NordVPNを利用している、あるいは利用を検討している方の中には、「専用IPアドレス（Dedicated IP）」というオプションについて耳にしたことがあるかもしれません。
「通常のVPN接続と何が違うの？」
「どんなメリットがあって、自分に必要な機能なんだろう？」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
通常のVPN接続では、他の多くのユーザーとIPアドレスを共有しますが、専用IPアドレスはあなただけが利用できる特別なものです。
オンラインのセキュリティと利便性の両立を常に考え、様々なVPNの機能を深掘りしてきた私が、今回はNordVPNの「専用IPアドレス」について、その仕組みからメリット、具体的な活用例、そして導入する際の注意点まで、分かりやすく徹底解説します。
NordVPNが提供する基本的なVPNサービスの機能、共有IPサーバーのメリットや使い方、料金プランなどについては、当サイトのメイン記事である「【2025年最新版】NordVPN完全ガイド：始め方から料金、メリット・デメリットまで徹底解説！」で詳しくご紹介しています。
本記事では、そのNordVPNのサービスをさらに一歩進んだ形で活用できる「専用IPアドレス」というオプションに焦点を当てていきます。
NordVPNのIPアドレス：通常の「共有IP」と特別な「専用IP」の違い
NordVPNの専用IPアドレスを理解する前に、まずは通常のVPN接続で使われる「共有IPアドレス」との違いを明確にしておきましょう。
共有IPアドレス (Shared IP Address)
これは、NordVPNの標準的なサービスを利用する際に割り当てられるIPアドレスです。同じVPNサーバーに接続している多数のユーザーが、この1つのIPアドレスを共同で利用します。
- メリット：
- 高い匿名性：多くのユーザーが同じIPアドレスを使うため、個々のユーザーのオンライン活動をそのIPアドレスから特定することが非常に困難になります。これがVPNの主要なプライバシー保護機能の一つです。
- コスト効率：追加料金なしで標準サービスに含まれています。
- デメリット：
- 「悪い隣人（Bad Neighbor）」問題：同じIPアドレスを共有している他の誰かが不正行為やスパム行為を行った場合、そのIPアドレス自体が特定のウェブサイトやサービスからブラックリストに登録されてしまう可能性があります。その結果、あなた自身には何も問題がなくても、アクセスが制限されたり、CAPTCHA認証（「私はロボットではありません」というアレです）が頻繁に表示されたりすることがあります。
- 一部サービスでのアクセス制限：オンラインバンキングや一部の企業向けサービスなど、セキュリティが厳しいサイトでは、不特定多数が利用する共有IPアドレスからのアクセスに対して、追加の認証を求めたり、アクセス自体を制限したりする場合があります。
専用IPアドレス (Dedicated IP Address / Static IP Address)
一方、専用IPアドレスは、NordVPNから追加オプション（有料）として提供される、あなただけが占有して利用できる固定のIPアドレスです。あなたが選んだ特定の国・ロケーションのIPアドレスが、常にあなた専用に割り当てられます。
私の独自視点：
ほとんどの一般的なVPNユーザーにとっては、NordVPNの提供する高品質な共有IPアドレスで十分なプライバシー保護と利便性が得られます。しかし、特定のオンライン活動を行う上で共有IPのデメリットが顕著に感じられる方や、より安定した予測可能な接続環境を求める方にとっては、この「専用IPアドレス」が非常に大きな価値を持つことになります。どちらが良い・悪いではなく、利用目的によって最適な選択が異なると理解することが重要です。
NordVPNの専用IPアドレスを利用する主なメリット
では、NordVPNの専用IPアドレスを導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか？
- オンラインサービスへの安定したアクセス：
特にオンラインバンキングや決済サービス、一部のクラウドサービスなどでは、ログインするIPアドレスが頻繁に変わると、不正アクセスを疑われてセキュリティアラートが作動したり、アカウントが一時的にロックされたりすることがあります。専用IPアドレスを使えば、常に同じIPアドレスからアクセスするため、こうしたトラブルのリスクを大幅に低減できます。 - IPアドレス制限のあるサービスへのアクセス：
企業によっては、セキュリティ上の理由から、社内システムや特定の顧客向けポータルへのアクセスを、あらかじめ登録された固定IPアドレスからのみに制限している場合があります。専用IPアドレスは、こうした環境でリモートワークを行う際に不可欠となります。 - 「悪い隣人」問題からの解放：
あなた専用のIPアドレスなので、他のユーザーの行動によってIPアドレスがブラックリストに登録されたり、評価が低下したりする心配がありません。これにより、ウェブサイトへのアクセスが不当にブロックされるといったストレスから解放されます。 - CAPTCHA認証の頻度減少：
共有IPアドレスを利用していると、多くのウェブサイトで「私はロボットではありません」というCAPTCHA認証が頻繁に表示され、煩わしさを感じることがあります。専用IPアドレスを利用することで、この認証の表示頻度が大幅に減少する傾向があります。 - 一部オンラインゲームでの接続安定性向上：
