毎日の業務でChatworkを使っていると、大切な通知が他のメッセージに埋もれてしまったり、メッセージの内容をわざわざ手作業でタスクに登録するのが面倒だと感じたりすることはありませんか。
もし、そうした定型作業を「自動化」できたら、あなたの業務はどれだけ効率的になるでしょうか。
この記事では、話題のiPaaS(Integration Platform as a Service)である「n8n(エヌエイトエヌ)」とChatworkを連携させることで、日々の煩わしい作業を自動化し、生産性を飛躍的に向上させる方法を具体的に解説します。
プログラミングの知識は不要です。
この記事を読み終える頃には、あなたもChatwork業務の自動化に向けた第一歩を踏み出せるはずです。
なぜ今、Chatworkとn8nの連携が注目されるのか?
ビジネスチャットの普及は、コミュニケーションを迅速化する一方で、「通知の洪水」や「情報管理の煩雑化」といった新たな課題を生み出しました。特にChatworkは、多くの日本企業で導入されているため、その影響は大きいでしょう。この課題を解決する鍵として、n8nによる「自動化」が注目を集めています。
そもそもn8nとは?
n8nは、異なるアプリケーションやサービスを視覚的なインターフェースで連携させ、ワークフローを自動化できるツールです。例えば、「Aというアプリで〇〇が起きたら、Bというアプリで△△を実行する」といった一連の流れを、プログラミングコードを書くことなく構築できます。このようなツールはiPaaSと呼ばれ、n8nはその中でも特にコストパフォーマンスと柔軟性の高さで評価されています。
他の有名な自動化ツール(例えばZapierやMake)と比較して、n8nには以下のような利点があります。
- コスト効率の良さ: 多くの機能を無料で始められ、有料プランも比較的安価です。特に、自分でサーバーを用意する「セルフホスティング」なら、さらにコストを抑えて大規模な自動化も実現可能です。
- 高い柔軟性と拡張性: 2025年12月時点で400種類以上の公式連携ノード(アプリ連携部品)があり、公式にないサービスでもHTTPリクエストノードを使えばAPI経由で柔軟に連携できます。
- ワークフローの視覚的な分かりやすさ: 処理の流れが線で結ばれたノードとして表示されるため、どのような自動化が行われているのか直感的に理解しやすいのが特徴です。
Chatworkが持つリアルタイムのコミュニケーション能力と、n8nが持つ強力な自動化能力を組み合わせることで、手作業で行っていた多くの業務を効率化し、より付加価値の高い仕事に集中できる環境が整うのです。
実践!Chatworkとn8nを連携させる具体的な自動化アイデア3選
「理論は分かったけれど、具体的にどんなことができるの?」と感じる方も多いでしょう。ここでは、Chatworkとn8nを連携させることで実現できる、実用的で効果の高い自動化のアイデアを3つのレベルに分けてご紹介します。
【初級編】特定のキーワードを含むメッセージを自動でタスク化する
チーム内での依頼事項が、他の雑談に埋もれて忘れられてしまう…。これは非常によくある問題です。この自動化を設定すれば、もう依頼を見逃すことはありません。
ユースケース:
Chatworkの特定のグループチャットで「【依頼】」や「【要対応】」といったキーワードを含むメッセージが投稿された際に、そのメッセージ内容をタスクとして自動で登録し、担当者に通知します。
設定の概要:
- トリガー設定: n8nで「Chatwork Trigger」ノードを設定します。Chatwork側で生成したWebhook URLを使い、新しいメッセージが投稿されるとn8nにデータが送られるようにします。
- 条件分岐: n8nの「IF」ノードを使い、送られてきたメッセージ本文に「【依頼】」などの指定キーワードが含まれているか判定します。
- アクション設定: 条件に一致した場合、「Chatwork」ノードのアクション機能を使ってタスクを作成します。メッセージ本文をタスクの内容に設定し、特定の担当者を割り当て、期限を設定することも可能です。
このシンプルな自動化だけで、タスクの登録漏れや対応遅れを劇的に減らすことができます。私自身のチームでもこの仕組みを導入し、口頭やテキストでの曖昧な依頼がなくなり、タスク管理のストレスが大幅に軽減されました。
【中級編】Webサイトからの問い合わせをChatworkに即時通知&スプレッドシートに記録
Webサイトからの問い合わせは、ビジネスチャンスに直結する重要な情報です。この自動化は、対応のスピードと確実性を格段に向上させます。
ユースケース:
Googleフォームで作成した問い合わせフォームに新しい回答が送信されたら、その内容を即座に担当部署のChatworkグループチャットに通知し、同時にお客様リストであるGoogleスプレッドシートにも自動で追記します。
設定の概要:
- トリガー設定: n8nで「Google Form Trigger」ノードを設定し、問い合わせフォームと連携させます。
- アクション設定1: 「Google Sheets」ノードを使い、トリガーで受け取った問い合わせ内容(氏名、メールアドレス、問い合わせ内容など)を、指定したスプレッドシートの新しい行に書き込みます。
- アクション設定2: 「Chatwork」ノードを使い、整形した問い合わせ内容を関係者がいるグループチャットに通知します。「@担当者名」のようにメンションを付けて通知すれば、より確実に気づいてもらえます。
これにより、メールボックスを常にチェックする必要がなくなり、問い合わせに対してチーム全体で迅速な一次対応が可能になります。顧客満足度の向上にも繋がる、非常に費用対効果の高い自動化です。
【上級編】ECサイトの注文情報をトリガーに在庫確認依頼を自動化
さらに高度な連携として、ECサイトのAPIと連携する例も見てみましょう。これにより、バックオフィス業務の多くを自動化できます。
