「投資先のスタートアップがダウンラウンドになったらしい」——。
未上場株に興味を持ち始めると、こうした話題を目にする機会が増えてきます。
上場株しか経験がなければ「株価が下がった」程度のイメージで受け取るかもしれません。
しかし未上場株の世界では、ダウンラウンドは単なる株価の下落とは異なる独自の構造を持ち、投資家の持分や将来リターンに直接的な影響を与えます。
近年、個人投資家でもユニコーン企業へ投資できるプラットフォームが登場し、未上場株投資の裾野は確実に広がっています。
だからこそ、ダウンラウンドの仕組みを正しく理解し、適切なリスク管理の考え方を身につけておくことが、資産を守るうえで欠かせません。
本記事では、ダウンラウンドの基本メカニズムから、投資家が取るべき具体的な対応策までを体系的に解説します。
最後まで読んでいただければ、未上場株投資のリスク判断に必要な知識が一通り身につくはずです。
そもそも「ラウンド」と「バリュエーション」の基礎知識
スタートアップの資金調達ラウンドとは
未上場企業、とりわけスタートアップは、事業を拡大する過程で段階的に外部から資金を調達します。この各段階を「ラウンド」と呼び、一般的にはシード、シリーズA、シリーズB、シリーズCと進んでいきます。各ラウンドでは、企業の成長度合いに応じた「バリュエーション(企業評価額)」が設定され、その評価額をもとに株式が発行されます。
たとえば、シリーズAで企業評価額が50億円だった企業が、事業の成長に伴いシリーズBで100億円の評価額をつけて資金調達を行えば、これは「アップラウンド」です。既存の投資家にとっては、保有する株式の帳簿上の価値が上昇したことを意味します。
バリュエーションの決まり方
ここで重要なのは、未上場企業のバリュエーションは証券取引所の需給で決まる上場株の株価とは根本的に異なるという点です。未上場企業の評価額は、新規の投資家(リードインベスター)と企業の経営陣が交渉によって決定します。売上高の成長率、市場規模、競合環境、技術的優位性、さらにはマクロ経済の状況まで、さまざまな要素を総合的に考慮して合意に至ります。
つまり、バリュエーションは客観的な「時価」というよりも、特定の時点における「交渉の結果」という側面が強いのです。この点を理解しておくと、なぜダウンラウンドが発生するのかが見えてきます。
ダウンラウンドとは何か——その仕組みを正確に理解する
ダウンラウンドの定義
ダウンラウンドとは、スタートアップが新たな資金調達ラウンドを実施する際に、前回のラウンドよりも低い企業評価額で株式を発行することを指します。たとえば、シリーズBで200億円の評価額をつけた企業が、シリーズCでは150億円の評価額で資金を調達するケースがこれに該当します。
上場株でいえば「公募増資を前回の株価より安い価格で行う」ようなイメージですが、未上場株特有の契約条項によって、影響はより複雑になります。
なぜダウンラウンドが発生するのか
ダウンラウンドの発生要因は、大きく分けて以下の4つに整理できます。
- 事業計画の未達:売上や利用者数が前回の資金調達時に提示した計画を下回り、成長の前提が崩れた場合。
- 市場環境の悪化:景気後退や金利上昇によってリスクマネーが縮小し、スタートアップ全体の評価水準が下方修正された場合。2022年から2023年にかけてのテック業界の評価額調整は、その典型例です。
- 競合環境の変化:有力な競合の台頭や、技術トレンドの転換により、当該企業の市場ポジションが相対的に低下した場合。
- 資金繰りの逼迫:キャッシュが枯渇し、条件面で不利であっても資金を受け入れざるを得ない状況に追い込まれた場合。
特に注目すべきは、ダウンラウンドの原因が「企業固有の問題」なのか「市場全体の調整」なのかによって、その後の回復可能性が大きく異なる点です。市場全体の調整によるダウンラウンドであれば、事業のファンダメンタルズ自体は健全であり、環境の好転とともにバリュエーションが回復するケースも少なくありません。
ダウンラウンドが投資家にもたらす具体的な影響
ダウンラウンドが発生した場合、既存投資家には主に3つの影響が生じます。
第一に、保有持分の評価額の低下です。前回ラウンドで出資した時点の評価額を基準に考えると、帳簿上の価値が毀損します。ただし、これはあくまで「含み損」であり、最終的なリターンはIPOやM&Aといった出口(イグジット)の時点で確定するという点は押さえておく必要があります。
第二に、希薄化(ダイリューション)の問題です。ダウンラウンドでは、より低い評価額で新たな株式が発行されるため、同じ金額でもより多くの株式が発行されます。結果として、既存投資家の持分比率が大きく低下する可能性があります。
第三に、「希薄化防止条項(アンチダイリューション条項)」の発動です。多くのスタートアップ投資では、優先株式に希薄化防止条項が付与されています。ダウンラウンドが発生すると、この条項に基づき過去のラウンドの投資家に追加の株式が付与されることがありますが、その分さらに普通株主の持分が希薄化します。契約条件によって投資家への影響は大きく異なるため、出資時の契約内容を確認しておくことが重要です。
