Surfsharkを会社やチームで使いたい——その疑問に答えます
リモートワークの定着や海外拠点との通信セキュリティ強化を背景に、VPN導入を検討する企業が増えています。
個人向けVPNとして高い評価を受けるSurfsharkは、デバイス接続台数が無制限という大きな特長を持つサービスです。
「これなら社員全員で使えるのでは?」と考える方も少なくないでしょう。
しかし、法人利用となると個人利用とは異なる要件が求められます。
管理者権限の一元化、利用状況のログ管理、請求の一括処理など、企業特有のニーズに応えられるかどうかが導入判断の分かれ目です。
VPN選びで判断を誤ると、セキュリティリスクやコストの無駄につながります。
企業のIT担当者や個人事業主、小規模チームのリーダーの方はぜひ最後までお読みください。
なぜ企業のVPN導入が急務になっているのか
リモートワーク時代のセキュリティ課題
総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」でも指摘されているように、社外ネットワークからの業務アクセスには通信の暗号化が不可欠です。カフェやコワーキングスペースのフリーWi-Fiは利便性が高い一方で、通信の傍受やなりすましアクセスポイントによる情報漏洩のリスクが常に存在します。
実際に、暗号化されていない公衆Wi-Fi経由での社内システムへのアクセスが原因で、顧客情報が流出した事例は国内外で複数報告されています。VPNはこうしたリスクに対する基本的な防御策として、規模を問わず多くの組織で導入が進んでいます。
法人VPNに求められる要件
企業がVPNを導入する際には、個人利用とは異なる要件が発生します。主な要件を整理すると以下のとおりです。
- 管理者ダッシュボード:誰がいつ接続したかを一元管理できる機能
- ユーザー管理:社員の追加・削除・権限設定を管理者が行える仕組み
- 一括請求・経費処理:法人名義での請求書発行やライセンスの一括管理
- 専用IPアドレス:社内システムへのアクセス制御に用いる固定IPの割り当て
- SLA(サービスレベル合意):稼働率の保証や障害時のサポート体制
- コンプライアンス対応:業界規制に準拠したログ管理やデータ保管
これらの要件を満たせるかどうかが、個人向けVPNを業務に転用できるかの判断基準になります。「安いから」「接続台数が多いから」という理由だけで導入すると、運用開始後にさまざまな問題が顕在化する恐れがあります。
小規模事業者・フリーランスと大企業では事情が異なる
ここで重要なのは、すべての企業が上記の要件をフルに必要とするわけではないという点です。従業員数が5名以下のスタートアップや、個人事業主・フリーランスであれば、管理者ダッシュボードやSLAよりも「コストを抑えながら通信を暗号化したい」というニーズが優先される場合もあります。
自社の規模と要件を正確に把握したうえで、最適なVPNを選ぶことが大切です。
Surfsharkに法人・チーム向けプランはあるのか
2026年5月時点の公式プラン構成
結論から言えば、Surfsharkは2026年5月時点で、法人専用プランやチーム向けプランを公式には提供していません。Surfsharkの料金体系は個人ユーザー向けに設計されており、「Surfshark Starter」「Surfshark One」「Surfshark One+」という3つのプランが用意されています。
いずれのプランも、1つのアカウントでデバイス接続台数が無制限という点が最大の特長です。この仕様は家族やカップルでの共有を想定したもので、法人のチーム運用を前提としたものではありません。
法人プランがない理由を考察する
Surfsharkが法人向けプランを展開していない背景には、いくつかの事情が推測されます。
まず、Surfsharkは2022年にNord Securityと合併しました。Nord Securityはすでに「NordLayer」(旧NordVPN Teams)という法人向けネットワークセキュリティサービスを展開しています。グループ全体の戦略として、法人需要はNordLayerに集約し、Surfsharkは個人向け市場に特化するという棲み分けが行われていると考えられます。
この棲み分けは利用者にとっても重要な情報です。Surfsharkの個人向けサービスに法人機能を無理に求めるよりも、法人ニーズに合った専用サービスを選ぶ方が合理的な判断と言えるでしょう。
個人プランを業務利用すること自体は可能か
Surfsharkの利用規約を確認すると、個人プランの業務利用を明示的に禁止する条項は見当たりません。ただし、利用規約はあくまで個人ユーザーとの契約を前提に書かれており、法人としての利用を積極的にサポートする内容にはなっていません。
つまり、技術的には業務利用が可能でも、サポートやアカウント管理の面で法人特有のニーズには対応しにくいという現実があります。
Surfsharkをビジネスで利用する際の具体的な注意点
注意点1:アカウント管理の課題
Surfsharkの個人プランでは、1つのメールアドレスとパスワードでアカウントが管理されます。チームで利用する場合、このアカウント情報を複数人で共有することになりますが、以下の問題が生じます。
- 退職者のアクセス遮断が困難(パスワード変更で全員に影響が及ぶ)
- 誰がいつ接続したかの追跡ができない
- アカウント情報の漏洩リスクが共有人数に比例して高まる
- 二要素認証の運用が複雑になる
私自身、過去に小規模チームでサブスクリプションサービスのアカウントを共有運用した経験がありますが、メンバーの入れ替わりのたびにパスワードを変更し、全員に再通知するという手間は想像以上に煩雑でした。セキュリティツールでこの運用を行うのは本末転倒と言えます。