ユースケース:
ShopifyやBASEなどのECプラットフォームで新しい注文が入ったら、その注文情報をn8nが取得。注文された商品の情報(商品名、SKU、数量)を抽出し、在庫管理チームのChatworkグループチャットに「【在庫確認依頼】商品A × 2点」のようにメンション付きで通知します。
設定の概要:
- トリガー設定: ECプラットフォームのWebhook機能、もしくはn8nの「Schedule」ノードで定期的に注文APIをチェックする仕組みを作ります。(ここでは「HTTP Request」ノードが活躍します)
- データ整形: 取得した注文データ(JSON形式)の中から、必要な情報(商品名、SKU、数量など)をn8nの「Edit Fields」や「Code」ノードを使って抽出・整形します。
- アクション設定: 「Chatwork」ノードを使い、整形した情報を基に、具体的で分かりやすい在庫確認依頼メッセージを作成して通知します。
このレベルになると、複数のシステムを横断した本格的な業務自動化が実現できます。最初は難しく感じるかもしれませんが、n8nなら一つ一つの処理をブロックのように組み立てていくだけで、このような複雑な連携も構築可能なのです。
n8nでChatwork連携を始めるためのステップバイステップガイド
ここまでの例を見て、「自分も試してみたい!」と思った方もいるでしょう。n8nとChatworkの連携は、以下の3つのステップで誰でも簡単に始められます。
ステップ1: n8nのアカウントを準備する
まずはn8nを使えるようにしましょう。n8nには、手軽に始められるクラウド版「n8n Cloud」と、自社のサーバーにインストールする「セルフホスティング版」があります。
最初の一歩としては、無料で始められてすぐに試せるクラウド版が断然おすすめです。以下のリンクからサインアップすれば、すぐにn8nのパワフルな機能を体験できます。
2025年12月時点の情報では、n8n Cloudには無料のプランがあり、小規模な自動化であれば十分に運用可能です。まずは無料で色々と試してみて、本格的に活用したくなったら有料プランを検討するのが良いでしょう。
ステップ2: ChatworkのAPIトークンを取得する
次に、n8nからChatworkを操作するために必要な「APIトークン」を取得します。これは、n8nにChatworkの操作を許可するための「合鍵」のようなものです。
- Chatworkにログインし、画面右上のユーザーアイコンから「API設定」をクリックします。
- (パスワードの再入力が求められる場合があります)
- APIトークンの入力欄に任意の名前(例: n8n連携用)を入力し、「発行」ボタンをクリックします。
- 表示されたAPIトークンを、必ず安全な場所にコピーしておきましょう。このトークンは一度しか表示されませんのでご注意ください。
これでn8nと連携する準備が整いました。
ステップ3: n8nで最初のワークフローを作成する
いよいよn8nでワークフローを作成します。ここでは、最も基本的な「Chatwork Trigger」ノードの設定方法を解説します。
- n8nのダッシュボードで新しいワークフローを作成します。
- 「+」アイコンをクリックしてノードを追加し、検索窓で「Chatwork」と入力して「Chatwork Trigger」を選択します。
- ノードの設定画面で、「Credential for Chatwork API」の「Create New」をクリックします。
- Credentialの名前(例: My Chatwork Account)と、ステップ2で取得したAPIトークンを貼り付け、「Save」をクリックします。これでアカウントの連携は完了です。
- 次に、「Events」で「Message」を選択します。
- 「Webhook URL」に表示されたURLをコピーし、Chatworkの連携させたいグループチャットの設定から「API連携」→「Webhook」で新しいWebhookを作成し、コピーしたURLを貼り付けます。
- これで設定は完了です!Chatworkにメッセージを投稿すると、n8nのトリガーが反応し、データが送られてくるようになります。
最初は少し戸惑うかもしれませんが、一度設定してしまえば、あとは様々なアクションノードを繋げていくだけです。n8nの基本的な使い方や、より詳細なワークフローの構築方法については、n8nの全てを網羅的に解説した「n8n完全ガイド記事」で詳しく紹介しています。ぜひ、そちらも併せてご覧ください。
まとめ: Chatwork業務を自動化し、未来の働き方を手に入れよう
この記事では、n8nを使ってChatworkの業務を自動化する方法について、具体的なアイデアと実践的な手順を交えて解説しました。
Chatworkとn8nを連携させることで、あなたは以下のメリットを得られます。
- 時間の創出: 通知の確認やタスクの手動登録といった定型作業から解放され、より創造的な業務に時間を使えます。
- ミスの削減: 人の手を介さないことで、依頼の見逃しや転記ミスといったヒューマンエラーを防ぎます。
- 対応速度の向上: 問い合わせや重要な通知に即座に反応できる体制を構築し、ビジネスチャンスを逃しません。
難しそうに感じたかもしれませんが、まずは「特定のキーワードが付いたメッセージを自分宛てにタスク登録する」といった簡単な自動化から始めてみてください。その小さな成功体験が、あなたの業務効率化を加速させる大きな一歩となるはずです。
n8nが持つ可能性は無限大です。より深くn8nを学び、ビジネス全体を効率化したい方は、ぜひ当サイトの「n8n完全ガイド記事」もご活用ください。基本的な使い方から応用例まで、あなたの自動化ジャーニーを力強くサポートします。
さあ、あなたもn8nで退屈な作業に終止符を打ち、スマートな働き方を実現しませんか?
