リモートワークやハイブリッドワークが普及し、オンラインでのブレインストーミング、ワークショップ、アイデア整理の重要性がますます高まっています。
その中で、「Miro」や「FigJam」といった多機能なオンラインホワイトボードツールは、多くの企業で活用されていますよね。
しかし、これらの専用ツールは非常に高機能である一方、多機能ゆえの操作の複雑さや、有料プランのコストが気になるという声も少なくありません。
私のお客様からも、『Miroは便利だけど、チーム全員分のライセンス費用が…』『もっと手軽に、Google Workspace内で完結できるホワイトボード機能はないの？』といったご相談をよくいただきます。
私も、用途に応じて様々なツールを使い分けていますが、Google Workspaceに標準で搭載されている「Google Jamboard（ジャムボード）」や、Workspaceと連携しやすい他のツールをうまく活用すれば、多くの場面で十分に対応できる、あるいは専用ツールとの使い分けで最適化できると感じています。
この記事では、Google Workspaceユーザーの皆さまがオンラインホワイトボードツールを選ぶ際に、Google Jamboardの実力と限界、そしてMiroやFigJamのような専用ツールとの比較、さらにはGoogle Workspace環境での最適な活用シーンについて、徹底的に解説します。
なぜオンラインホワイトボードがビジネスで重要なのか？
オンラインホワイトボードツールは、従来の物理的なホワイトボードの利便性をデジタル空間で実現し、さらに多くのメリットをもたらします。
- 視覚的な思考整理: アイデアや情報を付箋、図形、手書きなどで自由に配置し、思考を視覚的に整理・構造化できます。
- リアルタイムな遠隔コラボレーション: 場所を問わず、複数人が同時に同じボード上で作業でき、活発な議論や共同編集を促進します。
- 参加型でエンゲージメント向上: 参加者全員が書き込めるため、会議やワークショップが一方的なものにならず、参加意識とエンゲージメントを高めます。
- アイデアの記録と再利用: 作成したボードはクラウドに保存され、いつでも再アクセス・編集・共有が可能です。議論の過程も残ります。
Google Workspace純正ホワイトボード「Google Jamboard」の実力
Google Jamboardは、Google Workspaceに標準で含まれている（※一部無料版Googleアカウントでも利用可能）デジタルホワイトボードアプリです。
主な機能と特徴
- シンプルな操作性: 直感的で誰でもすぐに使い始められるシンプルなインターフェース。
- 基本的な描画ツール: ペン、マーカー、消しゴム、付箋、テキストボックス、図形、画像の挿入など、基本的なホワイトボード機能は網羅。
- Google Meetとのシームレスな連携: Google Meetの会議中に、参加者全員で同じJamboardをリアルタイムに共同編集できます。これが最大の強みの一つです。
- Googleドライブへの自動保存: 作成したJam（Jamboardのファイル）は自動的にGoogleドライブに保存され、共有も簡単です。
- 複数フレーム（ページ）作成: 1つのJamファイル内に複数のフレーム（ページ）を作成し、情報を整理できます。
- 背景設定: ドット方眼や罫線など、数種類の背景テンプレートが利用可能です。
Jamboardが活躍するシーン
- Google Meetでの会議中の簡単なブレインストーミングやアイデア出し。
- チームでのToDoリストや進捗状況の視覚的な共有（付箋活用）。
- オンライン研修や授業でのインタラクティブな説明やグループワーク。
- シンプルな思考整理やマインドマップ作成。
Jamboardの限界と注意点
- 機能のシンプルさ: MiroやFigJamのような専用ツールと比較すると、テンプレートの種類、高度な図形描画機能（UML、フローチャート専用部品など）、オブジェクトの数やキャンバスサイズの自由度などで見劣りする場合があります。
- 大規模ワークショップへの対応: 非常に大人数での同時編集や、複雑なフレームワークを使ったワークショップには、機能的に物足りないことがあります。
MiroやFigJamなどの専用ツールとの比較ポイント
Jamboardで不足を感じる場合、MiroやFigJamといった専用ツールの導入を検討することになります。比較する際の主なポイントです。
| 比較ポイント | Google Jamboard | Miro / FigJam (代表例) |
|---|---|---|
| 機能の豊富さ | 基本的 | 非常に豊富（高度な図形、フレームワーク、タイマー、投票など） |
| 使いやすさ | 非常に直感的 | 多機能ゆえに慣れが必要な場合も |
