macOSでNordVPNを愛用しているけれど、「特定のアプリだけVPNをバイパスしたい…」と思ったことはありませんか。
WindowsやAndroid版ではおなじみの「スプリットトンネリング」機能が、実はmacOS版には搭載されていないのです(2026年2月時点)。
これにより、VPN接続中は国内の動画サービスが見られなくなったり、ローカルネットワーク上のデバイスにアクセスできなくなったりと、不便を感じる場面もあるでしょう。
しかし、諦める必要はありません。
この記事では、なぜmacOS版にスプリットトンネリングがないのかという背景から、今すぐ実践できる賢い代替策、そして将来的なアップデートの可能性まで、どこよりも詳しく解説していきます。
この記事を読めば、あなたのMac環境でもVPNの利便性とセキュリティを両立させる方法がきっと見つかります。
なぜmacOS版NordVPNにスプリットトンネリング機能がないのか?
多くのユーザーが待ち望んでいるにもかかわらず、なぜmacOS版のNordVPNにはスプリットトンネリング機能が実装されていないのでしょうか。その理由は、NordVPN側の技術的な怠慢ではなく、Appleが提供するmacOSの構造とセキュリティポリシーに深く関係しています。
macOSのネットワークアーキテクチャの制約
macOSは、その堅牢なセキュリティを維持するために、アプリケーションがシステムのネットワーク設定に深く介入することを厳しく制限しています。スプリットトンネリングは、アプリや通信先に応じて通信経路を振り分けるという、まさにシステムの根幹に関わる高度なネットワーク制御を必要とします。
WindowsやAndroidが比較的柔軟なAPIを提供しているのに対し、macOSでは同等の機能を実現するための標準的な方法が提供されていませんでした。VPNアプリがシステム全体に影響を与えるような変更を加えることは、OSの安定性やセキュリティを損なうリスクがあるとAppleが判断しているためです。
NordVPNのような信頼性の高いプロバイダーは、非公式な方法やOSの脆弱性を突くような不安定な実装を避け、Appleが公式にサポートするフレームワークの範囲内で開発を行うことを優先します。これが、長年にわたりmacOS版でスプリットトンネリングが提供されてこなかった最大の理由です。
IKEv2プロトコルの技術的な壁
過去にNordVPNがmacOSアプリのメインプロトコルとして採用していた「IKEv2」も、理由の一つでした。IKEv2は非常に高速で安全なプロトコルですが、その仕様上、アプリ単位での通信の振り分け、つまりスプリットトンネリングを実装することが構造的に困難でした。
現在、NordVPNは独自の「NordLynx」プロトコル(WireGuardベース)をmacOSでも標準としており、これにより技術的な可能性は広がっています。実際に、NordVPNのフォーラムや開発者の間では、NordLynxをベースにしたスプリットトンネリング機能の実装が議論されていますが、前述のmacOS自体の制約が依然として高いハードルとなっているのが現状です。
つまり、「なぜないのか?」という問いへの答えは、「macOSの厳格なセキュリティ思想と、それを乗り越えるための安全かつ安定した技術的解決策が確立されていないから」と言えるでしょう。
代替策①:最も手軽な「ブラウザ拡張機能」の活用
「特定のWebサイトだけVPNをON/OFFしたい」という用途であれば、NordVPNが提供するブラウザ拡張機能が最も手軽で効果的な代替策となります。アプリ全体の通信を制御することはできませんが、Webブラウジングにおけるスプリットトンネリングとほぼ同じ体験を実現できます。
ブラウザ拡張機能で何ができるのか
NordVPNのブラウザ拡張機能(Chrome、Firefox、Edgeに対応)をインストールすると、VPN接続をブラウザ単位でコントロールできます。これにより、以下のような柔軟な使い方が可能になります。
- ブラウザA(例: Chrome):NordVPN拡張機能でVPNに接続し、海外のWebサイトやサービスにアクセスする。
