音楽ストリーミングサービス、毎日のように利用している方も多いのではないでしょうか。
生活に欠かせないものだからこそ、「少しでも料金を安くできたら嬉しいのに…」と感じることもありますよね。
そんな中、インターネット上では「VPNを使って海外の安い料金プランを契約する」というテクニックが時折話題になります。
特に多くのユーザーを持つSpotifyやApple Musicは、その代表例として挙げられます。
しかし、こうした方法は本当に今でも通用するのでしょうか。
また、アカウント停止などのリスクはないのでしょうか。
この記事では、2025年12月時点の最新情報に基づき、ExpressVPNを利用してSpotifyやApple Musicを安く契約する方法の有効性、具体的な手順、そして伴うリスクについて、専門的な視点から詳しく掘り下げていきます。
なぜVPNを使うと音楽サブスクが安くなるのか？その仕組みを解説
まず、なぜVPN（Virtual Private Network）というツールを使うと、SpotifyやApple Musicのようなサービスの月額料金が変わる可能性があるのか、その基本的な仕組みから理解しておきましょう。この背景には「レジオナルプライシング」という価格戦略と、VPNが持つ「IPアドレスの変更機能」が大きく関わっています。
国によって価格が違う「レジオナルプライシング」
レジオナルプライシングとは、企業が製品やサービスを提供する国や地域の経済水準、物価、平均所得に合わせて価格を変動させる戦略のことです。例えば、同じ製品であっても、物価の高い国では高く、物価の安い国では安く設定されます。
これは音楽ストリーミングサービスも例外ではありません。実際に、日本のSpotifyプレミアム（個人プラン）は月額980円ですが、フィリピンでは149フィリピン・ペソ（約420円）、ブラジルでは21.90レアル（約640円）と、国によって大きな価格差が存在します（2025年12月時点の為替レートで計算）。
サービス提供側は、ユーザーがどの国からアクセスしているかを「IPアドレス」というインターネット上の住所のような情報で判断し、その国に適した料金を提示しているのです。
VPNがあなたの「現在地」を書き換える仕組み
ここで登場するのがVPNです。VPNの主な目的は、インターネット通信を暗号化してセキュリティを保護することですが、副次的な機能として「IPアドレスを任意に変更できる」という強力な特徴があります。
例えば、あなたが日本からExpressVPNのようなVPNサービスを使ってフィリピンのサーバーに接続すると、あなたのデバイスのIPアドレスはフィリピンのものに変わります。すると、Spotifyなどのウェブサイトは、あなたがフィリピンからアクセスしていると認識します。
この仕組みを利用することで、日本にいながらにしてフィリピン向けの安い料金プランにアクセスし、契約を試みることができる、というわけです。これは、単に安く契約するためだけでなく、海外でしか配信されていないコンテンツを視聴するなど、様々な応用が可能なVPNの基本機能の一つです。
【2025年12月最新】ExpressVPNでSpotifyを安く契約する手順と現状
それでは、本題である「ExpressVPNを使ってSpotifyを安く契約する方法」が現在も有効なのか、具体的な手順と注意点を交えて解説します。結論から言うと、以前よりも難易度は格段に上がっていますが、完全に不可能になったわけではありません。最大の壁は「支払い方法」です。
現状：最大の難関は「支払い方法の承認」
数年前までは、VPNで海外サーバーに接続し、日本のクレジットカードで簡単に決済できるケースが多くありました。しかし、2025年現在、Spotifyをはじめとする多くのプラットフォームはVPN経由での不正契約対策を強化しています。
特に、クレジットカードの発行国と、アクセス元の国（VPNで接続している国）が一致しない場合、決済が拒否されることがほとんどです。そのため、「VPNで接続するだけ」という単純なステップだけでは契約完了までたどり着けないのが実情です。
具体的な手順（フィリピンサーバー経由の例）
それでも挑戦してみたいという方のために、現在の一般的な手順を以下に示します。ここでは、比較的料金が安いフィリピンを例に挙げます。
- ExpressVPNを契約する