ダウンラウンドに備えるリスク管理の実践的アプローチ
ステップ1:投資前のデューデリジェンスを徹底する
最も効果的なリスク管理は、投資前の段階で行うデューデリジェンス(投資先の精査)です。具体的には以下のポイントを確認しましょう。
- キャッシュランウェイ(手元資金で事業を継続できる期間)が十分か。一般に18か月以上のランウェイがあれば、資金面でのダウンラウンド圧力は低いとされます。
- 売上成長率が前回ラウンドの前提条件を達成しているか。
- 市場全体の資金調達環境はどうか。引き締め局面では、優良企業でもダウンラウンドを余儀なくされることがあります。
- 経営チームが過去に困難な局面をどう乗り越えてきたかの実績。
ただし、個人投資家が未上場企業のこうした内部情報に直接アクセスすることは容易ではありません。そのため、信頼できるプラットフォームを通じて投資することが、情報格差を補う現実的な選択肢となります。
たとえば、HiJoJo.comは、ユニコーン企業への投資に特化したプラットフォームで、独自のグローバルネットワークを通じて厳選された案件を提供しています。運営元のHiJoJo Partners株式会社は、関東財務局長(金商)第3065号の登録を受けた金融商品取引業者であり、ファンドの組成から販売・運用までを一貫して行っています。こうした専門家による銘柄選定プロセスを活用することで、個人投資家でもデューデリジェンスの質を高めることが可能です。
ステップ2:ポートフォリオの分散を意識する
未上場株投資におけるリスク管理の鉄則は「分散」です。特定の1社に資金を集中させてしまうと、その企業がダウンラウンドに見舞われた場合、ポートフォリオ全体に大きなダメージを受けます。
理想的には、複数の企業、異なる業種、異なるステージの未上場株に分散投資を行うことで、個別企業のダウンラウンドリスクを軽減できます。ベンチャーキャピタル(VC)の世界では「10社投資して、1〜2社が大きなリターンを生み、ポートフォリオ全体の利益を確保する」というモデルが一般的です。個人投資家も、このVCの考え方を参考にポートフォリオを構築するとよいでしょう。
また、未上場株だけでなく、上場株・債券・不動産といった他の資産クラスとのバランスも重要です。未上場株はその性質上、流動性が著しく低い金融商品です。営業者の承諾なしに持分を第三者へ譲渡することはできず、投資した資金はIPOやM&Aなどのイグジットまで原則として拘束されます。そのため、全資産に占める未上場株の比率は、自身のリスク許容度と資金の流動性ニーズを考慮して慎重に設定すべきです。
ステップ3:投資後のモニタリングと冷静な判断
投資を実行した後も、定期的な情報収集とモニタリングは欠かせません。具体的には以下の情報を継続的にチェックしましょう。
- 投資先企業の事業進捗(新製品のリリース、大型契約の獲得、ユーザー数の推移など)
- 当該企業が属する業界全体のトレンドと競合動向
- マクロ経済環境(特に金利動向とリスクマネーの流入状況)
- 運用会社からの定期レポートや通知
ここで最も重要なのは、ダウンラウンドが発生した場合でも感情的にならず、冷静に状況を分析することです。前述の通り、ダウンラウンドの原因が市場全体の調整によるものであれば、事業のファンダメンタルズが健全な限り、長期的にはバリュエーションが回復する可能性は十分にあります。
逆に、事業計画の未達や競合に対する優位性の喪失が原因の場合は、より慎重な判断が求められます。ただし、未上場株は流動性がないため、上場株のように「損切り」することは基本的にできません。だからこそ、投資前の段階でのリスク管理(ステップ1・2)が極めて重要になるのです。
ステップ4:信頼できる専門家やプラットフォームの知見を活用する
未上場株投資は上場株と比較して情報の非対称性が大きく、個人投資家が独力で適切な判断を行うことには限界があります。そこで重要になるのが、信頼できる専門家やプラットフォームの知見を積極的に活用することです。
投資運用業の登録を持つ運用会社であれば、独自のネットワークを通じて企業の内部情報にアクセスし、プロフェッショナルの目線で投資判断を行っています。個人投資家としては、こうしたプロの知見を「レバレッジ」として活用する姿勢が求められます。
HiJoJo.comでは、ビジネスモデルが確立済みで経営基盤も安定している急成長中のユニコーン企業の中から、近い将来でのIPOやM&Aなどのイグジットイベント発生を見通しやすい企業を厳選してファンドを組成しています。2026年5月時点の情報では、米国ユニコーン企業の評価額上位には、SpaceXやOpenAI、Anthropicといった世界的に注目される企業が名を連ねており、HiJoJo Partnersはこれらを含む多くの有力企業への組み入れ実績を持っています。
