個人事業主としてビジネスが軌道に乗り、次のステップとして「法人成り」を検討する方が増えています。
しかし、法人成りには「個人事業の廃業」と「法人の設立」という2つの大きな手続きが伴い、特に「廃業届」や「開業届」といった書類の扱いに混乱してしまうケースも少なくありません。
「どのタイミングで、どの書類を、どこに提出すればいいの?」
「手続きが複雑で、本業に支障が出そう…」
そんな不安を抱えていませんか?
この記事では、個人事業から法人へスムーズに移行するための具体的な手順を、廃業と設立の両面から分かりやすく解説します。
この記事を読めば、必要な手続きの全体像が掴め、安心して法人成りの準備を進められるようになります。
法人成りの最適なタイミングとは?メリット・デメリットを徹底比較
事業が成長する中で、多くの個人事業主が法人成りを意識し始めます。しかし、そのタイミングをいつにするべきか、判断に迷うことも多いでしょう。ここでは、法人成りするべき最適な時期と、その際に考慮すべきメリット・デメリットを詳しく解説します。(この記事は2026年2月時点の情報を基に執筆しています)
法人成りを見極める3つの指標
最適なタイミングは事業の状況によって異なりますが、一般的に以下の3つの指標が目安となります。
- 所得が800万円を超えたとき: 個人事業主の所得税は累進課税で、所得が増えるほど税率が上がります。一方、法人税の税率は一定の部分が多いため、所得が800万円~900万円を超えると、法人の方が税負担を抑えられる可能性が高くなります。
- 消費税の課税事業者になったとき: 売上が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の課税事業者となります。しかし、法人を設立すると、資本金1,000万円未満であれば設立後最大2年間は消費税の納税が免除される場合があります。この節税効果は非常に大きいです。
- 大きな資金調達や事業拡大を計画しているとき: 法人は個人事業主に比べて社会的信用度が高く、金融機関からの融資を受けやすくなります。また、取引先によっては法人でなければ契約できないケースもあるため、事業拡大を目指すなら法人成りが有利です。
法人成りのメリットとデメリット
タイミングを見極めるためには、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが不可欠です。
【メリット】
- 節税効果: 所得の分散(役員報酬)や経費として認められる範囲の拡大(退職金、生命保険料など)により、大きな節税が期待できます。
- 社会的信用の向上: 法人であるというだけで、取引先や金融機関からの信頼性が格段にアップします。人材採用においても有利に働くことが多いです。
- 事業承継のしやすさ: 個人事業主は事業主本人の死亡により資産が凍結されるリスクがありますが、法人は株式の譲渡によってスムーズに事業を引き継ぐことができます。
- 有限責任: 個人事業主は事業上の負債をすべて個人で負う「無限責任」ですが、株式会社の場合は出資額の範囲内での「有限責任」となります。
【デメリット】
- 設立コストと手間: 株式会社の設立には、定款認証や登記費用などで約20万円以上の費用がかかります。手続きも煩雑です。
- 社会保険への加入義務: 役員1名の法人でも社会保険への加入が義務付けられます。これにより、個人事業主時代にはなかった社会保険料の負担が発生します。
- 事務負担の増加: 会計処理や税務申告が複雑になり、税理士への依頼がほぼ必須となるため、ランニングコストが増加します。
- 赤字でも税金が発生: 法人住民税の均等割は、たとえ赤字であっても毎年約7万円の納税義務が生じます。
これらのメリット・デメリットを総合的に比較し、ご自身の事業のステージに合った最適なタイミングで法人成りを実行することが成功の鍵となります。
【ステップ別】もう迷わない!個人事業の廃業手続き完全ガイド
法人成りを決断したら、次に行うべきは個人事業の廃業手続きです。手続き自体はシンプルですが、提出書類やタイミングを間違えると後々面倒なことになる可能性もあります。ここでは、廃業手続きをスムーズに進めるための具体的なステップと注意点を解説します。
Step1: 「個人事業の開業・廃業等届出書(廃業届)」の提出
個人事業を辞める際に、まず提出するのが「個人事業の開業・廃業等届出書」です。一般的に「廃業届」と呼ばれている書類がこれにあたります。
- 提出書類: 個人事業の開業・廃業等届出書
- 提出先: 所轄の税務署(納税地を管轄する税務署)
- 提出期限: 事業の廃止の事実があった日から1か月以内
届出書には、個人番号(マイナンバー)の記載と本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。廃業の理由としては「法人設立のため」などと具体的に記載しましょう。この廃業届を提出することで、税務署に対して個人事業を正式に終了したことを通知します。
Step2: 青色申告などの関連手続き
廃業届の提出と合わせて、以下の書類も必要に応じて提出します。特に青色申告をしていた方は忘れないようにしましょう。
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書: 青色申告を行っていた場合、廃業する年の翌年3月15日までに提出が必要です。これを忘れると、翌年以降も青色申告の義務が続く可能性があるため注意が必要です。
- 事業廃止届出書: 消費税の課税事業者であった場合に提出します。提出期限は「速やかに」とされています。
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書: 従業員に給与を支払っていた場合に提出が必要です。廃業から1か月以内に提出します。
Step3: 廃業年の確定申告
廃業した年の1月1日から廃業日までの所得について、翌年の確定申告期間(通常2月16日~3月15日)に確定申告を行う必要があります。これが個人事業主としての最後の確定申告となります。廃業に伴う経費(事務所の原状回復費用など)も計上できるので、漏れなく申告しましょう。
これらの手続きは、一見すると複雑に感じるかもしれません。特に、これから事業を始めようと考えている方にとっては、開業手続きも不安に感じるでしょう。そもそも個人事業主の開業手続きについては、「【開業準備ガイド】個人事業主になるには?無料の「マネーフォワード クラウド開業届」で書類作成から提出まで完全サポート!」の記事で詳しく解説しています。法人成りだけでなく、これから独立を考えている方もぜひ参考にしてください。
法人設立の手続きと「届出」のポイント|個人事業との違いは?