- ブラウザB(例: Safari):拡張機能を入れず、VPNを介さない通常のインターネット接続で、国内の動画配信サービスや銀行サイトを利用する。
さらに、拡張機能には「Bypass List」という機能があります。これは、VPN接続中でも、指定したURLのWebサイトだけはVPNを経由せずに直接接続するというものです。まさに、Webサイト版のスプリットトンネリングと言える機能です。
設定方法と具体的な使用例
- お使いのブラウザ(Chrome、Firefoxなど)のウェブストアで「NordVPN」と検索し、公式の拡張機能をインストールします。
- 拡張機能のアイコンをクリックし、NordVPNアカウントでログインします。
- 接続したい国を選択して「Connect」をクリックすれば、そのブラウザの通信だけがVPN経由になります。
- スプリットトンネリングのように使いたい場合は、拡張機能の設定画面から「VPN Settings」を開き、「Bypass List」を選択します。
- 「Add websites」の欄に、VPNをバイパスしたいWebサイトのURL(例: `tver.jp` や `gyao.yahoo.co.jp`)を入力して追加します。
この設定により、「海外サーバーに接続しつつ、TVerやGYAO!は日本からのアクセスとして視聴する」といったことが可能になります。私自身もmacOSユーザーですが、普段使いではこのブラウザ拡張機能のBypass Listだけでほとんどのニーズが満たせています。アプリケーションの通信は制御できませんが、Webブラウジングが中心の場合は、まずこの方法を試す価値が十分にあります。
代替策②:高度な設定「仮想マシン」や「ルーター」の利用
ブラウザ拡張機能だけでは不十分で、アプリケーション単位での完全な分離が必要な場合や、より高度なネットワーク管理をしたい場合は、「仮想マシン」や「VPN対応ルーター」の導入が選択肢となります。これらは設定の難易度が上がりますが、理想的なスプリットトンネリング環境を構築できます。
仮想マシンでOSごと使い分ける
これは、お使いのMacの中に、Parallels DesktopやVMware Fusionといった仮想化ソフトウェアを使って、もう一つのOS(例えばWindows)をインストールする方法です。
- macOS(ホストOS):VPNをインストールせず、通常のインターネット接続として使用する。国内サービスやローカルネットワークへのアクセスはすべてこちらで行う。
- Windows(ゲストOS):仮想マシン内にインストールしたWindowsにNordVPNをインストールし、常時VPN接続する。海外向けのアプリやセキュリティを確保したい作業はこちらで行う。
メリット:
- アプリ単位での完全な通信分離が実現できる。
- macOSとWindows(スプリットトンネリング対応)を同時に利用できる。
デメリット:
- 仮想化ソフトやWindowsのライセンス費用がかかる場合がある。
- Mac本体に高いスペック(メモリ、ストレージ)が要求される。
- セットアップが複雑で、ある程度の知識が必要。
開発者や海外のソフトウェアを頻繁に利用するパワーユーザーにとっては、非常に強力な解決策となります。
VPN対応ルーターでデバイスごとに制御する
これは、ご家庭やオフィスのルーター自体にVPNを設定する方法です。VPNクライアント機能を持つルーター(ASUSの一部モデルなど)にNordVPNを設定することで、そのルーターに接続されたデバイスの通信をすべてVPN経由にできます。
スプリットトンネリングの代替としては、以下のように2台のWi-Fiルーター(または2つのSSID)を使い分ける構成が考えられます。
- Wi-Fi A(メインルーター):通常のインターネット接続。日本のサービスを利用したいデバイス(テレビ、ゲーム機など)はこちらに接続。
- Wi-Fi B(VPNルーター):NordVPNが設定されたルーター。海外のサービスを利用したいデバイス(PC、スマートフォンなど)はこちらに接続。
メリット:
- VPN非対応のデバイス(Apple TV、PlayStationなど)もVPN経由で利用できる。
- 一度設定すれば、デバイス側でのVPNのON/OFFが不要になる。
デメリット:
