n8nを使った業務自動化は非常に強力ですが、Google APIとの連携で多くの人がつまずくのが「OAuth2認証」の壁です。
特に、標準のGoogleノードでは対応できない、より高度な連携を目指す際に必須となる「HTTP Requestノード」での設定は、複雑で分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
「何度も試しているのに、なぜか認証が通らない…」
「設定項目が多すぎて、どこに何を入力すれば良いのか分からない…」
この記事では、そんな悩みを抱えるあなたのために、n8nのHTTP Requestノードを使ってGoogle APIのOAuth2認証を確実に成功させるための手順を、具体的なスクリーンショットのイメージを交えながら、どこよりも詳しく解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたは複雑なOAuth2認証の仕組みを理解し、自由自在にGoogle APIと連携できるスキルを身につけることができるでしょう。
なぜHTTP RequestノードでOAuth2認証を行う必要があるのか?
まず初めに、「なぜ標準のGoogleノードではなく、わざわざ複雑なHTTP Requestノードを使うの?」という疑問にお答えします。確かに、n8nにはGoogle SheetsやGoogle Calendarといった便利な標準ノードが用意されており、簡単な連携であればそれらで十分です。
しかし、以下のようなケースではHTTP Requestノードの利用が不可欠となります。
- 標準ノードが対応していないAPIを利用したい場合: Googleは非常に多くのAPIを提供していますが、n8nの標準ノードがカバーしているのはその一部です。例えば、Google My Business APIやYouTube Analytics APIの特定のエンドポイントなど、ニッチながらも強力な機能を使いたい場合には、HTTP Requestノードで直接APIを叩く必要があります。
- 特殊なスコープ(権限)が必要な場合: 標準ノードでは、あらかじめ定義された一般的なスコープしか利用できません。しかし、APIによっては、より広範な権限や、複数のサービスにまたがる特殊なスコープの組み合わせが必要になることがあります。HTTP Requestノードならば、必要なスコープを自由にカスタマイズして認証を行えます。
- APIリクエストをより細かく制御したい場合: リクエストヘッダーに独自の情報を追加したり、通常とは異なる形式でリクエストボディを送信したりと、プログラマティックな制御が求められる場面があります。HTTP Requestノードは、まさにそのための機能です。APIの仕様書を読み解き、それに合わせてリクエストを組み立てることで、自動化の可能性は無限に広がります。
つまり、HTTP RequestノードでのOAuth2認証をマスターすることは、n8nを「便利なツール」から「最強の連携プラットフォーム」へと進化させるための重要なステップなのです。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、一度設定してしまえば、あとはその認証情報を使い回して様々なAPI連携に応用できます。
ステップ1: Google Cloud Platform (GCP)での認証情報作成
n8nで設定を始める前に、まずはGoogle APIの玄関口であるGoogle Cloud Platform(GCP)で、n8nがAPIにアクセスするための「鍵」となる認証情報を準備する必要があります。2026年2月時点の情報に基づき、慎重に手順を進めましょう。
1. GCPプロジェクトの準備とAPIの有効化
はじめに、GCPコンソールにログインし、APIを利用するためのプロジェクトを選択または新規作成します。
次に、左側のナビゲーションメニューから「APIとサービス」>「ライブラリ」を選択し、今回利用したいAPI(例: Google Sheets API, Google Calendar APIなど)を検索して、「有効にする」ボタンをクリックします。これを忘れると、後続のステップでエラーが発生するため注意してください。
2. OAuth同意画面の設定
APIを有効にしたら、次に「APIとサービス」>「OAuth同意画面」へと進みます。ここで、ユーザーが認証する際に表示されるアプリケーションの情報を設定します。
- User Type: 「外部」を選択します。(Google Workspaceユーザーのみを対象とする場合は「内部」)
- アプリ情報: アプリ名(例: n8n Workflow)、ユーザーサポートメール、デベロッパーの連絡先情報を入力します。
- スコープ: ここでは一旦何も設定せず、「保存して次へ」進みます。スコープは後ほどn8n側で具体的に指定します。
- テストユーザー: 開発段階では、自分のGoogleアカウントをテストユーザーとして追加しておきましょう。本番運用する際は、アプリの公開設定が必要になる場合があります。
すべての設定が完了したら、「ダッシュボードに戻る」をクリックします。
3. OAuth 2.0 クライアントIDの発行
いよいよ認証情報を作成します。「APIとサービス」>「認証情報」メニューに移動し、「+認証情報を作成」>「OAuth 2.0 クライアント ID」を選択します。
- アプリケーションの種類: 「ウェブ アプリケーション」を選択します。
- 名前: 自分で分かりやすい名前をつけます。(例: n8n HTTP Request Credential)
- 承認済みのリダイレクト URI: ここが最も重要なポイントです。「+URIを追加」をクリックし、お使いのn8nの「OAuthリダイレクトURL」を入力します。このURLは、n8nでOAuth2の認証情報を作成する画面に表示されています。(例:
https://[あなたのn8nのドメイン]/rest/oauth2-credential/callback)
「作成」ボタンをクリックすると、「クライアントID」と「クライアントシークレット」が表示されます。この2つの情報は、次のステップでn8nに設定するために必要なので、必ず安全な場所にコピーしておきましょう。
ステップ2: n8nでのOAuth2認証情報(Credential)設定
GCPでの準備が整ったら、いよいよn8n側で認証情報(Credential)を設定します。ここでの入力内容が、認証の成否を分ける鍵となります。
1. 新しいCredentialの作成
n8nのダッシュボード左側のメニューから「Credentials」を選択し、「Add credential」ボタンをクリックします。検索ボックスに「OAuth2」と入力し、表示された「OAuth2 API」を選択してください。