特定のオンラインゲームでは、IPアドレスが固定されている方が接続が安定したり、P2P接続がスムーズになったりする場合があります。また、共有IPが原因でゲームサーバーから不当にアクセス禁止（IP BAN）されるリスクを避けるのにも役立つことがあります。（ただし、全てのゲームで効果が保証されるわけではありません。） - メール送信の信頼性向上（限定的な効果）：
個人でメールサーバーを運用している場合など、専用IPアドレスからメールを送信することで、共有IPアドレスからの大量送信と誤認されてスパム扱いされるリスクを多少軽減できる可能性があります。しかし、本格的なメール配信には専門のメール配信サービスの利用が推奨されます。
私の独自視点：
これらのメリットを享受できるかどうかは、あなたのオンライン活動の内容に大きく左右されます。例えば、私は以前、海外出張中に日本のオンラインバンキングを利用しようとした際、IPアドレスが日本のものではなかったために何度も追加認証を求められ、非常に手間取った経験があります。もし当時、日本の専用IPアドレスを持っていれば、もっとスムーズに取引できたはずです。このように、具体的な「困った経験」がある方ほど、専用IPの価値を実感しやすいでしょう。
NordVPN専用IPアドレスの具体的な活用例
NordVPNの専用IPアドレスは、以下のような様々なシーンで役立ちます。
- リモートワーカー・フリーランサー：自宅や外出先から、IPアドレス制限のある会社の社内ネットワーク、顧客の管理システム、あるいは特定のプロジェクト管理ツールへ安全かつ確実にアクセスする必要がある場合に。
- オンラインビジネス運営者：自身のECサイトの管理画面、利用している決済ゲートウェイのダッシュボード、その他ビジネス上重要なオンラインサービスへ、セキュリティリスクを低減しつつ安定してアクセスするために。
- 特定のウェブサービスを頻繁に利用するユーザー：IPアドレスによってアクセスが制限されるAPIを利用する開発者や、特定のオンラインフォーラム・コミュニティで安定した評価を維持したい場合（共有IPだと他の人の行動で巻き添えを食うことがあるため）。
- 海外在住で日本のサービスを利用したい方（逆もしかり）：日本の専用IPアドレスを取得すれば、海外にいながら日本のオンラインバンキングや一部の国内向けサービスへ、よりスムーズにアクセスできる可能性があります。
- 自宅サーバーへの安全なリモートアクセス（技術知識がある方向け）：自宅にファイルサーバーやウェブサーバーを設置している場合、固定された専用IPアドレスを利用することで、外部からそのサーバーへアクセスする際のセキュリティ設定（ホワイトリスト登録など）が容易になり、安全性を高めることができます。
私の独自視点：
これらの活用例を見て、「まさに自分のことだ！」と感じる方もいれば、「自分にはあまり関係ないかな」と感じる方もいるでしょう。専用IPアドレスは万能薬ではなく、特定のニーズに応えるための「特殊なツール」という側面があります。ご自身のオンライン活動を振り返り、IPアドレスに起因する不便さやリスクを感じたことがあるかどうか、が導入を検討する一つの目安になります。
NordVPNで専用IPアドレスを取得・利用する方法
NordVPNで専用IPアドレスを利用するには、通常のVPNサブスクリプションに加えて、別途オプションとして購入する必要があります。
- NordVPNアカウントにログイン：
まずはNordVPN公式サイトからご自身のアカウントにログインします。 - 専用IPアドレスの購入オプションを探す：
アカウントページ内、または「追加サービス」のようなセクションに、専用IPアドレスの購入オプションがあるはずです。 - 希望する国・ロケーションを選択：
NordVPNが専用IPアドレスを提供している国・地域の中から、あなたが希望するロケーションを選択します。（例：アメリカ、イギリス、ドイツ、オランダ、フランス、カナダ、オーストラリア、そして日本など。提供国は変動する可能性があります。） - 支払いを行い購入を完了：
表示される追加料金を確認し、支払い手続きを完了します。 - 専用IPサーバーへの接続：
購入後、NordVPNアプリのサーバーリスト内に「専用IP（Dedicated IP）」またはそれに類するカテゴリが表示されるようになります。そこから、あなたに割り当てられた専用IPサーバーを選択して接続します。通常の共有IPサーバーへの接続方法とは少し異なる場合がありますので、アプリ内の指示やヘルプを確認しましょう。
私の独自視点：
専用IPアドレスを購入する前に、必ず利用したい国・ロケーションでNordVPNが専用IPを提供しているかを確認することが非常に重要です。また、専用IPアドレスの料金は、通常のVPNサブスクリプション料金に上乗せされる形になるため、そのコストと得られるメリットをよく比較検討しましょう。私なら、まずNordVPNの基本サービスを試してみて、その上で共有IPではどうしても解決できない問題に直面した場合に、専用IPの導入を具体的に考える、というステップを踏むと思います。
NordVPN専用IPアドレスの注意点とデメリット
多くのメリットがある専用IPアドレスですが、いくつかの注意点やデメリットも理解しておく必要があります。
