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Googleスプレッドシートの行データを1件ずつ処理するn8nループ処理の完全図解

Googleスプレッドシートにまとめた顧客リストやタスクリスト。

そのデータを一行ずつ、別のツールに転記したり、メールを送ったりする作業に追われていませんか。

最初は数件でも、データが増えるにつれて作業時間は膨大になり、単純作業であるがゆえにミスの原因にもなりかねません。

もし、このような定型業務を「完全に自動化」できるとしたら、あなたの働き方はどのように変わるでしょうか。

本記事では、iPaaS(Integration Platform as a Service)の中でも特にエンジニアから高い評価を得ている「n8n」を使い、Googleスpreッドシートの行データを1件ずつループ処理する具体的な方法を、図解を交えながら徹底的に解説します。

この記事を最後まで読めば、面倒な反復作業から解放され、より創造的な業務に集中するための強力な武器を手に入れることができるでしょう。

なぜn8nで「1行ずつのループ処理」が必要なのか?

n8nは、一度に大量のデータを扱えるパワフルなツールです。しかし、なぜ敢えて「1行ずつ」処理する必要があるのでしょうか。一括処理の方が効率的に思えるかもしれません。しかし、実務の現場では、1行ずつ丁寧に処理することが、結果的に安定した確実な自動化につながるケースが非常に多いのです。その主な理由を3つご紹介します。

API連携での制約とエラー回避

多くのクラウドサービス(CRM、MAツール、コミュニケーションツールなど)は、外部からプログラムで操作するための「API」を提供しています。しかし、サーバーへの過剰な負荷を防ぐため、ほとんどのAPIには「レートリミット(Rate Limit)」と呼ばれる制限が設けられています。これは、「1分間に100リクエストまで」のように、短時間に実行できるAPIリクエストの回数制限のことです。

もし、スプレッドシートにある1000件のデータを一括で処理しようとすると、短時間に1000回のリクエストが発生し、簡単にレートリミットに抵触してしまいます。結果として、APIはエラーを返し、処理は途中で停止してしまいます。1行ずつループ処理を行い、各処理の間に数秒の待機時間を設けることで、このレートリミットを確実に回避し、何千、何万件のデータでも安定して処理を完了させることが可能になります。

丁寧な顧客対応の自動化

顧客満足度を高めるためには、一人ひとりに合わせた丁寧なコミュニケーションが不可欠です。例えば、スプレッドシートで管理している見込み顧客リストを考えてみましょう。

  • リストのAさんには、「Aさんのご状況に合わせたプランA」のメールを送る。
  • リストのBさんには、「Bさんの興味に合わせたセミナーB」の案内を送る。

このようなパーソナライズされたアプローチは、一括処理では実現できません。n8nのループ処理を使えば、スプレッドシートの各行から顧客名や過去の行動履歴といった情報を取得し、それらを元にパーソナライズされたメール本文を動的に生成して、1件ずつ送信するといった高度な自動化が実現できます。これにより、手作業では不可能だった規模での「One to Oneマーケティング」が可能になるのです。

データ処理の確実性と管理のしやすさ

100件のデータ処理中、もし1件でエラーが発生したらどうなるでしょうか。一括処理の場合、どのデータが原因でエラーになったのかを特定するのは非常に困難です。ログを遡り、100件のデータの中から問題のある1件を探し出す作業は骨が折れます。一方、1行ずつ処理をしていれば、エラーが発生した時点で「どの行のデータ処理で失敗したか」が即座に特定できます。 n8nでは、エラーが発生した処理だけを分離し、後で手動で再実行するといった柔軟なエラーハンドリングも可能です。この確実性と管理のしやすさが、ビジネスの根幹を支える重要な業務を自動化する上で、非常に重要な要素となります。

n8nループ処理の核心!「Split in Batches」ノードの徹底解説

n8nでループ処理を実装する上で、最も重要な役割を果たすのが「Split in Batches」ノードです。直訳すると「バッチで分割する」となりますが、このノードの本質を理解することが、ループ処理マスターへの第一歩です。ここでは、このノードの仕組みと使い方を詳しく見ていきましょう。

「Split in Batches」とは?基本的な仕組み

n8nのワークフローでは、データは「アイテム(Items)」という単位で扱われます。例えば、Google Sheetsノードが10行のデータを読み込んだ場合、それは「10個のアイテムを持つ1つのリスト」として次のノードに渡されます。Split in Batchesノードの役割は、このアイテムのリストを、指定したサイズの小さな「バッチ(Batch)」に分割することです。