なお、HiJoJo.comの利用には金融資産3,000万円以上という資格要件があります。未上場株投資のリスクを踏まえた基準であり、こうした一定のハードルが設けられていること自体が、プラットフォームの信頼性を示す一つの指標ともいえるでしょう。サービスの詳細や登録手順については、HiJoJo.com完全ガイド記事で網羅的に解説しています。
よくある失敗パターンとその回避策
未上場株投資におけるダウンラウンド関連で、個人投資家が陥りがちな失敗パターンを整理しておきます。
- 「有名企業だから安心」という思い込み:知名度の高いユニコーン企業でも、ダウンラウンドは発生します。企業のブランド力と投資リターンは必ずしも一致しないことを認識しておきましょう。
- バリュエーションの「天井」で投資してしまう:市場が過熱している局面では、実態以上にバリュエーションが膨張している場合があります。投資タイミングには常に注意が必要です。
- 流動性リスクの過小評価:「いざとなれば売ればいい」という上場株の感覚で投資すると、換金できないことに後から気づくことになります。投資資金は数年間ロックされる前提で計画を立てましょう。
- 一つのファンドに資金を集中させる:前述の通り、分散投資はリスク管理の基本です。一度に全額を投じるのではなく、複数のファンドに時期を分けて投資することも有効な戦略です。
ダウンラウンドへの対応——他の投資手法との比較
上場株投資との違い
上場株であれば、株価が下落した場合でもすぐに市場で売却(損切り)することが可能です。また、信用取引で空売りを行い、下落局面でも利益を狙うことができます。一方、未上場株にはこうした選択肢がほとんどありません。流動性がないため、ダウンラウンドが発生しても「待つ」以外の選択肢が限られるのです。
この違いは一見するとデメリットに映りますが、見方を変えれば「短期的な市場ノイズに振り回されない」というメリットでもあります。上場株では、短期的な株価変動に耐えきれず底値で売却してしまう投資家は少なくありません。未上場株の場合、そもそも途中売却ができないことが、結果的に長期保有を強制し、最終的なリターンの獲得につながるケースもあります。
直接投資とファンド経由の投資の比較
未上場株への投資方法としては、エンジェル投資のように個人が直接スタートアップに出資する方法と、ファンドを通じて間接的に投資する方法があります。
直接投資は、投資先との距離が近く、経営への関与度が高いのが利点ですが、デューデリジェンスの負担が大きく、分散投資も難しいため、ダウンラウンドの影響をダイレクトに受けるリスクがあります。一方、ファンド経由の投資は、プロの運用者がデューデリジェンスや交渉を行い、契約条件(希薄化防止条項を含む)の設計も担ってくれるため、個人投資家にとってはリスク管理の面で優位性があります。
ファンド経由の投資には申込手数料や管理報酬などのコストが発生しますが、プロの目利きとリスク管理の対価と考えれば、特に未上場株投資の経験が浅い個人投資家にとっては合理的な選択です。
どんな人にファンド経由のユニコーン投資が向いているか
以下のような方は、ファンド経由でのユニコーン投資を検討する価値があるでしょう。
- 一定の金融資産(3,000万円以上)を保有し、ポートフォリオの一部をオルタナティブ投資に振り向けたいと考えている方
- 上場株だけでは得られない成長企業への投資機会を求めている方
- 数年単位のロック期間を許容できる資金的余裕がある方
- 自分でスタートアップを発掘・評価する時間や専門知識が十分ではないが、プロの目利きを活用したい方
反対に、短期的なリターンを求める方や、投資資金を急に現金化する可能性がある方には向いていません。未上場株投資は、あくまで中長期の資産形成戦略の一環として位置づけるべきものです。
まとめ——ダウンラウンドを正しく恐れ、賢く備える
本記事のポイントを整理します。
- ダウンラウンドとは、前回より低い企業評価額で資金調達が行われることであり、既存投資家の持分価値の低下や希薄化を引き起こす。
- 発生原因は企業固有の問題と市場全体の調整に大別でき、原因によって回復の見通しは異なる。
- リスク管理の基本は、投資前のデューデリジェンス、分散投資、投資後の冷静なモニタリング、そして信頼できる専門家の知見の活用。
- 未上場株は流動性がないため、「投資前の判断」がすべてと言っても過言ではない。
ダウンラウンドは未上場株投資につきものですが、それ自体は必ずしも投資の失敗を意味しません。重要なのは、ダウンラウンドの可能性を正しく理解した上で、適切な分散と情報収集によってリスクをコントロールすることです。
これからユニコーン投資を始めたいと考えている方は、まずはHiJoJo.comで無料の会員登録を行い、どのような投資案件があるのかを確認してみることをおすすめします。登録から投資開始までの具体的な手順やサービスの全体像については、HiJoJo.com完全ガイド記事で詳しくまとめていますので、あわせて参考にしてください。
※本記事は2026年5月時点の情報に基づいて執筆しています。未上場株式への投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。