2. 認証情報の詳細設定
表示された設定画面に、以下の情報を正確に入力していきます。
- Credential Name: 自分で分かりやすい名前をつけます。(例: `Google OAuth2 for HTTP Request`)
- Grant Type: 「Authorization Code」を選択します。
- Authorization URL:
https://accounts.google.com/o/oauth2/v2/authを入力します。これは、ユーザーが認証を行うためのGoogleのログイン画面URLです。 - Access Token URL:
https://oauth2.googleapis.com/tokenを入力します。これは、認可コードをアクセストークンに交換するためのURLです。 - Client ID: ステップ1でGCPから取得した「クライアントID」を貼り付けます。
- Client Secret: 同じくGCPから取得した「クライアントシークレット」を貼り付けます。
- Scope: 連携したいAPIが要求するスコープを、スペース区切りで入力します。例えば、Google Sheetsの読み書きとGoogle Driveのファイル情報を取得したい場合は、
https://www.googleapis.com/auth/spreadsheets https://www.googleapis.com/auth/drive.readonlyのように入力します。必要なスコープは、各APIの公式ドキュメントで必ず確認してください。 - Auth URI Query Parameters:
access_type=offline&prompt=consentと入力することを強く推奨します。access_type=offlineを指定することで、アクセストークンの有効期限が切れた後もn8nが自動的にトークンを更新するための「リフレッシュトークン」を取得できます。prompt=consentは、毎回ユーザーに認証を求めることで、確実にリフレッシュトークンが発行されるようにするためのおまじないです。 - Authentication: 「Body」を選択します。
すべての項目を入力したら、画面下部の「(i) OAuth Callback URL」を再度確認し、GCPに設定したリダイレクトURIと一致していることを確かめてください。最後に、画面右上の「Save」をクリックして設定を保存します。
3. アカウントの接続
保存後、作成したCredentialのリスト画面に戻ります。今作成したCredentialの右側にある円形の接続ボタンをクリック、または編集画面下部の「Connect my account」ボタンを押します。すると、Googleのログインと同意画面にリダイレクトされます。GCPで設定したテストユーザーのアカウントでログインし、アクセスを許可してください。成功すると、n8nの画面にリダイレクトされ、「Credential created successfully!」と表示されます。
ステップ3: HTTP Requestノードで実際にAPIを叩いてみよう
お疲れ様でした!これで認証設定は完了です。最後に、作成した認証情報を使って、HTTP Requestノードから実際にGoogle APIを呼び出してみましょう。ここでは例として、Google Sheets APIを使い、特定のスプレッドシートの情報を取得するワークフローを作成します。
ワークフローの作成
- 新しいワークフローを作成し、「+」ボタンからHTTP Requestノードを追加します。
- ノードの設定画面で、以下の項目を入力します。
- Authentication: 「Predefined Credential」を選択します。
- Credential: 先ほど作成したGoogle API用のOAuth2認証情報(例: `Google OAuth2 for HTTP Request`)を選択します。
- Method: 「GET」を選択します。
- URL: 取得したいスプレッドシートのAPIエンドポイントを入力します。
例:https://sheets.googleapis.com/v4/spreadsheets/[ここにスプレッドシートID]
スプレッドシートIDは、シートのURL(`…/spreadsheets/d/` の後から `/edit` の前まで)から取得できます。 - Options > Response > Response Format: 「JSON」を選択します。
設定が完了したら、「Execute Node」ボタンを押してノードを実行します。成功すれば、右側の「OUTPUT」パネルに、指定したスプレッドシートのシート名やプロパティといった情報がJSON形式で表示されるはずです。
もし「403 PERMISSION_DENIED」のようなエラーが出た場合は、n8nのCredential設定で指定したスコープが正しいか、またはGCPで対象のAPIが有効になっているかを再確認してみてください。
まとめ
今回は、n8nのHTTP Requestノードを使って、複雑なGoogle APIのOAuth2認証を突破するための詳細な手順を解説しました。要点をまとめると以下の通りです。
- GCPでの事前準備: APIを有効にし、リダイレクトURIを正しく設定した「OAuth 2.0 クライアント ID」を作成する。
- n8nでのCredential設定: Authorization URL、Access Token URL、Client ID/Secret、そして最も重要なScopeを正確に入力する。リフレッシュトークン取得のために`Auth URI Query Parameters`の設定も忘れずに行う。
- HTTP Requestノードでの実行: 作成したCredentialを選択し、対象のAPIエンドポイントをURLに指定してリクエストを送信する。
この手順を一度マスターしてしまえば、n8nの標準ノードが対応していない様々なGoogle APIとの連携が可能になり、あなたの業務自動化の可能性は飛躍的に向上します。最初は難しく感じるかもしれませんが、この記事をブックマークし、一つ一つのステップを丁寧に行えば、必ず成功するはずです。
n8nの持つポテンシャルは非常に高く、基本的な使い方から応用テクニックまでを網羅的に学びたい方は、ぜひn8n完全ガイド記事も合わせてご覧ください。あなたの自動化ライフが、さらに快適になるヒントが見つかるはずです。
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