する
自社の顧客データと、外部の市場調査APIから取得したトレンドデータを組み合わせ、分析用のExcelシートを作成する例です。データソースが複数にまたがる場合にn8nは特に強みを発揮します。
- ワークフロー構成: (並列実行)
HTTP Requestノード x 2 →Mergeノード →Spreadsheet Fileノード - 設定のポイント:
- HTTP Requestノード: それぞれのAPIエンドポイントにリクエストを送り、自社顧客データと市場トレンドデータをJSON形式で取得します。
- Mergeノード: 2つのデータソースを特定のキー(例: 顧客IDや業界カテゴリ)で結合(マージ)します。これにより、1つのデータセットとして後続のノードで扱えるようになります。
- Spreadsheet Fileノード: Mergeノードで統合されたデータを基に、Excelファイルを生成します。分析しやすいように、顧客情報と市場トレンド情報を隣接するカラムに出力するように設定します。
これらのワークフローはほんの一例です。n8nの豊富なノードを組み合わせることで、あなたの業務に特化した、より複雑で便利な自動化を実現できます。もし、n8nの全体像や基本的な概念からしっかり学びたい場合は、「【完全ガイド】n8nとは?話題の業務自動化ツールを徹底解説!導入メリットと始め方」の記事がおすすめです。n8nで何ができるのか、より深く理解できるはずです。
まとめ:今日から始めるファイル生成の自動化
この記事では、n8nのSpreadsheet Fileノードを使い、ExcelやCSVといった定型的なファイルを自動生成する方法について、基本的な設定から具体的な活用例までを解説しました。
主なポイントは以下の通りです。
- 時間短縮とエラー削減: ファイル生成を自動化することで、手作業による時間的コストとヒューマンエラーのリスクを大幅に削減できます。
- 簡単な設定: Spreadsheet Fileノードを使えば、JSONデータをExcelやCSVの各カラムにマッピングするだけで、簡単にファイルを生成できます。
- 柔軟な応用: Cron(スケジュール実行)、データベース連携、Webhook、複数APIからのデータ統合など、他のノードと組み合わせることで、あらゆる業務ニーズに対応したワークフローを構築できます。
日々のレポート作成やデータ共有の作業に少しでも負担を感じているなら、それは自動化を始める絶好のサインです。この記事で紹介した例を参考に、まずは簡単なワークフローから試してみてはいかがでしょうか。
n8nは、コーディングの知識が少なくても始められる強力な業務自動化ツールです。今回紹介した機能は、その可能性のほんの一部に過ぎません。ぜひ、公式サイトからn8nを始めて、面倒な手作業をn8nに任せ、あなたの貴重な時間を未来を創造する仕事に使ってください。