| Google Workspace連携 | 非常にシームレス（Meet, Drive） | Google Drive連携、カレンダー連携など一部可能（アプリによる） |
| テンプレート | 限定的 | 非常に豊富 |
| 料金 | Workspaceライセンスに含む | 無料プランあり（機能制限）、本格利用は有料プラン（ユーザー単位課金） |
| 外部ユーザー共有 | 可能（Googleアカウント推奨） | 可能（閲覧のみならアカウント不要な場合も） |
なお、MiroやFigJamも、Google Workspaceとの連携機能（例: Google Driveからのファイルインポート、Googleカレンダー連携など）を強化してきており、併用する際にも便利になってきています。
Google Workspaceユーザーのための「ホワイトボードツール選び」のポイント
結局、どのツールを選べば良いのでしょうか？以下の視点で検討してみてください。
- 用途と頻度で選ぶ:
- Jamboardが適しているケース: Google Meet中のちょっとしたアイデア出し、チーム内の簡単な情報整理、教育現場でのインタラクティブな活動など、手軽さが求められる場面や、利用頻度がそれほど高くない場合。
- Miro/FigJam等が適しているケース: デザイン思考ワークショップ、UXデザイン（ユーザーストーリーマッピング、ワイヤーフレーム作成）、戦略立案、複雑なプロセスの可視化など、高度な機能や豊富なテンプレートが必要な本格的な作業、または日常的にホワイトボードを多用する場合。
- Google Workspace連携の深さを重視するか: Google Meet画面から直接Jamboardを起動して共同編集できるシームレスさは大きな魅力です。この「手軽さ」を重視するならJamboard。
- 予算で選ぶ: JamboardはGoogle Workspaceのライセンスに含まれているため追加費用はかかりません。Miro/FigJamは無料プランもありますが、本格的なチーム利用では有料プランが必要になります。
ツールは「適材適所」で。まずはJamboardから試すのが吉！
私自身、お客様とのワークショップや複雑な思考整理にはMiroのような専用ツールを使うこともありますが、社内のちょっとした打ち合わせや、アイデアをすぐに書き留めたい時には、手軽なJamboardをGoogle Meetから起動して使うことが多いです。その際のポイントは以下の通りです。
- まずは「Jamboard」でどこまでできるか試してみる: Google Workspaceユーザーであれば、追加費用なしですぐに使えるJamboard。まずはこれで自社のニーズが満たせるか試してみるのが一番です。意外と「Jamboardで十分だった」というケースも多いですよ。
- Miro/FigJamの「無料プラン」も比較検討のために活用する: これらの専用ツールも、多くの場合、機能制限付きの無料プランを提供しています。実際に触ってみて、Jamboardとの機能差や操作感を比較し、本当に有料版が必要か見極めるのが良いでしょう。
- Google Meetとの「シームレスな連携」はJamboard最大の強みと認識する: Meetでの会議中に、参加者全員がその場で同じボードを見ながら書き込める手軽さは、何物にも代えがたいメリットです。「ちょっと図で説明したい」「皆で意見を付箋で出そう」と思った瞬間に使えるのが素晴らしいです。
- チームのITリテラシーと教育コストも考慮に入れる: Jamboardは非常にシンプルなので、ITツールに不慣れなメンバーでも比較的すぐに使えます。多機能なツールは、その分覚えることも多く、教育コストがかかる場合もあります。
私のお客様の中小企業様では、まずJamboardを社内ブレストで使い始め、基本的な使い方に慣れた上で、本当に高度な機能が必要な特定のプロジェクトだけMiroの無料プランや短期的な有料プランを試す、といった賢い使い方をされているところもあります。
まとめ：目的に合わせて最適なホワイトボードツールを選ぼう
Google Jamboardは、Google Workspace環境で手軽に使える優れたオンラインホワイトボードであり、多くの日常的なビジュアルコラボレーションのニーズに応えてくれます。一方で、より高度で専門的な機能や豊富なテンプレートを求める場合は、MiroやFigJamのような専用ツールが強力な選択肢となります。
大切なのは、それぞれのツールの特徴を理解し、自社の目的、利用シーン、予算、そしてチームのスキルに合わせて「適材適所」で使い分けることです。
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この記事が、あなたのチームに最適なオンラインホワイトボードツール選びと、より効果的なビジュアルコラボレーションの実現の一助となれば幸いです。