個人事業の廃業手続きと並行して、法人の設立手続きを進めていきます。こちらの手続きは個人事業の開業よりも複雑で、専門的な知識が求められる場面も多くなります。ここでは、法人設立の主な流れと、設立後に必要な届出について解説します。
法人設立の基本的な流れ
株式会社を設立する場合、一般的に以下のような流れで進みます。
- 基本事項の決定: 商号(会社名)、事業目的、本店所在地、資本金額、役員構成などを決定します。
- 定款の作成・認証: 会社の根本規則である定款を作成し、公証役場で認証を受けます。
- 資本金の払込み: 発起人個人の銀行口座に資本金を払い込みます。
- 登記申請書類の作成: 法務局へ提出するための登記申請書や添付書類を作成します。
- 設立登記の申請: 本店所在地を管轄する法務局に設立登記を申請します。この申請日が会社の設立日となります。
- 設立後の手続き: 登記完了後、税務署や都道府県税事務所、市町村役場への届出、社会保険の手続きなどを行います。
法人の「開業届」は「法人設立届出書」
個人事業主が提出する「開業届」に相当するものが、法人における「法人設立届出書」です。
- 提出書類: 法人設立届出書
- 提出先: 税務署、都道府県税事務所、市町村役場
- 提出期限: 設立登記の日から2か月以内(税務署の場合)
この届出書と合わせて、「青色申告の承認申請書」や「給与支払事務所等の開設届出書」なども提出します。提出先が税務署だけでなく、都道府県や市町村にも及ぶのが個人事業との大きな違いです。
手続きを圧倒的に効率化する方法
ここまで読んで、「やっぱり手続きが複雑で大変そうだ…」と感じた方も多いのではないでしょうか。定款作成、登記申請、そして設立後の numerous な届出。これらをすべて自力で行うのは、時間も労力もかかります。
しかし、今は便利なサービスを活用することで、これらの手続きを大幅に簡略化できます。
特におすすめなのが、会計ソフトと連携した会社設立支援サービスです。中でも「マネーフォワード クラウド」シリーズは、多くの起業家に選ばれています。必要な情報をフォームに入力するだけで、定款や登記書類、設立後の各種届出書まで自動で作成してくれます。
法人設立だけでなく、日々の経理処理も効率化できるため、設立当初から導入することで本業に集中できる環境を整えられます。まずはマネーフォワード クラウド開業届の新規会員登録を無料で行い、その使いやすさを体験してみることをお勧めします。個人事業の開業から法人の設立まで、一気通貫でサポートしてくれる心強いパートナーとなるでしょう。
まとめ:計画的な準備でスムーズな法人成りを目指そう
今回は、個人事業から法人成りする際の手続きについて、廃業届と設立後の届出を中心に解説しました。
最後に、本記事の要点をまとめます。
- 法人成りのタイミング: 所得800万円超えや消費税課税事業者になった時期がひとつの目安。節税メリットだけでなく、社会的信用の向上も大きな利点。
- 個人事業の廃業手続き: 廃業日から1か月以内に「廃業届」を税務署に提出。青色申告の取りやめ届なども忘れずに行う。
- 法人の設立手続き: 定款作成・認証、登記申請を経て法人を設立。「法人設立届出書」を税務署や自治体に提出する。
- 手続きの効率化: 煩雑な書類作成は「マネーフォワード クラウド」のようなサービスを活用することで、時間とコストを大幅に削減できる。
法人成りは、事業をさらに成長させるための重要なステップです。手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、一つひとつ計画的に進めていけば、決して難しいものではありません。特に、各種届出の漏れや遅れは、後々の税務処理に影響を与える可能性もあるため注意が必要です。
もしあなたが手続きの煩雑さに不安を感じているなら、まずは無料で利用できるツールから試してみてはいかがでしょうか。マネーフォワード クラウド開業届は、その第一歩として最適な選択肢です。スムーズな法人成りで、あなたのビジネスを新たなステージへと飛躍させましょう。