そして、ここが重要なポイントですが、Split in Batchesノード以降の処理は、分割されたバッチごとに、バッチの数だけ繰り返し実行されます。 例えば、10個のアイテムをサイズ2のバッチに分割した場合、後続の処理は2個のアイテムを持つバッチに対して5回繰り返されます。この「分割して、分割した分だけ繰り返す」という性質が、n8nにおけるループ処理の基本原理です。

最重要設定項目「Batch Size」

1行ずつのループ処理を実現するための鍵は、Split in Batchesノードの設定項目「Batch Size」にあります。この値を「1」に設定するのです。

Batch Sizeを1に設定すると、どうなるでしょうか。例えば100行のデータ(100個のアイテム)がSplit in Batchesノードに渡された場合、ノードはこれを「1個のアイテムを持つバッチ」100個に分割します。その結果、後続の処理は、1行分のデータ(1アイテム)に対して100回繰り返されることになります。これが、n8nで「1行ずつのループ処理」を実現する最もシンプルで強力な方法です。

(ここにSplit in Batchesノードの設定画面でBatch Sizeを1に設定している画像)

この「Batch Sizeを1にする」という一点を覚えるだけで、あなたのn8nワークフローは格段に応用範囲が広がります。「ループ処理をしたいなら、Split in BatchesをBatch Size: 1で使う」と覚えておきましょう。

独自の視点:「分割」から「ループの起点」への発想転換

「Split in Batches」という名前から、私たちはつい「データを分割するもの」という固定観念に縛られがちです。しかし、Batch Sizeを1に設定した時のこのノードは、「ループ処理を開始するためのトリガー」と捉え直すと、より本質的な理解ができます。データがこのノードを通過する瞬間から、処理の流れは「一括処理」から「個別処理の連続」へと変わり、ワークフローに「繰り返し」という概念が生まれるのです。この発想の転換ができると、より複雑なワークフローも直感的に設計できるようになります。

【実践】Googleスプレッドシートのデータを1行ずつ処理するワークフロー構築手順

それでは、実際にGoogleスプレッドシートのデータを1行ずつ処理するワークフローを構築していきましょう。ここでは、サンプルとして「顧客リスト」を使い、各顧客に対して個別の処理を行うワークフローを作成します。以下の5つのステップで進めていきます。

ステップ1: ワークフローの起点となるトリガーを設定

まずは、ワークフローを好きなタイミングで実行できるように、トリガーを設定します。今回はテストがしやすいように、手動実行の「Manual」トリガーを使用します。n8nのキャンバスで「+」ボタンを押し、「Manual」トリガーを追加してください。将来的には、「Schedule」トリガーを使えば毎日定時に実行したり、「Webhook」トリガーを使えば外部からのリクエストをきっかけに実行したりすることも可能です。

(ここにManualトリガーを配置したn8nキャンバスの画像)

ステップ2: Google Sheetsノードでデータを取得

次に、処理したいデータが格納されているGoogleスプレッドシートからデータを取得します。今回は以下のようなサンプルシートを想定します。

(ここに「名前」「メールアドレス」「ステータス」の列があるGoogleスプレッドシートの画像)

「+」ボタンから「Google Sheets」ノードを追加し、Manualトリガーに接続します。認証情報(Credential)を設定し、対象のスプレッドシートIDとシート名、そしてデータを取得したい範囲(例: A1:C100)を指定します。これで、ワークフロー実行時にスプレッドシートのデータがアイテムとしてn8nに読み込まれます。

ステップ3: Split in Batchesノードでループを作成

いよいよループ処理の核心部分です。Google Sheetsノードの後に「Split in Batches」ノードを接続します。そして、前章で解説した通り、Optionsの「Batch Size」を「1」に設定します。これだけでループ処理の準備は完了です。この時点で一度ワークフローを実行してみると、Google Sheetsノードでは複数アイテムが1つのリストとして表示されますが、Split in Batchesノードの出力は、1アイテムずつの実行結果が複数表示されることが確認できるはずです。

(ここにSplit in Batchesの実行結果画面で、1アイテムずつに分割されている画像)

ステップ4: ループ内の処理を実装(例: データをWebhookで送信)

Split in Batchesノードの後ろに、ループ内で実行したい処理のノードを接続します。ここでは例として、各行のデータを外部のWebhook URLに送信する「Webhook」ノードを使ってみましょう。Webhookノードを接続し、送信先のURLを設定します。

次に、送信するデータを指定します。ここでn8nの強力な機能である「Expression(式)」を使います。例えば、JSON形式でデータを送る場合、Bodyに以下のように記述します。