まずは高品質で接続が安定しているVPNサービスが必要です。ExpressVPNは世界中に多数のサーバーを持ち、接続速度も速いため、こうした用途に適しています。何より、30日間の返金保証があるため、もしうまくいかなくてもリスクなく試すことができます。
→ ExpressVPNの公式サイトはこちら (30日間返金保証付き) - VPNでフィリピンのサーバーに接続する
ExpressVPNのアプリをPCやスマートフォンにインストールし、サーバーリストから「フィリピン」を選択して接続します。 - Spotifyの公式サイトにアクセスする
VPN接続した状態で、ブラウザのシークレットモード（キャッシュやCookieの影響を避けるため）を使い、Spotifyの公式サイトにアクセスします。 - 新規アカウントを作成し、プランを選択する
料金がフィリピン・ペソ（PHP）で表示されていることを確認し、プレミアムプランを選択します。既存のアカウントでは国設定の変更が難しいため、新規作成が推奨されます。 - 支払い方法を入力する【最難関】
ここが最も重要なステップです。前述の通り、日本のクレジットカードは高い確率で拒否されます。この壁を越えるには、以下のような方法が必要になる場合があります。- 現地の支払い方法を利用する: GCashやPayMayaといったフィリピン国内の電子決済サービスのアカウントが必要になることがあります。これらを開設するには現地の電話番号などが求められるため、旅行者や居住者でない限り非常に困難です。
- Spotifyギフトカードを利用する: フィリピンで販売されているSpotifyのギフトカードを入手し、そのコードを入力する方法です。G2AやSEAGMのようなオンラインの鍵屋サイトで購入できる場合がありますが、価格が割高であったり、詐欺サイトの危険性も伴います。
このように、支払い方法の確保が大きなハードルとなっており、誰でも簡単にできる方法とは言えなくなっています。
アカウント停止（BAN）などのリスクは？
VPNを利用した契約は、Spotifyの利用規約において「居住国の偽装」とみなされ、規約違反に該当する可能性があります。発覚した場合、最悪のケースではアカウントが停止されるリスクもゼロではありません。ただし、実際には警告を受けたり、強制的に日本のアカウントに戻されたりする程度で、即時BANに至るケースは稀なようです。とはいえ、すべての行動は自己責任で行う必要があることを強く認識しておきましょう。
【2025年12月最新】ExpressVPNでApple Musicを安く契約する場合の注意点
Spotifyと同様に、Apple MusicもVPNを使って安く契約できないか考える方もいるでしょう。しかし結論を先に言うと、Apple MusicのケースはSpotifyよりもさらに難易度が高く、現実的ではありません。その理由は、サービスがApple IDと強固に結びついているためです。
Apple Musicは「国ごとのApple ID」が必要
Apple Musicの利用料金は、Spotifyのようにアクセス元のIPアドレスで決まるのではなく、「Apple IDの登録国」に依存します。つまり、フィリピン料金でApple Musicを利用するには、フィリピンのApple IDが必要になるのです。
そして、海外のApple IDを新規作成するには、以下の3つの壁をクリアしなければなりません。
- 現地の住所
- 現地の電話番号（SMS認証用）
- 現地の支払い方法
住所や電話番号は、サービスによっては入力が求められます。最大の壁はやはり支払い方法で、その国のクレジットカードか、その国で発行されたApple Gift Cardが必要不可欠です。
海外のApple Gift Cardを入手する手間とリスク
Spotifyと同様、オンラインサイトで海外のApple Gift Cardを購入することは可能です。しかし、これらのサイトは公式ストアではないため、額面より高い価格で販売されていることがほとんどです。また、コードが使用済みであったり、詐欺であったりするリスクも伴います。
さらに、苦労してギフトカードを入手して海外Apple IDを作成できたとしても、既存の日本のApple IDとは別のアカウントになるため、購入したアプリやデータなどを引き継ぐことはできません。切り替えの手間を考えると、節約できる金額に見合わないと感じる方が大半でしょう。