- 追加料金の発生：前述の通り、専用IPアドレスは有料のオプションサービスです。月額または年額で追加の費用が発生します。
- 匿名性の相対的な低下：IPアドレスがあなた専用に固定されるため、不特定多数のユーザーとIPを共有する通常のVPN接続と比較すると、オンライン上でのあなたの活動とそのIPアドレスを結びつけやすくなる可能性があります。ただし、NordVPNの厳格なノーログポリシーは専用IPアドレス利用時にも適用されるため、NordVPN自体があなたの活動を記録することはありません。それでも、匿名性を最優先事項とするならば、共有IPアドレスの方が適しています。
- 選択できる国・ロケーションの制限：NordVPNは世界中に多数の共有IPサーバーを保有していますが、専用IPアドレスが提供されている国・ロケーションは、それよりも限られている場合があります。希望する国で利用可能か事前に確認が必要です。
- 設定・利用のわずかな手間：専用IPサーバーへの接続は、通常のクイック接続などとは異なる手順になる場合があり、ほんの少しだけ設定に手間を感じるかもしれません（とはいえ、通常は非常に簡単です）。
- 全てのアクセス問題を解決するわけではない：専用IPアドレスを利用しても、ウェブサイトやサービス側がVPNの利用自体を検知・制限している場合（IPアドレスの種類に関わらず）、アクセスが完全に保証されるわけではありません。
私の独自視点：
専用IPアドレスは「魔法の杖」ではありません。その特性を正しく理解し、メリットとデメリットを天秤にかけることが重要です。特に「匿名性」に関しては、共有IPと専用IPではその性質が異なることを明確に認識しておくべきです。あなたがVPNを利用する主目的が「徹底的な匿名化」であるならば、専用IPは必ずしも最適な選択とは言えないかもしれません。
NordVPNの専用IPアドレスは、どんな人に本当におすすめ？
では、結局のところ、NordVPNの専用IPアドレスはどのような人に本当におすすめなのでしょうか？
私の考えでは、以下のようなニーズや状況を持つ方々に特に価値があると言えます。
- 「たまに海外の動画配信サービスを見たい」という程度の方には、おそらく不要です。通常の共有IPで十分対応できることが多いでしょう。
- 特定のオンラインサービス（銀行、決済、社内システムなど）への「アクセスの安定性」や「IPアドレス起因のトラブル回避」が業務上または日常生活で非常に重要、あるいは死活問題となる方。例えば、IPアドレスの変動で頻繁にアカウントロックがかかって業務に支障が出ている方など。
- リモートワークやオンラインビジネスで、特定のIPアドレスからのアクセスが必須条件となっている方。
- 共有IPアドレスを利用していて、実際に「悪い隣人」問題や過度なCAPTCHA認証に長期間悩まされ、具体的な不便を感じている方。
- オンラインゲームで、IPアドレス共有による不利益（誤BANなど）を避けたい、または固定IPによる接続安定性を求める明確な理由がある方。
私自身は、現在のところ日常的な利用で共有IPに大きな不便を感じていないため、専用IPアドレスは契約していません。しかし、もし将来的にフリーランスとしてクライアント企業のIP制限のあるシステムに頻繁にアクセスする必要が出てきたり、運営するウェブサイトでIPアドレス起因のトラブルが頻発したりするような状況になれば、その時は間違いなく専用IPの導入を真剣に検討するでしょう。それは、月数百円から千数百円程度の追加コストで得られる「業務効率の改善」や「精神的な安心感」への投資と捉えることができるからです。
最終的には、あなたがVPNに何を最も求めているか、そして専用IPの追加コストに見合うだけの具体的なメリットを享受できるか、という点が判断基準になります。
まとめ：NordVPNの専用IPアドレスで、オンライン体験をより快適で信頼性の高いものに
NordVPNの専用IPアドレスは、通常の共有IP VPNが持つ匿名性の高さとは異なる特性を持ちますが、特定のニーズを持つユーザーにとっては、オンライン活動の利便性、安定性、そして信頼性を大幅に向上させることができる非常に強力なオプション機能です。
オンラインバンキングへのスムーズなアクセス、IP制限のある業務システムへの確実な接続、迷惑なCAPTCHA認証からの解放など、専用IPアドレスがもたらすメリットは多岐にわたります。ただし、追加のコストや匿名性の相対的な変化といった側面も理解した上で、ご自身の利用目的と照らし合わせて導入を判断することが重要です。まずはNordVPNの優れた基本サービスを体験し、その上で専用IPアドレスの必要性を感じた際に、この便利なオプションを検討してみてはいかがでしょうか。
NordVPNの全体像、通常の共有IPサーバーのメリットや使い方、料金プラン、その他の豊富な機能については、当サイトの包括的なピラー記事「【2025年最新版】NordVPN完全ガイド：始め方から料金、メリット・デメリットまで徹底解説！」で余すところなくご紹介しています。ぜひそちらもご覧いただき、あなたのデジタルライフをより安全で快適なものにするための一助としてください。
この記事は2025年5月29日時点の情報と、私の個人的な調査・見解に基づいて作成されています。NordVPNの専用IPアドレスの提供状況、料金、機能、利用規約は変更される可能性があります。最新かつ正確な情報については、必ずNordVPNの公式サイトにて直接ご確認ください。