{ "name": "{{ $json.name }}", "email": "{{ $json.email }}"
}

{{ $json.name }}という記述は、「現在のバッチ(=1行分のデータ)の”name”という列の値をここに挿入する」という意味です。ループが実行されるたびに、この部分が「田中太郎」「鈴木一郎」…と自動的に置き換わり、各行のデータが個別に送信されます。

ステップ5: ワークフロー全体のテストと有効化

最後に、ワークフロー全体が意図通りに動作するかテストします。右上の「Execute Workflow」ボタンを押してください。実行ログを見ると、スプレッドシートの行数分だけ、Webhookノードが順番に実行されていることが確認できます。各実行の詳細を開けば、実際に送信されたデータの内容も確認できます。問題なく動作することを確認したら、左上のトグルスイッチを「Active」にしてワークフローを有効化しましょう。これで、あなたの自動化システムは完成です。

さらに高度なループ処理テクニックと注意点

基本的なループ処理をマスターしたら、次はより実践的で堅牢なワークフローを構築するためのテクニックを学びましょう。エラーハンドリングや条件分岐を組み合わせることで、単純な繰り返し作業だけでなく、ビジネスロジックに基づいたインテリジェントな自動化が実現できます。

エラーハンドリングの重要性(Error Trigger)

1000件のデータを処理している最中に、500件目でネットワークエラーやAPIのエラーが発生したらどうしますか?通常のワークフローでは、そこで処理が完全に停止してしまいます。これを防ぐのが「Error Trigger」です。任意のノードの設定画面から「Settings」タブを開き、「Continue on Fail」を有効にすることで、そのノードでエラーが発生してもワークフローが停止しなくなります。さらに、Error Triggerをワークフローに設置しておくと、エラーが発生した処理を補足し、Slackに通知を送ったり、別のスプレッドシートにエラー内容を記録したりといった、代替処理を実行させることができます。長時間のバッチ処理を行う際には、必須のテクニックと言えるでしょう。

処理の待機(Waitノード)

APIのレートリミットを回避するために、各ループの間に意図的に「待ち時間」を入れることは非常に重要です。Split in Batchesノードの後ろに「Wait」ノードを接続し、待機時間を「1秒」や「2秒」に設定するだけで、APIサーバーへの負荷を大幅に軽減できます。これは、システムを安定稼働させるための技術的な要請であると同時に、外部サービスに対する「作法」でもあります。丁寧なリクエストを心がけることで、予期せぬアクセス制限などを防ぐことにも繋がります。

条件分岐(IFノード)の活用

ループ処理と条件分岐を組み合わせることで、ワークフローはさらに賢くなります。例えば、スプレッドシートの「ステータス」列に注目してみましょう。Split in Batchesノードの後ろに「IF」ノードを設置し、「ステータスが ‘未対応’ の場合」という条件を設定します。これにより、未対応の行データだけを後続の処理(例: 担当者への通知)に渡し、それ以外の行は何もしない、といった制御が可能になります。このように、データの内容に応じて処理の流れを動的に変えることで、より複雑なビジネスルールに対応した自動化が実現できます。

これらの高度なテクニックを組み合わせることで、あなたのn8nワークフローは、単なる反復作業の自動化から、ビジネスロジックを理解し自律的に動作する「デジタルな同僚」へと進化を遂げるでしょう。n8nの基本的な使い方やさらに多くの機能について知りたい方は、こちらのn8n完全ガイド記事も合わせてご覧ください。

まとめ

本記事では、2026年2月時点の情報に基づき、n8nを使ってGoogleスプレッドシートの行データを1件ずつループ処理する具体的な方法とその重要性について解説しました。面倒な手作業を自動化することは、単に時間を節約するだけでなく、ヒューマンエラーをなくし、より高度で創造的な業務に集中するための基盤を作ることでもあります。

今回ご紹介した「Split in Batches」ノードを「Batch Size: 1」で使うテクニックは、n8nにおけるループ処理の基本であり、最も重要な概念です。これにエラーハンドリングや条件分岐を組み合わせることで、あなたのアイデア次第で無限の自動化ワークフローを構築できます。

この記事を読んで「自分にもできそう」と感じていただけたなら、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。n8nには無料で始められるプランも用意されており、リスクなくその強力な機能を体験できます。まずは簡単なスプレッドシートを用意して、今日の記事で紹介したループ処理を試してみませんか?

さあ、n8n公式サイトからサインアップして、あなたの最初の自動化ワークフローを構築し、業務効率化の新たな扉を開きましょう。