話題の次世代暗号資産カード「Tria(トリア)」。
クリプトでの決済を手軽にし、日常の買い物からビジネスシーンまで利用の幅が広がっています。
経営者や個人事業主の方なら、「このTriaを事業の経費支払いに使えたら、どれだけ便利だろうか」と考えたことがあるかもしれません。
しかし、同時に「暗号資産での支払いって、経費として認められるの?」「税務調査で指摘されたりしないだろうか?」といった税務上の不安もよぎるはずです。
そこでこの記事では、税理士という専門家の視点から、Triaを事業の経費精算に利用することが可能なのか、そして利用する際の具体的な会計処理や注意点について、分かりやすく徹底的に解説します。
2026年1月時点の情報を基に、安全かつ賢くTriaを活用するためのプロの知識をお届けします。
そもそもTriaとは?税務上の位置付けを正しく理解する
Triaを経費精算に活用するためには、まずTriaがどのようなサービスであり、税務上どのように扱われるのかを正確に理解しておく必要があります。
見た目はクレジットカードでも、その仕組みは従来のカードとは大きく異なるため、まずは基本から押さえていきましょう。
Triaの3つの核心機能:Spend, Earn, Trade
Triaは単に暗号資産で支払いができるカード、というだけではありません。公式には「Web3のネオバンク」と称されており、大きく分けて3つのアカウント機能を持っています。
- Spend Account(利用口座): 日常の支払いや経費精算に利用する口座です。世界1億3000万以上の加盟店で利用可能で、アプリ上では「Matcha Club -¥1,702 from *0913」のように、利用履歴が日本円で表示されます。これが経費精算の基本となります。
- Earn Account(収益口座): 保有する暗号資産をDeFi戦略などで運用し、利回り(イールド)を得るための口座です。アプリの例では「USDC Yield +$64.24 at 16% APY」といった表示がされ、資産運用としての側面が強い機能です。
- Trade Account(取引口座): 暗号資産の交換(スワップ)やブリッジ、レバレッジ取引などを行うための口座です。AIが最適な取引ルートを提示してくれる「BestPath」機能が特徴です。
この中で、事業の経費精算に直接関わってくるのは、主にSpend Accountです。しかし、その原資が暗号資産であるという点が、税務上の大きなポイントになります。
暗号資産による経費支払いと税金の基本ルール
日本の税法では、暗号資産で商品やサービスを購入(=経費を支払う)した場合、その行為は「保有する暗号資産を、支払い時点の時価で売却し、その売却代金で商品やサービスを購入した」と見なされます。
これにより、次の2つの取引が同時に発生したことになります。
- 暗号資産の売却(譲渡)
- 商品・サービスの購入(経費計上)
ここで最も重要なのが、1の「暗号資産の売却」です。もし、支払いに使った暗号資産の「取得価額」と「支払時の時価」との間に差額があれば、その差額は譲渡損益(利益または損失)として認識し、所得税や法人税の課税対象となります。
例えば、1USDC=130円の時に購入したUSDCを、1USDC=150円の時に10USDC使って1,500円の書籍(経費)を購入したとします。この場合、以下のようになります。
- 経費: 1,500円(書籍代)
- 暗号資産の譲渡益: (150円 – 130円) × 10USDC = 200円
この200円の利益は、事業所得とは別に「雑所得(個人の場合)」または「営業外収益(法人の場合)」として申告する必要があるのです。Triaを使って経費を支払うたびに、この損益計算が発生する可能性がある、ということを必ず覚えておきましょう。
【税理士が推奨】Triaを使った具体的な経費精算フロー
Triaでの経費精算が税務上可能であることは分かりましたが、その処理は煩雑です。では、どうすれば税務調査で指摘されず、スムーズに処理できるのでしょうか。ここでは、税理士が推奨する具体的なステップと会計処理の方法を解説します。
ステップ1:証憑(しょうひょう)の徹底管理
これは基本中の基本ですが、Triaを使った支払でも通常の経費精算と何ら変わりません。必ず領収書やレシートを保管してください。これがなければ、そもそも経費として認められません。
それに加え、以下の2つもセットで保管することを強く推奨します。
- Triaアプリの取引履歴画面のスクリーンショット: 「いつ、どこで、いくら(円貨額)支払ったか」を客観的に示す証拠となります。
- 支払い内容のメモ: Triaの明細は「Matcha Club」のように店名しか表示されない場合があります。後から見て何の支払いか分かるように、「〇月〇日 株式会社△△と打ち合わせのため利用」といったメモを経費精算システムやExcelに残しておきましょう。
ステップ2:会計ソフトへの入力方法(仕訳例)
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次に、会計ソフトへの入力方法です。ここでは、個人事業主を例に「複式簿記」での仕訳を紹介します。支払い原資によって処理が異なります。
ケース1:暗号資産を直接支払いに使った場合
最も一般的なケースです。前述の通り、経費計上と暗号資産の損益計算が同時に発生します。ここでは、帳簿上分かりやすくするために「暗号資産」という勘定科目を使ってみましょう。