- VPNクライアント機能を持つルーターが必要で、コストがかかる。
- ルーターへのVPN設定は難易度が高い。
家族全員でVPNを利用したい場合や、複数のデバイスで用途を明確に分けたい場合に最適な方法です。
NordVPNの最新状況と将来の展望(2026年2月時点)
では、将来的にmacOS版NordVPNにスプリットトンネリングが正式に搭載される可能性はあるのでしょうか。2026年2月現在の最新情報と、今後の見通しについて解説します。
公式の動向とコミュニティの声
長年にわたり、NordVPNの公式フォーラムやRedditなどのコミュニティでは、macOS版へのスプリットトンネリング機能の実装を求める声が絶えません。NordVPNのサポートチームもこの要望を認識しており、「開発チームに伝えている」「技術的な可能性を模索している」との回答を繰り返しています。
重要な動きとして、Appleは近年のmacOSアップデートで「NetworkExtensionフレームワーク」を強化しており、以前よりも高度なネットワーク制御が可能になるAPIを開発者向けに提供し始めています。これにより、かつては越えられなかった技術的な壁が、少しずつ低くなっている可能性があります。
しかし、現時点(2026年2月)で、NordVPNから具体的な実装時期やロードマップは発表されていません。安定性とセキュリティを最優先するNordVPNの姿勢を考えると、Appleがより明確で安定したAPIを提供しない限り、公式実装にはまだ時間がかかると考えるのが現実的でしょう。
競合他社の動向
一部の競合VPNプロバイダーは、独自の技術やアプローチでmacOS版のスプリットトンネリング(または類似の機能)を限定的に実現し始めています。これは、VPN業界全体がこの課題に取り組んでいる証拠です。
こうした競合の動きは、NordVPNにとっても良い刺激となるはずです。市場での競争力を維持するためにも、NordVPNがmacOS向けの機能開発にリソースを投入し続けることは十分に考えられます。
ユーザーとしてできることは、NordVPNの公式ブログやリリースノートを定期的にチェックし、動向を注視することです。macOS版アプリのアップデート通知が来た際には、新機能の欄に「Split Tunneling」の文字がないか、期待を込めて確認してみましょう。
まとめ:現状の最適解を見つけ、将来に期待しよう
この記事では、macOS版NordVPNにスプリットトンネリング機能がない理由と、その代替策について詳しく解説してきました。
要点をまとめると以下の通りです。
- 機能がない理由:macOSの厳格なセキュリティポリシーと技術的な制約が主な原因。
- 手軽な代替策:Webブラウジングが中心なら、ブラウザ拡張機能の「Bypass List」が最も簡単で効果的。
- 高度な代替策:アプリ単位の完全な分離が必要なら、「仮想マシン」や「VPN対応ルーター」が強力な選択肢となる。
- 将来性:公式実装の具体的な時期は未定だが、技術的な進歩により将来的には搭載される可能性に期待が持てる。
macOSでスプリットトンネリングが使えないのは確かに少し不便ですが、今回ご紹介した方法を試すことで、ほとんどの状況に対応できるはずです。ご自身のスキルレベルや利用目的に合わせて、最適な解決策を見つけてください。
NordVPNが提供する高度なセキュリティや豊富なサーバーネットワークといったメリットは、この一つの欠点を補って余りあるものです。基本的な使い方から応用まで、その多機能性を最大限に活用するためには、まず全体像を理解することが重要です。より詳しいNordVPNの始め方や料金、総合的なメリット・デメリットについては、以下の完全ガイドで徹底解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【2026年最新版】NordVPN完全ガイド:始め方から料金、メリット・デメリットまで徹底解説!
macOS環境の制約はありつつも、NordVPNは依然としてMacユーザーにとって最も信頼できるVPNサービスの一つです。この機会に、世界最高レベルのデジタルセキュリティとプライバシー保護を手に入れてみてはいかがでしょうか。