これらの理由から、VPNを利用してApple Musicを安く契約するという方法は、多大な手間とリスクを伴うため、積極的におすすめすることはできません。
本当に得なのか？VPN契約のメリット・デメリット再考
ここまで見てきたように、VPNを使った音楽サブスクの契約は、決して簡単な道のりではありません。ここで一度立ち止まり、本当にその手間をかける価値があるのか、メリットとデメリットを冷静に比較検討してみましょう。
メリット：成功すれば月々の固定費を削減できる
最大のメリットは、言うまでもなく料金の節約です。例えばSpotifyをフィリピン料金（月額約420円）で契約できた場合、日本の料金（月額980円）と比較して、毎月約560円、年間で約6,720円の節約になります。これは長期的に見れば決して小さな金額ではありません。
デメリット：手間、リスク、そしてVPNの追加コスト
一方で、デメリットは多岐にわたります。
- ExpressVPNの利用料金: 当然ながら、VPNサービスの料金が発生します。ExpressVPNは高品質な分、月額換算で1,000円程度のコストがかかります（長期プランの場合）。節約額よりもVPNの料金が高くなってしまっては本末転倒です。
- 支払い方法の確保の難しさ: 本記事で繰り返し述べてきたように、これが最大の障壁です。ギフトカードを探す手間やコスト、リスクは決して小さくありません。
- アカウント停止のリスク: 利用規約に抵触する行為であるため、常にアカウントが使えなくなる可能性が付きまといます。
- 言語の壁: 契約手続きやサポートとのやり取りが、接続先の国の言語（英語やポルトガル語など）になる場合があります。
独自の視点：VPNの真価は「節約」だけではない
ここで重要なのは、VPNの価値を「サブスクの節約」という一点だけで測るべきではない、ということです。ExpressVPNのような有料VPNサービスは、あなたのオンライン活動全体を保護するための強力なツールです。
例えば、
- セキュリティの強化: 公衆Wi-Fi（カフェや空港など）を安全に利用できる。
- プライバシーの保護: ISP（インターネットサービスプロバイダ）や第三者による追跡を防ぐ。
- 地理的制限の回避: 海外でしか見られない動画配信サービス（Netflixの海外限定コンテンツなど）にアクセスする。
など、多くのメリットがあります。音楽サブスクの契約はあくまでVPNの数ある活用法の一つに過ぎません。もしあなたが、こうしたセキュリティやプライバシー保護、エンターテイメントへのアクセスといった他の目的でもVPNを活用する予定があるなら、ExpressVPNへの投資は十分に価値のあるものになります。その上で、ついでにSpotifyの契約に挑戦してみる、というスタンスが最も賢明かもしれません。
まとめ：挑戦には価値があるが、過度な期待は禁物
今回は、ExpressVPNを使ってSpotifyやApple Musicを安く契約する方法について、2025年12月時点での有効性を検証しました。
結論として、支払い方法の壁が非常に高くなっており、以前のように誰もが簡単に成功する状況ではなくなりました。特にApple Musicについては、Apple IDの国変更という高いハードルがあるため、現実的な選択肢とは言えません。
一方でSpotifyは、海外の支払い手段を用意できるのであれば、まだ可能性は残されています。年間数千円の節約のために手間を惜しまない、という方は挑戦してみる価値はあるかもしれません。
もし挑戦される場合は、信頼性と返金保証のあるExpressVPNの利用をおすすめします。
ExpressVPNは、音楽サブスクの契約だけでなく、オンライン上のプライバシーを保護したり、海外の動画サービスを楽しんだりするなど、様々な活用法があります。VPNというツールそのものに興味がある方は、まず基本的な使い方から学んでみるのも良いでしょう。
ExpressVPNの詳しい使い方や設定方法、料金プランについては、「【2025年最新版】ExpressVPNとは？使い方・料金・評判を徹底解説！始め方ガイド」で網羅的に解説していますので、ぜひこちらの完全ガイドも参考にしてください。
最後に、本記事で紹介した方法はサービスの利用規約に抵触する可能性があるため、試す際は必ず自己責任でお願いいたします。