例:1BTC=900万円の時に取得した0.01BTC(取得原価9万円)を、1BTC=1000万円の時に使って、10万円のPC周辺機器を購入した。
この場合、支払った暗号資産の時価は10万円です。まず、経費を計上します。
借方:消耗品費 100,000円 / 貸方:事業主借 100,000円
次に、暗号資産の譲渡益を計算し、これも記帳します。支払ったBTCの時価10万円と取得原価9万円の差額、1万円が利益となります。
(参考仕訳)借方:事業主貸 90,000円 / 貸方:暗号資産 90,000円
(参考仕訳)借方:事業主借 100,000円 / 貸方:事業主貸 90,000円、雑所得 10,000円
※会計処理を簡潔にするため、一旦事業主借で経費を立て、暗号資産の損益は別途、確定申告の際に雑所得として集計・申告する方法が実務的です。
ケース2:Triaに日本円をチャージして使った場合
Triaのサービスに日本円を直接チャージし、その残高から支払う機能が提供された場合(2026年1月時点では未確認)、処理は格段にシンプルになります。これは、SuicaやPayPayへのチャージと同様の「プリペイド方式」として扱えるからです。
① Triaに事業用の銀行口座から3万円チャージした
借方:貯蔵品 or 前払金 30,000円 / 貸方:普通預金 30,000円
② Triaで5,000円の書籍を購入した
借方:新聞図書費 5,000円 / 貸方:貯蔵品 or 前払金 5,000円
この方法であれば、暗号資産の損益計算が一切不要になるため、税務上の手間はほぼありません。もし日本円チャージ機能が利用できるなら、事業経費専用と割り切って使うのが最も安全で簡単な方法と言えるでしょう。
税理士が指摘するTria経費精算の3つの注意点
Triaは非常に便利なツールですが、税務のプロから見ると、いくつかの看過できない注意点が存在します。これらを知らずに利用していると、将来の税務調査で思わぬ指摘を受けるリスクがあります。
注意点1:損益計算の煩雑さと計算方法の統一
Triaでの決済回数が増えれば増えるほど、その都度、暗号資産の損益計算が必要になり、確定申告時の手間が膨大になります。特に、異なるタイミングで購入した暗号資産が混在している場合、どの暗号資産から支払いに使ったかを管理しなければなりません。
暗号資産の譲渡原価の計算方法には「総平均法」と「移動平均法」があり、一度選択したら継続して同じ方法で計算する必要があります。Triaの利用履歴だけではこれらの計算は困難なため、別途、暗号資産全体の取引履歴(購入、売却、送金などすべて)を取引所などから取得し、Excelや専門の計算ツールで管理することが必須です。
注意点2:Earn/Tradeで得た利益は「別腹」
Triaの魅力的な機能である「Earn Account」でのステーキング報酬や、「Trade Account」での取引利益。これらは事業の売上とは全く別の所得です。
- 個人の場合: 原則として「雑所得」として申告が必要です。
- 法人の場合: 「営業外収益」として法人の所得に含まれます。
Spend Accountでの経費精算とは完全に分けて考え、得られた利益は漏れなく申告しなければなりません。「Triaアプリ内で完結しているから大丈夫」ということは決してなく、税務署はしっかりと見ていますので注意が必要です。
注意点3:税務調査官への説明責任
税務調査では、調査官が納得できる形で取引の正当성을説明する責任が納税者側にあります。2026年現在、TriaのようなWeb3サービスは税務の現場でもまだ新しい概念です。
調査官から「この『Tria』という明細は何ですか?暗号資産での支払いは経費になりません」といった指摘を受ける可能性もゼロではありません。
その際に、「TriaはVisaネットワークを使った決済サービスであること」「円建てで決済額が確定していること」「暗号資産の損益は別途このように計算し、申告していること」を、保管した証憑や計算資料を提示しながら論理的に説明できる準備が不可欠です。この準備を怠ると、経費として否認されるリスクが高まります。
まとめ:Triaの経費利用は可能だが、専門家との連携が鍵
本記事では、税理士の視点からTriaの経費精算について解説しました。要点をまとめると以下の通りです。
- Triaでの経費支払いは税務上可能。ただし、支払いの都度、暗号資産の譲渡損益の計算が必要になる。
- 領収書やレシートに加え、Triaアプリの取引履歴や支払い内容のメモを必ず保管することが重要。
- 会計処理は煩雑になるため、顧問税理士などの専門家と処理方法をあらかじめ相談しておくのが最も安全。
- EarnやTradeで得た利益は経費とは別に「雑所得」などとして申告が必須。
結論として、Triaを経費精算に利用することはできますが、相応の知識と管理体制が求められます。その手間をかけてでも利用したい魅力がTriaにはあると言えるでしょう。
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また、Triaの登録方法や、より詳細な機能、メリット・デメリットについては、別記事の「【Triaアクセスコード・招待コード完全ガイド】次世代暗号通貨カード「Tria」とは?クリプトカードの使い方からメリット、登録方法まで徹底解説」で網羅的に解説しています。Triaを始める前に一度目を通しておくことを強くおすすめします。
この記事が、あなたのTria活用と健全な事業運営の一助となれば幸いです。