注意点2:ログポリシーとコンプライアンス
Surfsharkは「ノーログポリシー」を掲げており、ユーザーの通信内容や接続ログを保存しないことを第三者監査で証明しています。個人のプライバシー保護としては非常に優れた方針です。
しかし、企業のコンプライアンス要件によっては、むしろ接続ログの保存が必要になる場合があります。たとえば、金融業界や医療業界では、誰がいつどのシステムにアクセスしたかの記録保持が規制で義務付けられているケースがあります。
Surfsharkのノーログポリシーは個人にとっては強みですが、法人利用においてはコンプライアンス上の制約となりうる点を理解しておく必要があります。
注意点3:サポート体制と障害対応
Surfsharkは24時間365日のライブチャットサポートを提供しており、個人ユーザーへの対応品質には定評があります。一方で、法人向けの優先サポートや専任担当者の割り当て、SLAに基づく障害復旧保証といった体制は用意されていません。
業務クリティカルな場面でVPN接続が不安定になった場合、個人向けサポートの対応速度に業務が左右されるリスクがあることを事前に認識しておきましょう。
注意点4:経費処理と請求の問題
Surfsharkの支払い方法はクレジットカード、PayPal、Google Pay、暗号通貨などに対応していますが、法人名義の請求書発行には対応していません。経理処理において、個人名義のサブスクリプションを法人経費として計上する場合、社内規定との整合性を確認する必要があります。
個人事業主であればクレジットカードの利用明細で経費処理が可能なケースが多いですが、法人の場合は税務処理上の注意が必要です。
現実的な運用方法:小規模チームの場合
上記の注意点を踏まえたうえで、それでもSurfsharkをチームで利用したい場合の現実的な運用方法を整理します。
最も合理的なアプローチは、メンバーそれぞれが個別にSurfsharkアカウントを契約する方法です。
- 各自が自分のアカウントを管理するため、退職時はそのアカウントを解約するだけで済む
- 二要素認証を個別に設定でき、セキュリティレベルを維持できる
- デバイス接続台数が無制限なので、1人が業務用・私用の複数端末で利用しても追加費用が発生しない
- 経費精算は各アカウントの支払い明細で対応可能
2年プランを選択すれば月額換算で数百円程度に抑えられるため、法人向け専用VPNと比べてコスト面での優位性は十分にあります。Surfshark公式サイトで最新の料金プランを確認し、長期プランの割引を活用するのがおすすめです。
法人向けVPNとの比較で見えるSurfsharkの位置づけ
代表的な法人向けVPNサービスとの比較
Surfsharkを法人利用する場合と、法人専用VPNサービスを導入する場合の違いを整理します。
| 比較項目 | Surfshark(個人プラン) | 法人向けVPN(NordLayer等) |
|---|---|---|
| 月額費用(1ユーザーあたり) | 約300〜500円(長期プラン) | 約800〜2,000円 |
| 管理者ダッシュボード | なし | あり |
| ユーザー管理機能 | なし | あり(追加・削除・権限設定) |
| 接続ログの管理 | ノーログ(変更不可) | 管理者が設定可能 |
| 法人請求書対応 | 非対応 | 対応 |
| 専用IP | オプションで利用可能 | 標準または上位プランで利用可能 |
| SLA・優先サポート | なし | あり |
| 導入の手軽さ | 非常に簡単 | 初期設定にやや手間がかかる |
どんな組織にSurfsharkが適しているか
上記の比較から、Surfsharkの業務利用が適しているケースと適していないケースを明確にします。
Surfsharkが適しているケース:
- フリーランスや個人事業主が業務用の通信を暗号化したい場合
- 従業員5名以下の小規模チームで、管理者機能よりもコストを優先する場合
- 海外出張時や外出先での一時的なセキュリティ確保が目的の場合
- 厳格なコンプライアンス要件が課されていない業種の場合
法人専用VPNが適しているケース:
- 従業員10名以上で、ユーザー管理の一元化が必要な場合
- 業界規制により接続ログの保持が義務付けられている場合
- 社内システムへのアクセス制御に専用IPが必須の場合
- VPN障害が業務に直結するため、SLAが必要な場合
自社がどちらに該当するかを見極めたうえで判断してください。コスト面だけでなく、運用負荷とリスクを総合的に評価することが重要です。
まとめ:Surfsharkの法人利用は「条件付きで有効」
Surfsharkは2026年5月時点で法人・チーム向けの専用プランを提供しておらず、管理者機能やログ管理、法人請求といった企業向け機能は備えていません。しかし、デバイス接続台数無制限という特長と、長期プランでの圧倒的なコストパフォーマンスは、小規模事業者やフリーランスにとって現実的な選択肢となり得ます。
判断のポイントを整理します。
- 法人専用プランは存在しないが、個人プランの業務利用は禁止されていない
- チーム利用する場合は、アカウント共有ではなく個別契約が推奨される
- コンプライアンス要件が厳しい業種では、法人向けVPNの選択が安全
- コスト重視の小規模組織にとっては、十分な暗号化性能を低価格で利用できる有力な選択肢
まずは自社のセキュリティ要件を洗い出し、上記の注意点と照合してみてください。Surfsharkの機能や料金の全体像を把握するには、Surfshark VPNの完全ガイドが参考になります。
要件を確認したうえでSurfsharkが自社に合うと判断できたら、Surfshark公式サイトから長期プランの割引を活用して導入を進めるのが、最もコストを抑えた始め方です。
